映画「タイヨウのうた」は、YUI主演、小泉徳宏監督の2006年の日本映画です。
この映画「タイヨウのうた」のネタバレ、あらすじやラスト最後の結末、見どころを紹介します。
難病の少女とサーフィン少年のラブストーリー「タイヨウのうた」をお楽しみください。
「タイヨウのうた」キャスト・スタッフ
■ スタッフ
監督: 小泉徳宏
脚本: 坂東賢治
製作総指揮: 迫本淳一
音楽: YUI
撮影: 中山光一■ 主要キャスト
雨音薫: YUI
藤代孝治: 塚本高史
雨音謙: 岸谷五朗
雨音由紀: 麻木久仁子
松前美咲: 通山愛里
大西雄太: 小柳友
加藤晴男: 田中聡元
孝治の母親: ふせえり
巡回中の警官: 小林隆
医師: 山崎一
ストリート・ミュージシャン: マギー
「タイヨウのうた」あらすじ
海辺に住む16歳の少女・雨音薫(YUI)は、太陽の光に当たれない病気XP(色素性乾皮症)ですが、家族や親友と大好きな歌を支えに明るく生きています。
薫の密かな楽しみは、毎朝サーフボード抱えて海に向かう少年を部屋から眺めること。
親友によると、彼の名は藤代孝治(塚本高史)、高校生だという。
ある日、彼女がいつもの公園でストリートライブをしていると、藤代孝治が偶然に通りかかります。
この出会いが薫の運命を変えていくのですが・・・
「タイヨウのうた」ネタバレ
空が瑠璃色に染まる明け方、部屋から道路を眺める雨音薫(YUI)。
そこに、サーフボードをバイクにセットして走ってくる一人の男子高校生の姿が。
その高校生・藤代孝治(塚本高史)は毎朝薫の家の近くにあるバス停で友達と待ち合わせして海に出かけていくのです。
日出と共に窓に遮光カーテンを引く薫。
薫は生まれつき、XP(色素性乾皮症)という難病を患っていました。
太陽に当たると死んでしまう病気です。
太陽が出ている時間に外に出る事ができない薫は、昼間は寝て、夜になると起きて広場でギターを弾きながらストリートライブをしています。
外出する薫を心配する父親の謙(岸谷五朗)と母親の由紀。
由紀は薫に日出の時間を知っているか確認し、午前4時40分だと答える薫に4時には帰ってきなさいと念を押します。
普段通り、いつもの広場でストリートライブをしようとしている薫を見つけた二人の警察官。
新人らしい警察官がもう一人の警察官に、「あの子、どう見ても未成年ですよね?補導しますか?」と尋ねると、もう一人の警察官は「あの子は親御さんから説明受けているから大丈夫」と答えます。
薫が日に当たると死んでしまうと言う事情を知っていたのです。
薫はギターケースの上にろうそくを置き演奏を始めます。
その帰り、いつも孝治がいるバス停で足を止める薫。
バス停のポールがいつも邪魔している事を思い出した薫は、部屋からベンチに座る孝治が見えやすくなるようにポールを移動させます。
一方、午前4時サーフィンに行くために起きる孝治。
いつものようにバス停のベンチに座る孝治はポールが移動していることに疑問を抱きます。
薫はそんな孝治を部屋から眺めて微笑むのです。
薫の親友である松前美咲(通山愛里)が朝から薫を訪ねて家にやってきます。
部屋では悔しそうにバス停を眺める薫の姿が。
バス停のポールが元の位置に戻されてしまったのでした。
夜、美咲を引き連れていつもの広場でストリートライブをする薫。
そこへ偶然孝治が通りかかります。
薫は美咲にギターを預け、孝治を追いかけ駆け出すのです。
踏切で待っている孝治を見つけ背中に体当たりし、いきなり自己紹介をする薫。
訳がわからない孝治でしたが、「彼氏はいません。ずっと見ていました。」と言われ告白されているのだと思った孝治は断ろうとします。
しかし、中々薫が話を止めないので困惑してしまうのです。
そこへ美咲が止めに入り、薫を連れ帰ると「邪魔しないで!」と美咲に抗議する薫。
薫の孝治に対する気持ちに気付いた美咲は、薫のために孝治のリサーチを始めます。
病院で医師の話を聞く由紀。
病院嫌いの薫が診察を拒否しているので、定期的に母親の由紀が薫の様子を伝えにきているのです。
医師から宣告された寿命はとっくに過ぎているほど元気な薫。
XPは、紫外線に当たる事よりも年齢と共に進行する神経障害が怖い病気で、まだ治療法が確立されていない病気なのです。
しかし、まだ薫にはその症状が出ていないのが幸いと言えます。
薫は美咲が撮影してきた学校での孝治の様子を見て楽しんでいました。
経験できない学校生活や、孝治の一部が知れて嬉しい薫はビデオカメラを覗きながら孝治と同じ行動をしてバス停のベンチに座ります。
そのベンチでギターを弾いているとそこに孝治がバイクで通りかかりました。
薫は駅前の広場でストリートライブをしていると教え、ギターやバイクの事を話しながら打ち解ける二人。
「どこに住んでるの?」と問う孝治に「あの高台の家」と答える薫。
「いつもこのバス停を使っている」と言う孝治に薫は「知ってるよ」と返します。
前に、「いつも見てましたと」と言った薫の言葉を思い出した孝治。
その時話の途中で薫のアラームが鳴りお別れの時間になってしまいます。
名残惜しそうに帰る薫を見て孝治が休みに入ったらストリートライブに行くと約束してくれたのです。
薫の家のカレンダーには7月20日に丸が付けられています。
薫が夏休みに入る日に丸をつけていたのです。
その夜、広場には別のストリートミュージシャンが居座っていて薫の歌う場所がありませんでした。
そんな薫を見た孝治は、違う所で歌おうとバイクで横浜に連れて行きます。
初めて見る景色に、街へも繰り出す薫。
色々と堪能した後、広場の適当な所でストリートライブを始めた薫の歌を聞いて、段々と人が集まります。
他のミュージシャンとのセッションも始まり、薫は楽しそうに大勢の前でのライブを楽しむのです。
ライブの最後に、以前バス停で歌っていた曲を完成させて歌う薫。
その曲は孝治が良い曲だねと褒めてくれた曲でした。
そんな薫の姿を見て、孝治は薫に惹かれていくのです。
横浜からの帰り、孝治は薫を海岸に連れて行きます。
孝治は薫に「将来はCDデビューとかするの?」と尋ねますが、薫は少し濁して「将来…そうできたら夢みたいだね」と答えますが、顔は曇ったまま…。
孝治は、自分には何も才能がないから普通に生きて普通に死んでいくしかないと将来を悲観します。
しかし、薫はこれから何でも出来ると孝治を励ますのです。
孝治は以前薫がしたようにいきなり自己紹介をはじめ、付き合って下さいと告白します。
孝冶がそうだったように薫もそのことにビックリしますが、「うん」と答え、二人は付き合うことに。
「この海、朝が綺麗なんだ」という孝治の言葉に、時間をすっかり忘れていた薫は焦ります。
時計の針は午前4時30分を指そうとしているところでした。
「帰りたい」という薫に「もうちょっとで日出が見られるから」と粘る孝治。
薫は思わず駆け出します。
送っていくからと手を掴む孝治に「ごめんね」と言って手を振りほどく薫。
追いかけてきた孝治にバイクで送ってもらいますが、家に着くと孝治の声を遮り家へと一目散に駆けだします。
少しの光を浴びながら家に入った薫は、孝治がギターを持って後を追ってきてもドアを開けられずにいました。
諦めて帰ろうとすると、血相を変えた美咲がやってきて薫と一緒に居たのかと聞きます。
「さっき家まで送った」という孝治の答えを聞いた美咲は、同じく薫を探していた薫の両親にそのことを告げるのです。
夜明けまで薫を連れ回した孝治を美咲は殴り、「薫を死なせるつもり?薫は太陽に当たると死んじゃうかもしれないの!」と話します。
薫は念のため病院で検査を受けますが、特に異常がないと言われ安堵する謙と由紀。
帰りの車で二人は孝治のことを聞きます。
孝治が薫の好きな人だと知りますが、薫は「病気なんて関係ないって思おうとしたけど、やっぱり私が誰かを好きになるなんて無理なんだ。だからもうお終い。」と言って恋を諦めようとするのです。
そんな薫に謙と由紀は、「薫は病気じゃなくて個性なんだ。お前にも将来はある。」と言いますが、そんなのは嘘だと言って殻に閉じこもってしまいます。
一方孝治は、薫の病気の事を調べます。
いつもの広場にもやってきますが薫は不在のままでした。
薫の家も尋ねますが、「もう来ないで」と追い返されてしまいます。
孝治は毎日頑張っていたサーフィンを辞め、サーフボードを売ってしまいました。
アルバイトを始めてお金を貯め始めたのです。
謙は由紀と営む洋食屋に美咲を呼び出して孝治のことを聞きます。
そして「俺がその彼氏に会いにいったら薫は怒るか?薫に会ってやってくれって頼みにいったら薫は怒るか?」と美咲に尋ねると、謙の意外な質問に驚く美咲でしたが、「怒って泣き出すんじゃない?」と答えるのでした。
ある日の夜、夕食だと由紀に呼ばれダイニングに降りてきます。
そこには親友の美咲と、なぜか孝治までいたのです。
無言で部屋に戻ってしまった薫でしたが、部屋着から余所行きの格好に着替えて戻ってきます。
何となく気まずい雰囲気の中食事が始まりますが、薫は「なんかおかしい。誰がこんなの考えたの?」と皆を責めます。
孝治を呼んだのは父の謙でしたが、孝治にはどうしても薫に伝えたいことがあったのです。
CDの自主制作の広告を薫に渡してCDを作ってみないかと提案します。
孝治は薫の歌をCDにしたいと考えていて、その費用をバイトで稼いでいたのです。
薫は孝治の思いに感謝し、その提案を受け入れます。
その帰り、孝治を送りながら「私なんてこんなこと出来ると思ってなかった、私なんてさ…。」と話す薫に孝治は「君がそういうのを抱えていたとしても好きだよ。昼間は寝て太陽が沈んだら会いに行くよ。」と気持ちを伝えます。
その言葉に涙する薫の頬を孝治が引っ張り「変な顔」と笑いあい、そっとキスをする二人。
孝治は今まで以上にバイトを頑張り、薫もCD制作のために日々練習に励みます。
そんなある日、ギターを練習していて指の違和感に気付く薫。
気のせいだと思うようにしましたが、やはり上手く指が動かずギターの弦を押さえることが出来なくなってしまいます。
担当の医師からは脳に萎縮が見られると診断され、薫はXPの神経障害が発症してしまったのです。
それを聞いて堪えられなくなってしまった謙は診察室を飛び出します。
謙は待合室で、担当医師に「なんで薫がこんな目にあうのか」と苦しい胸の内を吐き出すのです。
薫の様子を見に薫の家を訪ねた孝治。
「せっかくバイトまでしてくれたのに歌えなくなっちゃった…ごめんね」と悲しそうに話す薫を見た孝治はわざと話題を変えて、バス停から見えてた自分が変な事してなかったかと明るく話すのです。
薫は、初めて孝治を見た時の事を話します。
バス停に忘れてあったサーフボードで無邪気に遊ぶ孝治の姿を偶然窓から見かけて、それからずっと気になっていたのでした。
薫は、別れ際に「私の指は動かなくなっちゃったけど、私の声は届いているよね?」と問います。
「聞こえてるよ!」という孝治の答えに「私、歌う!」と宣言します。
薫の前では明るく振る舞っていた孝治でしたが、薫と別れた後どうしても我慢できず涙を流すのでした。
薫と薫の両親そして孝治と美咲は、薫のレコーディングの為、東京のレコーディングスタジオを訪れます。
謙や孝治は薫のレコーディング風景を見る気でいましたが、「気が散るから」と全員外に追いやられてしまいました。
薫がレコーディングしている最中、孝治は皆に横浜のストリートライブの様子を語ります。
薫が歌いだした途端に人が集まり出した事、大勢の前でも物怖じせず生き生きと歌っていた事、そして薫のファンになった事。
そして、薫の歌うCDが出来上がったら色々な所に売り込みに行こうと考えていると話します。
レコーディングスタジオの薫は、自分の作った曲を褒められ、心をこめて歌った曲のレコーディングが無事終わり幸せそうな笑みを浮かべます。
「タイヨウのうた」ラスト最後の結末
それから時は経ち、海辺で防護服を来て車いすに乗りながらサーフィンの練習をする孝治を眺める薫。
その近くには両親もいます。
防護服が暑いという薫に、背中のファンが回っているか確認する由紀。
謙は、近くで駆け回る親子を見て「脱いじゃうか?そんなの脱いでその辺駆け回れ」と薫に言います。
しかし薫は父の言葉を笑い飛ばし「そんなことしたら死んじゃうじゃん。私、死ぬまで生きるって決めたんだから。」と答えるのです。
車いすを降りて自分の足でゆっくりと孝治のところへむかう薫。
孝治のいる一歩手前で倒れそうになってしまいます。
慌てて駆け寄った孝治でしたが、倒れそうになるふりをした薫に騙されてしまったのです。
安堵する孝治の頬を掴み、初めてキスをした時に孝治に言われたように「変な顔」と言って二人で笑い合うのでした。
それから間もなく、薫はこの世を去りました。
孝治は、いつも薫がストリートライブをしていた広場でウォークマンから流れる薫の歌声を聴いています。
美咲や薫の両親もあの時レコーディングで録音された薫の声を思い思いの場所で聴き入るのです。
ある日、ラジオから薫の歌声が聞こえ大喜びする孝治たち。
ここに薫の体は無くても薫の歌声は多くの人に届けられたのです。
完。
「タイヨウのうた」見どころ
とにかくめちゃくちゃ泣けます!
テレビドラマや舞台化もされた、とってもピュアで泣ける恋愛映画!
人気歌手のYUIさんが初主演を務める作品なのですが、YUIさんの演技がとってもピュアで、閉ざされた世界で生きてきた少女の儚いイメージとピッタリです!
ちょっと拙いセリフ回しやぎこちない様子も、プラスになっています。
この作品でYUIさんのクリアで、はつらつとした歌声が聴けるのも見どころの一つです。
いつも暗闇と一緒に生きてきた薫が歌う曲や歌声は、暗闇とは真逆のような温かさと明るさがあります。
まさにタイヨウのうた!ひまわりのように明るくて可愛らしいヒロインの歌声はYUIさんだからこそ!と感じました。
劇中歌と主題歌になっている「Good-bye days」はYUI for雨音薫としてリリースされ20万を超えるヒットソングになりました。
ストリートライブのシーンで使われている曲もとっても素敵な曲です。
切なく胸を打つストーリーを盛り上げるスパイスとしてYUIさんの曲が使われているというだけでも豪華ですよね。
病気との向き合い方や恋人、家族、友人との絆の描かれ方も胸を打つ内容で、ヒロインが死んでしまう辛いラストシーンですが、希望や明るさのあるスッキリとした終わり方になっています。
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