映画「パニック・ルーム」は、ジョディ・フォスター主演、デヴィッド・フィンチャー監督の2002年の映画です。
この映画「パニック・ルーム」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
「パニック・ルーム」でゾクゾクする緊迫感とスリルをご堪能ください。
「パニック・ルーム」あらすじ
離婚したばかりのメグ(ジョディ・フォスター)は、娘・サラ(クリステン・スチュワート)を連れて、新しい引っ越し先の下見に出掛けます。
案内されたタウンハウスには、「パニック・ルーム」と呼ばれる緊急避難用の部屋が設置されていました。
引っ越しを済ませ、母子の新たな生活が始まったその晩、3人の侵入者が現れます。
3人の目的はそのパニックルームにある隠し財産だったのです。
3人組とメグとの戦いが始まります・・・
「パニック・ルーム」ネタバレ
夫が三流モデルと不倫したために離婚したメグ・アルトマン(ジョディ・フォスター)は娘のサラ(クリステン・スチュワート)と住む為の新しい家を探しに来ました。
不動産業者に案内されたのは広さが390㎡、4階建てでエレベーターまでついている邸宅でした。
中を見せてもらっている時、メグは3階の一室が狭い事に気が付きます。
「貴方はなかなか鋭い」
そう言って業者が見せてくれたのは鏡の後ろに作られた隠し部屋「パニックルーム」でした。
災害や強盗対策に一時的に避難できる場所で、壁はコンクリート製、電話は別配線で換気ダクトもあり、開閉扉は電池で動くので停電時にも作動します。
監視カメラのモニターもありましす。
外の音声は聞こえませんが、ルームから外にはマイクでメッセージを伝えることができます。
前の持ち主・パールスティン氏は資産家でしたが足の悪い老人だったので、このような部屋を用意していたのです。
「娘さんと二人きりの家で、こんな部屋があったら安心でしょう?」
そう言われてメグはこの家の購入を決めます。
引っ越しの日、メグとサラは荷物をかたづけ、簡単な食事をし、サラは一足先にベッドに入りました。
メグはワイングラス片手に荷物の片づけを続けていましたが、思い出が胸の内にこみあげてきてなかなか進みません。
気分転換に湯船につかっていても、思わず泣きそうになってしまいます。
気を取り直し、防犯装置の設定をして、その日は眠る事にしました。
その日の夜中、家の周りをうろつく不審な人影がありました。
不審者たちは中の様子を伺い、外の非常階段とはしごで天井までのぼり、天窓から通風口をこじ開け、慣れた様子で防犯装置を解除して中に入ってきてしまいました。
中に入ってきたのはバーナム(フォレスト・ウィテカー)、ラウール(ドワイト・ヨアカム)、ジュニア(ジャレッド・レト)の3人組でした。
一味の一人であるジュニアは前の住人であるパールスティン氏の甥でした。
黒人のパーナムはジュニアの知り合いで、かつては警備会社に務めており、パニックルームの設計にも携わっていました。
もう一人のラウールはジュニアが急遽連れてきた助っ人で、パーナムは「信用できない」と不安がっていました。
ジュニアはパールスティン氏がこの家に残した隠し財産のありかを知っており、それを秘かに持ち出そうと忍び込んできたのです。
中に入ってみて3人は既にメグやサラが越してきていたことに驚きます。
計画ではこの家は無人のはずでした。(ジュニアは法律で売買してはならない「第三者保管期間」の14日に土日をカウントしておらず「14日=週5日として実質3週間」と勘違いしていました。そのために期間を過ぎ、家は売られていたのです)
住人がいたことで不安になり、パーナムは計画を中止しようと言い出します。
どうしても金を手に入れたいジュニアと揉めだしますが、家族の為には金が要るだろうと言われ、しぶしぶ計画続行を決めます。
「住人と言ったって女二人だ。要は通報させなけりゃ大丈夫だ」
3人はサラとメグの部屋を探して階段を上り始めました。
メグはベッドに入ったものの寝つけず、トイレに行ったついでにパニックルームの電気を消しに行って、階段を映している監視カメラ映像で侵入者に気付きました。
メグは4階へ行ってサラを叩き起こし、逃げるようせき立てます。
廊下でラウールと会ったメグとサラはエレベーターに乗り込み、1階へ降りようとします。
しかし、先回りをされそうになったので緊急停止して3階に行き、パニックルームに飛び込みました。
取り敢えず侵入者に捕まる危険は無くなったもののメグはすぐに困っていました。
まだ監視カメラの設定しかしておらず、パニックルーム内では電話もまだ通じなかったからです。
メグは拡声器で部屋にいる3人に「警察に通報した。早く出て行け」と言いますが、電話を開通させた記録がないと事前に調べていたバーナムに嘘だとばれました。
パニックルーム内に外からの音は聞こえないので、バーナムはジェスチャーで「そこに電話はない(電話は通じていない)」と告げ、さらに紙に文字を書き「欲しいものはその部屋にある」と示しました。
実は、隠し財産はパニックルーム内の隠し金庫の中にあったのです。
あせったジュニアとラウールは床を壊して侵入しようとしますが「あの部屋の周りは8センチの鉄板で囲まれている。そんな方法で侵入されるようなパニックルームを作ると思うか?」とパーナムは呆れるばかりでした。
メグとサラもパニックルームの中に閉じこもったとはいえ、安心はできませんでした。
サラは1型糖尿病(小児糖尿病)を患っており、血糖値が下がるとインスリン注射をしなくてはなりません。
メグも閉所恐怖症の気があり、狭い所に長時間閉じ込もる事はできないのです。
困った3人は、まずはたとえ出てきても家の外にはいけない様に家中の窓と扉を釘づけにしました。
そして、パーナムが壁をはがし、穴をあけてそこにガスボンベに繋いだホースを差し込んでガスを送り始めました。
臭気に気が付いたメグは換気口をテープでふさごうとしまうが、ガスの勢いが強く剥がれてしまいました。
外の3人は、これで隠れても無駄だと思い、中から出てくると思っていました。
しかし、ここでメグは強硬手段に出ます。
サラと自分を防火布で覆うと、ガスが入って来る換気口の奥に緊急用備蓄箱の中にあったライターを突っ込み、点火したのです。
ガスは引火して青い炎となり、逆流してきました。
ボンベにも引火して吹っ飛び、様子を伺う為に壁に耳を付けていたジュニアは爆発で吹き飛ばされ、右腕が燃えだしました。
「くっそー、あのアマ~、絶対に引きずり出してやる」
怒り狂うジュニアを、ラウールは部屋から連れ出し相談を始めました。
「自分の取り分を増やせ。半分だ」
「お前の連れてきたおっさん(パーナム)が足を引っ張っている。だまらせろ」
それを聞いてジュニアは呆れました。
「ラウール、お前はただのバスの運転手だろう。映画のセリフをまねて悪党ぶってんじゃねぇ!」。
一方、パニックルームの床の端に小さな換気口を見つけたメグとサラは、そこから懐中電灯で向かいの部屋にSOSのモールス信号を送り続けていました。
しかし、向かいの住人は窓際まで来たものの、降りしきる雨のせいで光は見えず、ブラインドを閉めてしまいました。
がっかりしたサラがモニターに目をやると、パニックルーム前の部屋に誰もいない事に気付きました。
寝室まで行けば携帯電話があります。
しかし、他の監視カメラにラウールとジュニアは映っていますが、パーナムは何処にいるか分かりません。
捕まる可能性もあります。
それでもメグは可能性に賭ける事にしました。
パニックルームのドアを開け、そっと寝室に入り込んだメグは床を這いつくばって携帯電話を探しました。
そしてベッドの下にあった電話を見つけましたが、手に取る時にコードをひっかけ、電気スタンドを倒してしまいました。
その音に気付いた3人は慌てて戻ってきました。
寸での所でパニックルームに滑り込んだメグでしたが、分厚い鉄板に囲まれた部屋では電波が入らず、電話は通じませんでした。
そこでメグはメインの電話線を直接引っ張り込んで電話をかけようとします。
それに気が付いたパーナムは電話線を引きずり出そうとしますが間に合いませんでした。
電話線を引き出して電話機に繋いだメグは、まず警察にかけますが、保留にされてしまいます。(通報者を落ち着かせるため、わざと保留にする事があるそうです)
次にメグが掛けたのは元夫のスティーブンの所でした。
しかし「助けて!家に男達が・・・」と言ったところで電話線を切られてしまいました。
スティーブンが助けてくれるか半信半疑の状況のなか、サラが「実はめまいがするの…」と言い出します。
血糖値が下がってきたのです。
メグは「大丈夫よ。落ち着いて・・・」と言いながら、非常食の中に血糖値を上げられるものがないか探し始めました。
その頃、外にいたジュニアが騒ぎ出しました。
「もう沢山だ。俺はこの件から下りる。匿名の電話をして金庫の存在を知らせれば80~90万は手に入る筈だから十分だ」
それを聞いたパーナムがいきり立ちます。
「相続税を引いて、相続人全員で分けてその額って事は、金庫の中に入っている隠し財産は最初に言っていた300万より随分と多いんじゃないか?」
金額をごまかして取り分を多くしようとしていた事がばれたジュニアは慌ててその場を立ち去ろうとしますが、ドアを出る直前でラウールに撃たれてしまいます。バーナムも銃を突きつけられて脅され、計画続行を強制させられます。
そこへ一人の男がやってきます。
全員状況が読めないままに取り押さえられた男はラウールに殴られながら警察に通報したかどうか聞かれますが、「通報していない」と力なく答えるだけでした。
その時、男の財布を調べていたバーナムが身分証をカメラに掲げました。
その映像を見たメグは震え上がります。
男は元夫・スティーブン(パトリック・ボーショー)だったのです。
更にサラの血糖値が下がり、意識混濁や痙攣の症状まで出てきました。
意を決し、サラは2人のスキをついてインスリンを保管している冷蔵庫に向かいます。
インスリンは手に入れたもののスティーブンの服を着たラウールに出しぬかれてしまいます。
バーナムとラウールが替わりに入り込み、メグはもみ合いの中でインスリンをパニックルームに投げ込んだものの、サラを中に残したまま放り出されてしまいます。
しかし、扉を閉めた時にラウールは手を挟まれ、銃も外に置き忘れてしまいました。
メグは半狂乱になりながらパーナムに「娘に注射を打って!」と要求し、ドアを蹴り続けました。
手を挟まれているラウールは蹴られる度に悲鳴を上げ、耐えかねたパーナムは「1階に行ったら打ってやる」と言います。
言う通りにメグが1階に行くと、その隙にドアをあけてラウールを開放し、約束通りサラにインスリン注射をしてやりました。
その時、家にドアチャイムが鳴ります。
警察が2人来ていました。
スティーブンは通報してから訪ねていたのです。
メグはカメラ越しに「任せろ」とジェスチャーして上着を羽織ると、寝ていたふりを装って警官に応対しました。
何も起こっていないふりをして追い返そうとしますが、巡査に「『3』と言いかけて切れたらしいですが、何を言おうとしたのでしょう?」と聞かれ。
「夫と別れて新居で初めての夜。酒飲んで弱気になってつい電話して〝もしベッドに来てくれたら3つのことをしてあげる〟と言おうとしたわ。しかし途中で正気に戻って切ったの。だから〝3と〟は私だけの秘密」
とメグはごまかします。
それでもキーニー巡査は「今言えない状態にあるのなら、合図をしてください。まばたきするとか」と食い下がりましたが、メグは何も合図しないで帰しました。
「パニック・ルーム」ラスト最後の結末
パニックルームの中では、パーナムが金庫を開ける準備を着々と進めていました。
その時、モニターを見ていたラウールは監視カメラが次々と壊されている事に気付きます。
しかし、パーナムは「お前が銃を持ってきたから強気になっているんだ」と怒鳴りつけて、再び作業に戻りました。
やがて金庫が開き、2重底の奥には無記名の銀行債2200万ドル分が隠されていました。
それを懐に忍ばせ、サラを人質にしてパーナムとラウールは家から出てゆこうとします。
床には割れた鏡が撒き散らされていました。(メグが家中の鏡を割ってバラまいたのです)
2階に降りてくると、椅子に縛り付けられたスティーブンが銃を構えて狙っていました。
「娘を放せ」
とスティーブンが注意を引いている隙に、鏡の音で2人の動きを伺っていたメグが近寄って来てハンマーでラウールを殴りつけ、階下に叩き落しました。
パーナムは逃げ、塀を越えて逃げようとしますが、サラの悲鳴を聞いて立ち止まります。
ラウールが2階まで這い上がって来てメグに掴みかかってきたのです。
殴り倒され、組み付いていったサラも殴り飛ばされ、側にあったハンマーでメグの顔が潰されようとする寸前、ラウールの頭が撃ち抜かれました。
戻って来たパーナムが銃を拾って撃ったのです。
その時、警官隊が突入してきました。
パーナムは再び裏から逃げようとしますが、包囲され手を上げました。
懐からは盗んだ銀行債がこぼれ落ち、風に乗って舞い散っていきました。
何日か後、メグとサラは公園のベンチに座り、穏やかな光に包まれながら物件情報が載った雑誌を読んでいました。
今度は、本当に安心して住める家を探す為に・・・
THE END
「パニック・ルーム」見どころ
夫であり父であったスティーブンの不倫により二人で暮らす羽目になったメグとサラに突然の災難が降りかかります。
侵入者であるジュニア、ラウール、パーナムの3人は、最初は人を傷つけたり脅したりする気は全くなく、ただ無人の家に入り込んで隠し財産を盗むだけのつもりでした。
ジュニアは楽をして金を手に入れたいと思っているだけの人間です。
パーナムは最後まで流血沙汰は避けようとし、血糖値が低くなって意識が混濁していたサラを助けたりもしています。
ジュニアに「養育費で困っていただろう」と言われたり、サラにインスリンを打ちながら「娘もこんな立派な家に住まわせてやりたかった」と語っていることから、離婚などで離ればなれになった自分の娘とサラを重ね合わせていたのかもしれません。
ラウールは金の為なら悪事も厭わないようですが、追いつめられると慌てふためいている事からプロの犯罪者という訳ではないようです。
しかし、メグやサラには彼らの性格や目的は分かりません。
突然、家の中に入り込んできた3人に只々怯えるばかりです。
しかし、ただ縮こまって隠れていた訳ではありません。
パニックルーム内にガスが送り込まれれば、それに火をつけて逆に攻撃します。
パニックルーム内にサラが低血糖の発作が出た状態で取り残されてしまった時は半狂乱になって、パーナムに自分の代わりにインスリンを打つように半ば命令します。
男3人は銃などを使ったりするものの、終始「警察に通報されないか?」「あの二人を中から出す方法はないか?」とオロオロ考えていたのに対し、知恵を絞ったメグやサラの反撃は見事でした。
それどころか、彼女たちの方が実は好戦的だったようさえ思われます。
サラがパニックルームの中に取り残されても攻撃の手を緩めず、カメラを破壊しながら家中をハンマーを抱えて歩き回る姿はメグの怒りの強さが現れています。
もしかしたら、普通の母娘だったらおとなしくパニックルームから出てきて、3人もすんなり金庫の中身を頂いて逃げていただけで終わったのかもしれません。
それを思うと、不運だったのはメグとサラなのか、あるいはジュニア、パーナム、ラウールの方だったのかと考えないではありません。
知的なようで、実は攻撃的。
おとなしい女性のようで、少し隙を見せると裏をかかれてしまうという、芯が強く油断のならない女性の雰囲気にジョディ・フォスターはぴったりでした。
そして、この作品では全体的に音がとても少なく、夜の静かな空間の中で事件が起きている様子が感じられました。
どこへも行けない密室空間でのストーリー展開は、同じくジョディ・フォスター主演の「フライトプラン」と似ています。
か弱い女性2人が不気味な3人の侵入者にどう立ち向かうという、よくありがちな話かと思っていたら、追い詰められたメグがブチ切れた時の一か八かの攻撃に驚かされてしまう、見ごたえのあるサスペンス映画でした。
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