映画「マイ・ブックショップ」は、エミリー・モーティマー主演、イザベル・コイシェ監督の2018年の映画です。
この映画「マイ・ブックショップ」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
ひとりの女性が自分の夢の為に奮闘する「マイ・ブックショップ」をお楽しみください。
「マイ・ブックショップ」あらすじ
1959年、イギリス。
先の戦争で夫を亡くしたフローレンス・グリーン(エミリー・モーティマー)は、長く落ち込む日々を過ごしていました。
しかし、小さな港町で長年の夢であった本屋を開業する事を決意します。
頭の固い銀行員 キンブル(ハンター・トレメイン)は色々と難癖をつけてきましたが、辛抱強く耐え、遂に融資を取り付ける事が出来ました。
そして、長年放置されていた古い建物(通称 オールドハウス)を買い取って改装し、本屋を開業したのです。
しかし、それを快く思っていない人達もいて・・・
これは人々に本の素晴らしさを広めようとする女性のささやかな奮闘記です。
「マイ・ブックショップ」ネタバレ
そんな彼女の姿を、閉鎖的な町の人々は遠巻きに眺めていました。
そんな中、40年以上も屋敷に引きこもっている老人 エドモンド・ブランデッシュ(ビル・ナイ)と、町一番の有力者 ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)は特別な視線を向けていました。
ある日、フローレンスはガマート夫妻からパーティーに招待されます。
町中の人々が集まる中、ガマート夫人はフローレンスににこやかな笑顔を浮かべて話しかけてきました。
「本屋ができて、町のみんなは喜んでいるわ。でも、あの建物はもっと有意義で文化的な事に使うべきよ。実はオールドハウスを芸術センターとして使いたいと考えているのだけれど…」
柔らかい口調とは裏腹に、夫人の言葉は威圧的でした。
しかし、フローレンスはそれに屈することなく、申し出をきっぱりと断りました。
フローレンスが帰った途端、夫人は腹立たしい表情になりました。
この事をきっかけに町の雰囲気は一気に変わり、書店は諦めたという噂があちこちで流れたり、弁護士も手続きを進めてくれなかったりと、逆風が吹き始めました。
それでも邪魔する者ばかりではなく、船頭のレイヴンが親切に海洋少年団を派遣してくれ開店準備を手伝ってくれたり、仏頂面だが賢い少女 クリスティーンを紹介してくれたりと味方をしてくれる人々もいました。
最初は書店開店を危ぶんでいたフローレンスでしたが、注文していた本が次々と届き始め、それを棚に眺めていると、色々と気に障る事を言われた事などどうでも良くなっていきました。
そんな中、少年団の1人が手紙を受け取ってきました。
送り主は、ブランディッシュ氏でその手紙には推薦本を少年に届けさせてほしいと書かれていました。
早速フローレンスは、最初のお客さんとなったブランディッシュに「華氏451度」を送りました。
この作品に感動したブランディッシュはブラッドベリの他の作品も送ってほしいと依頼してきました。
こうして本を通じた2人の交流が始まりました。
本屋が開店して暫く経つと、物珍しさもあって話題となり、お客がたくさん来てくれました。
最初は本が嫌いだったクリスティーンも、店の手伝いをこなすうちに本に興味を持ち始めます。
その変化を察したフローレンスはクリスティーンに「ジャマイカの烈風」を紹介してあげたのでした。
一方、ガマード夫人は未だにオールトハウスを芸術センターとして使用する願望を捨て去ってはいませんでした。
その頃、フローレンス自身も新しい悩みを抱えていました。
世紀の問題作「ロリータ」が巷で話題となっており、入荷するかどうか迷っていたのです。
そして、その事をブランディッシュに相談しました。
ブランディッシュは彼女を屋敷に招待し、色々な話をした後に「あなたは勇気に満ち溢れている。是非とも応援したい」と申し出てくれました。
ブランディッシュの言葉を胸に、フローレンスは思い切って「ロリータ」を入荷し、店頭に並べました。
書店に「ロリータ」があることはたちまち噂になり、街中に知れ渡りました。
店の周りは人だかりが出来、こっそりと様子を見に来たガマート夫人は嫌悪感を露にしたのでした。
裏で手をまわし、弁護士に「書店の人だかりが道路の通行を妨害している」と苦情の手紙を送らせましたが、フローレンスは屈しませんでした。
そこでガマート夫人は更に強硬な手段に出ました。
夫人は議員をしている甥っ子に会いに行き"名所・公的に価値ある資源の保護"という法案を通させ、合法的にオールトハウスを強制搾取する手段に出ました。
また児童保護局にも手をまわし、店を手伝っていたクリスティーンも不法就労だとして告発されそうになります。
更には、新しい書店も町にできる事になります。
勿論、全ては夫人の策略だと気付いてはいましたが、フローレンスにはなす術がありませんでした。
「マイ・ブックショップ」最後ラストの結末は?
よく行く海岸で涙を流していると、ブランディッシュが現れ「君を助けたい」と勇気づけてくれました。
ブランディッシュは何十年かぶりで家を出て、ガマート邸に向かいました。
ブランディッシュは自分の思いやフローレスに対する無礼について言葉を尽くして述べましたが、夫人の心には届かず書店を失くす計画は取りやめとはなりませんでした。
言いたい事を言って屋敷をでたブランディッシュでしたが、興奮し、暫くすると倒れてそのまま亡くなってしまいます。
一番の理解者を失くし、味方はいない中でフローレンスは本屋を手放す以外なくなってしまいました。
フローレンスは本屋を閉め、町を出てゆく日がやって来ました。
船に乗って出てゆくフローレス。
船が出てから暫くすると、港にクリスティーンがやって来るのが見えました。
手には『ジャマイカの烈風』を持っていました。
その後ろではもくもくと立ち込める灰色の煙も見えました。
無人の筈の本屋から出火していたのです。
フローレンスはすぐにクリスティーンがやってと察しましたが、何も言いませんでした。
それから数十年が経ち、棚に本を並べる女性がいました。
彼女こそ、フローレンスの夢を受け継いで書店経営を始めたクリスティーンだったのです。
THE END
「マイ・ブックショップ」見どころ
大切な人を失った喪失感を埋める為、長年の夢だった書店経営を成功させようと奮闘する一人の女性を描いた作品です。
周りの理解が得られないばかりか、様々な妨害をされる中でひたむきに自分の夢を実現させようと努力するフローレンスの姿は、静かですが力強く、とても美しい表情をしていました。
店の手伝いをするだけの為に雇われたクリスティーンも、フローレンスのおかげで本の魅力に目覚め、持ち前の賢さを発揮して困難に立ち向かうフローレンスを支えるようになる様子が感動的でした。
敵だらけの中、唯一の味方だったブランディッシュと大好きな本についての会話する時、フローレンスの輝いた表情も見逃せません。
彼らの本に対する純粋な思いが十二分に伝わって来るだけに、ガマート夫人をはじめとした町の人達の心無い妨害行為がよりひどいものに思えました。
フローレンスの夢を潰す事が正しいと心の底から信じ切っている様子が、人の悪意の底知れなさや恐ろしさを描いていると思えました。
名もない一女性の、小さな町での物語ですが、それだけに共感できました。
静かで淡々とした雰囲気が心になじむ、気持ちの良い作品でした。
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