映画「クリーピー 偽りの隣人」は、西島秀俊主演、黒沢清監督の2016年日本映画です。
この映画「クリーピー 偽りの隣人」のネタバレ、あらすじや最後ラスト、結末、見所について紹介します。
原作の小説では「クリーピー」の続編も出ています。
「クリーピー 偽りの隣人」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: 黒沢清
製作: 「クリーピー」製作委員会
脚本: 黒沢清、池田千尋
撮影: 芦澤明子
音楽: 羽深由理■ 主要キャスト
高倉:西島秀俊
高倉康子:竹内結子
本多早紀:川口春奈
野上刑事:東出昌大
西野:香川照之
澪:藤野涼子
大川:戸田昌宏
松岡:馬場徹
多恵子:最所美咲
谷本刑事:笹野高史
「クリーピー 偽りの隣人」あらすじ
犯罪心理学を学び、刑事としてそれを駆使していた高倉(西島秀俊)ですが、とある事件をきっかけにして職を辞してしまいます。
退職した彼が得た職業は大学教授。
専攻は血生臭い犯罪心理学ですが、以前と違い規則正しい生活に引越しも重なり心機一転、妻の康子(竹内結子)との穏やかな生活を送っていました。
ところがそんな彼のすぐ側に、サイコパスの恐怖が迫ります。
ご近所付き合いの少なくなった現在、隣人が普通の人とは限らないという、現実社会にリンクしたようなサスペンスムービーです。
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「クリーピー 偽りの隣人」ネタバレ
ご近所への引越し挨拶に向かった高倉夫婦ですが、この近隣は近所付き合いが希薄な地域のようで、挨拶の品すら受け取って貰えません。
隣人の西野家は留守のようで誰も出てこなかったので、ここは後日という事にして二人は自宅へと帰ったのでした。
新米教授の高倉(西島秀俊)にとって、授業中以外の時間の過ごし方はまだ見付かっていません。
すると助手の大川(戸田昌宏)が、6年前に日野市で起こった一家失踪事件について話し始めました。
ある日を境に当時中学三年生だった娘を残し、夫婦、そして長男が行方不明になってしまったこの事件。
高倉(西島秀俊)にとっては、たった一人残された娘の話が何度も変わって信用性に欠けた、という記憶しかありませんが、彼の誘いを受けて今一度事件現場へと足を運ぶ事にしました。
そのころ康子(竹内結子)は、隣の西野家へ再度挨拶行くも、どうも西野との会話は噛み合いません。
なんとなくストレスを抱えたまま康子は、帰宅した高倉にも印象の悪さを伝えるのでした。
大川と本多家へ行くも、外観を見ただけで帰った高倉。
しかしそれを知ったかつての後輩刑事・野上(東出昌大)が会いに来ます。
本多事件の謎を追う彼は、事件当時ただ一人残された娘の担当が、犯罪心理学を身につけた高倉だったら進展も違っていたかもしれない、との思いを抱えていたようなのです。
そこで、二人はもう一度本多家を尋ねることにしました。
到着してすぐ、この場所には犯罪現場特有の嫌な空気が流れていると感じ取る高倉と野上でしたが、そこには先客がいました。
それは、残された少女・早紀(川口春奈)その人だったのです。
何か助けが必要なら、と申し出る高倉ですが、彼女は怯えたように去ってしまいました。
その日の帰り道。
帰宅途中で西野(香川照之)から声を掛けられた高倉(西島秀俊)は、初対面にも関わらず彼から罵られます。
それは挨拶に行った日、康子が漏らしていたのと同じように不愉快な人物像そのものの姿でした。
上から目線で一方的にまくし立てられた高倉は、帰宅後康子に、無理に近所付き合いすることはない、と苛立ちながら話すのでした。
翌日、高倉(西島秀俊)は早紀(川口春奈)を訪ねます。
家族を失った事で記憶が曖昧になっていた彼女ですが、最近になって真実かどうかは分からないけれど断片的に記憶が蘇ってくるとのこと―――
そこで大学で詳しく話を聞くことになりました。
彼女が思い出したのは、失踪直前の家族の様子でした。
両親が誰かと電話で話していたこと。
当時高校生だった兄が、何度かお酒の匂いをさせて帰ってきたこと。
それら全ての相手は多分同じ人だと思う・・・
そう語る彼女が失踪に巻き込まれなかったのは、修学旅行に行っていたからに過ぎないのでした。
その日の晩、帰宅した高倉(西島秀俊)は驚きの光景を目にします。
自宅に西野(香川照之)がいるのです。
西野の娘・澪(藤野涼子)に料理を教えるという名目で始まった晩餐会。
朗らかに楽しそうな西野に先日の無礼な姿は重なりません。
康子(竹内結子)にも彼への不信感のようなものは感じられず、澪と楽しそうに笑い合っているのです。
しかし高倉が彼の仕事について質問した瞬間、空気が凍ります。
株式関係の協会理事をしているという彼ですが、高倉は信用していません。
帰っていく二人を見ながら彼は、それを康子にも伝えますが、刑事の勘だというと彼女は露骨に嫌な顔をして、あなたは変わらないのね、と言うのでした。
あの日、高倉(西島秀俊)の不用意な言葉に怒って帰った早紀(川口春奈)ですが、再び訪ねてくると修学旅行前日の記憶を話し始めました。
早紀が一週間いなくなるのでちょうどいい、と家族が話していたことを。
それは誰かに会う為だったんだと思う、そして私はその人を見たきがする―――と。
顔や名前など具体的な事は思い出せないけれど、自室の窓から隣の家の庭に立つその人を見ていたという記憶は残っている早紀は、しかし隣人の水田という名前には聞いたことがないと返すのでした。
野上(東出昌大)は水田家を訪れていました。
暗い室内、虫の羽音が響く澱んだ空気に、口元を抑えて進んでいた野上でしたが、彼はここでとんでもないものを発見します。
圧縮袋に収められた5人の遺体です。
大きな騒ぎになるこの発見をニュースで知り駆けつけた高倉は、野上の功を讃えます。
5体のうち3体は本多家、ということはあとの2体は水田夫妻だろう、と話す野上。
ということは早紀(川口春奈)が見た水田とは一体誰なのか―――?
謎が解けたかと思えば新たな謎が浮かび上がってくる、そんな状況を抱えて帰宅した高倉は、遠くに佇みながらこちらを見ている澪に気付きました。
何度も逡巡していましたが、やっとの決心のようにして澪は、あの人お父さんなんかじゃないです、全然知らない人です、と言い出したではありませんか。
驚き自宅へと避難させた高倉でしたが、そこへ康子が西野(香川照之)と一緒に帰ってきたのです。
高倉の後ろにいる澪を見つけた西野は明るい調子で、また変なこと言ってるんじゃないだろうなぁ、と声をかけます。
すると、言ってないもん、と返す澪。
そのふざけた調子に高倉は、緊張を解いたのでした。
しかしその頃、康子(竹内結子)に気がかりな行動が見え始めてきます。
高倉に隠れて電話をしたり、そのことを指摘すると激怒したり・・・。
そんな姿に、今の生活に不満があるなら行ってくれと訴えかける事しか出来ない高倉ですが、すると康子は急に糸が切れたように肩を落とし、分からないの・・・と呟くだけになってしまうのでした。
愛犬の散歩に出ていた高倉は、高台から自宅を眺め違和感を抱きます。
それは自宅と西野家の位置関係が、本多家と水田家によく似ていたのです。
その違和感を野上(東出昌大)に伝え、西野(香川照之)のことを調べて貰いたいと依頼した高倉。
この頼みを受け西野について調べた野上は、彼が本当の西野ではない事に気付きます。
そこで警察を名乗り西野家へ・・・。
しかしこれが、彼の最期の姿になってしまいました。
高倉の目の前で、近所の田中家が突然爆発。
急いで田中家に駆け寄り声をかけますが、誰も出てきません。
結局田中家の爆発はガス漏れによるものでしたが、異様なのは家から3体もの遺体が見つかった事です。
2体は田中母娘、残された1体はなんと野上(東出昌大)のものでした。
その事実をベテラン刑事・谷本(笹野高史)からの聞き込みで知らされた高倉は愕然としながら、犯人は西野(香川照之)だと断言します。
隣家が爆発しているにも関わらずテレビを見て出て来もしなかった西野の異常さを訴えたのです。
一体西野という男は何者なのか―――?
その西野家ではおぞましい光景が繰り広げられていました。
澪(藤野涼子)が男の遺体を真空パックに入れて吸引しているのです。
その側には下着姿の女性・・・。
それは澪の両親だったのです。
重たい扉を開いて入ってきた西野は小馬鹿にした態度で通帳残高を遺体の男性に見せ付けています。
そもそもそれはこの亡くなった男性の物であったにも関わらず、よくこんな金額で生活できていたね、と言い放つ西野。
そんな西野に澪は、母親に薬を打っていいかと聞きます。
母親は薬漬けにされていたのです。
そしてパック詰めされた父親は床下の穴へ・・・。
結局西野は澪の家族を乗っ取って、徐々に死に至らして来たサイコパスだったのです。
そしてその毒牙は今康子(竹内結子)に向かっていて・・・。
様子のおかしい康子を心配しながらも、家を出た高倉。
以前と違い笑顔も溌剌さも消えた康子、その腕には澪(藤野涼子)の母親と同じ注射跡が・・・。
その澪の母親は、最後の力を振り絞るようにして西野(香川照之)に襲い掛かっていました。
しかし簡単に返り討ちにされ、西野が金庫から取り出してきた拳銃によって殺されてしまいます。
しかしその殺人でさえも澪のせいにする西野。
君のせいで犯罪者になっちゃう、と大声でまくし立てる西野は、母親の遺体の始末を澪一人に押し付け部屋を後にしたのでした。
とはいえ、いくら痩せた女性といえども大人の女性を澪一人が処理することは不可能です。
その訴えを聞いた西野が呼んできたのは、なんと康子(竹内結子)でした。
怯える彼女を家の奥へと誘い込み、遺体と対面させたのです。
驚きすぎて悲鳴すら上げられない康子に、これは澪が殺した遺体だ、と。
でも警察に行ってしまうと澪が捕まってしまうでしょ、と、さも康子が協力するのが当然であるかのように話す西野によって、結局彼女は遺体の隠蔽工作に手を貸してしまったのでした。
帰宅した高倉(西島秀俊)は自宅に康子がいない事に気付き焦ります。
するとその時インターホンが鳴りました。
玄関先にいたのは澪(藤野涼子)です。
迎え入れた高倉は、康子が西野家にいること、西野(香川照之)が父親ではない事に頷く澪を見て彼の異常性を確信します。
ところが次の瞬間、玄関ドアを大きく打ち鳴らして西野がやってきました。
彼は不気味な笑顔を浮かべながら猫なで声で澪に話し掛けてきます。
それを無視して警察を呼ぶよう指示を飛ばした高倉でしたが、その目に信じられない光景が・・・。
なんと玄関の鍵が外から開けられたのです。
チェーンに阻まれた僅かな隙間から顔を覗かせ、これって一種の誘拐ですよね、と言い出す西野。
思わずカッとなり外へ出た高倉は西野に掴みかかりますが、そんな彼を止めに入ったのは康子(竹内結子)です。
彼女が西野に自宅の鍵を渡していたのです。
これみよがしに鍵を返してくる西野に再び掴みかかった時、パトカーが到着しました。
これで一安心、と胸を撫で下ろしますが、これは西野が呼んでいたパトカーだった為、拘束されたのは高倉・・・。
連行され調書を取られていた高倉のもとに谷本(笹本高史)がやってきました。
野上(東出昌大)のパソコンに西野(香川照之)の名前の検索履歴があった事を調べた谷本は、高倉と一緒に西野家へと急ぎます。
康子(竹内結子)を探して一旦自宅へ帰った高倉と行動を別にした谷本は一人、西野家へと向かいました。
警察を名乗り玄関を開けますが、中からは誰も出てきません。
一言声をかけ家の中へと上がり込んだ谷本でしたが、彼もまた異様な空間を通って重たい扉を開き、あの部屋へとたどり着きました。
およそ一般家庭とは思えない異常空間に目を奪われていた谷本は、足元の床がない事に気がつきません。
そのまま落下してしまった彼は、そっと背後から忍び寄り、手を貸そうとした西野(香川照之)の手を掴んだ途端、注射を打たれてしまいました。
自宅に康子がいない事で、西野家に向かうことになった高倉。
彼は西野(香川照之)の部屋で力なく座り込んでいる彼女を発見します。
康子は、抱えていた高倉への不満に西野から付け込まれてしまったのでした。
そんな彼女の呟きに謝罪を繰り返しながら、高倉は彼女の肩を抱いて家から連れ出そうとしますが、彼もまたあの重い扉に気付いてしまうのです。
康子を待たせ、あの異様な部屋へ脚を踏み入れた高倉。
床の穴に落ち込んでいる谷本(笹本高史)に気付き声をかけるも、全く反応しません。
「クリーピー 偽りの隣人」最後のラスト結末
するとそこへ西野(香川照之)が現れました。
そして康子(竹内結子)に拳銃を手渡します。
しかしそれをそっと返す康子。
その遣り取りを見ていた高倉は、西野のやり方に気づくのです。
自分では手を汚さず、人にやらせて甘い汁をすする男の本性を・・・。
優しく康子を呼び寄せると、西野の人格をサイコパスだとして哀れみ、矢継ぎ早に彼を責め立てる高倉。
このまま高倉夫妻はそこを逃げ出せるかと思われましたが、そう上手くは事が運びません。
康子が隠し持っていた注射器を高倉に刺したのです。
意識を失う高倉―――。
窮地を脱した西野は、カモフラージュの為高倉と康子、そして愛犬も連れて場所を変えることにしたようです。
生気を無くしている高倉には手錠をかけ康子に運転させて始まった引っ越し。
目的地ははっきりしていません。
西野が次のターゲットを見つければそこが引越し先なのです。
やがて車が停まったのは立ち入り禁止の看板が立つ廃墟マンション。
その屋上に駆け上がった西野は双眼鏡で寄生先を見つけたようです。
楽しそうに計画を話しながらも彼は愛犬が邪魔だと思い始めた様子。
拳銃を犬に向けます。
しかしそれさえも自分ではできなかったらしく・・・。
車内に繋がれたままの高倉に近付くと、彼の手錠を外し拳銃を渡したのです。
それこそが、高倉の待っていた瞬間でした。
これがあんたの落とし穴だ。
そうはっきりとした口調で告げた高倉はなんの迷いもなく西野に向け発砲したのでした。
こうして稀代の悪人・西野は死にました。
その死体に今までの憤りを思い切りぶつける澪(藤野涼子)。
高倉に抱きしめられた康子は、人とも思えないような咆哮をあげ泣き叫ぶのでした。
「クリーピー 偽りの隣人」見どころ
西島秀俊さんと香川照之さん、西島秀俊さんと竹内結子酸という、よく見る組み合わせのキャストでしたが、やはり芸達者揃いということでとても面白かったです。
最初から普通じゃない空気を漂わせる西野相手に、どうして人が心への侵入を許してしまうのか―――
その不可解さが気持ち悪さを生み、そして不可解なのにも関わらずなんとなく西野のような男の付け入る隙が見えてしまう怖さもあって、現実社会で実際に起きている洗脳による殺人事件などとリンクしてしまいました。
きっと西野のような人は、付け入る隙を絶対に逃さないのだろうと思います。
最近では顔芸のイメージが先行しがちの香川照之さんですが、会話の噛み合わせの悪い西野、朗らかに人付き合いのいい西野の二面をうまく表現されていて、二重人格という括りの不気味さではなく、なんとなく感触の気持ち悪い人、というのが伝わってきて怖かったです。
一人で見るのも良いですが、これは友人や家族と話しながら見るのも、実際の事件などと絡めて話の幅が広がりそうな作品だと思います。
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