「彼女がその名を知らない鳥たち」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ!

映画「彼女がその名を知らない鳥たち」ネタバレ あらすじ
ミステリー/サスペンス

映画「彼女がその名を知らない鳥たち」は、蒼井優主演、白石和彌監督の2017年の映画です。

この映画「彼女がその名を知らない鳥たち」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所や無料動画について紹介します。

共感度0%の最低な男女の恋愛ミステリー「彼女がその名を知らない鳥たち」をご堪能ください。

 

「彼女がその名を知らない鳥たち」あらすじ

大阪のマンションで同居している、北原十和子(蒼井優)と佐野陣治(阿部サダヲ)。

「ジンジは不潔、下品、下劣、貧相……」と、十和子から出るのは彼を罵る言葉ばかり。

対して、陣治は「十和子を幸せに出来んの、僕だけや…」と、彼女に尽くす男でした。

 
十和子は不満を抱いているような鬱屈した表情で、中丸屋百貨店に電話します。

腕時計の修理の件で「…誠意が感じられないんですよ」と、三度目の苦情。

レンタルビデオ店でも苦情をぶちまける十和子は、ある男の姿に気づき後を追いました。

8年前に別れた恋人・黒崎俊一(竹野内豊) 、十和子がどっぷりハマっていた男です。

結局、見間違い…落胆していると、鬱陶しい陣治の着信音が鳴りました。

眉間にしわを寄せる十和子は、やり切れない気持ちになります。

 
精悍な顔立ちの黒崎は、おしゃれで贅沢な時間を与えてくれる魅力的な男。

しかし、彼は十和子の顔面を殴り肋骨にもヒビが入る程の暴力を振るいました。

一方的に別れを告げ消えた黒崎、十和子は身も心も傷付けられたのに彼を忘れられません。

 
浅黒い顔、土汚れがこびり付いた手指、建設会社で汗水たらして働く陣治。

50歳手前で体にガタが来ているのか、咳き込み台所の流しに唾を吐きます。

食事中も大卒主任・佐藤の愚痴や、足に溜まったゴミをいじる不快な男。

いつか自分の会社を立ち上げると言い、安月給から十和子に毎日お小遣いを渡します。

そんな陣治の口癖は「十和子のためやったら、何でも出来るんや」

そんな二人の関係は実は・・・

 

「彼女がその名を知らない鳥たち」ネタバレ

二人が住むのはゴチャゴチャと物が溢れ、空気も淀んでいそうな部屋。

狭い台所で陣治がご飯を作り、小さなテーブルで十和子もそれを食べる。

日の当たらない陣治の自室、十和子の部屋に彼が入るのはマッサージをするためだけ。

それ以上の行為は「触るな言うてるやろ!…能無しの種無し…」と、罵詈雑言。

「ごめんな…」と、陣治はひたすら謝り続けます。

 
十和子を心配し世話を焼くのは、姉の美鈴(赤澤ムック)も同じでした。

妹のため生命保険に加入した陣治を「真面目で優しい人じゃない…」と、信頼しています。

8年前に別れた、黒崎の話題に動揺する十和子の髪をかき上げた美鈴。

「黒崎さんから貰ったダイヤのピアスも、ずっとしてないみたい…」

ピアスが無くなっている事に気づき探す十和子は、陣治が小銭を貯める瓶に目を留めます。

その時、咳き込む陣治が帰宅、滑稽な彼の姿にこの日は疑う気が失せるのでした。

 
十和子が再三、腕時計の修理の件でクレームを入れていた中丸屋百貨店。

直接対応したいと、電話を掛けてきた主任・水島が気になる十和子は売り場を覗きます。

一目で水島(松坂桃李)の虜になった十和子、散らかった部屋を片付け彼を待ちました。

 
十和子のマンションを訪ね、代わりの腕時計を並べ謝罪する水島。

時計を付けてくれる彼の手に緊張する十和子ですが、あくまで仕事だと感じ泣き出します。

見つめる水島は、ゆっくりと彼女の頬に手を添えキスしました。

泣き止む十和子は彼の首に手を回し、二人が長いキスをすると陣治からの電話が鳴ります。

十和子に謝り「…考えておいてください」と、意味深な言葉を残し帰る水島。

その夜、陣治の指はマッサージ以上の事をして十和子を満たしました。

 
時計売り場で働く水島の前に、十和子がやって来ます。

丁寧な言葉で接客をする彼は、小声で「…カフェで待っていて下さい」と、伝えました。

仕事を終えカフェに来た水島は「…僕の気持ちですから」と、十和子に腕時計を贈ります。

「なんでジンジと一緒におんのか…分からん」

 
まったく男として見れない陣治と同居しながら、8年前に別れた黒崎を忘れられない十和子。

渇いた日々を送っていた彼女は、水島との愛欲に溺れて心も身体も満たされます。

精悍な顔立ち、一人旅が趣味と言う彼の知的で上品な雰囲気すべてが魅力的でした。

甘く優しい言葉…十和子は、既婚者で子供も居る水島の現実に目を伏せます。

 
水島と別れうつろな表情で歩いていると「…心配したんやで」と、商店街に響く陣治の声。

帰りの遅い十和子を捜し回る陣治は、姉の美鈴が心配して訪ねて来るほど騒いでいました。

「黒崎さんに会ってたんでしょ?」と、未だに未練を残す十和子に美鈴は呆れます。

すると「それだけは、絶対にないです…」と、陣治はキッパリと否定しました。

まだ、消していない彼の電話番号…発信すると呼び出し音が鳴り十和子は慌てて切ります。

その後、眠る十和子が黒崎の夢を見ていると気づいた陣治は、顔色を変えるのでした。

 
後日、訪ねて来た刑事・酒田(赤堀雅秋)から聞かされた事実に、十和子の顔は強張ります。

「黒崎俊一さんは、5年前から失踪届が出とって…現在も行方不明なんですわ」

黒崎の携帯電話を持っていた妻が、十和子の着信に気づいたと言います。

「昔の恋人に電話するのは…照れ臭いですわな」と、関係を理解した酒田。

仕事を終え帰って来た陣治は、出くわした酒田の立ち去る背中を不安そうに見ました。

 
黒崎の失踪を知った十和子は、必死に止める陣治を振り切って家を出ます。

「あんまりな事したら、恐ろしい事おきるで」と、離れて行く彼女を睨む陣治。

水島に抱かれる十和子は、離婚を仄めかす彼を信じ深みにハマって行きます。

ふたたび偽りの愛に溺れて行く十和子を、陣治が尾行していました。

 
別の日、十和子は黒崎の家を訪ねます。

迎えたのは国枝カヨ(村川絵梨)、黒崎は彼女と結婚して今は国枝と言う名字でした。

高層マンションに住む裕福な家庭、5歳になる一人娘は黒崎と会った事がありません。

カヨの伯父の会社で働いていたのに勝手に辞め、闇金に借金をしていた黒崎。

だからなのか警察もほとんど捜査をせず、カヨの心中を察する十和子は胸を痛めます。

失踪した翌朝、マンション前に斜めに乗り捨てられていた黒崎の車に違和感を覚えるカヨ。

何者かの存在を確信する彼女は、十和子に「きっと、殺されてます」と、伝えました。

 
話をしている二人のもとに、カヨの伯父が現れます。

脳梗塞の後遺症で杖をつく国枝(中嶋しゅう)は、ゆっくりと十和子に近づきました。

国枝を見て青褪める十和子、カヨが席を外した二人きりの部屋に重い空気が流れます。

金銭と引き換えに有力者である国枝に、恋人の十和子を差し出した黒崎。

「…覚えとるぞ…声も肌も……」と、国枝は十和子を抱いた日の事を忘れていません。

 
黒崎のためなら何でも…おぞましい記憶に十和子は震えます。

「黒崎はどうしとる?…なんであの日、来んかった?」

「あの日…?」十和子には、国枝の言っている意味が分かりませんでした。

──8年前、言葉巧みに十和子を支配していた黒崎。

「カヨと結婚する事になった…国枝の姪だよ」と、何も知らない十和子に別れを告げます。

欲しいものを手に入れ態度を翻す黒崎に、十和子は暴力を受け捨てられました──

 
国枝の家から逃げ帰った十和子。

風呂場で服を洗う陣治は「…主任の佐藤に殴られたんや」と、ボヤキます。

国枝と再会しぼんやりした十和子の目に映る、陣治の背中と血で赤く染まるタライの水。

「なあジンジ、前にもこんな事あった?」十和子の言葉に、陣治の顔は凍り付きました。

 
十和子との関係が深まると、周りで不穏な出来事が起こり窮地に立たされる水島。

仕事で重要な顧客データを紛失した彼は陣治に疑いを持ち、十和子に会う事を拒みます。

不安が抑えられず尾行を始める十和子は、小さな雑貨店で水島を待ちました。

並んだ腕時計を見ていると、彼が贈ってくれたのと同じ物が三千円で売られています。

 
心のバランスを崩す十和子は「…会いたかってん…」と、水島にすがりつきました。

彼に言われるがまま人気のない夜道で行為を終えて、一人うつむいて帰る十和子。

ジッと見ている陣治に気づき「待ち伏せなんかして……」と、怒りをぶつけます。

「十和子の事が心配なんや……騙されてるんやで…」と、人通りの無い商店街に響く声。

水島を腐った男と呼ぶ陣治は、何を言っても通じない十和子に険しい顔をします。

「今のうちに手切らな、またエラい事になるで」

「またって何?…黒崎さんのこと言うてんの?」と、十和子に聞かれ気後れする陣治。

 
帰宅した十和子は瓶に入った小銭をぶちまけ、黒崎から貰ったピアスを手に取ります。

「なんでや…そんなに黒崎さんが憎いんか」

陣治は「…憎い……あの男は土に埋めた」と、答えます。

──雨が降りしきる深夜の建築現場、黒崎の死体を土の中に放り込んだ陣治。

黒崎の車を、マンション前に乗り捨てたのも陣治でした──

十和子に憎まれる事も本望だと言って泣く陣治は「…もうエエやろ」と、肉を焼きます。

一通り泣き終わった十和子も「おいしい」と、いつもと同じように食べました。

 
翌朝、仕事へ行く陣治を見送る十和子は普段とは違う様子です。

「ケリつきそう…大阪を離れるかも…」と、姉に伝え無表情で手にしたのは果物ナイフ。

商店街で一人佇む十和子に、強い口調の水島から顧客データの件で連絡が来ました。

紛失した事が世に出てしまうと怒りを滲ませる彼に、会いたいと渇望する十和子。

「…最後になるかもしれんの…自分でも何するか分からんから…」と、声を震わせます。

 
水島と会う約束を交わした彼女がふと顔を上げると、見覚えのある言葉が目に入りました。

本屋に並べられた一冊を手に取った十和子は、ページをめくり驚愕します。

そこには、水島が十和子に語ってくれた一人旅の話がそのまま綴られていました。

 
待ち合わせた公園に水島が現れ、歩き出した二人の話題は紛失した顧客データの事。

彼は「見つかったんだよ…女子社員が持っててさ…」と、一人笑い出します。

その態度に納得できず強張る十和子の頬に、水島の手が触れました。

「…この所、神経質になり過ぎていた、今日はゆっくり…約束する」

「…約束する」そう言ってくれた黒崎を思い出す十和子は、水島にナイフを突き刺します。

 
突然の事に言葉も出ない水島を、執拗に追い刺し続ける十和子。

そこに「十和子!…あかん!!」と、陣治が駆け付け必死に十和子を抑えました。

「あーーー…」と、泣き喚く十和子の手は、水島の血で染まっています。

守るように全身で十和子を抑え「…お前を刺したんは俺や……」と、水島に告げる陣治。

十和子を弄んだ代償を負った水島は、不貞を他言しないと言う陣治の前から逃げ去ります。

 
──彼女が笑ってくれるなら、何でもしてあげたい。

黒崎に傷付けられ笑顔を失くしていた十和子に、初めて会った時から心惹かれた陣治。

彼女に真っ直ぐな想いを伝え続け、二人はマンションで同居を始めました。

お金も無いしスラッとした男前じゃない、ガサツでお調子者の陣治に十和子は暴言ばかり。

それでも十和子のために尽くす陣治は、彼女が少し笑ってくれるだけで幸せでした。

しかし、あの日が訪れます。

 

「彼女がその名を知らない鳥たち」最後ラストの結末は?

別れて3年が経った頃、黒崎と再会した十和子。

それは、再び別れるのなら “殺してしまおう” そう思ってしまうほど幸せな時間でした。

駐車場に車を止め、黒崎は「もう一度、あいつに会ってほしいんだ」と、真顔で言います。

金のため国枝との関係を求める彼の手に、そっと触れ見つめ返す十和子。

黒崎は、彼女の頬に手を添えると「一生大切にするよ…約束する」と、車を降ります。

国枝が待つホテルへ歩き出した黒崎の背中に、十和子はナイフを突き刺しました。

 
仕事を終えた陣治は、電話口で黙る十和子の異変を察知し雨のなか駐車場へ急ぎます。

そこには、黒崎の死体と血の付いたナイフを持つ放心状態の十和子が居ました。

彼女の耳からダイヤのピアスを外し、血の付いた服を風呂場で洗う陣治。

 
気を失うように眠った翌日、十和子はこの出来事を全て忘れていて陣治はホッとします。

そして “どうか、十和子が一生思い出さんでくれますように…” と、心から願いました。

十和子に惚れて8年、彼女の秘密を隠し続けて5年…これが陣治の愛し方です──

 
ベンチに座り、十和子をきつく抱きしめる陣治。

「十和子が生きて笑ってくれな、俺が浮かばれへん」

全てを思い出し生きるのを嫌がる十和子を、必死に諭す陣治は究極の愛の形をみせます。

「…幸せになって俺を産んでくれ…お前の腹ん中に必ず入りに行くからな…ほなな十和子」

町を見下ろす丘のフェンスに立ち、両手を広げた陣治はそのまま落ちて行きました。

 
涙を浮かべ微笑む陣治が目の前から消え、立ちすくむ十和子。

彼が消えたフェンスの向こうから鳥が羽ばたき、見上げると鳥の群れが空を飛んでいます。

「ジンジ、たった一人の私の恋人」一筋の涙を流し、十和子は小さく呟きました。

完。

 

「彼女がその名を知らない鳥たち」見どころ

“共感度ゼロ” と触れ込む本作ですが、きっと胸をえぐる映画として記憶に残るでしょう。

胸糞悪く息苦しい時間が延々と続いても、目を離す事が出来ない俳優陣の底知れぬ演技力。

蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊。

十分に演技派である事は理解しているつもりでも、それを優に超えてしまいます。

 
関西弁で捲し立てる “ヤバい女” 全開の、十和子を演じた蒼井優。

終始、薄暗いトーンで描かれ、悪態を吐きキレたり泣いている十和子。

官能シーンも多く、蒼井優にゾクッとしますが弄ばれていると思うと悲しくもなります。

松坂桃李と竹野内豊が演じた、彼女がハマる男・水島と黒崎は本当に “クソ野郎” です。

十和子に異常に執着し “黒崎を殺ってるんだろう” と思わせる、陣治役の阿部サダヲ。

水島や黒崎に向ける笑顔は、彼らを愛する十和子の本当の気持ちなのでしょう。

でも、陣治と安いご飯食べて、おどける彼を見て笑う十和子の方が可愛らしく見えます。

 
“不快度100%” で観てたハズなのに真実が明かされると一転、純愛なのか!?と震えます。

そして、陣治が最後に見せた究極の愛に、胸がすく思いになるかもしれません。

でも、それはあまりにも悲し過ぎる結末でした。

「ほんま、楽しかった……十和子との全ての事が夢のようやった」そう笑って伝える陣治。

十和子と出会った頃を回想するシーンは、陣治の純愛に心がじんわり温かくなります。

 
深い愛情で包まれていた十和子、一途に彼女を愛し続けた陣治。

あなたの目に彼らはどう映るでしょうか?じっくりご堪能下さい。

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