映画「愛を読むひと」は、ケイト・ウィンスレット主演、スティーブン・ダルドリー監督の2008年のアメリカ・ドイツ合作映画です。
この映画「愛を読むひと」のネタバレ、あらすじやラスト最後の結末、見どころを紹介します。
青年と秘密を抱える大人の女性の悲壮な運命を描く「愛を読むひと」をお楽しみください。
第81回アカデミー賞でケイト・ウィンスレットが主演女優賞を受賞しています。
「愛を読むひと」キャスト・スタッフ
■ スタッフ
監督: スティーブン・ダルドリー
脚本: デヴィッド・ヘアー
制作: アンソニー・ミンゲラ 他
製作総指揮: ボブ・ワインスタイン 他
音楽: ニコ・マーリー
撮影: クリス・メンゲス■ 主要キャスト
ハンナ・シュミッツ: ケイト・ウィンスレット
マイケル・ベルク: レイフ・ファインズ
少年時代のマイケル: ダフィット・クロス
ロール教授: ブルーノ・ガンツ
ローゼ・マーター: レナ・オリン
イラーナ・マーター: レナ・オリン
若き日のイラーナ: アレクサンドラ・マリア・ララ
ユリア: ハンナー・ヘルツシュプルング
カーラ: ズザンネ・ロータ
「愛を読むひと」あらすじ
15歳のマイケル(ダフィット・クロス)は21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と出会います。
そしてふたりは付き合うようになるのですが、ある出来事が起こり、ハンナはいなくなってしまいます。
時はたち、大学生になったマイケル(レイフ・ファインズ)は、研究のためにナチスの戦犯の裁判を傍聴するのですが、その裁判の被告人がハンナだったのです。
彼女に一体何が?
マイケルとの関係はどうなるのか?
「愛を読むひと」ネタバレ
1995年のドイツ。
マイケル・ベルク(レイフ・ファインズ)は彼女を家から送り出した後、10代の頃の自分を思い出します。
1958年、マイケル(ダフィット・クロス)が15歳の時。
ある日、学校からの帰宅途中で気分が悪くなってしまったマイケルは途中でバスを降りてバス停近くにあるアパートの軒先に駆け込み嘔吐してしまいます。
その時帰宅したハンナ・シュミッツ(ケイト・ウィンスレット)に介抱してもらったマイケル。
ハンナは心細さから涙を流すマイケルを励まし家まで送り届けるのでした。
マイケルは猩紅熱にかかってしまい数カ月は安静にと医師から言われてしまい隔離状態に。
体調が戻ったマイケルは助けてくれたハンナにお礼を言うためハンナの住むアパートを訪ねます。
ハンナに体調を聞かれたマイケルはもうすっかり良くなった事と、「休んでいる間は本も読めず退屈だった」と答えます。
その答えに少し怪訝な顔をするハンナ。
お礼だけ言って帰ろうとしたマイケルでしたが、ひょんなことからハンナが着替えている姿を目撃してしまい、それからハンナの事が忘れられなくなってしまうのです。
後日、再びハンナを訪ねたマイケル。
炭をバケツに入れてと手伝いをたのまれますが、マイケルは裕福な家庭で育っているためやり方が分からず炭だらけになってしまいます。
このままでは家に帰れないからとシャワーを借りることになったマイケル。
そこでハンナと体の関係を持ってしまいます。
マイケルにとっては初めての体験。
20歳以上も年上のハンナにどんどん惹かれていきます。
ある日、読書が好きだというマイケルに、朗読して聞かせて欲しいと話すハンナ。
恥ずかしがりながらも朗読してくれるマイケルをハンナは褒めるのでした。
それからは、体を重ねる前に必ず朗読を聞かせてもらうのがハンナの楽しみになります。
マイケルはハンナにサイクリングの旅に出ないかと提案します。
旅の資金を作るために、マイケルはずっとコレクションしていた切手を売るのでした。
旅先のレストランでメニューを見て戸惑ったハンナはマイケルに注文を任せます。
行先の途中で立ち寄った教会で賛美歌を聞く二人。
ハンナは歌を聴きながら涙を流します。
マイケルはそんなハンナを優しく見守るのです。
そしてハンナに向けての詩を書き始めます。
ハンナは電車の切符切りの仕事をしていましたが、真面目な勤務態度が認められ事務への昇格が決まります。
しかし、ハンナはそのことに困惑してしまいます。
マイケルの朗読も耳に入らなくなってしまい、マイケルと喧嘩になってしまうのです。
その日はマイケルの誕生日でした。
友達が開いてくれるパーティーをキャンセルしてまでハンナのところにやって来たマイケルはハンアの態度に落胆してしまいます。
「謝るのはいつも僕だ」というマイケルにハンナは「謝る必要なんて誰もにない。戦争と平和よ坊や」と答えるのです。
その後のハンナの態度がおかしいことに気付いたマイケルはハンナの家を訪ねますが、アパートはもぬけの殻になっていました。
ハンナは昇進の話を断り、マイケルには何も言わずアパートを出て行ってしまったのでした。
それから時は経ち、ロースクールに通うマイケル。
大学のゼミで実際の裁判を見学することに。
その裁判で被告人として名前を呼ばれたのがハンナだったのです。
大戦中にナチ親衛隊に入隊し、ユダヤ人収容所の看守の仕事をしていたハンナは、収容所からアウシュビッツに送る人の選別をしていたことで罪に問われていました。
その収容所で生き残った親子が収容されていた時の手記を出版したことで、ハンナを含め6人の元看守が被告人となっていたのです。
毎月その収容所からアウシュビッツに送る人を選別していたのかどうかと問われたハンナは、正直にそのことを認め、どうやって選別していたのかも話します。
しかし、ハンナ以外の被告人はそのことを否定していたのです。
その収容所で生き残った人が証人として証言台に立ち、当時の事を話します。
死の行進と言われるある事件。
収容所が閉鎖され違う場所への移動で何か月も歩き続けた捕虜された人たちは、その道中で半数が命を落としていました。
そしてある教会での火災に話はうつります。
異動の最中、屋根のある教会が一旦休憩の場所となった日、空襲があり教会が焼け落ちてしまったのです。
看守たちは教会ではなく牧師館を宿舎にしていたため、教会には捕虜された人たちしかいませんでした。
教会には外から鍵がかけられていて出られず、看守たちが誰も教会に来なかった為、300人もの人が犠牲になってしまったのです。
この事故の報告書には焔を見るまで火事には気付かなかったと書かれ、6人のサインが書かれています。
6人全員で相談して書かれた報告書でしたが、ハンナ以外の5人が結託しハンナが責任者で全てハンナの決断だったと証言したのです。
ハンナは罪をなすりつけられてしまいました。
ハンナが1人で書いたという証拠を見つけるため、筆跡鑑定をすることになります。
しかし、ハンナは差し出された紙とペンを前に何も出来ず罪を認めるのです。
その姿を見たマイケルは昔のハンナの行動を思い出します。
本を読んでほしいと言われた事、旅先のレストランでメニューを見て困惑していた事、そのことからハンナが文盲だと気付くのでした。
マイケルは自分が証人になれば判決が変わると確信していました。
しかし、それをするべきか悩んでいたのです。
ハンナに面会しに行ったマイケルでしたが、ハンナには会わずに帰ってきてしまいます。
マイケルはハンナが文盲だという事を公表する事を嫌がるだろうと思い、証言台に立つことはありませんでした。
そしてハンナは殺人罪で無期懲役が言い渡されるのです。
傍聴席で判決を聞いたマイケルは涙を流すのでした。
その後結婚し、一児の父親になったマイケルでしたが、結婚生活は上手く行かず離婚してしまいます。
実家を訪れたマイケルはハンナに朗読した本を見つけ、またハンナに朗読をしようと考えるのです。
朗読した声をテープに録音し刑務所にいるハンナに送ります。
ハンナは図書館で本を借り、マイケルの声に合わせて本を読み文字の勉強を始めるのです。
ある日マイケルの元にハンナから手紙が届きます。
「テープをありがとう坊や」と書かれていました。
マイケルのテープのおかげで文字をかけるようになったのです。
それからハンナはマイケルに何通も手紙を送りますが、マイケルからの返事はやってきません。
その後ハンナの釈放が決まります。
誰も身寄りがなく、テープを送っていたマイケルの連絡先だけが登録されていたため、ハンナが出所したあとの面倒をっみてくれないかと連絡が来たのです。
「愛を読むひと」ラスト最後の結末
マイケルはハンナと面会するために刑務所を訪れます。
やっと再会をした二人。
マイケルは出所後の仕事と住む家を用意したとハンナに伝えます。
そして、過去の事を考えるかとハンナに尋ねると、ハンナは「裁判の前には考えなかった。その必要が無かったから。でもどう感じようとどう考えようと死者は生き返らない」と答えるのです。
「学んだものは?」と問うマイケルに「文字を読むことを学んだわ」と答えるハンナ。
何となく気まずい雰囲気の中、来週迎えに来るとだけ言葉を残しマイケルはその場を去ります。
そして出所の日、ハンナがマイケルの元に帰ることはありませんでした。
獄中で自ら命を絶ってしまったのです。
ハンナ遺書には、少しの遺産を教会の火事で生き残った娘さんへ送って欲しいとマイケルへの願いが書かれていました。
そしてマイケルに“よろしく”と。
マイケルはその後収容所で生き残った女性に会いに行くことに。
ハンナが財産を残して逝った事を話し、お金を渡しますが、そのお金を慈善団体に寄付するとあの犯罪を許すことになるから、ハンナがお金を入れていた茶缶だけを貰うと話します。
マイケルは識字率を上げる活動をしている団体に寄付するのはどうかと提案し、マイケルが調べてその団体に寄付するという事で二人の意見がまとまります。
それからまた時は経ち、マイケルは以前ハンナと来た教会に長女を連れてきます。
そこにはハンナが眠っているお墓がありました。
そのお墓の前でハンナとの思い出を話すのでした。
THE END
「愛を読むひと」見どころ
とても切なく重たいテーマのラブストーリーです。
親子ほども年の離れたハンナとマイケルの燃え上がるような恋はマイケルが15歳だった夏の期間だけでしたが、かつて愛した女性がユダヤ人を迫害したナチで働いていた事、その彼女を救ってやれなかったこと、色々な葛藤がストーリーを盛り上げています。
マイケルが妻や娘にまでどこか心を閉ざしている様子が痛々しくて胸が苦しくなってしまいます。
ストーリーの途中で、何故ハンナがこんなことで怒るのか疑問が残るシーンもあるのですが、裁判のシーンでハンナが文盲だとマイケルが気付いたことですべて繋がるのです。
すべて伏線が回収されるのがスッキリします。
文盲だということを隠すために仕事まで変え、マイケルの元から去り、文盲ということを隠したために罪を一人で背負う事になってしまったハンナの人生を主演のケイト・ウィンスレットが見事に演じています。
マイケルのテープのおかげで文字の読み書きが出来るようになるシーンや、マイケルとの面会シーン、そしてハンナの最後のシーンなど、後半は泣けるシーンが盛りだくさんです。
天真爛漫で明るいケイト・ウィンスレットは「いつか晴れた日に」で見ることができます。