映画「猫なんかよんでもこない」は、風間俊介主演、山本透監督の2016年の日本映画です。
この映画「猫なんかよんでもこない」のネタバレ、あらすじや最後ラスト、結末、見所について紹介します。
ネコ嫌いのボクサーが子ネコたちと暮らすことになって・・・「猫なんかよんでもこない」をお楽しみください。
原作は杉作の漫画なのですが、この原作者が食堂のおやじ役として出演しています。
「猫なんかよんでもこない」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: 山本透
製作: ダブ
脚本: 山本透、林民夫
撮影: 小松高志
音楽: 兼松衆■ 主要キャスト
杉田ミツオ:風間俊介
兄貴:つるの剛士
ウメさん:松岡茉優
大家さん:市川実和子
「猫なんかよんでもこない」あらすじ
ボクシングに人生をかけているミツオ(風間俊介)ですが、彼は未だにB級ライセンス止まりの半端なボクサー。
そんな状況に奮起した彼は、集中してA級ライセンスに挑戦する為、バイトを全て辞め漫画家をしている兄貴(つるの剛士)の家に居候する事になりました。
そんなある日、兄貴(つるの剛士)が連れ帰ったのは二匹の子猫。
拾った、と笑顔で告げる兄貴(つるの剛士)ですが、これまでの経験上、世話をするのは自分だと分かっているミツオ(風間俊介)は受け入れたくありません。
猫は底意地が悪い、と文句を言うミツオ(風間俊介)ですが、しかし居候である以上彼に拒否権はないのです。
こうして始まった二匹の猫と夢追うボクサーの物語。
果たしてどうなりますことやら・・・?
「猫なんかよんでもこない」ネタバレ
オスとメスの二匹の子猫には、黒い方にクロ、小さい方にチンと名付けることにしました。
こうして始まった猫たちとの生活ですが、当然のように大家への届出はしていません。
ところがある日、それがあっさりとバレてしまいました。
隠そうとしたミツオ(風間俊介)でしたが、猫たちが勝手に表に出てきてしまったのです。
それを見て相好を崩す大家さん(市川実和子)は、猫の飼い方について基礎的なものを準備しレクチャーしてくれたのでした。
けれど、イヌ派の人にとって猫はなぁ、猫なんか呼んでも来ないし、と話す大家さん(市川実和子)。
その言葉にミツオ(風間俊介)は隣で一人深く頷いています。
しかしそんな彼の膝の上で二匹は、ミツオ(風間俊介)の手を前足で揉むように押すのです。
それは母親のおっぱいを飲む時の仕草よ、と教えられたミツオ(風間俊介)は、自分を親代わりだと思っている猫に喜びを隠せないのでした。
こうして、練習の日々に猫のお世話も加わってしばらく経った頃、ミツオ(風間俊介)はついに試合の日を迎えます。
ボコボコに殴られるミツオ(風間俊介)。
サンドバックのように殴られ、傷だらけの顔で帰宅した彼を、玄関の外で待っていたクロたちが出迎えてくれました。
ミツオ(風間俊介)の様子を見て負けたんだ、と判断する兄貴(つるの剛士)ですが、しかしミツオ(風間俊介)は勝っていたのです。
奇跡的に一発が入ったことでKO勝ちを収めた彼は、やっとA級ライセンスを手に入れたのでした。
クロたちを勝利の女神だと浮かれているミツオ(風間俊介)ですが、そんな彼を思わぬ不幸が襲います。
網膜裂孔です。
網膜剥離の原因の一つでもあるこの病は、完治はさせられますがボクシングを続けることはもう出来ません。
失明の危機があるからです。
突然の不幸に呆然とするミツオ(風間俊介)。
右目に眼帯をして落ち込んでいる彼に、兄貴(つるの剛士)は一万円札を取り出すと、減量を気にすることなくパーっと遊んでこい、と送り出してくれました。
そこで食堂へ行きモリモリと食事を済ませ、バッティングセンターに向かった彼は、そのあともパチンコで時間を使うなどしてぼんやりと帰宅したのです。
しかし再び一万円札を取り出した兄貴(つるの剛士)の言葉により、もう一度外に出て、かと言ってほかにすることも思い浮かばず、寸分の狂いもなく同じことを繰り返した挙句帰宅したのでした。
ミツオ(風間俊介)にとって、やはり自分のことを本気で心配してくれている兄貴は特別だ、との思いが深く刻まれました。
ところがそんな彼に告げられたのは兄貴(つるの剛士)の引越しです。
彼女と結婚して田舎に帰ることにした、と軽く報告してくる兄貴(つるの剛士)は、一万円くれたこともその彼女との時間と場所を確保するための下心から出た行動だったのでした。
戸惑うミツオ(風間俊介)を置いて、兄貴(つるの剛士)は去っていきました。
残金は20万円ちょっと・・・。
家賃が四万円で、本当は猫なんて飼っている余裕はありません。
そんなある日、帰宅したミツオ(風間俊介)は家に猫たちがいない事に気付きました。
慌てて探し回った挙句、発見したのは近くの公園。
女性が保護してくれていたのです。
礼を言って受け取るとその女性は、外は不衛生なためオススメできないこと、そして猫には去勢・避妊手術を行うように、と言いおいて去っていったのでした。
家賃を滞納しているミツオ(風間俊介)ですが、大家さん(市川実和子)は追い出すでもなく、猫の話で盛り上がり、近所のボス猫の存在まで教えてくれます。
それを聞いて俄然やる気になったミツオ(風間俊介)。
彼はクロをここら近辺のボス猫に育てようとしたのです。
しかし、生来家の中でのんびりしていたいクロにその情熱はあまりありません。
その代わり、チンが外へよく出ていくようになってしまいました。
もしかして妊娠したんじゃ、と飛び込んだ病院で、妊娠はしていないけれど避妊手術はしたほうがいいと言われたミツオ(風間俊介)は、兄貴(つるの剛士)に借金して手術を行います。
するとチンはぱったり外へ出なくなり・・・今度はクロが出て行くようになりました。
喧嘩ばかりを繰り返し、ついには結構な怪我を負って帰宅したクロ。
入院しなくてはいけない程の大怪我でしたが、クロは退院したその日から外へ出るべく窓に向かいます。
その日はミツオ(風間俊介)にたしなめられたものの、しばらくするとまた続く喧嘩の日々・・・。
そんなクロの姿に、自分と戦う男の姿を見たミツオ(風間俊介)。
一念発起したのか、バイトを探してきました。
こうしてミツオ(風間俊介)は保育園の給食室で働く事になりました。
するとそこにはいつか公園で出会った女性が・・・。
彼女名前は梅沢さん。
管理栄養士のウメさん(松岡茉優)です。
それからの日々は朝五時半に起きると、薄暗いキッチンで猫缶を用意してから仕事に出る毎日となりました。
職場では仕事のノウハウを教わりながら楽しく働けています。
ウメさん(松岡茉優)もまたミツオ(風間俊介)の事を覚えていました。
彼女は、ミツオ(風間俊介)がまだ去勢手術を行っていない事を知ると、再度手術を勧めます。
しかしミツオ(風間俊介)には、いまボスになるために頑張っているクロの手術なんてする気がないのでした。
それからしばらくして、クロは本当にボスになりました。
そしてそっとミツオ(風間俊介)のもとにトカゲを置くクロ・・・。
それをお礼だと思っていたミツオ(風間俊介)ですが、ウメさん(松岡茉優)から、あれは自分より下の者に狩りを教えてるみたいな説があることを教えられ憤慨します。
帰宅後、燃えているミツオ(風間俊介)は、やってやろうじゃないか!と久しぶりに駆け出しました。
それはボクサー時代のジョギングかと思われましたが、彼にとっての目的は体を鍛えることではありません。
たどり着いたのは一見の文房具店。
ミツオ(風間俊介)が買い込んできたのは、漫画を描く道具一式です。
兄貴(つるの剛士)に電話すると、漫画の描き方を請いました。
このまま給食のバイトで終わったらクロに負けてしまうことになる、それがミツオ(風間俊介)のモチベーションでした。
漫画の題材はもちろんボクシングです。
バイトを続けながらの作画作業は、睡眠時間を削られとても体力的に辛いものですが、彼はちゃんと毎日机に向かいます。
そして描き上げた最後の一ページを満足そうに見つめていた時、上から降ってきたクロによって破られてしまいました。
そのまま動かなくなってしまったクロ。
急いで病院へ運んだ結果、クロは猫エイズに犯されていることが分かりました。
猫エイズとは、感染した猫との交尾で罹る病です。
既に免疫機能が麻痺しているため助かる余地はないと言われ呆然とするミツオ(風間俊介)。
バイクでの帰り道、彼は前に進むこともできなくなりむせび泣くのでした。
弱々しく寝ていることが多くなったクロに、今度は俺も絶対チャンピオンになるから、と応募した漫画は一時で落選してしまいます。
それでも、諦めない、と次の漫画に取り掛かるミツオ(風間俊介)。
今度の題材もボクシングです。
描き上げる、応募する、落ちる、そしてまた書き始める・・・このループにより、バイト先の給食センターでも、ぼーっとしていることが多くなってしまったミツオ(風間俊介)。
心配するウメさん(松岡茉優)の気遣いに礼を言いながら、帰宅するとそこは猫の糞尿だらけの環境。
弱りきってしまったクロにはもう以前のような面影はないのです。
疲れきったカラダに鞭打つようにして掃除しなければならない状況に苛立ち、クロに怒鳴るミツオ(風間俊介)。
それでも直ぐに我に返ると、クロに謝るのです。
忠告を聞かなかった自分が悪い、と。
死ぬな!とクロを抱きしめるミツオ(風間俊介)は涙が止まらないのでした
そんな生活を続けていますが、出版社からの電話は一向にかかってきません。
入賞したらかかってくるという電話を待ち続けるミツオ(風間俊介)にとって、何の反応もないまま描き続ける事はストレスとなって積もります。
ついに感情を爆発させ、机の上の原稿用紙を跳ね除けて破いていくミツオ(風間俊介)。
するとその時クロが外へと出ていってしまいました久しぶりの外出を懐かしむように歩いて回ったクロは、夕方になって戻ってくると、その翌朝、一晩中寄り添い続けたミツオ(風間俊介)の手の下で旅立っていったのでした。
「猫なんかよんでもこない」ラスト最後の結末
クロの死を、ウメさん(松岡茉優)には聞いてもらったミツオ(風間俊介)。
最初から梅さんの言うことを聞いておけば・・・と後悔するミツオ(風間俊介)に、ウメさん(松岡茉優)は泣きながら首を横に振ります。
彼女はそっとミツオ(風間俊介)の後悔や寂しさに寄り添ってくれたのです。
それから・・・ミツオ(風間俊介)は再び机に向かっています。
しかし今度の題材はボクシングではありません。
クロとチンをモデルにした猫との生活をそのまま漫画にしたのです。
初めて触れた日のこと、帰宅を待ってくれていたこと、兄貴(つるの剛士)に置いていかれても二匹は一緒にいてくれたこと・・・これまでの思い出を涙しながら、しかしその顔には微笑みを浮かべて彼は描き上げたのです。
[猫なんかよんでもこない]というタイトルのその漫画を、桜の下チンを抱いて歩き投函したミツオ(風間俊介)。
そしてそのことを、心配し続けてくれていたウメさん(松岡茉優)に報告します。
初めて会ったあの公園で座りながら、チンもクロも僕にとっては特別だということに描いていて初めて気付いた、と自重するように話すミツオ(風間俊介)にウメさん(松岡茉優)は、すごく素敵です、と言って作ってきたお弁当を差し出してくれたのでした。
家に帰り、栄養バランスのとれたそのお弁当を美味しく頂いたミツオ(風間俊介)は、畳に横になります。
するとチンが久しぶりに散歩へ出て行ってしまいました。
いつかのクロのように、懐かしい道を散策して帰宅したチン。
彼女はまだ眠っているミツオ(風間俊介)の枕元にそっと、トカゲを置くのでした。
そうして一人と一匹、仲良くくっついてお昼寝していると・・・電話が鳴ります。
全く起きる気配のないミツオ(風間俊介)に変わり、電話を受けたのは留守電機能です。
そこへ吹き込まれるのは男性の声―――送っていただいた原稿の件で・・・と話すのは、ミツオ(風間俊介)が首を長くして待っていた出版社からのものなのでした。
完。
「猫なんかよんでもこない」見所ポイント!
ペットの死を看取るという事に、全く何の後悔も感じない飼い主なんているのでしょうか?
時に手前勝手に怒り、気まぐれに可愛がる飼い主だとしても、そのペットを家族として愛していた人ならば必ずどこかで「あのときああしていれば・・・」という思いがあるのではないかと思います。
そう言う意味でこの映画は、猫好きの人に限らず犬派他、ペットを飼っている人に染みる部分がありました。
絶対的犬派の私でも、クロの病気に後悔するミツオの気持ちは痛いほど伝わってきましたし、実際飼っていた愛犬の死を思い出して泣いてしまったくらいです。
ペットを飼うには、その子の最期を看取る覚悟がなくてはいけないと思います。
そしてその最期はできるだけ穏やかに、天寿を全うしてから迎えて欲しいと誰しもが思うでしょう。
この作品は、そういった誰もが当たり前に持っているはずの願いを、毎日の生活の中で意識から遠のいてしまっているその願いを、押し付けがましくなく観せてくれました。
劇的な出来事のない静かな作品ですが、時間がコンパクトな上にキャラクターも少ないので静かに鑑賞できます。
犬派の人でもエンディングの子猫の姿には目を奪われること請け合いの、過剰演出のない素敵な動物映画だと思います。
ペットを飼っている方はもちろん、今から飼いたいな、と思っている方にもご覧頂きたい作品でした。
猫好きのあなたには「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」もおすすめです。
みんなの感想