映画「ギルバート・グレイプ」は、ジョニー・デップ主演、1993年のアメリカ映画です。
そんな映画「ギルバート・グレイプ」のネタバレ、あらすじや最後ラスト、結末、見所について紹介します。
この記事で「ギルバート・グレイプ」のすべてがわかります。
この作品でレオナルド・ディカプリオがアカデミー賞にノミネートされています。
「ギルバート・グレイプ」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: ラッセ・ハルストレム
製作: メイア・テペル、バーティル・オールソン、デイヴィッド・マタロン
製作総指揮 : アラン・C・ブロンクィスト
脚本: ピーター・ヘッジス
撮影: スヴェン・ニクヴィスト
音楽: アラン・パーカー、ビョルン・イスファルト■ 主要キャスト
ギルバート・グレイプ:ジョニー・デップ
アーニー・グレイプ:レオナルド・ディカプリオ
ベッキー:ジュリエット・ルイス
ベディ・カーヴァー:メアリー・スティーンバーゲン
ボニー・グレイプ(母親):ダーレン・ケイツ
エイミー・グレイプ:ローラ・ハリントン
エレン・グレイプ:メアリー・ケイト・シェルハード
タッカー:ジョン・C・ライリー
ボビー・マックバーニー:クリスピン・グローヴァー
ミスター・カーヴァー:ケヴィン・タイ
「ギルバート・グレイプ」あらすじ
アイオワ州の小さな町に住むギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)。
彼は生まれてから一度もこの町を出たことがありません。
小さな商店で働きながら母(ダーレン・ケイツ)と、姉のエイミー(ローラ・ハリントン)、妹のエレン(メアリー・ケイト・シェルハード)、それから知的障害を持つ弟ギルバート(レオナルド・ディカプリオ)の五人家族で暮らしています。
目を離すとすぐに煙突の梯子を上ってしまうアーニー(レオナルド・ディカプリオ)の面倒を見ながら、街のお金持ち、不動産屋のMr.カーヴァ―(クリスピン・グローヴァー)の妻ベティ(メアリー・スティーンバーゲン)と不倫をしているギルバート(ジョニー・デップ)。
そんな彼の前に表れたのは、トレーラー・ハウスで旅をするベッキー(ジュリエット・ルイス)でした。
重い閉塞感に包まれたギルバート(ジョニー・デップ)は、明るく、新しい風を送り込んでくるようなベッキー(ジュリエット・ルイス)に惹かれ始めます。
この出会いが彼にもたらすものは…?
2人の恋の物語に家族の再生が絡むヒューマンストーリーです。
「ギルバート・グレイプ」ネタバレ
静かな町に今日もパトカーのサイレンの音が響きます。
ギルバート(ジョニー・デップ)の弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)がまた、町一番の高さを誇る煙突の梯子を登ってしまったからです。
呆れたように見上げる妹エレン(メアリー・ケイト・シェルハード)の側で、警察が何度『降りてくるように』と拡声器を使って呼び掛けても反応をしないアーニー(レオナルド・ディカプリオ)。
しかし、大慌てで駆け付けあやすように歌うギルバート(ジョニー・デップ)の声を聞くと、不思議な事にアーニー(レオナルド・ディカプリオ)はいつもニコニコしながら降りてきて事なきを得るのでした。
『次やったら今度はないぞ』と注意する警察官から弟守るようにして家に帰る2人。
家では引きこもりの母(ダーレン・ケイツ)がアーニー(レオナルド・ディカプリオ)から目を離したギルバート(ジョニー・デップ)を責めます。
引きこもりで仕事もしていない母に言われても、『ごめんよ、ママ』と自分が謝ってなだめるギルバート(ジョニー・デップ)。
七年前に父が自殺したショックから食べ続け、昔の面影をどこにも残す事無く太ってしまった母(ダーレン・ケイツ)に、彼は強くものを言えないのでした。
ギルバート(ジョニー・デップ)が働く小さな商店は、最近できた大型スーパーにおされて顧客の数が減っています。
暇な店内で店主夫婦のボヤキを聞きながら品出しをしていたギルバート(ジョニー・デップ)は、不動産屋Mr.カーヴァー(クリスピン・グローヴァー)の妻ベティ(メアリー・スティーンバーゲン)から自宅への配達を頼まれました。
しかし彼女の目的は、配達を理由にギルバート(ジョニー・デップ)を自宅へ連れ込み、不倫を楽しむ事だったのです。
彼女を愛しているわけではないけれど、他に特定の相手がいるわけでもないギルバート(ジョニー・デップ)は、その強引な誘いにいつも流されてしまっているのでした。
ある日、ギルバート(ジョニー・デップ)はもうすぐ誕生日を迎えるアーニー(レオナルド・ディカプリオ)を連れて町の大きな道へとやってきます。
毎年夏になると、この道を大量のトレーラー・ハウスが一斉に走り去るからです。
その光景を見るのが大好きなアーニー(レオナルド・ディカプリオ)。
長くは生きられない、そう宣告された弟が、今年もはしゃいで車の側を追いかけている、そんな光景を見られた彼は笑顔を浮かべて弟を見守るのでした。
ところが、今年はいつもと違ったアクシデントが起こります。
一台のトレーラー・ハウスが故障してしまい、その修理期間この町に留まることになったのです。
降りて来たのはショートカットが素敵なベッキー(ジュリエット・ルイス)。
彼女は祖母と一緒にトレーラー・ハウスで全米を巡るこの旅を楽しんでいたのでした。
急速に親しくなっていくギルバート(ジョニー・デップ)とベッキー(ジュリエット・ルイス)。
死んでしまった父に代わり家族の面倒を見なくてはならない、この小さな町から逃れることが出来ないギルバート(ジョニー・デップ)にとって、ベッキー(ジュリエット・ルイス)は自由の象徴のように感じられたのです。
ギルバート(ジョニー・デップ)の心に灯った温かな光に真っ先に気付いたのは不倫相手のベティ(メアリー・スティーンバーゲン)でした。
彼女はギルバート(ジョニー・デップ)を失うまいと、少々常軌を逸した行動に出ます。
夫が帰ってくるのを見計らってギルバート(ジョニー・デップ)を誘うのです。
危機一髪逃げ出したギルバート(ジョニー・デップ)でしたが、その後Mr.カーヴァー(クリスピン・グローヴァー)が急逝してしまいました。
原因は心臓発作でしたが、これを機にベティ(メアリー・スティーンバーゲン)とギルバート(ジョニー・デップ)の関係は終わりを迎えたのでした。
そんな時、またアーニー(レオナルド・ディカプリオ)が煙突を登ってしまいます。
今度等今度は警察も許してくれず、彼は連行されてしまいました。
事の重大性が分かっていないアーニー(レオナルド・ディカプリオ)は『サイレンは?サイレン鳴らしてよ』と楽しそうにパトカーに乗りますが、これを知った母(ダーレン・ケイツ)は怒り狂います。
直接警察署に行ってアーニー(レオナルド・ディカプリオ)を取り戻してくるのです。
しかし、久しぶりに外に出た彼女が見たのは、あまりの巨漢に驚きさざめくように笑う町の人々の視線でした。
その事にショックを受ける母(ダーレン・ケイツ)は、すぐ近くに迫ったアーニー(レオナルド・ディカプリオ)の誕生日会にも出る事を辞めると言いだしてしまいます。
母(ダーレン・ケイツ)や弟の事が重くのしかかり、家の中が息苦しいギルバート(ジョニー・デップを)はベッキー(ジュリエット・ルイス)への気持ちが高まっていきますが、彼女がこの町にいられるのは車の修理が終わるまでという限られた時間しかありません。
その事を寂しく思っているのはベッキー(ジュリエット・ルイス)も同じでした。
彼女からの『一緒に行こう』との誘いに乗ることが出来ず、家族には自分がいないと、という責任感と、それに伴う閉塞感からくる苛立ちをアーニー(レオナルド・ディカプリオ)にぶつけてしまうギルバート(ジョニー・デップ)。
何もわからない弟を怒りの感情に任せてぶってしまったショックから彼は家を飛び出し、そのままベッキー(ジュリエット・ルイス)の元へと走り去ってしまいました。
一晩彼女と過ごしたことで落ち着きを取り戻したギルバート(ジョニー・デップ)は家へと帰ります。
「ギルバート・グレイプ」ラスト最後の結末
今日はアーニーの誕生日を祝って盛大にパーティーが開かれています。
少しバツが悪そうに帰ってきたギルバート(ジョニー・デップ)に、姉のエイミー(ローラ・ハリントン)は『アーニー(レオナルド・ディカプリオ)を探して』と肩をすくめて微笑みます。
それはアーニー(レオナルド・ディカプリオ)が大好きなかくれんぼ遊びなのでした。
大きな声で呼び掛けながら自分を探すギルバート(ジョニー・デップ)を、隠れた木の上から見て嬉しさが隠せない様子のアーニー(レオナルド・ディカプリオ)が、突然彼の前に飛び降りる事で相手を驚かせ、それを楽しむのがいつものお楽しみなのです。
しかし今日は、飛び降りるところまではいつも通りだったアーニー(レオナルド・ディカプリオ)も、昨日の兄の剣幕を思い出してか少し不安げな表情でギルバート(ジョニー・デップ)を伺うようにして目を合わせません。
そんな弟にギルバート(ジョニー・デップ)は心から謝るのでした。
それにより笑顔を取り戻したアーニー(レオナルド・ディカプリオ)は、自分の誕生日を満喫すべく大勢で賑わうパーティー会場に走り去っていきます。
そこにはベッキー(ジュリエット・ルイス)もお祝いに駆けつけていました。
彼女を母(ダーレン・ケイツ)に紹介したいと言い出したギルバート(ジョニー・デップ)に、ベッキー(ジュリエット・ルイス)は嬉しそうに応じます。
『昔はこんなんじゃなかったのよ』とわが身を恥じるようにそう呟く母(ダーレン・ケイツ)に、ベッキー(ジュリエット・ルイス)は『私も昔はこんなんじゃなかったんだけど…』と軽く応じて、この日、グレイプ家に久しぶりの穏やかな時間が流れたのでした。
しかしその夜。母(ダーレン・ケイツ)は眠るように亡くなりました。
2階の自室で亡くなった母(ダーレン・ケイツ)を、1階へ降ろして葬儀を準備し…そうする事で多くの人の目に母(ダーレン・ケイツ)を晒す事だけは絶対にしない。
そう決意したギルバート(レオナルド・ディカプリオ)は、家財を外へ運びだし、母もろとも家に火をつけるのでした。
それが、彼らグレイプ家なりの葬儀であり、ギルバート(ジョニー・デップを)を縛り付けていた閉塞感からの解放を意味するようでもありました。
時は流れ…再びキャンピングカーの走る夏がやってきました。
今年もギルバート(ジョニー・デップ)はアーニー(レオナルド・ディカプリオ)と一緒にいます。
しかし今年は単なる見物ではなく、目的があったのでした。
ベッキー(ジュリエット・ルイス)との1年ぶりの再会。
そして今度こそ、彼はこの町から旅立ちます。
彼を縛り付けるものはもう何もありません。
ニコニコと楽しそうなアーニー(レオナルド・ディカプリオ)と共にベッキー(ジュリエット・ルイス)と歩む人生を選んだ彼の未来は、明るく輝いて見えるのでした。
THE END
「ギルバート・グレイプ」見どころ
なんといってもレオナルド・ディカプリオ!これに尽きる映画です。
タイトルに名前が入っているように、主役はギルバート役を演じたジョニー・デップですし、まだ新人でそれほど沢山の出演作があるわけではないレオナルド・ディカプリオなんですが、その演技が素晴らしすぎます。
今でこそトップスターとして知らぬ者はいない彼ですが、当時レオナルド・ディカプリオという俳優を知っていた人はそう多くはなかったと思います。
そんな人々にとって彼は、アーニーを演じているのではなく、こういった障害を抱えた方を起用したんだなぁ、と感じさせるほど自然な演技で、まさに役を生きていました。
話し方、視線の投げ方、歩き方、笑い方、そのどれをとっても違和感が全くありません。
圧巻だったのが、ジョニー・デップに叩かれて彼の怒りを一身に浴びるシーン。
それまでいつも自分を優しく見守ってくれる、いつだって自分の味方だった兄が急にむき出しにした苛立ちを前にして、鼻血を出しながら浮かべる表情がもう、言葉では表現できない絶妙なもので…とにかく、この表情を見る為だけにでも見る価値があると思います。
また主人公に重くのしかかる家族という呪縛。
人生に諦めすら抱いているようなギルバートが、一人の女性との出会いによって人生を動かしていく様は、まるでモノクロが彩られていくような爽やかさがありました。
古い作品ではありますが、人生を切り拓く、再生の物語は今現代を生きる人の方がより身近に感じるかもしれません。
ぜひ多くの方にご覧になって頂きたい作品です。
ちなみにディカプリオ史上最高に美しいディカプリオが見れる作品は「太陽と月に背いて」です。