映画「陰日向に咲く」は、岡田准一主演、平川雄一朗監督の2008年の日本映画です。
この映画「陰日向に咲く」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
“どこか日の当たらない”人たちを、ユーモア溢れる優しい視点から綴った感動作「陰日向に咲く」をお楽しみください。
原作は劇団ひとりの小説です。
「陰日向に咲く」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: 平川雄一朗
製作: 島谷能成、小杉善信、見城徹、藤島ジュリーK.、西垣慎一郎、磯野久美子、古屋文明、安永義郎、樋口優香、川村元気、佐藤貴博
製作総指揮 : 市川南、奥田誠治、塚田泰浩
脚本: 金子ありさ
撮影: 中山光一
音楽: 澤野弘之■ 主要キャスト
シンヤ:岡田准一
鳴子・寿子(二役):宮崎あおい
雷太:伊藤淳史
ジュピター:緒川たまき
ゆうすけ:塚本高史(幼少:桑代貴明)
みゃーこ:平山あや(幼少:加藤美月)
劇場のオーナー:本田博太郎
シンヤの上司:北見敏之
プロ野球選手の父:山本龍二
アパートの大家:根岸季衣
シンヤの母:生田智子
ホームレス仲間:堀部圭亮
借金取り:池内万作
バスガイド・根室:平岩紙
プロ野球選手川島:浜田学
モーゼ:西田敏行
リョウタロウ:三浦友和
「陰日向に咲く」あらすじ
ギャンブル狂のシンヤ(岡田准一)、
家族を失って一人ホームレスに憧れるリュウタロウ(三浦友和)、
憧れの人を漕がれるあまり夢舞台から降りた雷太(伊藤淳史)など、
社会の日の当たらない場所を歩いているような9人が紡ぐ群像コメディ。
過去と現在を絡ませるようにして進む物語の中で、人は一人で生きてるわけじゃない―――
そんな大題目めいた言葉を実感できるつながりの映画です。
「陰日向に咲く」ネタバレ
ギャンブル狂のシンヤ(岡田准一)は、勤め先のバス会社で働く運転手。
パチンコで作ってしまった多額の借金を知った会社の上司からの働き掛けで、同僚たちからもお金を借りているシンヤ(岡田准一)は、彼らの期待に応えるよう数百円の出費もお小遣い帳に付け報告する生活を送っています。
そんなシンヤが偶然知り合ったのが寿子(宮崎あおい)。
彼女は、かつて浅草で芸人をしていたという亡くなった母の痕跡を捜し歩く弁護士です。
それを聞いて協力を申し出るシンヤ(岡田准一)。
彼女の母鳴子(宮崎あおい二役)は、社員旅行で出会ったプードル雷太(伊藤淳史)に惚れ込み上京したのでした。
全く笑えないギャグを連発するだけだった雷太(伊藤淳史)ですが彼女の押しに負け、鳴子・雷太というコンビを組んで漫才を始めます。
すると、たちまち人気者になる2人。
仕事場であるストリップ劇場でも、鳴子(宮崎あおい)たち目当てのお客が増え毎日大賑わいです。
このまま二人で一緒に居られることを願う鳴子(宮崎あおい)。
しかし雷太(伊藤淳史)には他に好きな人がいるのです。
それは同じ劇場で働くストリッパーのジュピター(緒川たまき)。
彼女に惚れ込んで、少しでも側に居たくて芸人になった彼にとって、鳴子・雷太としての成功はあまり重要なものではないのでした。
ある日、仕事を休んだジュピター(緒川たまき)を見舞った雷太(伊藤淳史)は、彼女を乱暴に扱う米兵に立ち向かいます。
しかし全く歯が立たず、捨て身のパンチが一発だけ入った雷太(伊藤淳史)を庇って、ジュピター(緒川たまき)が助けてくれる始末。
その後ジュピター(緒川たまき)は劇場を辞めてしまいます。
ジュピター(緒川たまき)が自分の前から姿を消してしまった事ですっかりやる気を無くしてしまった雷太(伊藤淳史)は漫才にも力が入らず、叱咤激励する鳴子(宮崎あおい)にコンビの解散を告げるのでした。
失恋と夢、両方を失ってしまった失意の鳴子(宮崎あおい)が故郷に帰り、そこで結婚し生まれたのが寿子(宮崎あおい)です。
彼女の職業については何も知らないまま、そんな思い出を知ったシンヤ(岡田准一)は、寿子(宮崎あおい)の役に立てるのが嬉しく、張り切っています。
しかしシンヤ(岡田准一)はやはりギャンブルから抜け切れないでいるのです。
同僚たちから借りたままになっている借金を、少しでもと返そうとしたところ『それは後で良いから消費者金融への返済に回しなさい』と言ってくれた上司の好意を無にするようにして、お金が浮いたとばかりにパチンコへ向かうシンヤ(岡田准一)。
当たるはずもなく、なけなしのお金をすってしまったシンヤ(岡田准一)が家に帰ると、待っていたのは取り立て屋。
そっと外窓から忍び込もうとするシンヤ(岡田准一)ですが、あっさり見つかると家の中に連れ込まれ、電気も止められた室内で懐中電灯片手に脅されます。
金が無いんなら作ってこい!そう言われた彼が手を出したのはオレオレ詐欺です。
人気のない場所に立つ公衆電話に飛び込み、適当に電話を掛けるも相手に怒鳴り散らされ一目散に退散!!必死に逃げたシンヤ(岡田准一)ですが、とあることが気になって再び公衆電話に戻ります。
警察に通報しないか確認の電話がしたかったのです。
リダイヤル機能でかけ直すも、当然ながら再び怒鳴られるシンヤ(岡田准一)。
また猛ダッシュで逃げ去るシンヤ(岡田准一)はその途中、一人の男性とぶつかります。
ごめんなさいごめんなさい、と叫びながら走り去ったシンヤ(岡田准一)ですが、根が小心者の彼は再び公衆電話に戻ってきました。
リダイヤル機能を使って再び同じ家に電話をしようとする彼は、小心者なのか図太いのか図りかねますね。
三度電話をかけた彼ですが、繋がった相手からは全く違う弱々しい声が聞こえてきます。
咄嗟の事に一瞬頭が付いて行かないシンヤ(岡田准一)ですが、相手の女性が息子の名を呼び彼に語りかけて来た事で奇妙な交流が生まれてしまいます。
孤独な暮らしをしている老婆の話に惹かれていくシンヤ(岡田准一)自身も、父と上手くいかなくて家を飛び出した身だったからです。
シンヤ(岡田准一)の父リュウタロウ(三浦友和)は、実直なエリートサラリーマンです。
そんな父にコンプレックスを抱くシンヤ(岡田准一)にとって、母は心の拠り所でもありました。
しかし病に倒れる母…。
入院してしまった母の最期を看取ったのはリュウタロウ(三浦友和)でした。
これが決定的な亀裂となり家を飛び出したシンヤ(岡田准一)。
リュウタロウ(三浦友和)はといえば、誰もいなくなった家に一人きり…。
会社と家を往復するだけの毎日だった彼は、ある日歩道橋で一人の男性と出会います。
人でごった返す階段を彼が降りようとしたとき、人々が二手に分かれたのです。
それは、あきらかにホームレス然とした男性を避けただけの仕草ではありましたが、それを下から仰ぎ見ていたリュウタロウ(三浦友和)にとっては彼が十戒のモーゼのごとく見えたのです。
彼に憧れたリュウタロウ(三浦友和)は会社に有給休暇申請を出し、期間限定のホームレス生活に身を置きます。
勝手に名づけたモーゼ(西田敏行)とも仲良くなり、ホームレス仲間に溶け込むリュウタロウ(三浦友和)。
リュウタロウ(三浦友和)にとってモーゼ(西田敏行)は自由の象徴のように感じられたのですが、彼は仲間内からホラ吹きとして認識されている様子…。
口癖のように語る武勇伝『米兵を殴った話』も皆は真剣に取り合わないのでした。
そんなある日、プロ野球のスーパースターが、幼いころ自分を捨てて出て行った父親を探している、と言う触れ込みで人探しが始まります。
思いもよらぬ玉の輿に浮き立つホームレスたちの中で、顔色をサッと変えたモーゼ(西田敏行)でしたが、人探し調査の結果彼こそが父親だと判明します。
多くのホームレス仲間に囲まれて、迎えに来た息子と共に去っていくモーゼ(西田敏行)。
去り際のモーゼ(西田敏行)から家を譲られたリュウタロウ(三浦友和)でしたが、突然入り込んできた男によって追い出されてしまいます。
『ここは俺の家だ』そう主張する男が大事そうに開けた缶の中には、あの野球選手の幼い頃の写真が…。
「陰日向に咲く」最後のラスト結末
その頃シンヤ(岡田准一)はというと、再びパチンコ通いしている事が職場にバレ、いよいよ借金で首が回らなくなっています。
にっちもさっちもいかなくなった彼が頼ったのは、無料で借金相談が出来る場所でした。
そこで出会ったのは寿子(宮崎あおい)。
彼女の職業を知らなかったシンヤ(岡田准一)はバツが悪くなり、半ギレ気味に会場を立ち去ります。
寿子(宮崎あおい)の必死の言葉にも耳を傾けないシンヤ(岡田准一)。
母親が亡くなったら普通それを機に辞めるだろ!!そう叫ぶシンヤ(岡田准一)にとって、唯一の癒しとも言えるのがあの老婆との電話でした。
しかし彼はついに、自分の事を息子だと思っている彼女にお金を要求するのです。
咳込む彼女を心配しながらも、借金に追い詰められているシンヤ(岡田准一)。
お金の受け取りに初めて老婆の家を訪ねたシンヤ(岡田准一)でしたが、しかしそこには寿子(宮崎あおい)の姿が…。
寿子(宮崎あおい)から、母の痕跡を追ううちに辿り着いてみたものの、部屋の持ち主である彼女は亡くなっていた、と聞かされた彼の前には老婆の亡骸が…。
戸惑うシンヤ(岡田准一)に寿子(宮崎あおい)は、机の上にある缶を指示します。
そこには大量の千円札と一通の手紙が。手紙には、貴方が息子でないのは分かっていたという事、でも貴方と話す事で幼いころ亡くした息子が生きているように思えて嬉しかった、などの彼女の胸の内が書かれていました。
たまらなくなるシンヤ(岡田准一)。
身寄りのない彼女に死なれて迷惑をこうむっていると言わんばかりの大家の態度に泣きながら抗議し、遂には『俺の母さんだ!』と叫ぶのです。
そこへ一人の男性が…。
きちんと喪服を着こんだ彼はあのモーゼ(西田敏行)でした。
亡くなっていた老婆は、彼にとっての永遠の憧れジュピター(緒川たまき)だったのです。
台風による大荒れの中、たまたま集まった4人。
その事に人の縁の深さを知ったシンヤ(岡田准一)は家に帰る事にしました。
実家を仰ぎ見る坂の途中から、リュウタロウ(三浦友和)に電話を掛けるシンヤ(岡田准一)は溢れ出る感情を抑えきれず涙が止まりません。
そんな息子を何も言わず迎え入れたリュウタロウ(三浦友和)。
2人は、台風一過、晴れ渡る空の下で、母との、妻との思い出の庭の木の下で写真を撮るのでした。
完。
「陰日向に咲く」見所ポイント!
短編小説のようにして絡み合う原作を、上手く取り入れた作品だなと思います。
若手からベテランまで豪華キャストが揃った今作ですが、様々な人生を折り重ねるようにして紡ぐ話である為、キャスト全員で集まって撮影をする、と言うようなシーンはなかったんだそうです。
結構孤独でした…と感想を漏らされる役者さんが少なくなかったのが珍しくて、そういった撮影の裏話も面白かったですね。
またキャスト陣も、陽の人間だと自覚しているのは塚本さんと西田さんのみで、あとの方はわりと陰のタイプだとおっしゃっていたり。
和気藹々というより穏やかな撮影現場だったのかな?なんて想像も膨らみます。
物語は崖っぷちだったり孤独だったりと言う、人が抱えがちな陰の部分を人とのつながりによって癒そうとしてくれているような作品で、涙する場面も多いですがそれだけではなく笑える部分があるからこそ重たくならずライトに見られるのではないかな、と思います。
ただ、西田さんと三浦さんが若者にからかわれるシーンや、岡田さんの公衆電話のシーンなど面白い場面が多かったんですが、ただ、鳴子と雷太の漫才シーンはそんなに面白くなかったような…
宮崎さんはものすっごく可愛かったですけど、でも何故あんなにお客さんが笑っていたのか?
時代の違いかな?と少し謎なシーンでもありました。
今となってはもう共演は望めないんだろうな…と残念に思う岡田さんと宮崎さんの初共演作。
『共演する前に、何となく岡田くんと言う役者さんが気になっていました』と当時のプロモーションでおっしゃっていた宮崎さんですが、これからの日本映画界になくてはならない存在にまで成長されたお二人ですから、願わくばまた、同じスクリーンに映るお二人が観たいものですね。
同じ劇団ひとりの原作、監督の「青天の霹靂」の記事もあります。
みんなの感想