映画「記憶にございません!」は、中井貴一主演、三谷幸喜監督の2019年の映画です。
この映画「記憶にございません!」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
記憶喪失の総理大臣を描いたコメディ「記憶にございません!」をお楽しみください。
「記憶にございません!」キャスト・スタッフ
■ スタッフ
監督: 三谷幸喜
脚本: 三谷幸喜
制作: 石原隆 他
製作総指揮: 前田久閑 他
音楽: 荻野清子
撮影: 山本英夫■ 主要キャスト
黒田啓介: 中井貴一
井坂: ディーン・フジオカ
鶴丸大吾: 草刈正雄
スーザン・セントジェームス・ナリカワ: 木村佳乃
黒田聡子: 石田ゆり子
番場のぞみ: 小池栄子
寿賀さん: 斉藤由貴
山西あかね: 吉田羊
大関平太郎: 田中圭
南条実: 寺島進
黒田篤彦: 濱田龍臣
「記憶にございません!」あらすじ
記憶を無くしてしまった総理大臣、黒田啓介(中井貴一)
金や権力にしか興味のない男が、普通のおじさんになってしまいます。
そして自分が国民に嫌われていることを知りショックを受けます。
黒田の側近は、記憶喪失の事を隠し、日々の公務をこなしていくのですが、黒田にもある変化が生まれ始めるのです。
果たして・・・
「記憶にございません!」ネタバレ
病院のベッドで目が覚めた男(中井貴一)。
一切の記憶がなく、自分が誰だか、何故ここにいるのか分かりません。
パニックになって病院を抜け出し、街をさ迷います。
すると、酔っ払いのサラリーマンに絡まれ、身を隠そうと入ったラーメン屋では「金なんて言いからサッサと出ていけ!」と追い出されてしまいます。
ついには群衆に囲まれてしまい、居合わせた警官・大関(田中圭)に助けられますが、礼を言っても「お前、約束なんか守った事ないしな~」と言われてしまう始末です。
ふとテレビを見ると、ニュースに自分が映っていました。
何と、自分は首相で演説中に投石を受けて病院に運ばれたと言うのです。
自分がこの国の最高権力者であること、 そして石を投げつけられるほどにすさまじく国民に嫌われていることにショックを受けていると、突然に部下らしき男(ディーン・フジオカ)とSPが迎えにきて、官邸に連れて行かれます。
男は秘書官の井坂と名乗り
「貴方の名前は黒田啓介、第百二十七代内閣総理大臣です。 支持率2.3%の最低記録を打ち出し、国民からは史上最悪のダメ総理と呼ばれています。 総理の記憶喪失は、トップシークレット、我々だけの秘密です」
と告げました。
真実を知るのは秘書の井坂、番場のぞみ(小池栄子)、野々宮万作(迫田孝也)の3名のみ。
家族にも秘密です。
その為、公邸で真っ先に出くわした料理人・ 寿賀さん(斉藤由貴)を妻と思って抱きしめたり、そのあとで迎えた妻・聡子(石田ゆり子)を思いきり抱き締めて気味悪がられたり、一人息子・篤彦(濱田龍臣)に普通に挨拶して驚かれたりとヒヤヒヤし通しです。
一夜明けて公務を再開しますが、閣僚たちの顔も忘れているのでイマイチ話や行動がかみ合いません。
特に官房長官で影の実力者・鶴丸大吾(草刈正雄)は態度が急変した黒田を不審がリ、あわよくば政権を奪い取れないかと探りを入れ始めます。
また、首相夫人の聡子も病院から戻った夫の態度に疑問をもっていました。
「もしかして、あの人は私たちの不倫関係に気付いていて、わざと苦しめようとしているのかしら?」
相談した相手は秘書官の井坂でした。
実は聡子の相手は井坂だったのです。
聡子は黒田が自分達の関係を既に知っているかもしれないと思っており、本当の事を言えない井坂は苦悩するばかりでした。
その頃、黒田は対立する野党の党首・山西あかね(吉田羊)に呼び出されて都内のホテルの一室に向かいます。
会って暫くすると突然にあかねは色っぽくなり、黒田に抱きついてきました。
彼女は表向き黒田の敵ですが、実は愛人だったのです。
また、公邸の自分の部屋で寛いでいる時に隠されていた携帯電話が鳴ります。
とってみると相手はタブロイド紙のフリーライター・古郡祐(佐藤浩市)で、スペイン風居酒屋に密かに呼び出されます。
取り敢えず指示された場所に出向いてみると、全く身に覚えがないスキャンダルをネタに3千万円を要求されます。
分からない事だらけ、記憶にない事だらけの日々に翻弄される事に嫌気がさした黒田は、小学校時代の恩師・柳友一郎(山口崇)を呼び出し、政治をはじめとした社会科の勉強を学び直しだします。
そして、これまでナァナァで進めていた政策も、忖度することなく自分の思うように進めるようになります。
これまでとは違って信念をもって行動する黒田の事を、記憶喪失を知らない周囲の人間達のみならず秘書たちも見直し始めます。
やがて、かねてから進めていた米国大統領との会談に臨みます。
来日したのは米国史上初の日系女性大統領・スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃)です。
ゴルフ、会食と和やかに進みますが、食事の後に持ち出されたアメリカンチェリー自由化の提案は「私には日本のさくらんぼう生産者を守る義務がある」と承諾しませんでした。
井坂や外務大臣・牛尾(飯尾和樹)からは非難されますが、翌日の記者会見でスーザンは「日本流に言うと“腹を割って話す”態度が気に入りました!新しい日米関係がここから始まるのです」と称賛されます。
思わぬ黒田の快進撃が、党首交代を目論む鶴丸には面白くありません。
黒田が石をぶつけられて記憶喪失になった事を探り出し、現閣僚の名前と顔が分かるかとテストを持ちかけますが、実は密かに猛勉強していた黒田は卒なく答えてしまい計略は失敗に終わります。
次に鶴丸は、古郡を動かして聡子と井坂の不倫スキャンダルを暴露させます。
驚いた聡子は寿賀さんから教えてもらった秘密トンネルを使って公邸を抜け出して姿を消してしまいます。
黒田は国会中継を通して「愛している。戻ってきてほしい」と訴えます。
その言葉に感動した聡子は黒田の元に戻り、井坂は知らん顔を決め込みます。
「記憶にございません!」ラスト最後の結末
計略が立て続けに失敗し、焦った鶴丸は最後の手段として「再び黒田を狙撃しよう」と秘書に命じます。
官邸のベランダから観衆に演説をしようとしていた黒田の額を、紛れ込んでいたスナイバー(川平慈英)がスリングショットで狙います。
しかし、以前の約束通りSPに採用されていた大関にいち早く発見され、慌てて放たれた石も素手で止められて狙撃は阻止されます。
鶴丸は次の手を考えようとしますが、その前に黒田に頼まれて鶴丸の周辺を探っていた古郡がつかんだ「ゴルフプレー中の不正行為」の証拠写真によって脅迫され手を引かざるを得なくなります。
本当に微々たるものながら支持率も回復し始め、新しい黒田内閣に国民の注目が集まり始めます。
そんな中、番場が一枚の原稿用紙を持ってきます。それは黒田の小学校時代の作文でした。
「僕の夢は総理大臣になる事です。しかし、話が下手なので無理だとみんな言います。でも僕は本当な明るい性格なのです。でも、いきなり変わると驚かれるので何かきっかけが欲しいです。例えばサッカーボールが頭に当たったりしたら…」
聞いていた黒田ははにかんだ笑顔を浮かべていました。
実は黒田の記憶は戻っていました。
しかし、せっかくの方針転換のチャンスを無駄にしたくないと黙っていたのです。
部屋を出て行った番場と入れ替わりで篤彦が入ってきます。
そして彼に話し始めます。
「僕も将来は・・・総理大臣になりたい!」
それだけ言って篤彦は部屋を飛び出してゆき、黒田は嬉しそうな顔でその背中を見送ったのでした。
完。
「記憶にございません!」見どころ
三谷幸喜監督・脚本のコメディ作品です。
多彩な出演者達の、惜しげもない演技が見どころです。
シリアスな役も多い石田ゆり子さんやデーィン・フジオカさん、草刈正雄さんのコミカルな演技。
特に中井貴一さんの頭に石が当たる前の「うるせぇなぁ」「クソがー!」と暴言を連発する傍若無人な黒田と、記憶が消えた後の「私は誰でしょう?」「何でこんなに嫌われているんでしょう」とオドオドした黒田のギャップがありすぎて各所で笑えます。
最初は単に首相の記憶喪失を笑っているだけに思えましたが、その内に真面目な事を言い出すと雰囲気が違ってきます。
「こんな政治家がトップの国は絶対に嫌だ」と最初は思っていましたが、段々と「こんな政治家に国のトップに立ってほしい」と思うようになってきます。
そして、コメディの皮を被った政治家批判だと思っていた本作品が、実は政治への信頼と理想をこめた作品だったと気付かされます。
笑いだけでなく、意外に爽やかな感動も味わえるのが三谷幸喜監督の持ち味ですね。
同監督の「ステキな金縛り」もそうでした。
笑いと爽やかな感動をどうぞ。
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