アニメ映画「耳をすませば」は、近藤喜文監督の1995年のスタジオジブリのアニメ映画です。
この映画「耳をすませば」のネタバレ、あらすじや最後ラスト、結末、見所について紹介します。
読書が大好きな中学生の少女が地球屋という不思議な店に迷い込んで・・・「耳をすませば」をお楽しみください。
原作は柊あおいの漫画です。
「耳をすませば」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: 近藤喜文
製作: 鈴木敏夫、宮崎駿
脚本: 宮崎駿
音楽: 野見祐二■ 主要キャスト
月島 雫:本名陽子
天沢聖司:高橋一生
月島靖也:立花隆
月島朝子:室井滋
フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵:露口茂
西 司朗:小林桂樹
「耳をすませば」あらすじ
読書が趣味の月島雫は、受験を控える中学三年生。
図書館司書の父と大学に通う母と姉の四人で暮らしています。
夏休みにも開放日を待てないくらいの読書家の雫ですが、彼女が借りる本の貸出カードにはいつもある男の子の名前が書かれていました。
天沢聖司。
いつも、どんな本を借りても自分より先に借りている彼・・・。
一体どんな人なんだろう?
この物語は、15歳という多感な時期に、夢を、恋を追い掛ける少年少女の瑞々しい青春が描き出されたジブリの名作アニメの一つです。
「耳をすませば」ネタバレ
読書家だといっても、本だけが友達・・・といったようなタイプではない雫には多くの友人がいます。
その中でも夕子は特に仲の良い女の子。
雫が作った♫カントリー・ロードの替え歌、♫コンクリートロードを歌いながら一緒に笑い合える良い友人です。
夏休み中のある日、そんな夕子から学校に呼び出されて受けたのは恋の相談でした。
野球部の子に告白されたというのです。
驚く雫。
しかし彼女をもっと驚かせたのは、夕子には他に好きな人がいる、という事実でした。
相手はなんと杉村。
雫にとっては軽口を叩き合う男友達というだけの杉村に、自分の親友が恋をしている・・・
その事実に驚きつつも、夕子と学校を出ようとしたとき、雫は自分が借りた本をベンチに置きっぱなしにしてしまった事に気づきます。
慌てて取りに戻ると、そこには一人の少年が・・・。
彼は雫の借りた本を開いていましたが、声を掛けられずにいた雫に気付くと、月島雫!と彼女の名前を呼びます。
そして、コンクリートロードはやめといたほうが良いと思うよ!と笑いながら言って去っていったのでした。
名前も知らない少年に揶揄された事に腹を立てた雫。
これが彼女の運命を変える出逢いの第一歩になろうとは、雫自身まだ気づいていないのでした。
この少年とは、夏休み中に再会します。
図書館へ行くついでに、そこで働く父にお弁当を届けに行った雫。
しかしその途中、電車に乗り込んできた猫に心を奪われたのです。
ムチッと太った猫は、まるで人間のように堂々と座席に座り、目的の駅に着くと自然に降りていきました。
想像力を刺激された雫は、この猫の後を追います。
他所のお宅の庭先に繋がれている犬を馬鹿にするような猫でしたが、その後を追ったことで雫は一軒の古道具屋さんに出会えました。
[地球屋]と看板を掲げたその店は古いからくり時計や大きな瞳が印象的な猫の置物・バロンといった魅力的なものがたっくさん。
そこで店主の西司郎に様々な品物を紹介してもらって喜んでいるうち、父親に届けるお弁当を思い出した雫。
時刻はお昼の時報を鳴らしています。
大慌てで司郎に挨拶して駆け出していった雫ですが、しかし肝心のお弁当を店に忘れたことに気付きました。
慌てて戻ろうとするとそこにいたのが、あの少年だったのです。
雫の忘れたお弁当箱を抱え、その大きさをからかって去る少年に、雫はまた頬を膨らませるのでした。
夏休みが終わり、二学期が始まりました。
夏休み中、ずっと気に掛かっていた事を先生に質問に行った雫。
彼女が借りた図書室の寄贈本に書かれていた[天沢]という人についてです。
もしかしたら天沢聖司と何か関係があるのかも、と気になっていたことでしたが、本当にその[天沢]さんの息子が同じ学年にいると聞いて慌てふためいてしまいました。
そんな様子を夕子たちコーラス部の友人たちがからかいます。
しかし彼女たちも、雫が書いた♫カントリー・ロードの訳詞には感心しきり。
上手い事話をそらす事に成功したのでした。
その日の帰り、再び[地球屋]に向かった雫ですが、お店は開いておらず、バロンもいません。
がっかりして帰宅した彼女に持ち込まれたのは、再び夕子の恋相談でした。
泣き腫らした顔で訪ねてきた夕子はその日の放課後、杉村に呼び止められていたのです。
杉村は、同じ野球部である友人が夕子からの告白の返事が欲しい、と頼まれて声を掛けてきたのでした。
つまり杉村は私の事なんて何とも思ってない!
その事実に打ちのめされ泣きに泣いて顔を晴らした夕子は、翌日の学校を休むと言って帰ります。
翌日になって、杉村は雫を学校近くの神社に呼び出しました。
昨日の今日で夕子が休んでしまった事が気になっているのです。
そこでつい夕子の気持ちを口にしてしまう雫。
ところが杉村は困りきった顔で俯いてしまいます。
俺が好きなのはお前だ、と思わぬ告白をされた雫の顔もたちまち真っ赤に。
思ってもみなかった告白に困惑する雫は、それでも杉村の事は友達としてしか見えない、と伝え逃げるようにその場を後にしてしまいました。
自分の鈍感さに苛立ち、やりきれない思いを抱えた雫が向かったのは[地球屋]でした。
しかし今日も開いていません。
そこへやって来たのはあの少年です。
彼は司郎の孫で、去り難く太った猫を触って座り込んでいた雫を店内に入れてくれました。
ここは開いている事の方が少ないんだ、と言った少年は店内の案内をすると、バロンに見とれる雫を一人にして自分は地下へと下りていきます。
この店の地下ではヴァイオリン制作の教室が開かれており、彼もまたここでヴァイオリンを作っているというのです。
黙々と制作を続ける少年に、弾いてみて欲しいと頼む雫。
それなら、と少年は雫にカントリーロードを歌うことを要求し二人のセッションが始まりました。
最初は恥ずかしそうだった雫ですが、大きな声を出して自分が訳した歌詞を歌います。
二人の微笑ましい姿に、帰宅した司郎とその友人たちも加わって、ちょっとした合奏に発展しました。
演奏を終えるとわっと盛り上がり、ここで雫は少年の名前が天沢聖司だと知ります。
今更ながらの自己紹介に軽く言い合うも、二人はこの日をきっかけに急接近したのでした。
この出会いは雫に大きな変化をもたらします。
受験生というのに全く勉強に身が入らず、本ばかり読む毎日を過ごす雫に比べ、聖司には明確な目的があったからです。
彼は中学を卒業したら、そのままイタリアへ渡りヴァイオリン職人になりたいと考えています。
家族からの反対にもめげず黙々と腕を磨き続けてきた彼は、司郎の後押しもあって卒業を待たずに二ヶ月間の修行に出ることになりました。
この二ヶ月を乗り越えることで、彼にその素質や根性があるのか?という言わば試験のようなイタリア行きです。
それでもチャンスが得られたことに大喜びの聖司は、そのことを雫に伝えてくれたのでした。
雫は聖司の挑戦を喜び応援しながら、同時に自分の不甲斐なさに自己嫌悪に陥ってしまいます。
自分も彼に負けないよう、何かに挑戦したい!そして彼女が選んだのが、物語を書くことでした。
司郎の店に赴くと、彼が大切にしているバロンを主人公にした物語を書いても良いか?と許可を願い出ます。
すると司郎は快諾しながらも、書きあがったら私を最初の読者にして欲しいと頼むのでした。
「耳をすませば」最後のラスト結末
それからの雫は物語を紡ぐことに没頭していきます。
帰宅後はもちろん、休日も図書館に入り浸って資料を囲い、授業中ですらその手を止めません。
まるで物語にとりつかれたような雫の姿に、家族、とりわけ姉はいい顔をしません。
受験生だというのに大きく成績も下がり、ついには高校になんか行かない!と言い放つ雫と姉は口論になってしまったのです。
そんな娘の姿を見ていた父は、静かに雫を呼ぶと話を始めました。
しかし父は頭ごなしに雫を叱ることはしません。
娘が何かに今一生懸命になっている、その事実を認め、今しばらくの猶予をくれたのです。
こうして書き上げた物語。
それはバロンを主人公にした恋の物語でした。
(この物語はスピンオフとして「猫の恩返し」というタイトルで映画化されています。)
その作品を持って会いに行った[地球屋]で、司郎は静かに読んでくれました。
読み終わるのをずっと待ち続けていた雫。
読み終わった司郎にすがり付くようにして感想を求めるも、彼の賛辞は耳に入りません。
書いてみて分かったのです。
自分にはまだまだ勉強が必要だということが・・・。
雫は自分が努力を重ねて結果を出したことで、今までは漠然としていた進学にちゃんとした目標が出来たのです。
こうして自分の中のモヤモヤに整理をつけた翌朝早く、雫は自室の窓を開けたその下に聖司がいることに気付きます。
昨日の夜帰ってきたという彼は、降りてきた雫に見せたいものがあるといい、自転車の後ろに彼女を乗せて走り出しました。
途中の急な坂道も、必死で漕ぐ聖司。
雫も、荷物になりたいわけじゃない、と自分も降りて自転車の後ろを押します。
そうして到着したのは自分たちが住む街が一望できる場所でした。
聖司はここから見える朝日を雫に見せたかったのです。
やがて登る太陽を見ながら、お互いの近況を話す二人。
イタリアでの生活を語る聖司も、自分の挑戦を語る雫も、二ヶ月前よりちょっとだけ大人になったようです。
高校進学に将来の夢を重ねて目標を定めた雫の姿に、聖司は思わず叫びます。
雫!結婚してくれ!!と。
照れた顔で嬉しそうに頷く雫を抱きしめて、二人の未来は今始まったのでした。
完。
「耳をすませば」見所ポイント!
とても清々しい作品です。
ジブリアニメですが、原作は漫画家の柊あおいさん。
たまたま彼女の漫画をご覧になった宮崎監督がそこから着想を得てアニメにしたんだそうです。
この作品では、思春期のみずみずしい心の成長や、将来の輝きを余すところなく表現されています。
【天空の城ラピュタ】や【ナウシカ】【千と千尋の神隠し】のような人生の深さや異次元の面白さには欠けますが、しかしこの作品には地に足をつけて頑張る普通の人々が出てきます。
思春期真っ只中の年齢だけでなく、今となっては青春が遠い思い出に変わってしまった方の中にも何かを灯す作品だと思うのです。
一度きりの視聴でなく、何度も繰り返し見てその度に気持ちを新たにできる素敵な物語、一人で見て良し家族で見て良し、オススメの一本です。