映画「ハート・オブ・ウーマン」は、メル・ギブソン主演、ナンシー・マイヤーズ監督の2000年の映画です。
そんな、映画「ハート・オブ・ウーマン」のネタバレ、あらすじや最後ラスト、結末、見所について紹介します。
この「ハート・オブ・ウーマン」のコメディタッチのラブストーリーをご堪能ください。
「ハート・オブ・ウーマン」あらすじ
ニック(メル・ギブソン)は広告代理店の敏腕クリエイティブディレクターで、色恋も自信満々のバツイチ男。
ある日、ライバル社から引き抜かれたキャリアウーマンのダーシー(ヘレン・ハント)が上司となり、ショックを受けた彼に思わぬアクシデントが・・・
女性たちの心の声が聞こえるようになってしまったのです。
女性達の本心を知ることで、少しづつ変わっていくニック。
大人のラブストーリーです。
「ハート・オブ・ウーマン」ネタバレ
アメリカ・シカゴの大手広告会社 スローン・カーティン社に務めるニック・マーシャル(メル・ギブソン)は、仕事もやり手で、女性にももてる「男の中の男」でした。
男性は皆、彼に憧れますが、実は女の理解度はゼロ、女性への敬意など持ち合わせていませんでした。
彼がそんな人間になった原因は、母親と育った環境でした。
彼が生まれ育ったのはギャンブルとショーの街・ラスベガス。
母親は生粋のショーガールで、一人で彼を育てたのです。
ニックに父親はいませんでしたが、母親は強く豪快な男を選んでニックと一緒に過ごさせました。
母親の仕事仲間の華やかなショーガールと、ギャンブルの街で生き抜いてきたゴツい男に囲まれて、ニックは男気たっぷり、でも女性の気持ちには目もくれない鼻持ちならない男に育ちました。
チャンスさえあれば女性を口説いてベッドインし、お手伝いの女性・ディナを「ベイブ(子豚)」呼ばわりした上に「サンドイッチを作ってくれないか。トマトとクリームチーズの簡単なやつでいいから」と朝食の要求を当然のようにしました。
職場でもグラマーな女性にはわざとぶつかって飲み物をこぼし、ハンカチで拭う振りをしてさりげなくボディタッチをする。
カフェに勤める女優志望の女性・ローラ(マリッサ・トメイ)に何度振られてもアタックし続ける…頭の中は女性への欲望で一杯の日々を送っていました。
そんな彼は、一見もてるようで実は女性から軽蔑されている事に気付いていませんでした。
目下の気がかりは元妻のジジ(ローレン・ホリー)が再婚し、2週間の新婚旅行に出かける事でした。
再婚自体は「これで慰謝料から解放される」と喜んでいましたが、15歳になるニックとジジの娘・アレックス(アシュレー・ジョンソン)は、ニックが預かることになっており、アレックスはニックを「今まで父親らしいことをしてきていない」と嫌っているのです。
そんなある日、ニックは社長に呼ばれます。
「これで、ついに念願のクリエイティブ・ディレクターに昇進だ!」と喜んでいました。
しかし、社長は先日ニックが手がけたジョニー・ウォーカーの仕事を褒めたものの、これから主力となる購買層は16~24歳の若い女性で、ニックが得意とする「ビキニの女性の生ビールCM」は時代遅れで受けない、だからライバルの広告会社BBD&Oのやり手女性・ダーシー・マクガイア(ヘレン・ハント)を、ヘッドハンティングしてクリエイティブ・ディレクターとして雇ったと告げたのです。
ダーシーは「女性の視点」を武器に広告業界のトップを走り続けてきたやり手のディレクターで、ニックも彼女のおかげで賞獲得がふいになった事もありました。
社長からは「快く迎えるように」と言われますが、内心は悔しさでいっぱいでした。
その日の昼、ショックを抱えたままのニックは元妻・ジジの披露宴に参加して、離れ離れに暮らしていたアレックスと久しぶりに会います。
しかし、ニックはアレックスの年齢も正確には覚えておらずに機嫌を損ねてしまい、そのせいかアレックスはニックをパパとは呼んでくれませんでした。
会社に戻ったニックは、ダーシーが紹介されるミーティングに参加します。
皆の前に立ったダーシーは、カーティン社がこれまで400億ドルもの広告費が動く女性向け商品を全く手掛けていないことを指摘します。
そして、これから広告を手掛けたいと思っている女性向け商品を社員全員に配り、明朝のミーティングまでに販売戦略を考えてくるように言い渡しました。
そっち方面の仕事を全くやってこなかったニックは「悪夢だ・・・」と声を出さずに呟くばかりでした。
夜、スポーツ観戦とワインで寛ごうとしていたニックでしたが、ミーティングの事が頭から離れず、意を決して渡された商品を試してみる事にします。
髪にボリュームを出すムースを頭に塗り、マニキュアとペディキュアをしたニックは、鼻パックをした状態でマスカラを塗り、誤って目に入って悶絶します。
更には足のムダ毛処理ワックスを思いきりはがし、余りの痛さに飛び上がります。
次に下半身を絞るパンストを履き、次はいよいよブラジャーという段になって、アレックスが彼氏・キャメロンを連れて帰宅しました。
アレックスも彼氏・キャメロンもニックの姿に唖然とします。
「これは新商品の使い心地を試していたんだ」
と必死に弁明しますが、女性の気持ちに入り込みやすいようにアレックスの荷物を勝手に開けてCDを拝借した事がばれてしまい、アレックスは機嫌を損ねて部屋に閉じこもってしまいます。
慌てたニックはビーズタイプのコスメを床に撒き散らして転倒してしまいます。
間の悪い事にちょうど脇にあった浴槽にハマってしまったうえ、倒れるときに放り投げてしまったドライヤーが落ちてきたのです。
急いで脱出しますが、右足を突っ込んだ状態で感電して気絶します。
…気絶から覚めると翌朝になっていました。
お手伝いの女性・ディナが出勤して部屋の片づけをしますが、ニックはその時変なことに気づきます。
「こんな遅くまで寝ていられるなんて、いい御身分ね」
「妊娠検査薬に、口紅に破れたストッキング?!自分で使ったの?」
「また朝食を作れって言いだすのかしら」
今日は独り言が多いと思って返事をしても、ディナは「何を言っているの?」とポカンとするだけでした。
“これは、ディナの心の声が聞こえているのか?”
半信半疑のままでマンションの外に出てみると、ドアウーマンのフローがいつも通りタクシーを止めてくれようとします。
しかし、またもや心の声が聞こえてきて、フローがニックの尻を見て「超キュート」と考えていると知ってしまいます。
タクシーを待たずに公園を突っ切って会社に行こうとしますが、途中ですれ違う女性全ての考えが頭の中で響きわたり、雌犬の心の声まで聞こえてしまいます。
さらにジョギングする女性集団に囲まれたニックは発狂しそうになります。
出勤したニックは女性秘書・スーに頭痛薬を頼みますが、スーは内心「一流大学出たのにこんな雑用ばかり。メリットはイスラエルの恋人と国際電話できることくらい」と考えていました。
ほかの女性も同様で、ニックは今まで職場の女性に嫌われていたことを知ります。
同僚のモーガン(マーク・フュアースタイン)に「女性の心の声が聞こえる」と話しても信じてもらえません。
疲れ果てて帰宅したニックでしたが、アレックスがキャメロンとソファの上で抱き合っているところに鉢合わせしてしまい、頭を抱えてしまいます。
その夜、ニックは同じ状況を作って前夜の再現を図って治そうとします。
同じように鼻パックをし、マスカラを付け、脛の毛抜きパックを行った後に、曇り空にドライヤーを持った手を突き上げて雷を呼び寄せようとします。
思惑どおり雷に打たれて気絶しますが、街中に出てゆくとやはり女性の声が頭になだれ込んできて無理だったとガッカリします。
困り果てたニックは結婚カウンセラーの女医パーキンス先生(ベット・ミドラー)に相談します。
信じられないかもしれませんがと前置きして「女の考えが聞こえるんです」と言うと、やっぱりパーキンス先生は信じず「あなたのような妄想を抱く人を見てくれる先生を消化しますから」と言われてしまいます。
何とか信じてもらおうとしたニックは「ネットで買おうとしていた電気スタンド、幾らですか?」と心を読んで質問し、パーキンス先生は激しく動揺しながらも信じてくれました。
そして、煙草を一服して気を取り直した先生は「明るい見方をしましょう。フロイトは83歳で死ぬまで女とは何か考え続けたくらい、男にとって女は理解できないものよ。あなたは男と女の懸け橋となれるかもしれない。もしかしたら世界を支配できるかも」とアドバイスしてくれました。
その言葉に心動かされ、能力を利用すればいいのだと気付いたニックは、積極的に女性の心の声に耳をすませ始めました。
いつも強引な態度でアタックしていたカフェの店員・ローラの心を読んでみると、彼女もニックの事は気になっていたのですが、手痛い失恋を繰り返したくないと臆病になっていると知ります。
作戦を変えて優しく接したニックはローラとのデートに成功します。
デート中もローラの心を読んですっかり夢中にさせ、ベッドインに成功しますが、ローラの頭の中が聞こえて集中できません。
それでもローラのして欲しい事を読み取って最後には「あなたはSEXの神よ!」と言わせる程に満足させる事が出来ました。
色々な女性たちの心を読んでゆく内、ニックは今まで見下していた女性が、実は胸中ではいろんなことを悩み、考えているのだと知ります。
また、男と違って心の中で考えていることと、態度がまるで違うことにも気づき、女性への見方が段々と変化してゆきました。
ニックの周りの女性達もニックの変化に気付き、尊敬して心を開いてくれるようになってゆきます。
そんな中、ダーシーの心を読んだニックは、ナイキの女性部門が近々広告代理店を変えるという情報を得ます。
ダーシーはこのチャンスを是非ものにしたいと考えていました。
何とかダーシーを締め出したいと考えたニックは、心を読んでダーシーのアイデアを盗み、先にデザインを出します。
ダーシーはいぶかしく思いますが、ニックは社長の信頼を取り戻してゆきました。
そんなある日、ニックはアレックスが彼氏のキャメロンのパートナーとして参加するプロム(高校最後のダンスパーティー)のドレス選びに付き合います。
アレックスの心を先読みし、値段は気にしないで欲しいドレスを選んでいいと太っ腹な所を見せますが「これがバージン最後の夜に着るドレスなのね」というアレックスの心の声を聞いてショックを隠し切れません。
買い物を終えて、食事をしながら、やんわりと「男は女の子の気持ちなんて考えていない。ただSEXへの興味で頭がいっぱいになっているだけだ」と説得したニックですが、アレックスに「今頃になって父親面しないで」と聞き入れてもらえませんでした。
アレックスに話を聞いてもらえずガックリするニックでしたが、女性の悩み相談のテレビを見て泣きそうになるくらい、女性に共感できるようになっていました。
数日が経ち、ダーシーから電話をもらって飲みに行ったニックは、ダーシーがかつて同じ職場だった夫との結婚生活が1年前に破綻し、それが原因で転職したと知ります。
元夫を蹴落とすほどの優秀さがアダになって結婚に失敗したダーシーは、仕事に打ち込んで寂しさを忘れようとしているのでした。
話をするうちダーシーとニックはいいムードになりますが、ダーシーは「仕事に恋愛を持ちこんじゃ駄目、持ち込んじゃ駄目・・・」と必死で抑制します。
そんなダーシーにニックは惹かれ始めていましたが、彼女の気持ちを尊重して、何事もなくその日は分かれました。
家に帰ろうとしたニックの前に、思いつめた様子のローラがあらわれました。
「傷つけないって言ったのに。あれから一度も連絡をくれないなんてひどい」と責めたててきます。
心の声は「ゲイなのだと言って」と繰り返していました。
ニックが女心を理解できるのはゲイだからだ…そうローラは勘違いしていました。
彼女が傷つかないように、ニックは自分がゲイだと嘘をつき「好みが変わったら連絡する」と言って、名残惜しそうなローラと別れました。
やがて、ナイキの担当者とのプレゼンの日が近づいてきました。
ニックはダーシーの頭の中を読み、先に口に出して自分のアイデアのようにして提案していました。
そしてナイキのコンセプトである「強い女性」像に、色々な女性の頭の中を読み取って得られた「どんな人生を送りたいか」と自問する姿をダーシーの思い描くイメージを絡め、女性が一人でジョギングをするCMを作り上げたのです。
ナイキの反応は上々でしたが、ニックはダーシーを騙して手柄を横取りしてきたことに罪悪感を抱き始めていました。
そして、ニックにはもう一つ気になっている事がありました。
社内でファイルを配っている女性・エリン(ジュディ・グリア)の頭の中が「自殺したい」「ファイルが溜まって、私がいない事に気付くかしら…」と悲観的な言葉で満たされている事です。
それとなく彼女の経歴を調べてみると、以前はコピーライター志望でしたが、起用されず、それ以降は雑用しかしていない事が分かります。
そして、面接もしないで「女なんか役に立つ訳がない」と担当を外したが他ならぬニック自身だったと知ってショックを受けます。
そんな中、社長からナイキとの契約が決まったと告げられます。
「今回の事で君の事を見直した。それに引き換え、ダーシーは期待外れだったからクビにした。今後は君がプロジェクトを引っ張っていってほしい」
その言葉を聞いてニックは大慌て。
あのCMはダーシーのアイデアだった。
彼女を引き留めないと、いずれ社長がクビを切られる事になると説得し、ダーシーの解雇を撤回させます。
ニックからもダーシーに連絡を入れますが、電話に出てくれません。
その時、エリンが出社してないことに気づいたニックは、自宅を訪問します。
チャイナタウンのエリンの家に行く途中で落雷に遭いますが、何とか辿り着きました。
エリン宅のドアが開いていたので入り込んだニックは、強盗と勘違いして殴りかかろうとしたエリンに「バカなことをするのじゃないかと心配していた」と告げ「ナイキの契約が決まったのでコピーライターが欲しい。スタッフになってくれないか?」と声をかけます。
エリンは喜びますが、ニックは女性の心の声が聞こえないことに気づきます。
来る途中の落雷で、能力を失っていたのです。
「ハート・オブ・ウーマン」最後ラストの結末
その時、元妻のジジからニックに電話が掛かってきます。
プロムへ行っているはずのアレックスが泣きながら電話をしてきたと言われ、ニックはプロムの会場へ向かいました。
会場に着くと、アレックスは1時間もトイレに立て籠もって泣いていました。
何とか宥めて聞いてみると、プロムのダンス中にアレックスは気が変わり「今夜、バージンを捨てる約束は無しにしてくれない」とキャメロンに告げたそうです。
すると、キャメロンは「スイートルームの料金が無駄になった」と怒り出し、アレックスの事を放り出して元の彼女を口説きだした、とショックで泣き続けていたのです。
ニックはアレックスを「お前は賢い判断をした」と褒め、家に連れて帰りました。
アレックスも、辛い時に寄り添ってくれたニックの事を見直し、いつしか「パパ」と呼んでくれるようになっていました。
アレックスを寝かせた後、意を決してニックはダーシー宅に向かいました。
ダーシーは「今、夜中の1時よ。こんな時刻に何の用?」と怒りながらも出てきてくれました。
ニックはダーシーの解雇が撤回されたと告げ、そして彼女のアイデアを盗んで、自分の物のように提案してきた事を告白しました。
「僕には君は必要だ。お願いだ、そばにいて助けて欲しい。君は僕のヒーローだ」
その話を聞いたダーシーは「もし私が元の地位に戻ったら、貴方はクビよ」と告げます。
ニックは最初こそ驚きましたが、「当然だ」と言ってその場を去ろうとしました。
するとダーシーはニックを引き留め
「私がヒーローなら、困っている貴方を放っておけるわけないわ。ずっと側にいてあげる」とキスしたのでした。
THE END
「ハート・オブ・ウーマン」見どころ
豪快で、女好きで、「男の中の男」と男からは尊敬されるものの、実は女性の事を見下してきたニックが、女性の心の内を知って態度を改め、女性への敬意を身に着けてゆくコメデイです。
「マッドマックス」「リーサルウェポン」で強い男を演じてきたメル・ギブソンが、女性に翻弄されるやり手ビジネスマンをコミカルに演じています。
最初はつまらないジョークを連発し、女性と見れば手を出さずにはいられない男性ホルモンの塊のような男だったニックが、女性の心を知って共感し、今まで馬鹿にしていた繊細な事や女性の気持ちにも関心を向けてゆく姿は新鮮でした。
このような類の作品では、時として女性の醜い部分を強調して笑いにつなげる事もあります。
しかし、本作品では女性の素晴らしさ、男中心の社会で苦労しながら生きる大変さをきちんと描いており、見ていて清々しい気持ちになりました。
特に作品のなかで流れたナイキのCMは「強く賢い、自立した女性」を見事に表現していて印象的でした。
楽しいコメデイでリラックスして楽しめると同時に、一生懸命に生きる全ての女性へのエールが感じられて元気になれる作品でもありました。
みんなの感想