映画「ROCK YOU!」は、ヒース・レジャー主演、ブライアン・ヘルゲランド監督の2001年の映画です。
この映画「ROCK YOU!」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所を紹介します。
スポコン歴史映画の「ROCK YOU!」をご堪能ください。
「ROCK YOU!」あらすじ
14世紀、フランスやイングランド王国では馬上槍試合が盛んにおこなわれていました。
槍試合で何度も優勝していた老騎士 エスター卿は試合の途中に落馬してそのまま亡くなってしまいます。
その時のスコアは3対0でエスター卿が優勢。落馬しなければ優勝する筈でした。
従者のウィリアム(ヒース・レジャー)、ローランド(マーク・アディ)、ワット(アラン・テュディック)は主人の死に心底ガッカリして、そして慌てます。
彼等は三日も食事抜きで、優勝者に贈られる賞品を金に換えてもらう事をあてにしていたからです。
仕方なく、エスター卿の死体から剥ぎ取った甲冑を付け、ウィリアムが代わりに競技会に出ました。
平民であるウィリアムは、本来なら出場さえ不可能です。
勿論、今回が初出場のウィリアムは勝手が分からずに戸惑ってしまい、相手の槍を受けるものの何とか落馬するのだけは避けて優勝しました。
そして賞品を金に換えた3人は、それを山分けにして別れようとします。
しかしその時、ウィリアムが他の2人に「俺に金を預けないか?」と言い出します。
今手にした金をすぐに使ってしまうより、武具一式を買いそろえて訓練を積み、1か月後に開かれるもっと大きな競技会で勝ち残った方が大金と名声を得る事が出来るとウィリアムは考えたのです。
最初は「故郷に帰りたい」「美味いものを腹いっぱい食べたい」「身分を偽るなんて、バレたら大ごとになる」と反対していたローランドとワットでしたが、ウィリアムの粘り強い説得に折れ、自分達の金を託して練習を始めました。
はたしてウイリアム達は・・・
「ROCK YOU!」ネタバレ
森の中で何度も訓練し、一か月後にはウィリアムはかなりの腕前になっていました。
そして、3人は騎士と従者二人を装ってフランスのルーアンで開かれる競技会に向かいました。
その道中、3人は裸で道を歩いている男に出会います。
男は自称文筆家で詩人のジェフリー・チョーサー(ポール・ベタニー)と名乗り、関わり合いを避けて立ち去ろうとする3人に向かって「協議会に出るには貴族証明書が必要じゃないのか?俺を雇えば、書類でも紋章でも書いてやるぞ」と申し出ました。
確かに、3代前からの貴族だという証明書がなければ競技会には出られません。
ウィリアムは申し出を受け入れ、チョーサーを雇う事にしました。
そしてウィリアムはゲルダーランド出身の貴族 ウルリヒ・フォン・リキテンスタイン卿と名乗り、剣と馬上槍試合に出場申し込みをしました。
その会場で、ウィリアムは貴婦人ジョスリン(シャニン・ソサモン)を見初め、声を掛けますが相手にされません。
彼女を追いかけて教会にまで入り込みますが、名前も教えてもらえず「レディ・フォックス(狐婦人)」とあだ名をつけます。
練習の甲斐あって、どちらの試合でもウィリアムは勝ち進む事が出来ました。
しかし、ここで問題が発生します。
チョーサーは実は博打に目がなく、会場で血の気の多い連中から多額の借金をしてしまったのです。
「従者の借金は主人が払え」と迫られ、どうしても大金を稼がなくてはならなくなってしまいます。
更に、手持ちの金がなく鎧を直す事が出来ませんでした。
仕方なく、夫が死んで代わりに店を出していた女鍛冶屋 ケイト(ローラ・フレイザー)を「女の鍛冶屋じゃ、鎧の修理は無理か」と焚きつけて、ツケで修理をしてもらいました。
そして、ウィリアムは順当に勝ち上がってゆきます。
昔から騎士に憧れていたウィリアムは負傷した対戦相手に慈悲を示したり、向かってくる相手の槍から目を逸らさない勇気を見せたりして注目されだします。
同じように槍試合に出場していたアンジューの伯爵 アダマー(ルーファス・シーウェル)もジョスリンに言い寄りますが、彼女の目がウィリアムの方に向いている事に気付いて機嫌を損ね、ウィリアムに対抗意識を抱き始めます。
そして、決勝戦で二人は対決する事になりました。
技術はアダマーが上ですが、突っ込む度胸と力ではウィリアムの方が勝っており、勝負は拮抗します。
3回勝負のうち最初はアダマー、次はウィリアムの方が奪取して、最後の1回となりました。
負ける事を恐れたアダマーは、礼儀に反して頭を狙ってきました。
鎧の面を吹き飛ばされて意識が飛んだウィリアムは、子供の頃の夢を見ていました。
屋根ふき職人の息子だったウィリアムは、街で見かけた騎士に憧れ「いつか僕もああなりたい」と、父親に話します。
周りの人間は笑いましたが、父親だけは「努力すれば、人は運命を変える事が出来る」と励ましてくれました。
意識を取り戻したウィリアムは、槍試合では負けたものの、剣の試合で優勝して得られた賞品(金の馬の像)でチョーサ―の借金を払い、ケイトへの支払いも済ませる事が出来ました。
しかし、ジョスリンから優勝者が出席する晩餐会に誘われ、困惑します。
着てゆく物もなく、ダンスも踊れなかったからです。
衣装はテントの布を拝借して作り、踊りはケイトに習って練習しました。
何とか体裁を取り繕って晩餐会に出席しますが、アダマーに「ぜひ、故郷 ゲルダーランドの踊りを披露してほしい」と言われて、どうして良いか分からなくなってしまいます。
しかし、機転を利かせて即興で踊ってくれたジョスリンのおかげで事なきを得ます。
アダマーの敵対心を感じ取ったウィリアムは、次からは槍試合のみに出場すると誓います。
ケイトが新しく作ってくれた丈夫で軽い鎧のおかげで、ウィリアムは試合で勝ち続けます。
ある大会で、ウィリアムとアダマーは再び出会います。
勝ち進めば決勝で直接対決でしたが、準決勝でアダマーはトーマス・コルヴィル卿(ジェームズ・ピュアフォイ)と言う貴族と対決する事になります。
しかし、直前でコルヴィル卿が実はエドワード黒太子(イングランド王エドワード3世の息子)であると気付き、アダマーは試合を棄権します。
次の対戦相手であるウィリアムもそれに気づきましたが、棄権はしたくないとローランドやワットの制止を振り切って向かってゆきました。
その心意気に感心したコルヴィル卿も馬を駆り、対戦に応じました。
勝負は引き分けでしたが、コルヴィル卿はそこで棄権し、ウィリアムが優勝しました。
皆は祝福してくれましたが、アダマーに勝てなかったウィリアムは納得がいきません。
その苛立ちをジョスリンにぶつけてしまい、彼女の機嫌を損ねてしまいます。
次の試合から、アダマーは戦場に赴いて出場しなくなりました。
しかし、試合の結果は気になっており、結果を取り寄せて激昂します。
どの大会を見ても優勝はウィリアムだったからです。
一方、ウィリアムは以前のジョスリンに対する態度を反省し、仲間達から知恵を借りて謝罪の手紙を送ります。
その詩的な文面に感動したジョスリンは再び会う事を承諾してくれました。
しかし、目の前で即興で詩作を求められ、ウィリアムは的外れな事を言ってしまいます。
気分を害したジョスリンは「私への愛の証を立てたければ、今後の試合に全て負け続けて」と要求してきました。
次の試合から、ウィリアムは約束通り一切手を出さずに打たれるがままになります。
仲間達はウィリアムの体と、金がなくなってしまう事を心配してまともに戦うように促しますが、ウィリアムは聞き入れませんでした。
そして、ついにジョスリンの怒りは解け、今度は「愛があるならもう決して負けないで。優勝して!」と要求されます。
「女心は分からない・・・」
と呆れながらもウィリアムは勝ち続けて優勝し、ロンドンで行われる世界大会に出場が決定します。
試合に出場する為、皆は海を越えてイングランドに渡りました。
ウィリアムにとって、それは12年ぶりの帰郷でした。
騎士に憧れ続けていたウィリアムの気持ちを汲んだ父親が、競技会に来ていたエスター卿に頼み込んで従者にしてもらって以来だったのです。
人々はウィリアムを騎士と思い込んで拍手喝采で迎えてくれましたが、身分を偽っているウィリアムは何処か後ろめたさを感じていました。
世界大会にはアダマーも参加していました。
戦地で略奪などの悪行を重ねたせいで傭兵隊を解散させられ、強制帰国させられていたのです。
ウィリアムは以前より腕を上げており、大会が始まるまでの間、生まれ育った家やずっと会っていなかった父が懐かしくなったウィリアムはこっそり生家を訪ねました。
「ROCK YOU!」最後ラストの結末は?
父親は、まだ元の家に住んでいました。
彼は目が見えなくなっており、目の前の青年が息子だとは分かりませんでした。
「息子さんから伝言があります。“遂に運命を変える事が出来た”と」
その言葉で、やっとウィリアムが帰ってきたと気が付きます。
二人は抱き合って再会を喜び、ウィリアムは会えなかった12年間の話を一晩かけて父親に話してやりました。
しかし、アダマーがウィリアムの後を付けていたのです。
次の日、チョーサーとジョスリンが青ざめた顔をしてやってきました。
ウィリアムの正体を知ったアダマーが衛兵を連れ、晒し台を用意して向かっているというのです。
ジョスリンや仲間達は「一緒に逃げましょう。愛があれば、貧乏にも耐えられる」と訴えましたが、騎士のプライドを捨てて逃げる事はできないとウィリアムは競技場に向かいました。
そしてウィリアムは捕えられ、罰として街中に晒されました。
ローランドやワットが周りで守ってくれていましたが、民衆は容赦なく罵声を浴びせてきました。
その時、民衆に交じって様子を見ていた一人の男が進み出てきて被っていたものを取りました。
その男はエドワード黒太子でした。
エドワードはウィリアムを晒し台から解き放ち「先日の礼をしなくてはならんな」と刀を抜いてウィリアムの肩に置き「周りの者を証人として、父王より与えられた刀でそなたに爵位を授ける」と宣言しました。
そして、改めて「ウィリアム卿」として槍試合に挑むよう促しました。
数時間の後、アダマーとウィリアムの試合が再開されました。
アダマーの細工された槍で傷ついた体を支えきれず、1・2回戦は取られました。
しかし、ウィリアムは逃げず、鎧を脱いで槍を体に縛り付けて挑んでゆきました。
そしてウィリアムは見事に槍をかわし、自分の槍を急所に突き入れて、アダマーを落馬させて逆転勝ちを収めました。
「お前の実力は見切った。ウィリアムには絶対に勝てない」
落馬したアダマーは、気絶した時の夢でウィリアム達から言われ、心までもへし折られてしまいました。
その雄姿に、エドワード黒太子を始め、観衆も、ウィリアム達も熱狂の歓声を上げたのでした。
THE END
「ROCK YOU!」見どころ
中世を舞台にした、騎士に憧れる若者のサクセスストーリー・・・と思いきや、冒頭、試合が始まる直前に観衆がクィーンの「We‘ll Rock You!!」を歌い始めて意表を突かれます。
他にも、通常ならあり得ない現代的な音楽と振付がダンスシーンで使われたり、ウィリアムの新しい鎧にナイキのロゴを模したマークが入っていたり、他にはないポップな雰囲気が盛り込まれています。
加えて、馬上槍試合と言う珍しい競技がストーリーの中心になっている事も印象的でした。
向かい合って馬を走らせ、すれ違い様に大きな槍で突き合うという単純な競技ですが、突き合った時に槍が折れて破片が飛び散るダイナミックなシーンも見応えがあり、余り歴史物の作品が得意ではない人も楽しんでみる事が出来ると思いました。
ウィリアムは元々が貧しい平民の生まれなので、裕福な家に生まれたジョスリンが「貧乏なんて何でもない」と簡単に言ってしまう事に我慢できず、意見が対立してしまう事もあります。
また、偽の証明書一枚でウィリアムは貴族と認められ、嘘がバレて捕えられても、王子の一言で平民が本物の貴族になってしまう奇妙な現実も描かれていました。
そんな中、真の貴族の心意気を持ったウィリアムの姿が、どうしようもない社会の決め事にがんじがらめになっている人々の中で輝いて見えました。
思ってもみなかった迫力あるシーンと、胸に響くストーリーを存分に堪能でき、最後には胸がスッとする気持ち良さ満点のカッコいい作品でした。
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