映画「今そこにある危機」はハリソン・フォード主演、フィリップ・ノイス監督の1994年の映画です。
この映画「今そこにある危機」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
CIA情報担当官ジャック・ライアンシリーズ第3弾「今そこにある危機」をご堪能ください。
「今そこにある危機」あらすじ
バージニア州ラングレー CIA本部
グリーア提督(ジェームズ・アール・ジョーンズ)は、信頼する部下に任務を与えます。
「大至急、カリブ海で捕まった船を調査してくれ…慎重にな」
その言葉におどけて見せる、温厚で真っ直ぐなCIA分析官のジャック・ライアン(ハリソン・フォード)。
二人はホワイトハウスを訪れ、米国沿岸警備隊が撮影した船内の様子、事件の概要をベネット大統領(ドナルド・モファット)に報告。
船の持ち主は実業家・ハーディン、乗船していた彼ら家族四人は射殺され海に投棄。
逮捕された男二人は、コロンビアで勢力を持つ、麻薬組織カリ・カルテルに属していると判明します。
この事件に、腹を立てるベネット大統領。
それは、殺害されたハーディンが友人だから、そして“麻薬撲滅”を公約していたから。
コロンビア政府に働きかけ資金を援助、しかし成果は未だにゼロでした。
再選をかけた選挙も目前、我慢ならない大統領は、公には言えない“措置”を執るよう睨みつけます。
「…麻薬カルテルは、我が国の安全を脅かす“今そこにある危機”だよ」
(麻薬カルテル=いわゆる反社会的集団、麻薬密売の犯罪組織)
二人きりの部屋で気後れするカッター大統領補佐官(ハリス・ユーリン)ですが、その言葉に潜む意図を理解し静かに頷きます。
コロンビアに、コルテズ(ジョアキム・デ・アルメイダ)という男が降り立ちます。
向かったのは、麻薬組織カリ・カルテルのボス・エスコベド(ミゲル・サンドバル)邸。
“ハーディン事件”の首謀者である彼に「ハーディンは大統領と親しかった…何てことしたんです!」と、苦言を呈する参謀役のコルテズ。
後先考えずやりたい放題の麻薬王・エスコベドに、頭が切れるコルテズはウンザリします。
咳き込むグリーア提督は、病魔に侵されていました。
後日「…誰にも気を許すな」そう彼に助言され、代行を命じられるジャック。
情報担当副長官となって、FBIの友人・ダンらとハーディン事件を捜査します。
その一方で、諮問委員会にも参加して、麻薬撲滅のため資金援助を働きかける事に。
もちろん、麻薬カルテルを狙った軍事行動は無いと信じるジャックは、上院議員の前で「兵士の派遣はありません」と、誓います。
そんな清廉過ぎるジャックに、虫唾が走る者がいました。
CIA作戦担当副長官・リター(ヘンリー・ツェニー)は、ジャックとは正反対の計算高い男。
受動的なカッター大統領補佐官を言いくるめ、措置=“麻薬カルテル撲滅 準軍事作戦”の実権を握ります。
保身を図るリターは、作戦の権限を付与したと大統領が署名した免罪符を手に、CIA工作員・クラーク(ウィレム・デフォー)に接触。
“相互利益作戦”を装い議会をも欺いた真の目的、麻薬カルテルへの攻撃がジャックの知らない所で、秘密裏に動き出そうとしています。
「今そこにある危機」ネタバレ
ハーディン事件の捜査を進めるジャックは、ハーディンと麻薬カルテルの接点を見つけました。
立派な実業家だと思われたハーディン、その裏の顔は(違法行為で得た金を“綺麗にして”正当に見せる)資金洗浄係と知り大統領は驚愕します。
しかし、大統領の心配事は、ハーディンとの黒い関係を疑われはしないか。
そして、彼の複数の口座に残る、6億5000万ドルの行方でした。
CIA工作員・クラークが厳選した、優秀な兵士12名で構成された特殊部隊。
若手ながら、狙撃手として確かな腕を持つ・シャベス(レイモンド・クルス)も、国のため身を捧げます。
薄暗いコロンビア上空を飛ぶ、米国軍用ヘリ。
草が生い茂る降下地点に、特殊部隊の兵士たちを降ろし健闘を祈るクラーク。
敵陣への潜入そして戦争が始まる事は、受動的なカッター大統領補佐官にも知らされます。
ハーディン事件で、スキャンダルを恐れたベネット大統領ですが、ジャックの助言で安泰となり上機嫌。
すると「6億5000万ドルを、政治資金に運用する…」と、速やかに押収するようジャックに命じます。
まだ不明だった金の出どころを明らかにする為、ジャックはコロンビアに行く羽目に。
それを入院中のグリーア提督に報告すると、笑われるジャック。
困り果てる彼に、提督は“頼りになる男”だとCIA工作員・クラークの名を告げます。
更に「…リターには気をつけろ」と、付け加えますが、ジャックにはその意味がまだ分かりませんでした。
コロンビア 麻薬製造工場を囲む米国の特殊部隊は、CIA工作員・クラークの期待通り任務遂行。
爆破された工場は、一帯が火の海になります。
そんな事が起きているとは知らず、コロンビアに到着したジャック(ハリソン・フォード)。
厳重な警備体制、そして麻薬取締局のファウラー捜査官の出迎えの言葉は「…狙撃されます!」
まったく気が抜けない場所へやって来たジャックに、彼女は麻薬王・エスコベド(ミゲル・サンドバル)の諜報員で正体不明の人物がいると教えます。
それこそが、参謀役のコルテズ(ジョアキム・デ・アルメイダ)でした。
麻薬製造工場を爆破され苛立つエスコベドですが、何者の攻撃かは分かっていません。
そんな彼に見切りを付ける“裏切り者のコルテズ”は、米国FBI長官の女性秘書・モイラを手玉に取る男。
裏社会の人間である事を隠し情報を集め、麻薬王そして米国にも怯まず野望の為に暗躍します。
麻薬王・エスコベドが営む、コーヒー工場の情報を手に入れたジャック。
殺害されたハーディンとも違法取引で繋がっていたと、ベネット大統領(ドナルド・モファット)に報告します。
ジャックにその情報を流したのは、CIA工作員・クラーク(ウィレム・デフォー)。
彼もまたジャック同様、グリーア提督(ジェームズ・アール・ジョーンズ)を敬愛し、祖国の為に戦う男です。
ハーディンが残した6億5000万ドルの大金を、1円たりともコロンビア政府に渡す気のないベネット大統領。
ジェイコブズFBI長官をコロンビアへ向かわせる中、現地では二度目の麻薬製造工場爆破が遂行されます。
米国が起こす一連の出来事は、裏切り者のコルテズにとって麻薬王・エスコベドを潰す好機になりました。
標的になっているとも知らず、反エスコベドが一帯を包囲する路地へ誘導されたジャックとFBIの友人・ダン、そしてFBI長官。
コルテズの仕掛けた罠に掛かかり、FBI長官と友人のダンが亡くなりました。
襲撃の首謀者は麻薬王・エスコベド、そう仕立て上げるコルテズがほくそ笑みます。
「…合衆国の主権に対する挑戦だ!」
明言を避けるも、コロンビア麻薬カルテルに怒りをあらわにするベネット大統領。
ここから先は“実力行使”だと捉えた、カッター大統領補佐官(ハリス・ユーリン)。
リター(ヘンリー・ツェニー)にもその旨を伝えると、想定を超えた作戦が実行されます。
広大な敷地にある屋敷に続々と集まる麻薬カルテルのボスや、その家族を偵察する若き狙撃手・シャベス(レイモンド・クルス)。
そして、工作員・クラークの声で上空からミサイル投下。
麻薬カルテル撲滅作戦の実権を握るリターが、奴らを一掃する最大の報復を命令したのです。
現場検証が行われると、麻薬カルテルの内部抗争と判断された爆破事件。
死者には子供も含まれ、やり切れないジャックは麻薬王・エスコベドが雇う諜報員がコルテズだと辿り着きますが、二人の名前は犠牲者リストにはありません。
事の大きさに、青ざめるカッター大統領補佐官。
爆破を指示したリターは「実力を見せてやれと言ったのは、あなただ!」と、強く出ます。
そんなリターも知らない所で、実はコルテズと繋がりがあったカッター大統領補佐官は、これからの事を懸念していました。
麻薬カルテルを狙った爆破事件が、内部抗争とは思えなかったジャック。
更に、グリーア提督が忠告した、計算高い男・リターが気掛かりでした。
一方、報復を免れた悪運の強いコルテズも、今回の爆破事件が内部抗争では無いと睨みます。
そして、ジャックとコルテズが辿り着いたのは、米軍の攻撃──。
カッター大統領補佐官を脅すネタを、突き付けるコルテズ。
“……米軍が不法な軍事行動を、コロンビアで行っている事を知っている……”
出した提案は、麻薬密輸の統制をコルテズが取る、その見返りは米国への麻薬出荷量はこれまでの半分。
その上、米国警察が摘発できる態勢を整えるといったものでした。
現政権を守る悪くない申し出に、カッター大統領補佐官は問います「君の要求は何だ?」
「…山に居る兵士が邪魔です…現在地を教え通信も断ってもらおう」
国益を優先したカッター大統領補佐官は、コルテズと秘密裏に交わした条件は明かす事無く、爆破事件が逆風となると深刻に報告。
すると、不法な軍事行動がバレるのを恐れたベネット大統領は「…すべて葬り去れ、証拠は残すな」と、迷わず命令します。
切り捨てられるのは、祖国の為に命を懸けるCIA工作員・クラーク(ウィレム・デフォー)と特殊部隊。
麻薬カルテル撲滅作戦の実権を握るリターにも、それは伝えられました。
同じ頃、カッター大統領補佐官とコルテズの密会があったと知ったジャックは、グリーア提督の病室を訪れます。
「…掘れば掘るほど、嫌になります」と、大統領たちに募る不信感。
すると、グリーア提督は、ジャックに信念を貫くよう言葉を掛けます。
「…君は、国家の為に力を尽くして働くと、国民に誓ったはずだ……全うしろ」
ジャックは、動きが読めない気になる男・リターのパソコンを仲間とともにハッキング。
同時刻、今回の麻薬カルテル撲滅作戦データの全消去を開始するリター。
しかし、ジャックにハッキングされていると気づき、二人は衝突します。
「…何でも白黒つけたがる!お前は議会で“兵士は派遣しない”と嘘を吐いて資金を得た!しっかりと泥沼に浸かっているよ」
更には、常套句の「記憶にございません…」
そうシラを切れば良いと言って、折れないリターは署名入りの免罪符を読み上げ、大統領に承認された作戦だった事を立証。
たった一枚の紙きれでも、そこに強大な力がある事を分かっているジャックに、追い打ちを掛ける訃報が届きます。
敬愛する、グリーア提督が亡くなりました。
提督の葬儀と同じ日、コロンビアでは見捨てられたとは知らない米国特殊部隊が、次の攻撃準備に入ります。
しかし、部隊を率いるラミレス大尉(ベンジャミン・ブラット)は、通信回線を切られ上官・クラーク(ウィレム・デフォー)と連絡が取れません。
緊急事態に為す術が無い彼らを嘲笑うのは、作戦を把握したコルテズ(ジョアキム・デ・アルメイダ)。
とにかく前へ進む兵士たちは、コルテズの策略にハマり次々と無惨な死を遂げます。
若き狙撃手・シャベス(レイモンド・クルス)は、岩陰から捕虜になったラミレス大尉を見ている事しか出来ませんでした。
一方、葬儀を終えたジャック(ハリソン・フォード)は、コロンビア麻薬取締局のファウラー捜査官から、通信傍受したとんでもない音声を聞かされます。
「…敵の一斉射撃を浴びている…クラークどこに居るんだ!」
特殊部隊の叫び声と鳴り止まない銃声に、ジャックは彼らが大統領に見捨てられたと知り、兵士を救出するため一人でコロンビアへ向かいます。
敵対するリター(ヘンリー・ツェニー)は、そんなジャックを陥れようとしていました。
「ジャックが承認されていない軍事行動を、議会にバラすと脅して来た…この件は完全に手を引いたんだ」
“祖国に見捨てられた”とは思ってもいないクラークに、リターは電話越しに嘘を吐きました。
「ジャック・ライアンさえ消えれば作戦は再開する…意味は分かるな」と、仕向けるカッター大統領補佐官(ハリス・ユーリン)。
クラークの怒りは、ジャックに向けられました。
コロンビアに着くと、ジャックはクラークに銃を突き付けられます。
しかし、嘘のないジャックの言葉、更に兵士の救出の為に要望通りヘリを調達した彼を信頼し始めるクラーク。
二人は、酒に酔い潰れても操縦士として頼れる男とともに、山間に取り残された兵士を捜します。
兵士の死体を見つけ、怒りと悲しみに襲われるクラーク。
そこに、生き残った若き狙撃手・シャベスが姿を現し「チクショー、見捨てやがって!」と、クラークに掴み掛かります。
止めに入るジャックは、何も出来ずリターたちの思惑通りになった事を悔いるのでした。
「今そこにある危機」最後ラストの結末は?
捕虜にされたラミレス大尉たちの救出の為に、麻薬王・エスコベド(ミゲル・サンドバル)に接触を図るジャック。
参謀役だったコルテズ(ジョアキム・デ・アルメイダ)は、裏切り者だと伝えます。
「…麻薬カルテルを乗っ取るのが、コルテズの狙いだ!」
証拠を見せられ、ジャックの言葉を信じたエスコベドは、コーヒー工場へ向かいました。
「…仲間(ラミレス大尉たち)を返して欲しいそうだ」と、エスコベドに言われ、すべてを察知したコルテズ。
彼を援護する部下がエスコベドを射殺、ジャックにも危機が迫りますが、狙撃手・シャベスに救われます。
捕らわれたラミレス大尉は「家へ帰るぞ!」と、救出に来た上官・クラークの顔を見て気力を取り戻しました。
銃撃戦が繰り広げられる中、ジャックたちを乗せる為にヘリがやって来ます。
負傷したラミレス大尉やクラークを先に行かせたジャックは、コルテズを殴り倒し屋根の上へ。
離陸するヘリに飛び掛かるジャックをクラークが引き上げ、しぶといコルテズをシャベスが仕留めます。
信念を持って戦い抜いた男たちは、固い握手を交わしました。
ホワイトハウスでは、生還したジャックにカッター大統領補佐官とリターの顔が歪みます。
この一連の出来事を「知らなかった」と、言うベネット大統領に怒りが爆発するジャック。
「…私には通用しません!知らん顔で死んだ者を汚すな!」と、断固たる決意を持って大統領と対峙するジャックに、失望する言葉が浴びせられます。
国益の為には大統領では無く、下の者が責任を取るのが当然「…私はアメリカ合衆国大統領だぞ!」
更に、ジャックが敬愛する亡くなったグリーア提督に、責任を被せればいいとまで言い出す大統領。
深い悲しみと憤りを感じるジャックは、抑え込もうとする者たちに背を向けました。
そして、多くの人が見守る中、今回の軍事行動の真実が明かされる上院監視委員会が始まります。
「…ジャック・ライアン、あなたは真実のみを発言する事を誓いますか?」
仲間たちを想うジャックは、右手を上げ「はい、誓います」と宣誓しました。
THE END
「今そこにある危機」見どころ
『レッド・オクトーバーを追え!』(1990年) 『パトリオット・ゲーム』(1992年)に続く、第3弾にあたる今作。
原作小説はもちろん、映画化も人気の『ジャック・ライアン』シリーズです。
劇場公開された1994年は数々の名作が誕生した年ですが、今作『今そこにある危機』も興行的には頑張りました!
「…今そこにある危機だよ!」と、ベネット大統領は麻薬組織を指しています。
でも、麻薬王・エスコベドは存在感が薄く、家族には優しい短気なパパってだけで、まったく脅威では無かったのが残念。
麻薬組織の乗っ取りを企むコルテズも、ジャックと銃撃戦で後半を盛り上げますがそこまで。(まあ、敵は身内の中に…だから、しょうがないけど)
141分とチョット上映時間が長いので、正直…前半は眠い……と感じる事も無きにしも非ず。
とにかく、いろんな所で思惑が渦巻くので「お初にお目に掛かります!」という俳優が居る方には、何とか食らい付いて欲しいです。
そして、本当の“危機”、腐敗した米国トップの動向を注視して、寝ないで下さい!
大統領をはじめ、胸くそ悪い奴らの集まりは、何度見ても「クソがー!」と思いますが、誠実なジャックやグリーア提督が洗い流してくれます。
真面目なおじさんのジャック・ライアンが、嫌々ながら首を突っ込むとまさか命の危機!
FBI長官を襲撃したあたりから目が覚めるので、後は人情味あるジャックおじさんの活躍が楽しめますよ。(今作のファンの方々、すみません!)
コロンビアで奮闘する特殊部隊を、無かった事にしてデータを消去。
自分の立場を守る免罪符を手に、ジャックに「記憶にございません」攻撃をするリター。
「灰色だよ、この世は灰色なんだよ!」と言い放ったリターの顔は、なんだか悔しさも感じ取れます。
CIAで働き出した頃のリターは、実はジャックのように“国民の為に!”と志があったのかもしれません。
でも、自己保身ばかりの連中に、白黒や善悪で考えるより灰色で立ち回る方が、ここで生き抜くのに賢明なのだと感化されてしまったようにも見えます。
ジャックを演じたハリソン・フォードも良いのですが、今作で光るのは男気溢れるCIA工作員を演じたウィレム・デフォー!
大事な部下たちを守れなかった悔しさが「誰も死なせない!」と、ジャックをヘリに引き上げるパワーを与えたのか!?
今作のウィレム・デフォーは、曲者じゃなく純粋なワイルドイケメンで最高に魅力的です。
高額なヘリを買ったジャックに、驚くクラークの顔もお見逃しなく!
やたらとジャックの顔芸(真顔)も盛り込まれていて、去り際に残す表情はクスっと笑えますよ。
眠くなるなんて言いましたが…(笑)
結局、最後はジャック・ライアンの揺るがない信念と実直な姿に、胸アツになる名作をどうぞご堪能下さい!
こちらのハリソン・フォード主演作品もおすすめです。
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