映画「漫才ギャング」は、佐藤隆太、上地雄輔主演、品川ヒロシ監督の2011年の日本映画です。
この映画「漫才ギャング」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
売れない漫才師とストリートギャングが漫才コンビになる「漫才ギャング」をお楽しみください。
原作は、お笑い芸人の品川祐(品川ヒロシ)の小説です。
■ スタッフ
監督: 品川ヒロシ
製作: 「漫才ギャング」製作委員会
脚本: 品川ヒロシ
撮影: 北信康
音楽: 林祐介、御供信弘■ 主要キャスト
黒沢飛夫:佐藤隆太
鬼塚龍平:上地雄輔
宮崎由美子:石原さとみ
石井保:綾部祐二(ピース)
金井:宮川大輔
成宮寛貴
金子ノブアキ
岩崎:大悟(千鳥)
デブタク:西代洋(ミサイルマン)
小淵川:秋山竜次(ロバート)
城川:新井浩文
門倉:笹野高史
「漫才ギャング」あらすじ
お笑い芸人を夢見る黒沢飛夫(佐藤隆太)は、ある日相方の石井保(綾部祐二)に解散したいと言われてしまいます。
借金があって・・・と話す保(綾部祐二)ですが、全く納得できない飛夫(佐藤隆太)は酒を飲み酔っ払ったままの状態で彼の家に押しかけました。
ところがそこで取り立て屋の金井(宮川大輔)に出会ったことで、飛夫(佐藤隆太)の人生がまた新たなスタートを切ります。
漫才がやりたいんだと踏み出した彼の人生は、どのようにして流れていくのでしょうか―――?
「漫才ギャング」ネタバレ
酔っ払い金井(宮川大輔)に殴られたことで、彼に吐瀉物をかけてしまった飛夫(佐藤隆太)。
怒り狂った金井(宮川大輔)に蹴り飛ばされ意識を無くし、次に目覚めたのは留置所の中でした。
飲酒した翌日は腹を下しやすい飛夫(佐藤隆太)は、トイレに行きたいと訴えますが、無情にもそれは却下されてしまいます。
格子の中にある簡易トイレに済ませろ、と言われてしまうのです。
音や匂いどころか姿すらも完全には隠せない部屋の隅での排便に戸惑いつつも、どうにも堪えきれない腹の痛み・・・。
飛夫(佐藤隆太)は同室の男に大きく目立つ刺青があることにビビリながらもトイレに向かいます。
出来るだけ静かに用を足そうとするも抑えきれない音が鳴り響き・・・
そこで男が抜群のタイミングで突っ込んできました。
その言葉は内心飛夫(佐藤隆太)が思っていたものと寸分違わず同じもの。
その後、男と話す事でツッコミポテンシャルが高い事に気付いた飛夫(佐藤隆太)は、彼を漫才に誘います。
意外と気軽にその誘いに乗ってきた男。
こうして飛夫(佐藤隆太)は、解散した翌日に新たな相方を得る事が出来たのでした。
男の名前は鬼塚龍平(上地龍平)。
街の荒くれ者・スカルキッズとの抗争で捕まり留置所に入っていた龍平(上地雄輔)は、飛夫(佐藤隆太)になぜ漫才師を目指したのかを聞きます。
高校時代から友人もおらず、毎日が色褪せて見えていた飛夫(佐藤隆太)を変えたのは、深夜に流れたあるコンビの漫才でした。
死ぬほど笑って、そして彼は自分には漫才しかないと心を決めたのです。
新たなコンビが生まれていた頃、保(綾部祐二)は帰宅したところを金井(宮川大輔)に捕まっていました。
車に乗せられ、返済の為のプランを聞かされる保(綾部祐二)。
それは工事現場に住み込みで働いて借金の返済をしていくというもの。
二年もあれば完済できる、と聞かされた保(綾部祐二)は最初抵抗しますが、金井(宮川大輔)が飛夫(佐藤隆太)に吐瀉物の慰謝料を請求するというのを聞くと一転決心を固めます。
自分がその慰謝料分も働いて返すので飛夫(佐藤隆太)の事は許してやってくれと頼むのです。
元相方だから・・・自分の勝手でコンビを解散してしまったから・・・という自責の念が彼にはあるようです。
留置場に飛夫(佐藤隆太)を迎えに来てくれたのは、元恋人の宮崎由美子(石原さとみ)です。
漫才に集中したい、という飛夫(佐藤隆太)の言葉で別れた二人は、久しぶりの再会に少し距離を感じさせながら、一緒に駅まで歩きます。
飛夫(佐藤隆太)は保(綾部祐二)とのコンビを解散したこと、新しいコンビを組んだことを話し、今度舞台に立つときは見に来て欲しいと彼女に伝えました。
すると由美子(石原さとみ)は嬉しそうに頷いてくれるのです。
別れても由美子(石原さとみ)の心には飛夫(佐藤隆太)が住み続けていたのでした。
すぐに龍平(上地雄輔)を訪ねて彼の職場へ向かう飛夫(佐藤隆太)。
龍平(上地雄輔)は風俗店で友人のデブタク(西代洋)と一緒に働いています。
お互いの名前から一文字ずつとって「ドラゴンフライ」というコンビ名ではどうか?と訪ねる飛夫(佐藤隆太)に龍平(上地雄輔)は一喜一憂しながら賛成してくれました。
こうしてここに、新たな漫才師「ドラゴンフライ」が生まれたのです。
仕事終わりを待って、三人は決起集会のようにして飲みに向かいます。
ところが、その道中再びスカルキッズに囲まれてしまう龍平(上地雄輔)。
スカルキッズの実質的リーダー城川(新井浩文)は執拗に龍平(上地雄輔)に絡んでくるのです。
そんな城川(新井浩文)に唯一反抗的な岩崎(大悟)は、多勢で龍平(上地雄輔)を襲う彼に嫌味ったらしい言葉を吐きますが、内部分裂の間に逃げようとしていた飛夫(佐藤隆太)と違い血の気の多い龍平(上地雄輔)は真正面から喧嘩を買ってしまいました。
あっという間に乱闘が始まります。
みるみる間に相手を倒していく龍平(上地雄輔)ですが、城川(新井浩文)は更に仲間を連れてくるためキリがありません。
騒ぎに警察の声も聞こえてきた為、それを潮時に三人は逃げ出したのでした。
飛夫(佐藤隆太)と龍平(上地雄輔)は早速漫才の練習を始めます。
夜の公園に集い練習を繰り返すことでどんどん距離を縮めていく二人。
その日の夜は龍平(上地雄輔)が飛夫(佐藤隆太)の部屋に泊まり、一緒に朝を迎えました。
その眠りを妨げたのは乱暴に打ち鳴らされる玄関ドアの音。
金井(宮崎由美子)が借金の取立てにやってきたのです。
保(綾部祐二)ほどではありませんが飛夫(佐藤隆太)にも借金がある様子。
急かされ、仕方なく開けた玄関に現れたのは予想外の人物でした。
飛夫(佐藤隆太)が憧れた漫才師・元ダークスーツの河原(長原成樹)だったのです。
芸人続けたいんなら借金はちゃんと返さんと、と話す河原(長原成樹)は終始落ち着いて話をしてくれますが、龍平(上地雄輔)と金井(宮崎由美子)の相性が悪く・・・
初対面なのにすぐに喧嘩腰になる二人を宥める飛夫(佐藤隆太)に、河原(長原成樹)は二日だけ待つと言って帰っていったのでした。
とりあえずは15万、と言われたものの飛夫(佐藤隆太)にそんなお金はありません。
困った彼は由美子(石原さとみ)を呼び出します。
一緒に部屋にいるうちに、正直な気持ちが漏れ出した飛夫(佐藤隆太)は正直に気持ちを話し始めました。
自分から別れを切り出したくせに、失ったことで彼女がいかに大事な存在だったか気づいたと話す飛夫(佐藤隆太)の言葉に涙ぐみ顔を伏せる由美子(石原さとみ)。
彼女は飛夫(佐藤隆太)の子供を身篭っていたのです。
けれどそれが分かったのは二人が別れてからの事・・・
彼女は一人で悩み続けていたのでした。
その事実に飛夫(佐藤隆太)は彼女を抱きしめ、一人で悩ませていた事を謝ると、結婚を申込みます。
こうして二人はまた以前と同じように、一緒のベッドで眠りについたのでした。
翌朝やってきた龍平(上地雄輔)は、飛夫(佐藤隆太)の借金が一括返済できるだけのお金を持ってきます。
それはデブタク(西代洋)の貯金でしたが、これを借りて金融屋の借金は終わらせろ、と言うのです。
それを聞いた由美子(石原さとみ)がその借金の支払いを申し出ました。
彼女は、飛夫(佐藤隆太)には漫才しかないからそれに集中できるようにと貯金をしていたと話すのです。
私たち家族になるんでしょ、と笑顔で話す由美子(石原さとみ)に深く頭を下げ、飛夫(佐藤隆太)はその足で金井(宮崎由美子)と河原(長原成樹)に会いに行き、借金を完済したのでした。
飛夫(佐藤隆太)と龍平(上地雄輔)は劇場主催のコーナーに出演します。
お笑い登竜門というそのコーナーは観客からのアンケートで過半数の面白いという声を、10週連続で獲得できたらレギュラー出演が決まる、というものです。
順調に勝ち続けていくドラゴンフライ。
会場は笑い声に包まれ、二人のネタは大勢の人に受け入れられたのでした。
そのことが嬉しい龍平(上地雄輔)。
これまで夢を持ったことがなく努力すらもしたことがない彼にとって、飛夫(佐藤隆太)との毎日は充実した何者にも代え難いものとなっていました。
ところがそんな龍平(上地雄輔)に執拗に絡むのが城川(新井浩文)です。
デブタク(西代洋)を捕まえると、一人逃げるはずのない龍平(上地雄輔)に土下座を強要する城川(新井浩文)。
もう喧嘩はやめたんだ、という龍平(上地雄輔)の言葉に納得せず、膝をついた彼の顔を地面に押し付けると一歩的に蹴りをいれ、お前が喧嘩やめようが見つけたらいじめてやるよ、と言い放つのでした。
龍平(上地雄輔)が喧嘩をやめたことが気に入らない城川(新井浩文)が目をつけたのは飛夫(佐藤隆太)です。
彼に暴行を加えれば龍平(上地雄輔)が黙っていないことが分かっている城川(新井浩文)は、飛夫(佐藤龍平)を拉致すると思い切り殴りつけます。
それでも飛夫(佐藤隆太)は引きません。
あいつはもうお前らとは違う!そう言って城川(新井浩文)にしがみつき、龍平(上地雄輔)には手を出すな!と叫びながら殴られ続けるのでした。
そのことを知った龍平(上地雄輔)は、城川(新井浩文)を探していつも自分たちが練習している公園へと向かいます。
そこで城川(新井浩文)は、古淵川(秋山竜次)というコスプレキャラの男が買ってきたプラモデルを取り上げ、理不尽な要求をしている最中でした。
怒り狂っている龍平(上地雄輔)を見て、お前お笑い芸人なんだろ?とうすら笑いを浮かべる城川(新井浩文)。
もう辞めた、と話す龍平(上地雄輔)は、暴力解禁だー!と叫ぶとそのままの勢いで拳を握ります。
あっという間に何人ものメンバーを殴り倒し、残るは城川(新井浩文)と岩崎(大悟)のみとなりました。
この場面でも前に出てこようとしない城川(新井浩文)は岩崎(大悟)に相手させて、決して龍平(上地雄輔)の正面に立とうとはしません。
そんな彼に呆れながらも岩崎(大悟)と龍平(上地雄輔)の戦いが始まりました。
思っていた以上に強い岩崎(大悟)でしたが、何度殴られても向かうことをやめない龍平(上地雄輔)はボロボロになりながらもなんとか勝利を収めます。
ところが、そんなボロボロ状態の龍平(上地雄輔)を城川(新井浩文)は待っていたのです。
手下に彼を押さえつけさせると、絶対的に安心な距離からナイフを取り出し龍平(上地雄輔)に近付きます。
二度とお笑いなんて言い出さないよう顔に傷つけてやる。
そう口にしながら近付いてくる城川(新井浩文)に飛びかかったのは、なんと古淵川(秋山竜次)でした。
彼は城川(新井浩文)がプラモデルを踏み潰した事で理性の箍が切れてしまったのです。
あっという間に城川(新井浩文)にのしかかると、夢中で殴り続けます。
こうして意識を失った城川(新井浩文)に、ナイフを持って近付こうとしている龍平(上地雄輔)。
もう彼の頭は城川(新井浩文)を刺すことでいっぱいになり、虚ろな目のままよろよろと近付きます。
そんな龍平(上地雄輔)を止めたのも古淵川(秋山竜次)でした。
もとに戻せなくなっちゃうだろ!と叫ぶ古淵川(秋山竜次)の言葉に、飛夫(佐藤隆太)との日々を思い出す龍平(上地雄輔)。
ナイフを地面に叩きつけ龍平(上地雄輔)は自分を取り戻したのでした。
「漫才ギャング」最後のラスト結末
しかしこの乱闘が原因で、今度こそ拘置所送りとなってしまった龍平(上地雄輔)。
これにより2~3ヶ月は自由のきかない身となる龍平(上地雄輔)に、飛夫(佐藤隆太)が面会に来ました。
一緒に漫才の大きな大会に出ると言っていたのに、自分がヤラれてしまったからだと感じている飛夫(佐藤隆太)に龍平(上地雄輔)は言います。
もとの相方と組めよ、と。
彼は城川(新井浩文)のもとに向かう前に保(綾部祐二)に会いに行っていたのです。
飛夫(佐藤隆太)と保(綾部祐二)の漫才を繰り返し見ていた龍平(上地雄輔)にとって、いつの間にか目標は保(綾部祐二)となっていました。
才能ある飛夫(佐藤隆太)をここで潰すわけにはいかない、と頭を下げに行っていた龍平(上地雄輔)。
そんな彼の熱意を感じ、また自分自身の後悔もあって、正式にコンビの再結成を申し込んできた保(綾部祐二)に、飛夫(佐藤隆太)は混乱しています。
解散を告げたのと同じ居酒屋で項垂れる保(綾部祐二)の隣にはなぜか金井(宮川大輔)もいて・・・。
彼から、保(綾部祐二)が理不尽な慰謝料を黙ってかぶっている事を聞かされた飛夫(佐藤隆太)は、余計に頭が混乱してしまいます。
自分を守る為に拘置所に入った龍平(上地雄輔)と、自分の為に慰謝料をかぶってくれていた保(綾部祐二)・・・
どちらかを選ぼうとするとどちらかのことが引っかかり・・・
なかなか煮え切らないまま悩み続けた飛夫(佐藤隆太)が出した結論は―――?
6ヶ月後。
ブラックストーンとして再結成した飛夫(佐藤隆太)と保(綾部祐二)は、漫才大会で好成績をおさめ、今や養成所の特別講師を頼まれるほどになっています。
その養成所で飛夫(佐藤隆太)は龍平(上地雄輔)と再会したのです。
何故か龍平(上地雄輔)と同じ髪型にした古淵川(秋山竜次)も一緒に入所していて、保(綾部祐二)を含む四人は久しぶりの再会を喜んでいます。
久しぶりに会った龍平(上地雄輔)はきちんと敬語で飛夫(佐藤隆太)に接し、後輩としての立場をわきまえている様です。
彼は、いつか飛夫(佐藤隆太)が言った、人は変われるという言葉を胸に自分の人生の舵を大きく切ったのでした。
完。
「漫才ギャング」見所ポイント!
公開が2011年3月19日だったことで、東北の大震災の影響を少なからず受けた作品です。
【ドロップ】に続く、芸人・品川ヒロシ監督の第二作!という触れ込みもあって期待された作品でしたが、興行成績的にはそこまで伸びなかったようです。
地震の影響で休館や営業時間短縮した映画感が少なくなかった、というのは仕方がないことですね。
舞台挨拶などで行われた募金は、義援金として寄付されたんだそうです。
水嶋ヒロ、成宮寛貴などのイケメン俳優を用いた前作に比べ吐瀉物や排便など、少し気分を害してしまうような下ネタが多い今作は、正直人を選ぶとは思います。
しかし漫才シーンはさすが芸人さんが作る映画ということでとても面白かったです。
宮川大輔さんや秋山竜次さんを始めとして芸人さんもたくさん出てくるこの作品で、漫才師を演じることにとても緊張していたという佐藤隆太さんですが、彼独特の間や喋り方で完成させられた漫才に物足りなさなどはありませんでした。
セリフや演出の其処此処にデジャヴを感じる新しさのない物語ではありましたが、佐藤さんと上地さんの掛け合いや宮川さんの癖のあるキャラなど充分楽しめる映画ですよ。
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