映画「家族はつらいよ2」は橋爪功主演、山田洋次監督の2009年の映画です。
この映画「家族はつらいよ2」のネタバレやあらすじ、最後ラストの結末、見どころを紹介します。
ワケあり一家の悲喜こもごもを描いたコメディ「家族はつらいよ2」をお楽しみください。
「家族はつらいよ2」あらすじ
横浜市青葉区で暮らす平田周造(橋爪功)は、ゴルフや釣りが趣味。
それと、大好きな酒がやめられない73歳。
家でも外でも亭主関白を気取る周造は、憎まれ口ばかり叩くからいっつも家族と大喧嘩。
50年も陰日向になって支えてくれた、妻・富子(吉行和子)に「ありがとう」も言えない。
なのに、行きつけの居酒屋の女将・かよ(風吹ジュン)にはデレデレで、男らしいところを見せたがる。
可愛げ!?もあるけど、自分の非は認めず棚にあげちゃう頑固オヤジ、それが周造です。
そんな周造だから、良く出来た妻で温厚な富子も我慢の限界!離婚届を突き付けた事も。
結局、周造が倒れる事態が起きて、思い直してくれた富子に家族は一安心しました。
だけど、やっぱり人間ってのは簡単には変わらないようです。
あんなに“離婚におろおろ”したはずの周造は、相変わらず“俺が正しい!”と大威張り。
そして今、周造VS家族で揉めているのは、“運転免許の返上問題”。
周造の愛車は、たくさん傷やヘコミが出来ていて家族は人身事故を心配しています。
なのに、当の周造は高齢者の自覚がなく、新車を購入するんだとウキウキ♪
家族の真剣な思いも聞き入れずに、“免許返上=老いぼれ扱い”と不機嫌になるのでした。
苛々する周造をアッという間に上機嫌に出来るのは、居酒屋の女将・かよ!
じつは妻・富子がオーロラを見に海外旅行中で、しばらくは独身気分を満喫する周造。
ボロボロの愛車にかよを乗せ、昼ご飯を食べに出かけます。
ちなみに、かよは常連客のマドンナで上手に周造を“あしらえる”ので色恋の心配は無用!
道中、とうとうダンプカーと接触事故をやらかす周造ですが、加世のフォローで収束。
今回、周造が家族を巻き込んで起こす大騒動は、事故ではなく再会した同級生絡みです。
「家族はつらいよ2」ネタバレ
本題に行く前に、まずは平田家の紹介から!
家族のために一生懸命仕事をして来た周造(橋爪功)も、今は自由気ままな生活。
富子(吉行和子)は、カルチャーセンターの創作教室に通って楽しい時間を過ごします。
長男夫婦との三世帯同居も相変わらず賑やかで、週末には恒例の家族会議を開く予定。
今回の議題は“父さんに運転免許を返納してもらおう!”
妹弟に召集をかける、長男・幸之助(こうのすけ=西村まさ彦)47歳。
周造も哀れむほど性格と髪が父親に似てしまった!?上海出張も多い中堅サラリーマンです。
育ち盛りの息子(謙一と信介)の事は、ほとんど妻・史枝(ふみえ=夏川結衣)任せ。
そんな史枝を一番困らせるのは、勝手な事ばかり言う周造と幸之助かも!?
この平田家に無くてはならない史枝に、姑・富子も感謝しています。
長女・成子(しげこ=中嶋朋子)は、金井泰蔵(林家正蔵)と結婚、小学生の娘・加奈と三人暮らし。
税理士の成子は一家の大黒柱で、金井税理士事務所に舞い込む依頼をテキパキ処理。
そんな妻に頭が上がらない雑用係の泰蔵は、調子に乗って余計な事を言っちゃうタイプ。
勝気な成子に大体は怒られて頼りないけど、成子を支える無くてはならない夫です。
平田家のなかで一番穏やかなのは二男・庄太(妻夫木聡)、職業はピアノ調律師。
両親の離婚騒動にも巻き込まれた憲子(のりこ=蒼井優)と晴れて夫婦となり、新婚生活を満喫中。
看護師をしている憲子の両親は離婚していて、母は仕事と認知症の祖母の介護でヘトヘト。
二人が暮らす柴又まで電車に乗って様子を見に行く憲子は、祖母と母の体も心配です。
妻を大事に思う庄太は、憲子の母たちと同居を考えていると伝えました。
庄太に感謝する憲子、その心には一人離れて博多で暮らす父の事も浮かびます。
ちなみに、平田家の家族になりたての憲子には、あの意地っ張りな周造が素直になる事も・・・
以上を踏まえた上で、喧嘩するほど絆が強くなる?!平田家の笑って泣ける物語のはじまり!はじまり~!
行きつけの居酒屋の女将・かよ(風吹ジュン)を助手席に乗せ、浮かれる周造(橋爪功)。
途中、道路工事で止められると、目の前に立つ警備員は高校の同級生・丸田吟平(小林稔侍)でした。
同級生の間では、バブルがはじけて事業を失敗した事情は知られています。
ずっと音信不通だった吟平は、再会を喜ぶでも無く仕事へ。
汗水たらす同級生に、何だかやるせない気持ちになる周造。
そこで、同級生・向井(有薗芳記)らに声を掛けて“丸田吟平を励ます会”を開きます。
向井も【居酒屋かよ】の常連、男たちは心ゆくまで飲んで昔話に花を咲かせるのでした。
今は、埼玉の古いアパートで一人暮らしでも、元は大きな呉服屋で生まれ育った吟平。
庭にイチョウの木があって大好物は銀杏、だから皆は「丸田ぎんなん」と、呼んでいた。
炒った銀杏を皆で山盛り食べて「最後の晩餐も、銀杏」って大声で叫んだ!
先日の暗い顔とは違って、あの頃を思い涙を流す吟平はとても幸せそうでした。
それでも、酒がすすむと出て来るのは辛い話。
初耳だったのは、学校のマドンナ“せっちゃん”と結婚したけど事業失敗とともに離婚。
多額の借金を抱え家族とも一人娘とも絶縁して、ずっと独りで生きて来た吟平。
あまりに暗い話に、居た堪れなくなった向井は逃げ出します。
夜遅く、ベロベロに酔っ払った周造と吟平が平田家に帰って来ました。
史枝(夏川結衣)が困ってもお構いなし、周造は吟平を二階の寝室にあげて酒盛りを始めます。
その後、ネチネチと仕事の愚痴をこぼす、酔った幸之助(西村まさ彦)も帰宅。
吟平の事を知ると「……何で断らないんだ!酔っ払いは嫌いだ!!」と、怒りの矛先は史枝に。
あーだこーだと文句ばかりの幸之助に「あなただって酔っ払ってる」と、史枝は反撃。
「俺は仕事で仕方なく…バカ!」と、捨て台詞を吐く幸之助、あとは知らんぷりです。
海外旅行中の富子(吉行和子)のベッドを借りる吟平は、感謝しきり。
自分の人生を振り返り「今夜は楽しかった…」と、深いため息を吐きます。
──そして迎えた翌日
例の“父さんに運転免許を返納してもらおう!”平田家恒例の家族会議の日です。
成子(中嶋朋子)に泰蔵(林家正蔵)、庄太(妻夫木聡)が平田家に到着。
憲子(蒼井優)は、祖母のところに顔を出してから来る予定です。
史枝が、いつものように鰻重を注文。
二階では周造がまだ寝ている吟平に「朝だよ!帰ってくれよ」と、声を掛けトイレへ直行。
二日酔いの周造に嫌な顔をする成子は「そうだ!庄太……車のキー持って来て」と、先手を打つつもりです。
卑怯な真似はしたくない庄太ですが、押しの強い姉に負けて二階の周造の寝室へ。
すると「姉さん、誰かいるんだ……父さんの部屋」と、青ざめて怯える庄太。
昨晩ベロベロに酔った二人の事を、唯一知っている史枝が反応します。
「あら!まだ居たの……庄太さんスグ起こして帰ってもらって!」
だけど、しゃがみ込む庄太は信じがたい事を口にします。
「…無理だよ 死んでるよ」
“行って来い”とギロッと見る成子の視線に、ビビって座り込む泰蔵。
情けない夫に呆れる成子が勇んで寝室に入ると、顔が固まり無言で戻って来ました。
「ほんとに 死んでる 怖いよ~!泰ち~ゃん」と、泰蔵に抱き着く成子。
事態を把握した四人は強張り、何も知らない周造と幸之助はバカな事ばかり言ってる。
そこに、救世主の憲子がやって来て、やっと周造は吟平の死を知るのでした。
庄太と憲子は埼玉へ、吟平の死を知ったアパートの大家(広岡由里子)は悲しみます。
絶縁状態の家族は、関係ないという返事でした。
葬儀は、自治体の福祉課で執り行う。
吟平の侘しい最期に、今は一人でいる父親を重ねて涙を流す憲子。
平田家に戻ると、周造がいつになく弱々しい声で家族に頭を下げました。
「…誰か火葬場に父さんと一緒に行って、アイツを見送ってやってくれないか?」
幸之助が出張だと言って断ると、無理強いはしない周造。
それでも、孤独な死となってしまった吟平を思い、憤りをぶちまけます。
すると「火葬場に行こうと話してたんだ…」そう周造に伝える庄太と憲子。
二人の思いに「ありがとう 俺は幸せ者だ」と、周造は心から感謝するのでした。
「家族はつらいよ2」最後ラストの結末は?
翌日、吟平の遺体は、庄太(妻夫木聡)と憲子(蒼井優)が待つ火葬場に運ばれます。
すると、成子(中嶋朋子)と泰蔵(林家正蔵)が駆け付け。
更には、幸之助(西村まさ彦)、史枝(夏川結衣)も到着。
ところが、肝心の周造(橋爪功)が“買い物”をしていてまだ来ません。
成子は、高速道路を走ることになる周造が事故を起こしやしないか心配!
そこに、やっと周造の車が到着して、皆は安心するのでした。
「なんだ!お前たち来てくれたのか」と、子供たちの優しさに笑顔がこぼれる周造。
「ほんとに、最後の晩餐になっちゃったな…」と、一緒に来た同級生の向井(有薗芳記)。
二人は紙袋いっぱいに詰まった、吟平(小林稔侍)の大好物“銀杏”を棺に入れてやります。
周造たちに見送られた吟平の葬儀は、侘しいものではありませんでした。
火葬場の炉に火が入り、葬儀は“しめやか”に終わ・・・らないのが、この平田家!
パチ!パチ!パン!パン!と、棺の中に入れた大量の銀杏がはじけています!!
「おい アイツ今頃、驚いてんだろ~なぁ……」
吟平と銀杏を想像する周造と向井は、ギッュと口を結び必死に笑いを堪えるのでした。
これから、上海出張に向かう幸之助。
「帰ったら、運転免許の件 決着つけるからな!」と、宣戦布告して空港へ。
その言葉に、さっきまで泣いて笑っていた周造は、いつもの怒り顔になります!
完。
「家族はつらいよ2」見どころ
平田家の隅から隅まで余すことなく、たっぷりと散りばめられた“家族あるある”。
その名言と行動パターンは、子供からじいちゃんばあちゃんまで笑って泣ける!
シリーズ一作目『家族はつらいよ』で、この人間味溢れ過ぎてる一家のトリコになった方も多い事でしょう。
二作目となる今作でも共感度は高まり、とどまる事を知りません!
私たちに家族だからこその難しさ、そして人間の温かさを教えてくれます。
家族を振り回す頑固オヤジ・周造が、めっちゃハマってる橋爪功は親近感あり過ぎ。
冒頭から、鼻毛チョキチョキ♪かよ(風吹ジュン)にはデレッとする顔も見モノですよ!
吉行和子が演じる妻・富子が、基本的に不在。
物足りない気もするけど、周造のハチャメチャぶりに十分満足できるでしょう。
今作で、最初に投げかけられる問題は“高齢者の運転免許返納”。
周造の“まだまだ出来る”という元気な気持ちは、子供としては嬉しい限り。
だけど、事故に遭ってから後悔する辛さは、やっぱり味わいたくありません。
個人的には同世代の長男・幸之助(西村まさ彦)のキツイ物言いは疑問を感じますが、“老いぼれ扱い”と怒鳴る周造には思わず嫌気が…
だけど、カッとなって憎まれ口を叩く周造も、これじゃダメだと分かってる。
家族だからこそ素直になれず、憲子(蒼井優)にだけ「悪かったね」と本心を伝える。
ちょっと落ち込む周造の顔は、“分かり合いたいな”と感傷的にさせられます。
なのに!なのに~!!家族にイジられてるのを耳にすると、またスグに“いじける”周造。
「家族み~んなで父親の悪口を言って、楽しそうに…」って、ホント手の掛かるオヤジだ(笑)
同居する史枝(夏川結衣)の心労を思えば「あんたは偉い!」って、心から尊敬しちゃいます。
周造に似ちゃった幸之助を演じる西村まさ彦も、妻目線で言えばなかなか憎たらしい!
平田家の男性陣で“素敵な旦那様”と思えるのは、妻夫木聡が演じた庄太だけですね。
仕事にも妻にも、妻の家族にも誠実である庄太。
この二人には幸せな未来を…と、きっとあなたも思えるほどお似合いの夫婦なんです。
そして、成子(中嶋朋子)と泰蔵(林家正蔵)夫婦は離婚危機もあったけど(第一作)、結局は良い二人なんだな。
吟平(小林稔侍)の死亡が確認された時に「…泰ちゃ~ん」って、いざって時は泰蔵が頼りの成子も可愛いです。
しかし、緊急事態が起きても、場の空気が全く読めない男・周造!
そんな男によって今シリーズではお馴染みの“うんこネタ”が、容赦なく放り込まれる~!!
成子と泰蔵、周造と史枝のカオスな4ショットは、個人的にオススメの場面です。
「何やってんだ、お前たちは?」と周造が二度見する!?成子と泰蔵の行動が妙に好きですね。
ラスト40分、今作の最大のテーマ“無縁社会”が描かれ始めます。
だけど、先ほどの“うんこネタ”もあって、その後の救急隊や警察の登場はまだまだユーモア満点。
特に刑事役の劇団ひとりによる名(迷!?)芝居は、あの平田家も振り回されちゃいます。
そして、一通りの事情聴取を終えると「他の人は頼りにならないから」と言われ、憲子と庄太が警察に向かう事に。
ゴチャゴチャした平田家から一転、警察での話は真剣に見入ってしまいます。
「時々あるんですよ…無縁社会と言うか、下級老人と言いますか」と、告げる刑事。
家族に遺体受け取りを拒否された、吟平の孤独な最期。
70歳を過ぎても、生きて行くため炎天下で働き続けた吟平。
彼を心配する大家や周造がぶちまける憤り、あなたは何を感じるでしょう。
血の繋がりだけじゃない、心で繋がる者が居てくれた吟平は孤独じゃない。
もちろん現実的に考えれば、綺麗事では済まされない問題です。
でも、個人的には平田家の皆が揃って吟平を見送った、この最期に心が温かくなりました。
泣き笑いのエンディングは、やっぱり平田家ならでは!
シリーズお馴染みのキャストは本編の至る所に登場して、今作の締めは笑福亭鶴瓶です。
周造が最後に見せる顔に「まだまだ家族とのバトルが続くんだ!はぁ~やれやれ…」
第三作は、周造に似てしまった幸之助に、いよいよ危機が…!これも機会があれば是非。
あくまで喜劇として楽しんで頂きたいですが、現実的に痛ましい出来事も起きています。
笑えないと言う方も、もちろんいるでしょう。
しかしながら、今作を通して家族を大事にしようという思いを持った方も多い映画です。
登場人物の一人一人が身近に居そうで、もしかしたら彼らはあなた自身かも!
どうぞ、最後までお楽しみください。
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