映画「ハード・ターゲット」は、 ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演、ジョン・ウー監督の1993年の映画です。
この映画「ハード・ターゲット」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
殺人ゲームの闇を暴く「ハード・ターゲット」をお楽しみください。
これで「ハード・ターゲット」のすべてがわかります。
「ハード・ターゲット」あらすじ
ベトナムで心に傷を負いホームレスに落ちぶれた父の行方を探す女性弁護士ナターシャ(ヤンシ・バトラー)。
やがてナターシャは、父がニューオリンズの町で秘密裏に行なわれる殺人ゲームの犠牲となったことを知ります。
独自の捜査を続けるナターシャは、ひょんなことから職にあぶれた船員チャンス(ヴァン・ダム)の協力を得る事に・・・
しかし、サーシャ自身がその殺人ゲームの標的になっていることを知らないでいるのです。
はたしてふたりの運命は・・・?
「ハード・ターゲット」ネタバレ
深夜、人通りがない街を息を切らして逃げてゆく男が一人。
途中、ドアを叩いて助けを求めても、出てくるものは誰もいません。
その時、ボーガンの矢が飛んできます。そして、逃げ惑う男を何台ものバイクが追いかけてゆきます。
やがて彼らは河原に辿り着きます。
「川に辿り着けば奴の勝ちだ。そうはさせるな」
その場を仕切っているらしい男・エミール・フーション(ランス・ヘンリクセン)の命令により、バイクの男達はより一層逃げる男を追い立て、ついにはボートハウスに追い詰め、バズーカでハウスごと爆破しました。
追われていた男はそれでも立ち上がり、桟橋を渡ろうとしますが板が壊れて川に落ち、這い上がろうとしたところに矢を何本も打ち込まれて遂に息絶えてしまいました。
「麻薬みたいじゃないか?人を殺す快感は」
そう言って、この「狩り」の主催者らしき男は「ハンター」に酒瓶を差し出したのでした。
場面は変わり、日差しに包まれた街中をナターシャ・ビンダー(ヤンシ・バトラー)が高級車で駆け抜けてゆきました。
やがて、一軒の家の前で止まり緊張した面持ちでドアをノックします。
しかし、出てきた老婆の顔をみて驚いたような表情になります。
ナターシャは、ここに父親のダグラスがいると思い、訪ねてきたのでした。
対応してくれた老婆は、彼が仕事をクビになり、家賃も払えなくなって出て行ってしまったと言い「もしダグラスさんを探すなら、町の福祉施設に行って御覧なさい」と教えてくれました。
言われたとおりに福祉施設に行ったナターシャは、そこでダグラスを知っているエライジャ(ウィリー・C・カーペンター)と出会い、ダグラスがホームレスになっていると知らされます。
あるダイナーの片隅。
食事をしていたチャンス・ブードロー(ジャン・クロード・ヴァンダム)は、横で隠す事もなく札束を出しているナターシャの姿を見てトラブルが起こる予感を覚えます。
案の定、店を出たナターシャの後を付けてゆく男達がいました。
そして、車に乗ろうとしたところで男達は襲い掛かってきました。
そこへチャンスが現れ、ナイフや瓶を手に襲い掛かって来る強盗達を、蹴りを主体とした見事な格闘技で倒し「不用意に大金をチラつかせるな」とナターシャに言って去って行きました。
警察に行ったナターシャは父親の捜索願を出そうとしますが、応対したミッチェル刑事(ケイシー・レモンズ)に「ホームレスでは探しようがない。街の施設を虱潰しにあたってみなさい。ただし街は物騒だから、誰かと一緒に」と忠告されます。
その頃、チャンスは港にいました。
そこにやって来たナターシャから1日100ドルで父親捜しをする間の護衛を頼まれますが断ります。
彼はかつては軍隊で幾つも勲章を受けた精鋭でしたが、今は商船の船員として船に乗り、暫く街を離れようとしていたのです。
しかし、船舶会社から組合費217ドルを払わないと乗船できないと言われ、金を稼ぐためにナターシャを手伝うと決めます。
彼らが再び福祉施設にいってみると、エライジャからダグラスの持ち物を入れたカートを見つけたと言われます。
早速その荷物を改めてみると、中にビラの束が入っていました。
手掛かりを求めて、彼らはビラ配りの手配をしているランダルの事務所を訪ねます。
ダグラスの事を聞かれたランダルは「そんな男は覚えていない」と言いますが、チャンスはそれが嘘だと直感で悟ります。
また、丁度そこへ現れたピク・ヴァン・クリーフ(アーノルド・ヴォスルー)からも不審な雰囲気を感じ取ります(実はフーションの部下で、ダグラスを追っていたライダーを指揮していた男がクリークでした)
しかし決め手はなく、ナターシャを連れて事務所を後にしました。
その直後、警察からダグラスの死体が見付かったと告げられます。
説明では、空きビルで昨晩火事があり、その現場から見つかった死体の歯型を調べたところ、ダグラスだと判明したとの事でした。
「もっと早く会いに来ていれば・・・」
泣き続けるナターシャを、チャンスは慰めるしか出来ませんでした。
その夜、眠りこけていたランダルの部屋に突然、クリークとフーションがやって来ます。
彼らはいきなりランダルを殴りつけ「家族がいない退役軍人を連れてくるはずが、別の男を連れてきて嘘をついたな!」とハサミで片耳を切り落として脅し「また獲物を探している。今度はリクエスト通りの獲物を連れてこい」と厳命してランダルの部屋を去って行きました。
次の日、遺留品の中の認識票を見ていたチャンスはふと思い当たった事があり、火災現場に忍び込んで土を掘り返していました。
するといきなり二人組の男に捕まり、殴りつけられながら「サッサとこの件から手を引け」と脅されました。
しかし、直後に連行された警察署で「認識票は2枚一組だ。もう一枚を火災現場で見つけた。これには鋭利なもので空いたらしい穴があった。お父さんは殺されたんだ」とナターシャやミッチェル刑事に説明しました。
それを聞いたミッチェル刑事は検視のやり直しを約束してくれました。
その頃、ランダルの事務所にエライジャがよばれていました。
彼は軍歴を聞かれ、その経験を生かせばもっと稼ぐ事が出来ると言われて申込書を書かされました。
また同じ頃、フーションの屋敷に新たな「客」がやってきました。
「客」はどこかの金持ちで、大金と引き換えに人を狩るゲームの手配をフーション達に依頼していたのです。
彼らは世界各国で金持ち相手の「人間狩りゲーム」を開催し、大金を得ていたのです。
この街でも検死を担当する監察医・モートンを抱き込み、ゲームが表ざたにならないようにしていたのです。
しかし、ミッチェル刑事がモートンにダグラスの再鑑定を依頼し、拒否したり不審な点があったりすれば裁判所に訴え出ると釘を刺しました。
ゲームの存在が明るみに出て、自分がその片棒を担いでいたと知られる事を恐れたモートンは証拠となる書類を焼き捨て逃げようとしますが、いち早くその事を察したフーションとクリークに始末されてしまいます。
夜中、人気が無くなった列車倉庫にやって来たエライジャの前にフーションが現れます。
不穏な気配を察知したエライジャはその場から去ろうしますが「ゲームで生き残れば1万ドルが手に入る、その金で誰にも後ろ指を指される事のない生活が送れるようになりたくないのか」と言われてゲーム参加を決めます。
その途端、バイクに乗った男達と大きなライフルを抱えたハンター(依頼主の金持ち)が現れ、ゲームがスタートしました。
バイクに追い立てられ、銃弾をのがれて墓地に逃げ込んだエライジャは足をケガして倒れてしまいます。
依頼主は殺す事はないと躊躇しますが、フーションに「これは己が生きている事を確認する行為だ」と言われて止めを刺そうとします。
しかし、隙をつかれて反撃され、銃まで奪われてしまいます。
フーションは瀕死のケガを負った依頼主にとどめを刺し、部下にエライジャの始末を命じます。
墓地を抜けて夜の街に辿り着いたエライジャでしたが、誰に助けを求めても身なりのみすぼらしい彼の話を聞いてくれる者はいませんでした。
絶望したエライジャが覚悟を決めて目を閉じた時、遠くから狙っていたマシンガンの弾が彼の体に何発も打ち込まれました。
翌朝、エライジャの死体の側にはチャンスとナターシャが立っていました。
彼等はミッチェル刑事と共にランダルの元に向かいます。
その頃、大慌てで荷物をまとめたランダルは街を出ようとしますが、車に乗り込んだところをクリークに捕まり、言い訳も空しく散弾を撃ち込まれてしまいます。
そこへパトカーに乗ったチャンスたちがやって来ます。
異変を察知した瞬間、クリークとバイクの集団が襲い掛かってきました。
パトカーから下りようとしていたナターシャを庇ってミッチェル刑事が銃弾を受けてしまいます。
チャンスはミッチェル刑事の銃を使ってクリークたちの乗る車に弾を撃ち込み、バイクの男に蹴りを撃ち込んで倒し、そのままバイクを奪ってナターシャと共に逃げ出します。
途中、サブマシンガンで一人、バイクで引いて一人を倒しますが高速道路の行き止まりに追い詰められてしまいます。
ナターシャを下したチャンスは、イチかバチか、タンクに穴が開いてガソリンが漏れ出しているバイクを追いかけてくる車に向けそのまま真っすぐ走らせてバイクを車に真正面からぶつけると、自分は車の屋根を転がって後ろに降り、すぐにバイクに入団を撃ち込んで車ごと爆発させました。
そしてナターシャの腕をつかむと、高速道路から飛び降りて下を通過してきた貨物列車の上に飛び乗り、そのまま追っ手を振り切りました。
ヘリに乗って後を追ったフーション達は河原でチャンスたちの足跡を見つけ、人間狩りに魅了された顧客達を呼び集めて追跡を再開します。
しかし、チャンスは音がしないように細工したガラガラヘビを木の上に置いておくなど罠を仕掛けており、それに翻弄されてフーション達の怒りは最高潮に達します。
川をたどって行きついたのは、チャンスの伯父で育ての親であるドゥヴェー(ウィルフォード・ブリムリー)の家でした。
チャンスから話を聞いたドゥヴェーは協力を快諾します。
「ハード・ターゲット」ラスト最後の結末
2時間後、ドゥヴェーの家にフーション達がたどり着きますが中には誰もいませんでした。
フーション達が外に出た所で、草むらに隠れていたドゥヴェーが矢を放つと、ドラム缶の中の密造酒の原料が爆発し辺りは火の海となりました。
その隙をついてチャンス達は馬で逃げ出しました。
仲間を失い、裏をかかれっぱなしのフーションは怒り心頭になりながらもクリークにヘリでチャンスを追い詰めるように命じ、自分は車で追いかけました。
チャンスはヘリからの攻撃を受けるものの散弾銃で応戦し、廃工場に逃げ込みました。
それぞれ最新鋭の強力な武器を手にし、総勢20人で追跡するフーション達でしたが、迷路のような廃工場の中で待ち伏せをされ次々と倒されてゆきます。
一方、チャンスと別れて逃げようとしていたナターシャとドゥヴェーでしたが、チャンスの事が心配になり、廃工場にやって来ました。
フーションの部下を次々と倒したチャンスは遂にクリークと正面から打ち合い決着を付けようとします。
壮絶な打ち合いの末、チャンスはクーリエに何発も銃弾を撃ち込みます。
最後に手榴弾を投げようとしたものの、気力が続かず投げる前にチャンスに奪われて爆発させられずに息絶えてしまいます。
遂に一人となり、更にクリークの死を知って怒り狂うフーションの目の間にナターシャと傷ついたドゥヴェーが現れます。
ドゥヴェーを撃ってナターシャを捕えたフーションは、チャンスに銃を捨てさせ、勝負を挑みます。
フーションの銃の弾を寸での所で避けたチャンスは、素手でフーションを殴り、最後にはクリークから奪った手榴弾をフーションの服の中に突っ込んで蹴り飛ばし、彼を爆死させたのでした。
燃え盛る工場の中、チャンスとナターシャがドゥヴェーを見つけて駆け寄ると、何と彼はまだ生きていました。
フーションの弾はポケットの中の酒瓶にあたり致命傷にはなっていなかったのです。
ホッとした3人はそのまま廃工場を後にし、事件は終結したのでした。
THE END
「ハード・ターゲット」見どころ
非情な人間狩り集団に立ち向かう、ハードボイルドな雰囲気漂う作品です。
そして、金に飽かせてホームレスを狩るセレブと、金の為に騙されて動物の様に追われるホームレスという格差社会を象徴した構造も見えてきます。
実際、フーション達に追われたエライジャが幾ら通行人に助けを求めても「お前にやる金はない」「あっちへ行け」と邪険にされるばかりでした。
最後に撃たれる直前、エライジャは諦めたように目を閉じます。
もう逃げられないと覚悟を決めたようにも、ホームレスの自分に対する世間の冷たさに絶望したようにも見えます。
強力な武器やバイクで追い詰めてくるハンターに、丸腰のホームレスはただ逃げ回るだけです。
怪我をして、這いつくばって、結局は無残に殺されてしまいます。
見ている側はフラストレーションが溜まります。
それを払拭してくれるのがジャン・クロード・ヴァンダムの華麗なアクションです。
チャンスも一時はホームレスだったと語っており、貧しい者寄りの立場です。
しかし、貧しい者をなめ切って襲い掛かって来るハンター達に敢然と立ち向かう姿はとてもカッコよく、アクションファンなら見逃せないシーンの連続です。
チャンスは最初こそ確かに金の為にナターシャに協力していましたが、いつの間にかフーション達に命懸けで反撃する事になっていきます。
逃げても構わないのに、次々とハンター達を倒してゆく姿は「七人の侍」のような義侠心を感じずにはいられません。
クライマックスでフーションが「(父親を亡くした)ナターシャには同情するが、お前には何の関係もないだろう。何故、関わる?」と聞くと「貧乏人だって、たまには狩りをするのさ」と答えるシーンはニヤリとさせられます。
流石は名監督ジョン・ウーのハリウッドデビュー作品だけあります。
それまでのアメリカ映画とは一味違う、シブいニヒルさや社会への批判など監督の個性が感じられる一作です。
ジャン・クロード・ヴァンダムのアクションとクスッと笑える一面もある「ダブル・インパクト」も秀作ですよ。
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