映画「ビリーブ 未来への大逆転」は、フェリシティ・ジョーンズ共演、ミミ・レダー監督の2018年の映画です。
この映画「ビリーブ 未来への大逆転」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
史上初の男女平等裁判に挑んだ実話がもとの「ビリーブ 未来への大逆転」をお楽しみください。
「ビリーブ 未来への大逆転」あらすじ
1956年、ハーバード大学法科大学院
スーツ姿の大勢の男たちに交じり、黒いパンプス、青いジャケットにスカート姿の女性が颯爽と歩きます。
その姿が埋もれそうなほど小柄な彼女の名前は、ルース・ベイダー・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)。
1933年3月、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。
ユダヤ系の家庭で育ち、貧しい環境にありながら意志を貫き1950年コーネル大学に入学。
1954年に、政治学の学士を取得し卒業。
そして、在学中に出会ったマーティン・ギンズバーグ(アーミー・ハマー)と結婚。
翌年、娘・ジェーンを出産。
何事にも全力なルースは、夫・マーティンと同じハーバード大学法科大学院に入学し新たな扉を開きます・・・
「ビリーブ 未来への大逆転」ネタバレ
講堂を見渡し、嬉しそうに目を輝かせるルース。
500名もの学生がいる中、女性はたった9名だけ、隣に座る男性が怪訝な顔をします。
学部長は、アーウィン・グリスウォルド(サム・ウォーターストン)。
「共に法律家となる仲間」と、激励の言葉を送りつつ “ハーバード・マン(男)” を強調。
「どっちが、ハーバードマン風?」
学部長主催の夕食会に出席するルースは、夫・マーティンに二つのワンピースを見せます。
“見た目より中身が大事” と言うマーティンは、彼女より家庭的で料理の腕も上。
自らは税法の弁護士を目指す、ルースの一番の理解者です。
夕食会の席で、女性蔑視の言葉を放つ学部長・グリスウォルド。
講義に出れば、ブラウン教授(スティーヴン・ルート)が「軽口かね!?」と、ルースの発言を揶揄し笑い者にします。
あからさまな差別を受け、夫・マーティンに愚痴をぶちまけるルース。
彼女にとって彼は拠りどころ、大きな力を与えてくれる存在でした。
そんなある日、マーティンに精巣ガンが発覚。
病院食を見たルースは、ベッドに横たわる彼に「私の料理より、美味しそうね」と、冗談を言って笑わせます。
大切な娘・ジェーンや、弁護士になるという二人の夢。
「絶対に、あきらめない!」
マーティンとルースは、病魔と闘うと決めました。
教室から教室へと走るルース。
自分の講義の他に「私は、ギンズバーグの妻です」と、マーティンの講義にも代理で出席。
家に帰れば夜泣きするジェーンを寝かしつけ、二人分のレポートを作成する日々が続きました。
やがて、懸命に生きるギンズバーグ家に光が射します。
マーティンは病を克服し、法律事務所に就職が決まり新天地・ニューヨークへ。
ハーバードに在学中のルースも「家族と共に…」と、コロンビア大学法科大学院へ編入します。
1959年、ルースは幾つも法律事務所をまわり、就職活動に励んでいました。
ハーバードでも優秀な成績、コロンビア大学法科大学院を首席で卒業。
どの法律事務所も褒めてはくれますが “女だから” と、採用には至りません。
“女性の居場所は家” という、圧倒的に男性優位な社会にルースは直面します。
そして、弁護士の夢を絶ち “女でもイイ” と言ってくれた、ラトガース大学で法学の教鞭を執る道を選ぶのでした。
同じ志の若者を育てる事も立派な仕事だと、マーティンは彼女を支えます。
1970年
マーティンとルースは二人の子供を育てながら、仕事をこなす日々を送っていました。
20名程あつまった教室で【性差別と法】をテーマに、授業を進めるルースが挙げた名前 “ドロシー・ケニオン”。
「法が男女を差別すれば、男女は平等になれない」と、訴えた女性弁護士です。
10年前、夫に浮気され暴力まで振るわれた妻が、バットで夫を殴り殺した事件。
陪審員は二級殺人で有罪を宣告、ドロシーはソレを上訴した。
女子生徒が「陪審員に、男性しかいないのは憲法違反」と、上訴した理由を述べます。
そして、陪審員に女性が居れば、計画性は無いものとみて量刑は軽くなる…と。
すると「仕方ないさ」と、一人の男子生徒が割り込みます。
「女が陪審員になると、子供の面倒は?」と彼も “男は外へ、女は家に” という考え。
その言葉にシッカリと意見をぶつけ、反論する女子生徒たちですが “男性と女性の差別は合法” という時代に抗えません。
二人の娘・ジェーン(ケイリー・スピーニー)は15歳になり、活動家・グロリア・スタイネムに熱心になっていました。
「議論だけじゃダメ!行動しなくちゃ」と、教授に納まる母を蔑むような目で見ます。
女性の権利、男女平等を主張し同じ考えを持つ母と娘。
成長するジェーンは、あらゆる事から自立しようとしていました。
“弁護士になりたかった” と、もどかしい気持ちを抱えるルースに、マーティンは一つの訴訟記録を見せます。
【国税庁が、親の介護費用の控除を却下した】という案件。
原告は、未婚の中年男性・チャールズ・モリッツ(クリス・マルケイ)。
昼はセールスマンとして外で働きながら、家では母の介護を一人でしていました。
介護士を雇い、所得控除を受けたいのですが対象に当てはまらないのです。
【介護費用の控除の申請を女性に限定】と作られた法律は、結婚歴の無い “男性に対する性差別” でした。
早速、ACLU(アメリカ自由人権協会)を訪ね、旧友・メル・ウルフ(ジャスティン・セロー)に掛け合うルース。
「法律に、性差別がある事を認めさせたい!」と息巻きます。
しかし、性差別で勝つなんて無理、男性への差別に対しても同じだとメルは消極的でした。
断られたルースは、一人で原告・モリッツの住むコロラド州・デンバーへ。
これまで4人の弁護士に断られたと言う、彼の訴訟を無償で引き受けるルース。
「間違っているのは、法律です!」と、言い切るのでした。
“女が家で、介護をする事が当たり前”
「法律を作った男性は “家で介護をする男性” を想像出来なかった…」
“すべての国民は、法の下に平等”
違憲だと訴え、性差別と認めさせる事で “男女平等” の糸口になるとルースは信じます。
マーティンが帰宅すると、ルースとジェーンは『アラバマ物語』の主人公・アティカス・フィンチ弁護士を巡って喧嘩状態。
母に自分の意見を聞き入れてもらえないジェーンは、劣等感を感じていました。
そんな娘にマーティンは、ルースの亡き母が言っていた言葉を伝えます。
“すべてに、疑問を持て” 幼い頃から、討論を繰り返し自分に自信を付けて来たルース。
同じように「ジェーンにも自信を持たせたい」そう思っていると言う父に、ジェーンは頷きます。
ルースとジェーンは、ドロシー・ケニオン(キャシー・ベイツ)を訪ね訴訟内容を話します。
しかし、彼女は「まだ、その時期じゃない」と、立ち去ってしまうのでした。
ドロシーにがっかりした様子のジェーンは、フィンチ弁護士の言葉をルースに伝えます。 “100年前に負けたって、いま負けるとは限らない!” と。
その時、見知らぬ男たちが二人に暴言を吐きます。
怯むことなく彼らにハッキリと言い返し、自信に満ちた顔の娘をルースは頼もしく感じるのでした。
裁判に向け、趣意書を完成させたルースとマーティン。
それは、ドロシー・ケニオンにも送られ、感化された彼女はACLUのメルの元を訪れます。
ルースが訴訟を起こした事を伝え「女のために闘いなさい」と、尻を叩かれたメル。
ACLUも協力すると、覚悟を決めました。
ルースの前に立ちはだかるのは、司法省の弁護士・野心家のボザース(ジャック・レイナー)。
「この訴訟は、男女を区別した全ての法律に影響する…」
ハーバード時代に、講義を受ける女性のルースを差別したブラウン教授が不快を示します。
司法省で弁護士をしている彼は、当時学部長だったアーウィン・グリスウォルドに連絡。
現在、グリスウォルドは訟務長官となっていました。
ルースを疎ましく思う彼らは、万全の策を講じます。
メルや恩師らを判事と見立て、模擬裁判をするルース。
しかし、感情が高ぶる彼女の口頭弁論は、論点がズレてしまい上手くいきません。
そこで、マーティンとルースそれぞれが、専門とする税法と性差別に分け挑む事に。
ところが、司法省側が「モリッツと、1ドルで和解」という案を提示してきたのです。
勝つ事は出来ないと、メルは裁判を諦めさせます。
悔しさを噛みしめるルースに娘・ジェーンは「ママは、絶対負けない」と後押し。
和解を告げられたモリッツは、ルースに問います「弁護士は君だ!君はどう思う?」
彼らの言葉で立ち上がったルースは訟務長官・グリスウォルドを訪ね宣戦布告します。
午前9時、ルースが初めて挑む裁判が開廷しました。
判事を務めるのは、三人の男性。
「“女性限定の介護費用の控除” は、男性である依頼人を差別している」
マーティンの口頭弁論から始まりますが、一筋縄ではいきません。
ルースも、判事の前に立ちますが「法律は、万人に当てはまる訳では無い…」と言い返されてしまいます。
すると、判事の一人・ドイル(ゲイリー・ワーンツ)がルースに尋ねました。
「論旨は、男性と女性が法律上、差別されていることかね?」
そこから更に、判事の容赦ない口激がルースを追い詰めます。
「普通の家庭では介護は女性、外で働くのは男性 “自然の法則” と思わないか?」
その問いに、言い返す事が出来ないままルースは席に戻りました。
「ビリーブ 未来への大逆転」最後ラストの結末は?
そんなルースに言葉を並べ立て、追い討ちを掛けるのは司法省の弁護士・ボザース。
「モリッツは過激な社会変革のために、弁護士に利用された犠牲者だ」と止めを刺します。
最後に与えられた、4分の反論時間。
しかし、言葉が見つからずマーティンは焦ります。
「…代理人」と急かされ、止む無く席を立とうとするマーティン。
しかし、ルースが立ち上がり、力強い目をした彼女は再び判事の前に向かいます。
「過激な社会変革…」
そう言って、自らが経験した性差別を話出すルース。
「大学には女性トイレが無かったけど、そんな事がどうでも良いほど法科に入れた事が嬉しかった」と。
100年前、初めて性差別を争い、女性の権利を訴えた女性・マイラ・ブラッドウェル。
彼女は負け、その後も女性たちが勝った裁判はありませんでした。
ルースは「法律が時代遅れになる前に、あたらしい先例を」と訴えます。
4分が経過しますが、判事はルースに続けさせました。
「すべての介護者を平等に…」
仕事と介護をこなすモリッツを称え、それは法律の限界を超えているとルースは訴えます。
更に、性差別の容認は、次の世代の子供たちが法律に縛られチャンスを奪われると。
「あなた方には、誤りを正せる」そう言って、判事を真っ直ぐ見つめルースは着席します。
法廷をあとにしたルースたちは、清々しい顔で家路に着きました。
後日、判決は “モリッツの介護費用の控除を認める” と、二人が挑んだ裁判は勝利!
ルースは性差別の撤廃に尽力し、その後も裁判で勝利していきます。
そして、1993年【最高裁判事】に任命され、現在も志は衰える事を知りません。
THE END
「ビリーブ 未来への大逆転」見どころ
“すべての国民は、法の下に平等”
先例を作り、未来への大きな一歩を踏み出した勇敢な女性の物語!
描かれているのは、たった数十年前のアメリカの実話です。
1970年代に【男女平等】を訴えた、ルース・ベイダー・ギンズバーグ。
彼女をはじめ、女性の権利を訴えて来た実在する先人達を知る事ができます。
主人公・ルースを演じたフェリシティ・ジョーンズの身長は160㎝程。
実際のルースも小柄なようですが、底知れぬパワーはドコから湧いてくるのか?
最愛の母の教え、ハッキリと物を言う子供たちや教え子たちの存在も力になったでしょう。
でも一番は、同じ志を持つルースの知性を心から尊敬し、互いに必要な人となった夫・マーティンでは!?
幾多の困難を乗り越えて来た二人は、まさに “あこがれの夫婦” と言えます。
ルースが【最高裁判事】というキャリアにたどり着いたのは、彼のお陰と言っても過言では無いと思えるほど素敵な旦那様ですよ♪
ドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』(2019年)との、併せ鑑賞もオススメです!
195cmという高身長の、アーミー・ハマーが演じたマーティン。
ガンが見つかり、病室で彼の大きな手を握るルースの小さな手は、主治医が来ても離す事はありません。
「生存率5%」と言われて、涙目になる彼の顔に優しく触れ「私と一緒に生きるのよ…」と小さなルースが、とても大きな愛で包み込みます。
アメリカを動かしたトンデモナイ女性ですが、素顔は内気なルース。
我慢の愛想笑い、でも諦める事だらけで窮屈な世の中にブチ切れ!
そんな人間っぽい姿から、法廷での凛々しい表情へ。
これは、性別に関係なくすべての人が感銘を受けるのではないでしょうか。
最後、判事を言い負かし、席に戻ったルースを迎えるマーティン!
口元に手を当てて「嫁さんスゴイ!(心の声)」って、ニヤッとするのも微笑ましいです。(※勝手な解釈、妄想です)
娘のジェーンが魅せる逞しさも「さすが、RBGの娘!」と、勝手ながら誇らしくなります。
ラストシーン──
ロイヤルブルーのジャケットとスカートに身を包む、フェリシティ・ジョーンズ演じるルース。
向かうのは、合衆国最高裁判所。
階段を上る後ろ姿から正面になると、本物のルース・ベイダー・ギンズバーグ登場!
背筋が伸び、真っ直ぐに前を見ている力強い目にドキッとします。
法廷モノですが、決して堅苦しくはありません。
探求心を持ち、不可能とされた道を切り拓いたスーパー・ウーマンの奇跡をご覧ください。
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