映画「フィラデルフィア」は、トム・ハンクス主演、ジョナサン・デミ監督の1993年の映画です。
そんな、映画「フィラデルフィア」のネタバレやあらすじ、最後ラストの結末、見所について紹介します。
この「フィラデルフィア」の社会派ヒューマンドラマをご堪能ください。
「フィラデルフィア」あらすじ
HIV感染を宣告され、法律事務所から解雇された弁護士のベケット(トム・ハンクス)。
不当な差別と戦うべく訴訟を決意しますが、次々と弁護を断られてしまいます。
それでも自分の正義を毅然とした姿勢で貫くベケット。
その姿に感化された弁護士・ミラー(デンゼル・ワシントン)が立ち上がり、フィラデルフィア注目の裁判が開廷する。
生命、偏見、正義、愛を描いた名作です。
「フィラデルフィア」ネタバレ
ペンシルベニア州にある大都市フィラデルフィアで、弁護士として活躍するアンドリュー・ベケット(トム・ハンクス)、愛称“アンディ”。
病院の待合室で血液検査の結果を待つ彼には、同僚に言えない秘密がありました。
同性愛者である事、そしてHIVに感染している事です。
ボスのチャールズ・ウィラー(ジェイソン・ロバーズ)は、アンディの実力を買っていました。
大きな案件を彼に任せ昇進もさせます。
上司のウォルターに「額にアザがある。」と言われ動揺するアンディ、その場はごまかすのでした。
9日後、アンディの顔の“シミ”は増えています。
法律事務所には病欠と嘘をつき出勤は控えますが、チャールズから託された訴訟の準備は万全でした。
深夜、事務所のデスクに完成した訴状を置いたアンディ。
同僚・ジェミー(ブラッドリー・ウィットフォード)に明日、提出してもらう事になっています。
翌日、事情を知る友人たちはアンディの顔にファンデーションを厚く塗り楽しんでいます。
しかし、アンディは強烈な痛みに襲われ、トイレに閉じこもってしまうのでした。
知らせを受けたパートナーのミゲール(アントニオ・バンデラス)が病院に駆けつけます。
落ち着きを取り戻したアンディ、そこに事務所から「訴状が無い!」と連絡が入りました。
確かにデスクに置いたはず。
出訴期限まであと75分・・・アンディは急ぎます。
1か月後、弁護士のジョー・ミラー(デンゼル・ワシントン)は、我が子が産まれる瞬間に立ち会い感激していました。
“アンドリュー・ベケット”という男から依頼が入っているようです。
1週間後、ジョーの事務所を訪れたアンディ、ふたりは以前おなじ案件で戦った顔見知りでした。
アンディが帽子を脱ぐとシミが露わになり怪訝な表情のジョー、本題に入ります。
「不当解雇で訴える!」アンディは、法律事務所をクビになっていました。
しかし、1か月前に起きた訴状の件だけが原因ではなさそうです。
実際、訴状は見つかり無事に提出したのですから。
もし、上層部がアンディのHIV感染の事実を知ったとしたら?
怖がり厄介払いされた・・・
ジョーが核心を突きます「病気は隠してた?」
「そうだ。」と答えるアンディ。
しかし、あくまで仕事には自信があったアンディは受け入れられません。
チャールズ側が、表向き“アンディは無能”とし解雇した。
「ハメられた。」とアンディは考えていました。
ジョーは、そんな話は信じられず「訴訟は無理だ!」と断ります。
アンディと接触したジョーは、感染を心配して医師を訪ねます。
医師が問題ないと言っても聞かず、採血をしようとすると怖がって帰るのでした。
帰宅したジョーは、妻のリサにアンディの事を話します。
同性愛者に偏見がないリサ、片やジョーは偏見のカタマリでした。
2週間後、街はクリスマス。
HIV差別の資料を読み漁るアンディ。
「HIV」と言う言葉が静かな図書館に響きます。
アンディは個室の利用を促され、偶然居合わせたジョーが見ていました。
「そのほうが安心かい?」と職員に聞くアンディ、そこへジョーが話しかけます。
弁護士を立てずに“自分で弁護する”とアンディは決めたようです。
そんなアンディにジョーは心を動かされるのでした。
“業務が遂行可能であれば、身体障害者への雇用差別は禁止”エイズも身体障害と認められていました。
しかもアンディ以外に、ワシントン事務所で働くメリサという女性はエイズが発症していても解雇に至らなかったのでした。
6週間後、召喚状に怒るチャールズ。
早急にアンディの行動を調べるよう手配、決して不当な解雇ではないと言い張り抗戦の構えです。
アンディの母は「堂々と戦いなさい!」と、最愛の息子を応援するのでした。
7か月後、裁判が始まりました。
チャールズ側の圧力なのか、アンディは不利な立場でした。
裁判所の外では、同性愛者への抗議デモが広がっています。
これまでジョーは同性愛者に偏見を持っていましたが、アンディと出会い弁護士の使命を再認識するのでした。
しかし、彼らへの偏見、排除の根強さは計り知れないものです──
ワシントン事務所のメリサが証言します。
彼女は輸血から感染していて防ぎようがなかった、だから“自己責任は問えない”としてチャールズ側は解雇しなかったと主張します。
力になれず肩を落とすメリサ。
アンディを守ろうとする同僚の証言は続きますが、チャールズ側の弁護士・ベリンダ(メアリー・スティーンバージェン)に“差別”と誤解していると、あしらわれるのでした。
大慌てだった“消えた訴状”は資料室にあったと、秘書のオハラは涙を流して証言します。
同僚のジェミーに「訴状の紛失に関与したか?」と質問するジョー。
そして、立ち上がり「あんたはゲイか?」と怒りをぶつけるかのように攻め立てるのでした。
誰もが持つ対人間への疑問、それは同性愛者への嫌悪、恐怖も然り。
それがアンディの解雇にどう繋がったのかと、ジョーは訴えました。
その後も、同性愛を絡めた質問を続けます。
メリサがエイズだと知っていたウォルターに質問します。
「彼女は自分のせいで感染したのでは無い。」(つまり“アンディとは全く違う”)とウォルターは答えるのでした。
アンディの容体は決して良くありません。
パートナーのミゲールは、裁判に没頭するアンディが心配で堪りませんでした。
仮装パーティーを開いたアンディは、ミゲールや仲間たちと盛り上がります。
ジョー夫妻も呼ばれ、たのしい時間を過ごすのでした。
その後、ジョーは裁判の予行練習をはじめます。
アンディに質問を投げかけると、帰ってきた言葉は「裁判が終わるまで、もたないかもしれない…。」
遺書も書いたと・・・
裁判の話はせず、流れるオペラにアンディは身を委ねるのでした。
“私は生命よ”、“私は愛…”
ジョーは、まっすぐに見つめています。
家に着いたジョーは、愛娘・ラリースを優しく抱きしめました。
証言台に立つアンディ。
ボスであるチャールズを、理想の弁護士だとアンディは語ります。
私生活を持ち込むべきでは無いと判断し、ゲイである事は言わなかった。
しかも、アンディの前でチャールズたちは女性や彼らゲイを罵った出来事があったのでした。
「よかった、ゲイだと言わなくて。」
アンディは、正義の一部になれる法を愛していると皆に伝えます。
「素晴らしい感動です。」と。
ベリンダが質問をはじめます。
少し視界が歪むアンディ・・・
性交渉が原因でエイズになる事は知らなかった?
ミゲールに感染させてしまうと思わなかった?
詰め寄る質問が続き、アンディは法廷にいる人々らに色眼鏡で見られます。
事務所の仲間がアンディのシミの見て、エイズと判断したから解雇された?
「私には、そうとしか…。」と答えるアンディ。
今も耳の脇に残るシミを、アンディに鏡で見るよう迫るベリンダ。
シミは分からないほど小さく、鏡をのぞいたアンディも反論できません。
解雇された頃は顔にあった目立つシミ。
ジョーはアンディに、身体に残るシミを見せるよう求めます。
人々は、アンディの身体のシミを目にするのでした。
翌日、チャールズが証言台に立ちます。
「エイズだから解雇した訳じゃない。」
ミゲールに視線を向けるアンディ、つらい表情をしています。
またしても「あなたはゲイですか?」と質問するジョー。
「ノー!」と答えるチャールズにアンディへの恐怖心があったのではと、ジョーは畳み掛けます。
アンディは無能そして規則を破った、その結果の解雇だと強く主張するチャールズ・・・すると限界だったアンディは意識を失い倒れるのでした。
「フィラデルフィア」最後ラストの結末
病院に搬送されたアンディ、ミゲールは酷く取り乱します。
法廷では、証人のボブが「アンディをエイズだと疑っていた。」と証言します。
そして誰にも打ち明けず、アンディに聞くことすらしなかった事をボブは後悔していました。
陪審員は議論を重ねます。
チャールズはアンディの実力を買っていたはずなのに、法廷での全く違う態度に納得できない様でした。
それから3日後──評決の日。
殆どの陪審員がアンディへの賠償金、慰謝料の支払いを賛成し勝訴したジョーは喜びます。
敗訴したチャールズ側は上訴する構えです。
アンディの病室には、仲間があつまっていました。
ジョーは皆に感謝され、酸素マスクを付けたアンディも表情は嬉しそうです。
互いを称え、アンディに「じゃあ、また。」と言ってジョーは病室を出ました。
家族や仲間たちが「また明日。」とアンディにキスをして帰って行きます。
ひとり残ったミゲールに「もう逝ける…。」と言って少し微笑んだようなアンディ。
旅立ったアンディのために大勢の仲間があつまりました。
涙を流し、でもアンディを思い笑顔が溢れます。
THE END
「フィラデルフィア」見どころ
名優トム・ハンクスが同性愛者、そしてエイズ発症者を演じた社会派ヒューマンドラマです。
第66回アカデミー賞主演男優賞受賞(94年)
アメリカの都市・フィラデルフィアを“兄弟愛の街”と、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
アンディ(トム・ハンクス)を包む、大きく温かい家族愛。
劇中そして、エンディングに流れる家族のホームビデオが、その愛の深さを物語っています。
強い愛で結ばれたパートナー、LGBTの仲間たち、彼らを理解している友人。
今作は、様々な愛が描かれています。
凝り固まった偏見でしか、彼らを見ていなかったジョー(デンゼル・ワシントン)が彼らを引っ張り戦う姿はサイコーです。
バリバリ仕事をする冒頭から、エイズが発症し徐々に病にむしばまれていくアンディ。
病床に伏せる姿は胸が締め付けられるでしょう。
死が迫っている事への絶望や、戦い抜く強い心を持ったアンディを見事に演じています。
誰もが知るスター俳優のトム・ハンクスとデンゼル・ワシントン。
出番は少ないですが、アンディを見つめる“繊細で優しい目”が印象的なアントニオ・バンデラス。
まだ30代だった彼らの演技に惹き込まれ“愛と生命”、“正義と偏見”を考えさせられる不朽の名作です。
トム・ハンクスが今作とはまったく真逆の役を演じている「プリティ・リーグ」もおすすめです。
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