映画「白ゆき姫殺人事件」は井上真央主演、中村義洋監督の2014年の映画です。
この映画「白ゆき姫殺人事件」のネタバレ、あらすじや犯人、最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
湊かなえ原作、最後まで目が離せないミステリーの傑作、「白ゆき姫殺人事件」をご堪能ください。
「白ゆき姫殺人事件」あらすじ
白いワンピースを着て、胸元が血だらけの状態で倒れた女性。
激しく火が燃え上がります。
長野県しぐれ谷国定公園で、めった刺しにされた女性の焼死体が発見されます。
10か所以上刺され、灯油をかけて燃やされたという何ともむごい遺体の身元は化粧品会社のOL、三木典子(菜々緒)でした。
ワイドショー「カベミミッ」の制作を請け負う契約ディレクターの赤星雄治(綾野剛)。
RED_STARと言う名前でラーメンの批評を書き込むのが趣味の赤星は、突然友人の狩野里沙子(蓮佛美沙子)から連絡を受けます。
しぐれ谷の事件のことで事情聴取を受けたという里沙子、赤星は聞いたそばから情報をTwitterに上げて注目を集めます。
美姫の勤める化粧品会社の目玉商品は「白ゆきせっけん」。
そのため、事件は白ゆき姫殺人事件と言われるように。
典子のことを安っぽい美人ではないと言う里沙子、典子のことをステキな女性と尊敬しているようです。
典子の死亡推定時刻は金曜日の夜で、その日は職場の先輩の送別会でした。
その日典子は一次会で帰宅していたのです。
里沙子が犯人と疑っているのは典子の同僚、城野美姫(井上真央)です。
特徴がないことが特徴だという、地味で目立たない美姫。
美姫は同じみきという名前の同期という事で、典子と比較されることが多かったそうです。
また美姫は上司と付き合っていましたが、典子に略奪されていました。
事件当日、美姫が典子を車に乗せるところが目撃されています。
さらに事件の日に駅で目撃されたのを最後に、美姫は行方不明となっているのです。
はたして真相は?・・・
「白ゆき姫殺人事件」ネタバレ
里沙子の紹介で会社の同僚たちから話を聞き出す赤星。
里沙子達の会社では2期上の先輩が面倒を見ることになっており、典子のパートナーは里沙子、そして美姫のパートナーは満島栄美(小野令奈)でした。
栄美から赤星は美姫が運転すると人が変わること、典子の高価なボールペンが盗まれた時に奇妙な笑みを浮かべていたことを聞き出します。
また栄美は美姫と上司が同じお弁当を食べていたと言います。
次に赤星は美姫が付き合っていたという篠山聡史(金子ノブアキ)から話を聞きます。
しかし篠山は交際を否定し、弁当は押し付けられていたのだと言います。
そして典子と交際したものの、すぐに他に好きな人ができたからとふられたと言います。
さらに赤星は、大きなカバンを持った美姫が駅にダッシュしていたという同僚からも話を聞き出します。
現場も訪れ、自分は事件の核心に近づいていると思い込んだ赤星。
警察がまだ犯人を断定していないというのに、赤星は美姫を犯人に仕立てていきます。
カベミミッは赤星が集めた情報をもとに美姫をSさんとし、犯人がSさん以外いないと思い込ませるよう番組を放送します。
その番組放送後、里沙子は城野と言う名前をネットに書き込んでしまいます。
城野が犯人と言う書き込みが増える一方、美姫をかばい赤星を非難する書き込みもどんどん出てきました。
番組を見た美姫の大学の友人、前谷みのり(谷村美月)は番組に抗議文を送ります。
赤毛のアンが好きで料理好きだという美姫のエピソードを披露するみのり。
そしてみのりは篠山と会ったことがあり、美姫は篠山と確かに交際していたと言います。
その根拠としてみのりは交際していなければ知らないような話を美姫から聞いていたことをあげます。
その一方、もし何かの間違いで人を殺したのならと犯人の可能性もほのめかします。
ネットに事件のことを書いたことがばれた赤星でしたが、今度は美姫の故郷で取材を行います。
本名や出身校がどんどんネットに広げられていく美姫。
小学生の頃の同級生が出てきてエピソードや卒業アルバムを披露します。
そして中学生の時に呪いの城野と言われていたことが明らかになります。
ふざけていた男子の蹴った雑巾が載ってしまい、その一週間後にその男子が交通事故にあったのです。
そしてそれを聞いて笑ったと言われる美姫。
その男子、江藤慎吾(大東駿介)も赤星から取材を受けました。
江藤は呪いのことは否定しましたが、事故は美姫がブレーキを外したせいだと言います。
美姫が変わったきっかけを作ったのは自分だと語る江藤。
さらに美姫が子供の頃放火事件を起こしたいたことが明らかになりました。
美姫の同級生の母親は、呪いの儀式とオカルトじみた話をします。
一方、地元にも美姫のことをかばう人物が。
小学時代の親友である谷村夕子(貫地谷しほり)です。
名前からタコと言われいじめられていた夕子に唯一優しかった美姫。
美姫は赤毛のアンになぞらえて祐子をダイアナと呼び、夕子は美姫をアンと呼んでいました。
そしてあの放火事件は夕子をいじめる同級生を改心させるためのおまじないで火を使ったために起きたのだと証言します。
この火災が原因で美姫と夕子は親から関係を切られてしまい、一度も会っていません。
美姫が好きだったようなことをほのめかす夕子。
赤星が帰るところで夕子は「人の記憶ってのは捏造される、人は自分の都合のいいようにしか記憶を語らねぇ」と声をかけます。
さらに赤星は美姫の実家も訪れました。
そこで母親は「美姫は優しいおとなしい娘」と言いますが、父は「娘を許してやってください」と頭を下げます。
その後ろでせき込む、美姫の祖母。
あの子がそんな事件を起こすはずがないと呟きます。
呪いの儀式というテロップの出たカベミミッ。
父親の土下座のシーンが流され、Sさんを犯人と決めつけた内容で美姫がどこにいるかが注目されます。
その頃、美姫はホテルに身を隠していました。
自分を恐ろしい殺人鬼に仕立てるニュースにおびえる美姫。
ネットには美姫を非難する言葉があふれています。
美姫は部屋にあった便せんに自分のことを書いていきます。
赤毛のアンのように空想が好きな少女だった美姫。
中学生の時に初恋相手である江藤に雑巾をぶつけられた美姫は、アンとギルバートのエピソードをまねしてすぐには許さないことにします。
そして許そうとした日に初恋相手の江藤は事故にあいます。
お見舞いに行って許すという自分を想像し、笑みがこぼれた美姫。
これがあの事故と聞いて笑ったというエピソードに隠された真実だったのです。
そして就職先で出会った典子。
典子は人の服装をまねしたり、嫌味を言ったりと実は陰で女子社員に嫌がらせをしていました。
そして職場のバーベキューの日、男性社員たちが眠った典子を絶賛する中で美姫は自分が知る中で一番美しいのは夕子だと言います。
このことが、典子が美姫に嫌がらせをするきっかけとなったのです。
手作り弁当でアプローチして付き合う事となった美姫と篠山。
弁当を作るというと喜んでいた篠山でしたが、あっさりと典子に奪われてしまいます。
さらに美姫がファンである芹沢ブラザーズの高価なグッズを見せびらかすように使い、メンバーと付き合ってるという典子。
そしてめったにない東京コンサートのチケットを美姫に譲ると自分から言い出した典子ですが、当日になってやはり自分が行くと言い出します。
傷ついた美姫に里沙子は、眠くなる薬を典子に飲ませておくから典子を眠らせてチケットを奪うようけしかけます。
そして事件当日、美姫は送ると言って典子を車に乗せます。
眠ってしまった典子が乗った車をコインパーキングに止め、東京に向かう美姫。
無事にコンサートに行き、大好きな芹沢ブラザーズに会います。
しかし、階段のところで出待ちをしていた美姫が触れたとたんにメンバーの雅也が階段から落ちてしまいます。
雅也を突き落とした犯人だと疑われるという不安におびえた美姫。
翌朝目を覚ますと典子が殺害されたニュースが飛び込みます。
そしてそれから毎日のようにテレビやネットで殺人犯扱いされた美姫は、自殺を図ろうとします。
「白ゆき姫殺人事件」最後ラストの結末は?
首を吊ろうとした美姫、その時典子を殺した犯人として里沙子が捕まったというニュースが流れます。
典子からの嫌味でストレスがたまり、職場で盗みを働いては騒ぐ同僚を見て楽しんでいた里沙子。
それが典子にばれたため、里沙子は「クビになると困る」と美姫を利用し典子を殺害したのです。
ころっと意見を変え、里沙子を非難するカベミミッ。
美姫を犯人のように報道したことに対する謝罪はたった一言。
ネットでは美姫に同情する声と共に、美姫を犯人に仕立てた赤星を非難する声があふれます。
犯人が捕まり、祖母の葬式に帰った美姫。
両親や親せきとの間に気まずい空気が流れます。
そんな重い空気の中自室に戻った美姫が窓の外に見つけたのは、子供の頃のように夕子が送ってくれたろうそくの明かりのサインでした。
泣きながら同じくサインを送る美姫。
美姫の実家へ謝罪に行ったものの父親に怒鳴られた赤星、非難する発言が次々とネットに上げられていきます。
個人情報もさらされ憔悴し、ぼーっと歩いていた赤星は車に轢かれそうになります。
降りてきた運転手は美姫でした。
嫌なことがあってと言う赤星。
これが美姫と赤星が顔を合わす最初で最後のシーンです。
自分を犯人扱いした男と知らずに慰める美姫、自分が犯人扱いした相手とも知らずに慰められる赤星。
ふたりはそれぞれの道に進んでいきます。
完。
「白ゆき姫殺人事件」見どころ
誰もが簡単に情報を発信できる現代。
赤星は顔も知らない相手の情報を一方的に流していました。
実際に人違いで犯罪者のように言われてしまった人々がいる今の社会に、どこかリアリティーのある作品です。
気軽に情報を見つけ発信できる今、自分の情報が流れる可能性はゼロではありません。
そんな現代社会への警告にも感じます。
また犯人が捕まった途端、ネット上の意見がころっと変わるというのも生々しいですね。
前半は赤星の取材から、それぞれの立場から見た美姫や典子が語られています。
立場によって見方がどう変わるかがリアルに描かれています。
夕子は言うように、人は嘘をつくだけでなく自分がいいように思い込み新たな記憶を作ってしまいます。
それが本人にとって真実となってしまえば、もうなにが真実かはわからないですね。
夕子という親友がいる事、これが美姫にとって一番の真実でしょう。
湊かなえさんの作品と言う事で、その話の構成はもちろん、ミステリーとしての大どんでん返しが待っています。
しれっと一番最初に美姫を犯人に仕立てた人物が真犯人と言うところに人間の腹黒さが感じられます。
映画はもちろん、様々に散らばったミスリードを原作で楽しむのもおすすめです。
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