映画「ドメスティック・フィアー」はジョン・トラヴォルタ主演、ハロルド・ベッカー監督の2001年公開の映画です。
この映画「ドメスティック・フィアー」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
母の再婚相手の秘密を知ってしまった息子が命を狙われる!「ドメスティック・フィアー」をお楽しみください。
「ドメスティック・フィアー」あらすじ
海辺の小さな町・サウスポート──
フランク・モリソン(ジョン・トラボルタ)は、12歳の一人息子・ダニー(マット・オリアリー)と約束しました。
「…よし、パパもダニーもママの結婚式に行こう!」
ダニーの母親で、フランクの別れた妻・スーザン(テリー・ポロ)が再婚するんです。
相手の男性は、実業家のリック・バーンズ(ヴィンス・ヴォーン)。
町の誰もが祝福しているけど、ダニーが望んでいたのは両親の復縁です。
そして、フランクも父親の座を奪われるかもしれないと不安でした。
だけど、実父のそんな気持ちを察してくれるリックに、歩み寄るフランク。
母子のことも思い「…ママを、からかってやろう!」と、息子・ダニーと笑い合います。
後日、リックの豪邸で行われた結婚式。
ダニーは実父・フランクに継父・リックから貰った、上質なグローブを嬉しそうに見せました。
フランクが教えた通り“ダニーに愛情を示し、物を与える!”を実践しているリック。
「凄いな!」と微笑むフランクは、息子と元妻・スーザンの幸せを心から願っています。
和やかな結婚式に、母親と踊るダニーも幸せを感じて笑顔。
ところが、リックだけは突然現れた男に動揺し、その表情が強張るのでした。
それから・・・
「ドメスティック・フィアー」ネタバレ
「久しぶりだな」と、ニヤリと笑う男の名前は、レイ・コールマン(スティーヴ・ブシェミ)。
遠方から来たレイは仕事のついでに寄ったと言い、初対面のフランクとも顔見知りになります。
レイとの再会で心を乱すリックはその後、継子・ダニーとも大喧嘩。
ダニーは家の窓ガラスを割ると、そのまま実父・フランクのところへ向かいました。
継父・リックを立てながらダニーの思いを聞いてやり、最後には笑顔にさせるフランク。
幸せになるハズの再婚があんな事になるとは、この時は誰も気づいていません・・・
二年前にこの町に来て以来、すっかり人気者の好青年・リック(ヴィンス・ヴォーン)。
その正体は、レイ(スティーヴ・ブシェミ)と共に、刑務所に入った過去がある犯罪者です。
あっさりと仲間を裏切り、一人で出所したリックの暮らしぶりを知ったレイ。
過去を知られたくないリックから、カネをゆすり取るつもりでこの町に来ました。
レイに「…ジャック」と、本名を呼ばれるのを嫌がるリック。
愛する妻・スーザン(テリー・ポロ)の妊娠も分かると、邪魔なレイを殺すしかありません。
リックは「出掛ける…」と、スーザンに嘘をついて車を走らせます。
まさか、後部座席に継子・ダニー(マット・オリアリー)が、身を潜めているとも知らずに。
母親の妊娠に、ショックを受けたダニー。
実父・フランク(ジョン・トラボルタ)に、早く会いたいがために車に乗り込みました。
雨が降る夜、町外れへと走る車がモーテルに着くと、待っていたレイが助手席に座ります。
所有するレンガ工場に「カネがある」と、嘘をつくリック。
更に、土砂降りで道に迷ったと誤魔化し、後部座席にある地図をレイに探させました。
すると、ダニーと目が合いニヤリとするレイ。
ところが、不意を突かれてリックに刺されると、レイの死体はレンガ工場で燃やされます。
殺人を目撃したダニーは、リックの本性を伝えようと実父・フランクの家へ駆け出しました。
帰宅したリックを待っていたのは、フランクから通報を受けた刑事です。
ところが、妻・スーザンはリックが殺人なんてするハズ無いと、信じて疑いません。
「きっと、赤ちゃんが出来たから!ダニーがまた嫌がらせしている…」
これまでも両親の別居や離婚、再婚といった嫌な事がある度に、ダニーは騒動を起こして来ました。
仕事も成功しているリックは、好青年で町の人気者。
片や、わがままなダニーは警察に補導される悪い子。
スティーヴンス刑事(ルーベン・サンチャゴ=ハドソン)も、そう決めつけています。
そして、大した捜査もせずに証拠は無いと判断して、殺人者・リックを解放しました。
「あいつは、人殺しだ!家に帰りたくない!!」
フランクのところに逃げようと、まだ“嘘をつく”ダニーを叱るスーザン。
元妻の気持ちを優先するフランクも「…いい加減にしろ!」と、突き放します。
いつも味方だった父親にも信じてもらえないダニーは、悲しい顔をしてリックが居る家へ帰りました。
本当は、ダニーを連れて帰りたかったフランク。
大切な息子を思い、眠れない夜を過ごします・・・
翌日、フランクの職場・ボートハウスを訪ねたリック。
昨夜のことを謝り“事実じゃない”と伝えると、始めたのは仕事の話でした。
フランクは、採算度外視で昔ながらの木造船を造り続ける船大工。
以前から船造りを依頼していたリックは、高額となる手付金を持って来たのです。
だけど、息子・ダニーが嫌がった仕事で、返事を渋っていました。
息子を信じてやれなかった、昨夜のことを後悔するフランク。
その心に、ハッキリとあるのは“ダニーは父親の俺に、一度も嘘をついた事がない!”
そして、リックがどんな男かもよく知らず、レイ(スティーヴ・ブシェミ)って男との関係も腑に落ちません。
結婚式の後、しばらく町に居ると言ったレイが、ぱったりと消えたのも気になるフランク。
すると、リックは継父のツラさを平然と語るのでした。
この数日、ダニーの事で頭が一杯になるフランクは、パートナーのダイアンと破局。
突然消えたレイについても事件性は無いと言う警察は、捜査をする気がありません。
不安が残るリックと距離を置き、ダニーを預かろうとするフランク。
だけど、息子を手放したくない元妻・スーザンと、衝突する事になります。
ダニーの親権を巡って、裁判所で顔を合わせた元夫婦。
裁判官は「…ママやリックと暮らしたい?それともパパかな?」と、ダニーに尋ねました。
ダニーの返事は「ママやリックと、一緒に住む…」
更に、リックの殺人も作り話だと言って、その日からフランクを避けるのでした。
あの殺人事件以降、ダニーに冷酷な本性を見せるリック。
余計なマネをすれば、父親が殺されてしまう恐怖にダニーは怯えていたのです。
落胆するフランクが強引に会いに行くと、始めは拒絶したダニー。
だけど「…パパ、あいつを困らせないで!僕は大丈夫」と強がり、必死に父親を守ります。
ダニーの様子に胸騒ぎがするフランクは、自分の手で真相を暴くため動き出しました。
手当たり次第に“レイ・コールマン”の宿泊先を調べるフランク(ジョン・トラボルタ)。
とうとう町外れにあるモーテルの宿泊名簿に、その名前を見つけます。
チェックアウトは、ダニー(マット・オリアリー)が目撃した殺人事件と同日。
手掛かりになるコールガールも捜し出しますが、リック(ヴィンス・ヴォーン)の正体までは辿り着けません。
それでもフランクは、平然と和解を求めるリックに厳しく言い返しました。
「…俺の息子に指一本でも触れてみろ、その時はお前の最後だ!」
必死に手掛かりを探すフランクは、レイがモーテルのTVでバスケ観戦していた事を思い出します。
再びコールガールを訪ねると、シカゴのチームを応援していたと教えてくれました。
ボートハウスのPCで検索すると、出て来たのは有罪判決になった恐喝事件の記事です。
共犯者・リックの本名と顔写真も見つけたフランクは、警察に連絡。
ところがその直後、フランクは背後に立つリックに殴られ意識を失います。
追い詰められるリックはボートハウスに火をつけると、素知らぬ顔で帰宅しました。
「ドメスティック・フィアー」最後のラストの結末は?
その後、ニュース番組でボートハウスの火事を知った、息子・ダニー。
「パパは、きっと大丈夫」と言って、落ち着かせる母親・スーザン(テリー・ポロ)に反発します。
「…リックだ!あいつはパパを殺すと言った。……いいよ、どうせ信じないだろ」
ダニーに部屋のドアを閉められて、諦めるスーザン。
ふと洗面所に目をやると、火傷の手当てをしているリックが居ました。
嘘つきがリックだと気づいたスーザンは「ボートハウスに行って来る…」と、ダニーを連れて車へ。
家にはリックだけが残りますが、そこに生きていたフランクから電話が掛かって来ました。
すると、本性むき出しのリックはスーザンを襲い、気を失った母親を守ろうとするダニー。
バットでリックの頭を殴打すると、助けを呼ぶため携帯電話を探します。
ところが、目を覚ましたリックが迫り、手を縛られるダニーは車に押し込められました。
そこへ、家族を守りたいフランクが飛び込んで来ると、激しい戦いが始まります。
ガレージの物は散乱し、火花をあげる配電盤。
リックが振り下ろすバールを、椅子でガードするフランク。
劣勢に追い込まれる父親を助けたいダニーは、車から下りるとリックに体当たりします。
倒れ込むリックは、握っているバールが配電盤に接触して感電しました。
救急車と警察も駆け付け、事件は解決。
「ごめんなさい…」と謝るスーザンに、寄り添うフランク。
ダニーは傷ついた母親の頬に、優しくキスをします。
目と目を合わせ頷く父親と息子は、信じる気持ちをより一層深めるのでした。
THE END
「ドメスティック・フィアー」見どころ
オープニング・クレジットは、フランク(ジョン・トラボルタ)の車が走る町の風景と緊張感漂う音楽。
お人好しで贅沢な暮らしとは無縁だけど、十分しあわせそうなフランク。
だけど、母親の再婚に心を痛める一人息子が気掛かりでした。
おおよその人間関係と、心に抱える思いは本編開始10分程度で把握できるでしょう。
本作で個人的に印象に残るのは、フランクがリック(ヴィンス・ヴォーン)に言った言葉。
それは、自分が知りもしない他人と大切な息子が暮らす恐怖です。
酒癖の悪さも離婚の一因のようですが、息子には愛情を注いでいたフランク。
息子に向ける優しい笑顔や、危険から守ろうとするキリッとした真剣な表情は必見ですよ。
とは言え、正直なところ『ドメスティック・フィアー』は、やらかしてる映画なんです・・・
私も含め、高評価している人も多い一方で、酷評する人が多いのも事実。
ひねりの無い展開、伏線にもならない無駄とも思える場面、率直に言えば作りは雑です。
でも、突っ込みながら楽しめるのが本作の魅力で、“ながら見”に最適なところも◎
先述の通り真面目な場面もあるし、ハラハラしちゃう場面はイイ感じだと思うんですよね。
ハラハラ!ドキドキ!を、たくさん提供してくれるのはリック(ヴィンス・ヴォーン)。
12歳のダニー(マット・オリアリー)に、悪い大人の怖さ全開で迫ります。
リックを訪ねて来たレイ(スティーヴ・ブシェミ)は、“どストレートの犯罪者”。
フランクとも気さくに話すイイ奴だったけど、すぐ殺害なんてチョイ役なブシェミが個人的にはツボです。
“裏切る男・リック”を経験済みなのに、簡単に背中を見せるなんて!もう、おバカ~。
他にも、個人的に突っ込みたくなるのは、フランクが元妻から“息子をかっさらう”場面。
急発進する車内で「パパ、かっこいい!」ってワクワクする息子に「シートベルト締めろ!」って、興奮状態でも冷静なフランク。
めっちゃ良いパパって思うんですが、よく観るとフランクがシートベルト締めてない!
ホント地味でしょ~もないけど、観るたび気になって「お前も締めろー!(笑)」ってなる。
是非あなたにも、見過ごせない出来事やキャラにガンガン突っ込んで欲しいです!
イライラを掻き立てる、登場人物ワーストNo.1を争うキャラも紹介しておきますね。
それは、初動捜査からやる気のない警察と、男を見る目がないスーザン(テリー・ポロ)。
殺人の目撃証言をあっさり聞き流す、スティーヴンス刑事(ルーベン・サンチャゴ=ハドソン)。
決死のダニーと殺人犯のリックを事情聴取で同席させる、ガサツぶりをやってのけます!
偽名を使ってるでもない犯罪者・レイを、地域が違うって理由で捜せず!?衝撃のスルー。
“こんな警察イヤだ!”を見事に魅せるスティーヴンスは、実は事件解決後も登場します。
戦い抜いた父子の元へ行き・・・何をするかは是非本編で!
さて、あなたの感情はどうなるでしょう?
ちなみに、ソレを観た私にとって、揺るがずに好感度低い刑事でした。(笑)
もう一人のイライラ請負人のスーザンも、かなりクセ強めの女性です。
毒親って訳じゃないけど、リックへの没入感をあらわにする場面が多くて「こいつ~!(苦笑)」ってなります。
スーザンの究極の名言が飛び出すのは、本編47分。
怒涛の突っ込みをする人もいれば、“吉本新喜劇”ばりのズッコケをする人もいるかも!
言葉表現としては、吹き替えよりも字幕の方がより分かりやすいかもしれません。
とは言え、リックを実直な青年と信じ切っているスーザンが、裏切られるのも可哀想です。
リックの犯罪歴が分かったのは、フランクのPC検索ってのも単純すぎて◎
強~いトラボルタ父さんの戦いは迫力があって、クライマックスに向けて胸熱に!
ナンダカンダあったけど、結果的にフランクとダニー、スーザンが生きていて良かったハッピーエンド・・・
かと思いきや、実は悲しいことも起きているんです。
悪い奴・リックに関わる全てを葬るって事かもしれないけど、この着地も雑すぎる。
優しいダニーお兄ちゃんなら、きっと可愛がってくれただろうに!って感じの事です。
酒癖以外はイイ奴なんだろうなって思える、フランクのスーザンへの気遣いも本編でご確認下さい。
スティーヴンス刑事の件といい、何かと強引に“めでたしめでたし”に持って行った感が否めない結末。
それでも、怒って笑ってゾッとして!
何と言っても、人間味あるジョン・トラボルタにキュン♪
個人的には、面白がった者勝ちのA級寄りのB級映画だと思っています。
本編89分、暇つぶしのお供に『ドメスティック・フィアー』を、一度いかがでしょうか~!
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