映画「ジョンQ 最後の決断」は、デンゼル・ワシントン主演、ニック・カサヴェテス監督の2002年の映画です。
この映画「ジョンQ 最後の決断」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
息子のために闘う父親の姿「ジョンQ 最後の決断」のスリリングなストーリーをお楽しみください。
「ジョンQ 最後の決断」あらすじ
愛する妻(キンバリー・エリス)と息子(ダニエル・E・スミス)の3人で平和な毎日を送っていたジョンQ(デンゼル・ワシントン)
ある日、元気だった息子が突然倒れてしまいます。
息子を助けるには心臓移植以外にありません。
しかしそれには莫大な費用が・・・
ジョンは息子の命を救うため、病院を占拠し、移植のために重大な決断をするのでした。
「ジョンQ 最後の決断」ネタバレ
――スピードを上げ、ハイウェイを走る1台の車。
対向車線にはみ出る無茶な運転で事故が起きました。
ジョン・クインシー・アーチボルド(デンゼル・ワシントン)。
低賃金の工場勤務、借金を抱えた貧しい暮らしでしたが最愛の妻・デニス(キンバリー・エリス)、ボディービルが大好きな9歳の息子・マイク(ダニエル・E・スミス)の笑顔に支えられていました。
学校まで送り「さよなら。」とジョンが言うと「“さよなら”は嫌、“じゃあね”だ!」とマイクは元気に駆けて行きました。
野球の試合、ジョンとデニスに応援され打席に立ったマイクはヒットを放ちます。
一塁を蹴り二塁へ向かうマイクでしたが、胸を押さえそのまま倒れ込むのでした。
病院に駆け込んだジョン、抱えられたマイクを見た医師たちは急いで診療台へ。
一命は取り留めましたが予断を許さない状況です。
ジョンは入院手続きのため保険証を提出しました。
院長のレベッカ・ペイン(アン・ヘッシュ)と心臓外科医のレイモンド・ターナー(ジェームズ・ウッズ)は淡々とマイクの病状、今後の治療方針をジョンに話します。
あまりの突然な出来事に動揺しているデニスにも、死を覚悟しろと言わんばかりに顔をしかめるターナー。
マイクは“Bポジティブ”という珍しい血液型、ドナー探しも困難。
何より低所得者のジョンに費用が払えるわけがないとペインは切り捨てるのでした。
移植待ちリスト登録、心臓移植手術、その後の治療に至るまで莫大な金額が掛かります。
ジョンは会社で加入しているから保険適応されると訴えます。
ところが、知らぬ間に保険のランクが下げられ補償は微々たるものでした。
医療補助、扶助制度どこも対象外とジョンを受け入れてくれません。
ジョンは家財を売り教会で寄付を募り…それでも程遠いのでした。
友人のジミー(デヴィッド・ソーントン)とジョンはテレビ局へ向かいランプリー(ポール・ヨハンソン)というリポーターに掛け合います。
マイクの事、これまで受けた冷酷な仕打ちをランプリーにテレビで呼びかけて欲しいと。
スクープを専門とするランプリーはジョンに興味を持ちました。
「マイクが退院させられる!」とデニスが悲痛な声で泣いています。
追い詰められたジョンはある決断をしました。
病院ではターナーが患者と談笑していました。
手術を成功させ退院する様子、ジョンはターナーの元へ近づきます。
再度マイクの手術を申し出るジョンでしたが、取り合わないターナーに銃を突きつけ “病院ジャック”をするのでした。
救命病棟、偶然居合わせた警備員のマックス(イーサン・サプリー)、手を負傷しているレスター(エディ・グリフィン)。
ミッチ(ショーン・ハトシー)と恋人のジュリー(ヘザー・ウォールクィスト)。
臨月を迎えたミリアム(トロイ・ベイヤー)とスティーブ(トロイ・ウィンブッシュ)夫婦。
赤ちゃんを抱いたローザ(マーサ・チャブス)。
クライン(ラリッサ・ラスキン)たち若い医師もターナーと共に人質となりました。
監視カメラを破壊するジョンの姿は見られ直ちに通報。
騒然とする人質に苛立つジョン、そこに救急車で重傷者が運ばれてしまいターナーに手術するよう命令します。
パトカーのサイレンが鳴り響き病院は警察、マスコミ、野次馬に囲まれるのでした。
指揮を執るのはベテラン警部補・フランク・グライムズ(ロバート・デュヴァル)。
マックスが持つ無線機に交信するフランク。
「きみの名前は?」との呼びかけに「ジョン…Q。」と答えるジョン、交渉を開始します。
ジョンの要求は“ペインを連れてくること”。
そして“移植待ちリストにマイクの名前を載せること”。
フランクは「信頼しろ。」とジョンを落ち着かせるのでした。
無事手術を終えたターナー、ミリアムは今にも産まれそうです。
DV男だとバレたミッチ、居心地悪そうにしています。
救命室の中は妙な一体感がうまれていました。
病室のマイクはジョンが来るのを待っていました。
「パパはどこに居るの?」と。
ミッチは逆襲を企んでいました。
メスと麻酔スプレーを持ちマックスが止めるのも聞きません。
その頃、外には本部長のモンロー(レイ・リオッタ)が到着。
権力志向が強いモンローはフランクと反りが合わず傲慢な態度を取るのでした。
ジョンたちは医療制度の現状を語り合っていました。
保険の落とし穴や医療機関への優遇措置、その話に若い医師・マグワイア(ケビン・コノリー)をはじめ誰もが不満を抱くのでした。
フランクに電話を掛けたジョン。
膠着状態に「制限時間は今から1時間後の17時15分だ!」と激高するのでした。
そして、容態が思わしくない妊婦・ミリアム、赤ちゃんを連れたローザを解放すると告げます。
そこにミッチが自分も行くと言い出しスティーブと言い争いになりました。
止めに入ったジョンに麻酔スプレーを噴射、メスで切りつけるミッチでしたが反撃され応戦したジュリーがこれまでの怒りをミッチにぶつけるのでした。
病院にペインが到着、ひとつの監視カメラがジョンの姿を捉えていました。
フランクは妻・デニスに説得してもらおうと捜します。
人質解放、ジョンはミリアムと一緒にスティーブも行けと4人を外へ出してくれました。
その姿を捉える多くのマスコミ、もちろんランプリーの撮影クルーも来ています。
ミリアムもローザも「ジョン・Qはいい人。」と叫ぶのでした。
ランプリーは監視カメラの映像を入手しようと躍起になっています。
ペインは“生死”は毎日の事、マイクだけを認めるのは悪しき事とゆずりません。
「名前を載せたと嘘をつけばいい。」ムーディー巡査部長(オバ・ババタンデ)は言いました。
長引く事件に痺れを切らすモンローは狙撃命令を出してしまいます。
救命室でランプリーの報道番組を見るジョン。
過熱する報道にどうしていいか分からなくなっていました。
マイクの病室にフランクとペインがやって来ました。
協力を求めるフランクそして、「マイクをリストに載せる。」と言うペイン。
デニスはジョンを説得すると電話を掛けることになりました。
病院のまわりは群衆で溢れていました。
狙撃準備に入るモンロー。
「解決してやる!」と息巻くモンローに対し「デニスに説得してもらう。」と言うフランク。
モンローは狙撃を断固反対するフランクを解任して自分が指揮を執ると言い出します。
ダクトから潜入した狙撃手。
同じ頃、救命室の監視カメラの映像をジャック出来そうなランプリーは、デニスがジョンに電話するという情報を耳にしていました。
鳴り出した電話のベル、聞こえるのはペインの言葉を信じた「リストに載った!」と言うデニスの喜ぶ声でした。
ジョンも安心しデニスと話し始めます。
どうやらマイクの容態がとても危険だと知るジョン。
デニスは泣き出してしまいました。
監視カメラの映像をジャックしたランプリーはスクープとしてテレビ放送を始めます。
電話越しにマイクのか弱い声を聞いたジョンは励まします。
ふたりの会話を聞き涙を流すペイン。
狙撃手が位置に着きジョンに照準を合わせます。
救命室の様子がテレビで流れている…!?
レスターの叫びに呆然とするジョンを銃弾が襲いそのまま倒れてしまいます。
命中したと息を吐くモンローでしたが狙撃手に立ち向かうジョンを見て憤慨するのでした。
更にランプリーの仕業で映像が全国に流れモンローは窮地に立たされる事に。
もはや国民がジョンとマイクを知る事となり皆が彼らの味方でした。
失態に態度を一変させるモンローはフランクにジョンとの交渉を託します。
心が動いたペインはマイクの名前をリストに載せる手続きを急ぐのでした。
狙撃手を人質にしたジョン、フランクとの交渉が始まります。
要求はマイクをここ救命室に連れてくることです。
群衆の声援は強まりフランクは要求を受け入れマイクが救命室に運び込まれました。
解放された狙撃手そして警察に向かって大ブーイングが沸き起こります。
ターナーは、新しい心臓がない限りマイクの命は助からないとジョンに言います。
マイクを見つめ「私の心臓を移植してくれ。」と真剣な表情で訴えるジョン。
ジョンは自ら命を絶ちマイクに心臓を与えるのだと本気でした。
馬鹿な考えだと止めるレスター。
「適合しなければ…。」と理屈を並べるターナーにジョンは「“Bポジティブ”だから大丈夫。」と詰め寄りました。
ターナーは倫理に反すると拒否、するとジョンは自らに銃を向けるのでした。
「マイクにはドナーが必要、私がドナーだ!」
ジョンの気持ちを推し量り手術を決断したターナー。
これまでの名声すべてを捨てる覚悟でした。
――事故死したのは26歳の女性。
肝臓、腎臓、そして心臓を摘出する手術が始まります。
血液型は“Bポジティブ”。
遺言書を書いたジョン、誰もが沈んだ顔をしていました。
冗談を言って笑わせるジョンはマイクの元へ向かいます。
父として伝えたい事がたくさんありました…。
“ママをたいせつに”、“マイクには可能性が満ちている”。
“ここに居る。”と胸に手を当てるジョン。
その頃、病院には1通のFAXが届きました。
“マイクに移植が出来る!”医師はペインに知らせるため急ぎました。
ジョンの持っていた銃に弾は入っていませんでした。
自殺するために1発だけ装填するジョン。
マイクの名前が載ったリストそして、“彼女”の心臓は今マイク1人にしか適合しないと知るとペインはデニスの元へ走り出しました。
ジョンを見つめるターナーたち。
引き金を引いたジョン…しかし安全装置が作動します。
15分後には病院に届けられると聞いたデニスは無線でジョンに呼びかけます。
「ジョン…お願い出て…。」デニスの声を聞いたジョンは無線を切ってしまいました。
こめかみに銃を当てるジョン――
「奇跡よ!心臓が見つかったの!」救命病棟のドアを叩くデニス。
上空をヘリコプターが飛びランプリーが「心臓が届きました!」と興奮気味にリポートしています。
群衆が声を上げるなか救命室に人質となっていたミッチ、マックスやジュリーが解放。
そして現れた“ジョン・Q”、彼を拘束する警官に大ブーイングが起こります。
「ジョンQ 最後の決断」ラスト最後の結末
移植のためマイクが手術室へ運ばれます。
そこには看護師に紛れマスクをしたジョンも一緒です。
フランクはパトカーに乗ったジョン・Qを見送ります。
よく見るとそれは嘲笑うレスター、フランクは苦笑するのでした。
手術を見守るジョンとデニス、そこにフランクがやって来ました。
“彼女”の心臓がマイクのなかで動き出します。
多くの著名人が事件の発端となった医療保険制度を疑問視、国民からも不満の声が上がりました。
3か月後、ジョンは3つの容疑で裁判所にいました。
殺人未遂…無罪、拳銃所持…無罪。
監禁罪…有罪。
傍聴席には救命室で人質となったターナーたちが座っていて、判決にため息を漏らすのでした。
塞ぎ込むマイクに声を掛けるジョン。
「さよなら。」と言うマイクにジョンは「そうじゃない、じゃあね…だ。」と言います。
フランクに伴われ法廷を後にしました。
外に出たジョンを大勢のマスコミが迎えます。
そこにはレスターの姿もあり「俺のヒーローだ。」と言ってくれます。
パトカーに乗った父を追い、マイクは「ありがとう。」と言って得意のボディービルダーの真似をしています。
ジョンは元気になった息子の姿を目に焼き付けるのでした。
THE END
「ジョンQ 最後の決断」見どころ
アメリカの医療保険制度を批判するメッセージ性の強い社会派ドラマ!
主人公ジョン・Qを演じたのはアカデミー賞常連俳優デンゼル・ワシントンです。
父の願いはただ1つ“最愛の息子の命を守りたい”。
たった1日の病院占拠で、こんなにも多くの国民の心を震わせたジョン・Q。
これまでもアメリカの医療保険制度を弱者の視点から描いた作品にマット・デイモン主演『レインメーカー』(フランシス・F・コッポラ監督 1998年)。
『恋愛小説家』(ジェームズ・L・ブルックス監督 1998年)では、ヘレン・ハント演じるキャロルが保険会社に苛立っています。
マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー『シッコ』(2007年)もアメリカの医療問題がテーマで日本でもヒットし注目されました。
今作はフィクションでありながら、救命室で医療保険制度を語り合う場面はじつにリアルで考えさせられます。
ジョンがマイクに語りかける(遺言!?)シーンは“親父から息子へ”愛情ある素敵な言葉です。
きっと心に残る名言に出会えるでしょう。
社会問題に切り込みつつ、究極の親子愛を堪能できる感動作です。
こちらのデンゼル・ワシントン主演作品もおすすめです。
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