映画「ジョーカー」は、ホアキン・フェニックス主演、トッド・フィリップス監督の2019年の映画です。
この映画「ジョーカー」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
狂気に満ちた悪のカリスマ、「ジョーカー」誕生の物語をお楽しみください。
「ジョーカー」キャスト・スタッフ
■ スタッフ
監督: トッド・フィリップス
脚本: トッド・フィリップス他
制作: ブラッドリー・クーパー他
製作総指揮: マイケル・E・ウスラン他
音楽: ヒドゥル・グドナドッティル
撮影: ローレンス・シャー■ 主要キャスト
アーサー・フレック / ジョーカー: ホアキン・フェニックス
マレー・フランクリン: ロバート・デ・ニーロ
ソフィー・デュモンド: ザジー・ビーツ
ペニー・フレック: フランセス・コンロイ
トーマス・ウェイン: ブレット・カレン
ブルース・ウェイン: ダンテ・ペレイラ=オルソン
ペニー・フレック: フランセス・コンロイ
ギャリティ刑事: ビル・キャンプ
「ジョーカー」あらすじ
1980年代のゴッサムシティ。
大道芸人のアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、母ペニー(フランセス・コンロイ)の介護をしながら、自身もまた福祉センターでカウンセリングを受けながら毎日を過ごしていました。
アーサーはコメディアンを目指していましたが、発作的に笑い出すという病気を持っている為、なかなかうまくいきません。
アーサーの毎日は虐げられる日々だったのです。
ところが、一丁の銃を手に入れたことがきっかけで・・・
「ジョーカー」ネタバレ
鏡にむかってピエロのメイクをしているアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)。おもむろに口の端を持ち上げて笑い始めます。
しかし、目からは涙が流れ、メイクが黒い筋を作っていました・・・
ゴッサムシティは、市の衛生局がストライキをしている為にゴミが放置されて悪臭を放つ事態となっていました。
街中には従来よりも大きくタフなスーパーラットが大量発生し、貧富の格差は拡大し、生活に困窮する人々の不満は募って爆発寸前になってしました。
ある日、アーサーは閉店する楽器店の宣伝にピエロとして派遣されていました。
「閉店セール!」の看板を掲げて仕事をしていると、少年たちが突然襲い掛かって来て看板を奪って逃げてしまいます。
必死で追いかけたアーサーはいつしか裏通りに誘い込まれてしまい、待ち伏せしていた少年達に囲まれて殴られ、看板もなくしてしまいます。
不幸は重なります。
市の予算削減によりソーシャルワーカーのカウンセリングと向精神薬の支給が打ち切られる事となってしまったのです。
小さい頃から脳と神経の損傷により突然に笑いだして止まらなくなってしまう持病を抱えていたアーサーには重大な事でした。
彼は病気で働けない母・ペニー(フランセス・コンロイ)と未だに二人暮らし。
友達も恋人もいません。
唯一の楽しみは人気司会者 マーレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)のトークショウを見る事でした。
ペニーに「あなたが笑うといつもハッピーよ」と言われた事をきっかけに、コメディアンになってマーレーが司会をする番組に出られる日を夢想しますが、現実は何も変わりませんでした。
アパートのエレベーターで一緒になったシングルマザー ソフィー(ザジー・ビーツ)に好意を抱くものの、それ以上を踏み出す勇気はありません。
ペニーは30年前にお屋敷で働かせてもらっていたトーマス・ウエイン(ブレット・カレン)に困窮している生活状況と、助けが必要だと言う手紙を書き続けていますが、返事が来ることはありませんでした。
数日後、派遣事務所の所長から楽器店の看板を返すように言われます。
「返さなければ、給料から天引きして弁償するぞ」と脅されますが、どうする事も出来ません。
誰もいない裏通りで積み上げられたゴミに怒りをぶつけるだけでした。
そんな彼を見かねて、仕事仲間のランドルが「次からはこれで身を守れ」と拳銃をそっと手渡してくれました。
しかし、病院の小児病棟に派遣されていた時、懐から銃が落ちてしまいます。
その日のうちにアーサーにはクビが言い渡されました。
ランドルは「頼まれて売った」と嘘をついて助けてはくれませんでした。
失意のうちに乗った地下鉄内で、酔っぱらったビジネスマン3人が女性に絡んでいる場面に遭遇します。
その時、発作が起きてアーサーは笑いが止まらなくなってしまいます。
3人があっけにとられている隙に女性は逃げる事が出来ましたが、気分を害されたビジネスマンは標的をアーサーに替え、遂には羽交い絞めにして殴り始めてしまいます。
アーサーは脅しの積りで銃を取り出しますが、はずみで引き金を引いてしまいます。
弾は目の前の1人にあたり、次に撃った弾でもう1人が倒れてしまいました。
3人目は足に当たりながらホームを逃げてゆきましたが、アーサーは追いかけて行って背後から弾が尽きるまで撃ち続けました。
そして、そこで我に返って逃げ出し、誰もいない公衆トイレに駆け込むと、突然に自分の頭の中を流れる曲に合わせて踊りだしました。
そして、その高揚感のままにソフィーに部屋を訪ねて唇を奪ったのでした。
次の日、地下鉄でビジネスマンが射殺された事は大ニュースになっていました。
アーサーがテレビを点けると、トーマス・ウエインが事件についてコメントしていました。
殺されたビジネスマン達はウェインの会社の社員だったのです。
ウェインは「彼らはわが社の優秀な社員だった。犯人は絶対に許さない」と怒りをあらわにしていました。
しかし、富裕層を快く思っていない一部の人達からは称賛されていました。
一方、アーサーはソフィーを自分のライブに招待します。
意気揚々と舞台に上がりますが、ここでも発作が出てしまい、客は失笑するだけでした。
家に帰ったアーサーはまた母親から手紙を預かります。
ふと好奇心をだして中を見てみると、トーマス・ウェインに生活苦を訴え、助けを求める内容でした。
そしてそこには、アーサーがウェインの息子だとも書かれていました。
母を問い詰めると、昔ウェインの屋敷で働いていた時に恋仲になり、アーサーを授かりましたが、結婚は許されずに別れるしかなかったと告白しました。
アーサーはショックを受けたものの、ウェイン邸を訪れてみます。
門のむこうにいた少年(ブルース・ウェイン、のちのバットマン)に声を掛けますが、執事に見とがめられ、自分はトーマス・ウェインの息子だと告げますが「何もなかった」と言われるだけでした。
家に帰ると、救急車が止まっており母が運び出されようとしていました。
地下鉄の殺人ピエロの捜査でやって来た刑事たちの話を聞いて倒れたとの事でした。
一命はとりとめたものの、入院する事になってしまいました。
その病室でソフィーと共にテレビを見ていると、なんと先日のライブの映像がマーレーの番組で紹介されていたのです。
誰もアーサーのネタで笑っていませんでしたが、マーレーはそのスベリ具合をネタに笑いを取っていました。
巷では殺人ピエロは富裕層に対するアンチテーゼの象徴となりつつあり、街のいたるところでピエロの仮面を被った人達が「金持ちを殺せ」と騒ぎを起こしていました。
その様子を見ながら、アーサーは高揚感を感じ始めていました。
そして、富裕層があつまってチャリティーイベントが行われる劇場に入り込んだアーサーは、トイレに立ったウェインを追いかけ「僕はアーサー。ペニーとあなたの息子です」と告げます。
優しく迎えてくれることを期待していたアーサーでしたが、ウェインは「そんな事は有りえない。全ては彼女の妄想だ。彼女とは何もなかったし、君は養子だ」と冷たくあしらわれ、更に「家に来たり息子に近づいたりしたら、ただでは済まさないぞ!」と殴られてしまいます。
打ちひしがれて家に帰ると「マーレー・フランクリンショーー」のスタッフから電話がかかってきていました。
先日の映像は意外に反響があり、それをきっかけとして番組出演の依頼が舞い込んだのです。
ウェインが言っていた事の真偽を確かめる為、アーサーは母が入院していたアーカム病院へ向かいます。
係員のスキをついて盗み出したファイルを見ると、そこには自分が養子である事、母が妄想性障害である事、幼い頃に母の恋人によって虐待され母も止めようとしなかった事、後遺症でどんな時でも笑っているようになってしまった事が書かれていました。
どうしていいか分からなくなったアーサーは、衝動的にソフィーの部屋に入り込みます。
帰ってきたソフィーはアーサーの姿を見て「奥に娘がいるの。何もしないで」と怯えながら言いました。
ソフィーと付き合っていると思っていた事もアーサーの妄想だったのです。
自分の信じていた世界が全てひっくり返り絶望したアーサーは、病室で寝ていたペニーの顔に枕を押し付けて殺してしまいます。
マーレーの番組に出る為に自宅でメイクをしていると、同じように派遣ピエロをしていた二人がやって来ます。
二人の内、一人はアーサーに銃を渡したランドルでした。
二人は、警察が地下鉄の殺人ピエロの件で聞き込みにやって来たので、不安になってアーサーの様子を見に来たのでした。
アーサーは、最初は穏やかに対応していましたが、突然隠し持っていたハサミでランドルを刺し殺し「優しくしてくれたのは君だけだった」と、もう一人を逃がしました。
「ジョーカー」ラスト最後の結末
やがて、ピエロのメイクが仕上がり、アーサーは家を出ました。
家の前の長い階段を下りていると、病院で会った刑事二人に声を掛けられました。
しかし、アーサーは質問に答えることなく、おどけるような表情で地下鉄に逃げ込みました。
やって来た列車の中にはピエロの仮装をした人々がひしめき合っていました。
追いかけてきた刑事達は、アーサーを探す内にピエロの仮装をした乗客達ともみ合いになり、思わず発砲してしまった為に、暴徒化した人々に襲われてしまいます。
アーサーはその隙に列車を下り、収録が行われるスタジオへと向かいました。
楽屋で出番を待っていたアーサーの所にマーレーが会いに来てくれました。
長年のファンだったアーサーは感激し、前の放送でマーレーが言っていたように自分の事を「ジョーカー」と呼んでほしいと頼みます。
そして、スポットライトを浴びて登場したアーサーは、早速ジョークを披露するように言われますが、やはり上手く行かず失笑をかうばかりでした。
すると、アーサーはおもむろに「地下鉄で3人を殺したのは自分だ」と告白します。
最初はネタだと思っていたマーレーや観客でしたが、そうではないと分かって色めき立ちます。
マーレーは人殺しを平然と告白した事を非難しましたが、アーサーは「あの3人が死んだらニュースになるが、僕が死んでも誰も気にかけない。踏みつけて行くだけだろう。僕には守るものも失うものの何もない。自分の価値や善悪は自分で決める事にしたよ」と言い「貴方だって僕を笑いものにするために此処に呼んだんだろう」と銃を取り出し、マーレーを撃ち殺してしまいました。
会場は悲鳴に包まれ、放送は中止となりました。
数時間後、アーサーは逮捕され、パトカーの後部座席に乗せられていました。
アーサーの恐慌が引き金となったのか、街の至る所でピエロの仮装をした暴徒が破壊や略奪を行っていました。
同じ頃、暴徒を避けようと裏通りを通っていたウェイン夫妻と息子のブルースの前に銃を持った強盗が現れ、金品を奪った上にウェイン夫妻を射殺し、傍らで見ていたブルースの頬には血が飛び散っていました。
アーサーが燃える街の様子をパトカーの窓からボンヤリ眺めていると、突然パトカーに救急車が追突してきました。
横転したパトカーに周りで見ていた群衆が駆け寄り、中からアーサーを助け出すと、皆で車のボンネットの上に横たえました。
やがて意識を取り戻したアーサーは、群衆を見渡しながら自分の血で頬に笑顔の口を描いたのでした。
THE END
「ジョーカー」見どころ
クリストファー・ノーラン監督の「バットマン ダークナイト」で鮮烈な印象を残した悪役・ジョーカーがどのようにして誕生したかを描いた作品です。
この作品の主役で、後にジョーカーとなるアーサー・フレックは、突然に笑いだしてしまう発作と病弱な母を抱えながら社会の底辺で生きる、どちらかと言えば弱い男です。
そんなアーサーを助けてくれるものは誰もおらず、憧れたコメディアン・マーレーも、一度は父親と思ったウェインも、恋心を抱いたソフィも彼を受け入れてはくれませんでした。
唯一の味方で「あなたの笑顔を見ているといつもハッピーになるわ」と言ってくれていた母親も彼を騙していました。
誰も彼の事を大事にせず、心情を理解しようとも寄り添おうともせず、傷つこうが悲しもうが見向きもされませんでした。
作品の中で、アーサーが自分の指を銃に見立てて頭にあてるシーンが何度かあります。
また、彼は
「普通の人間と同じになれ!」
「大事な社員を殺したお前の事を絶対に許さないぞ!」
「妄想を鵜呑みにして、気安く我々に近づくな!」
と、彼の立場や事情は一切されない正論を押し付けられ、糾弾され、人差し指を突きつけられてきました。
彼にとっては銃を突きつけられているのと同じような気持ちだったかもしれません。
ずっとそれに屈し、言われた通りにしてきたアーサーが、遂に反旗を翻して社会に銃を突きつける側に回ったのは無理のない事だったかもしれません。
物語はアーサーの妄想も交えて進行するので、何が本当で何が幻想なのか分からない、自分の価値観も揺らいでゆくような不思議な気分にもなります。
富める物と貧しい者の格差が大きくなり、不満が蓄積して凶暴化ゆく社会の中でみんなを笑わせて幸せにしたいと願っていた優しいアーサーが、様々な事で傷ついて遂には一線を越えてしまう姿には、犯罪や暴力は良くない事だと分かっていながら、ついつい共感して引き込まれてしまう、ダークな魅力を持った作品です。
こちらの作品とでは、まったく違うホアキン・フェニックスが見れます。