「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ!

映画「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」ネタバレ あらすじ
コメディ

映画「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」は、大泉洋主演、成島出監督の2019年の映画です。

この映画「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見どころについて紹介します。

駄目男とパワフル女の偽夫婦の人生喜劇「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」をご堪能ください。

 

「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」あらすじ

終戦から3年が経った東京。

あるバーの片隅で、小説ロマンの編集長 田島周二(大泉洋)が作家の漆山連行(松重豊)に相談をしていました。

「先生、僕はもうどうして良いか分からず、溺れ死んでしまいそうです・・・」

きっかけは疎開先の青森にいったままになっている田島の娘 サチコからのハガキでした。

そこには拙い字で「もうサチコは6歳になります。はやくお父さんに会いたい」と書かれていたのです。

しかし、田島は何故かとても女性にモテる体質で、妻子が側にいないのをいい事に次々に女性と関係を持ち、いつの間にか何人もの愛人がいる状態になっていました。

田島が妻子を迎えに行こうと思うたび、愛人に呼び出されてフラフラとそっちに行ってしまい、いつまで経っても妻子と暮らせない日々が続いていました。

胸を張って妻子に会う為に、愛人達とスッパリ手を切る妙案はないものかと悩み続けていたのです。

 
バカバカしい相談に呆れながらも、長年の友人であり、粋で洒脱な文人である漆山は考えた末に奇抜な解決策を田島に授けました。

「まず、誰もが振り返るような凄い美人を見つけ出す。そして、その美人に嘘女房になってもらい、一緒に愛人の所に行ってもらう。愛人達は何も言えず、引き下がってくれるだろうよ」

問題は、そんな美女をどこで見つけるか・・・

思案にくれる田島が、飲み屋の便所で用を足していると、壁の穴から光が漏れている事に気付きます。

穴を覗き込んだ田島の目に、スラリと美しい女性の背中が映りました。

その女性は服を脱いで水浴びをし、着替えて出てゆきました。

慌てて田島は後を追いましたが、映画館の中で見失ってしまいました。

 
次の日、田島は飲み屋の前に座って昨日の美女が現れるのを待っていました。

そこへ顔なじみの担ぎ屋 永井キヌ子(小池栄子)が声を掛けてきました。

「田島さん、今日は何を探しているの?米?タバコ?」

「今日探しているのはすごい美女だ。昨日、跡をつけたんだが映画館で見失ってね」

「・・・それ、アタシよ」

「まさか!」

最初は信じなかった田島でしたが、泥を洗い落したキヌ子の顔を見て驚きます。

確かに昨日見かけた美女だったからです。

事情を聴いたキヌ子は「まるで、なっちゃいないわね」と取り合わず、嘘女房を演じてくれと頼んでも「仕事を休むと稼ぎが減るから嫌よ」と突っぱねられましたが「君が稼ぐ分くらい払う。上手く行ったら、更に払ってもいい」と説得しました。

このコンビがひと騒動をおこすのですが・・・

 

「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」ネタバレ

次の日、化粧をして清楚な格好をしたキヌ子が編集部に田島の妻と偽ってやって来ました。

何も知らない田島の部下 清川伸彦(濱田岳)はその美しさにポカンと口を開けていました。

二人が向かったのは1人目の愛人 花屋に勤める青木 保子(緒川たまき)の所でした。

保子は田島の妻だと名乗ったキヌ子を一目見るなり「田島さんにピッタリの奥様ね・・・」と勝手に身を引いてしまいました。

名残惜しそうな顔で見送る保子に「グッドバイ」と告げて、二人は花屋を後にしました。

 
しかし、田島はすぐに「あの人こそ自分にピッタリの女性だったんじゃないか・・・」と、保子と別れた事を後悔し始めていました。

その事を漆原連行に話しますが「真人間になって妻子を迎えに行くんじゃんかったのか?」と呆れるばかりでした。

それでも、取材で青森に行くついでに田島の妻と娘の様子を見て来てくれると約束してくれました。

ついでに「例の大食い女、ウィスキーの1本でも携えて訪ねていって、酔ったふりをして手籠めにしろ。その上で小食な女に教育し直せば安上がりだぞ」と入れ知恵をしてきました。

 
ケチな田島はその提案に乗る事にし、言われた通り、ウィスキー片手にキヌ子の部屋を訪ねました。

二人は差し向かいで暫く飲んでいましたが、頃合いを見て田島が「すきっ腹に吞んで、酔ったかなぁ?・・・ここで寝てもいいだろう?」と言うと、キヌ子は血相を変えて「ダメよ!帰って!」と激しく拒絶してきました。

それでも田島は諦めず「好きだ!」と無理やり抱き着いて関係を持とうとしますが「そんな積りじゃなかった」と、抵抗され、タンスをぶつけられそうになり、最後は2階から投げ飛ばされ、納屋の屋根をぶち破って中にあった干し藁に墜落しました。

しかし、田島の計画はキヌ子がいないと始まりません。

「キヌ子さん、私が考え違いをしていました。協力してください。損はさせませんから」と平謝りに謝って、何とかキヌ子に機嫌を直してもらう事が出来ました。

 
そして、再び嘘女房を演じてもらい、次に向かったのは、出版社に出入りする挿絵画家 水原ケイ子(高橋愛)の所でした。

ケイ子の家に向かう途中、二人は男に抱きつき、宥められながら泣いている保子を見掛ます。

その姿に見入っていた二人は、突然にケイ子から声を掛けられます。

「田島の家内でございます」

慌てて田島の妻の振りをしたキヌ子を見ても「とっても素敵な奥様ね」と、ケイ子は凛とした態度を崩しませんでした。

そこへ、外出していたケイ子の兄 健一(皆川猿時)が帰ってきました。

健一はシベリアで抑留生活を送って帰って来たばかりで、唯一の家族であるケイ子の事を何よりも大切に思っていました。

もしケイ子と不倫をしていると知ったら、田島をどんな目に合わせるか分からないような乱暴者でした。

健一の顔を見た田島とキヌ子は息を吞みます。

先程見かけた、保子を宥めていた男だったからです。

 
そんな二人に気付かず、健一は「上の階に越してきた女の人、また自殺をしようとしていたんだ」とケイ子と話し始めました。

「まぁ、また。もう3度目よ。妻子のある男の人にひどい捨てられ方をして、お勤めしていた花屋もやめてしまって・・・」

「あんまり泣くものだから、約束したんだ。『そんな男、俺が必ず殺してやります』って」

その言葉にケイ子は激しく動揺します。

「イヤよ、兄さんが捕まるなんて!」

「シベリアの収容所に比べたら、日本の刑務所なんてホテルみたいなもんだ!」

“すぐに退散しなくては・・・”とあせる田島の方を向き直って、健一はガッチリ手を握りました。

「戦争に負けて、女はみんなアメリカに殺られてるんじゃないかって思ってました。でも、ケイ子が生きていてくれた・・・田島さん、妹をどうかよろしくお願いします!」

兄の熱い思いを聞き、ケイ子は号泣していました。

「兄さん・・・実は私、奥さんがいると知りながら田島さんとお付き合いしていたの!」

その時、思案顔だったキヌ子が急に大声を出しました。

「あっ、青木さんだ!あの女の人の名前」

「あれ?上の階の人の名前、言いました?」

急速にその場が険悪な雰囲気になりつつあったまさにその時、庭先にドサッと人が落ちてきました。

「あぁ、青木さん!今度は飛び降りちまった!!」

健一は庭先に倒れている保子とのもとに一目散に駆けてゆきました。

「兄さん、青木さんを・・・愛しているのね・・・」

兄の心の内を知って涙するケイ子を尻目に、この隙に、と田島はその場からそそくさと逃げだしたのでした。

 
田島は、思い描いたようには計画が進行しない事を漆山に愚痴りました。

しかし、漆山は「そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?」と歯切れの悪い返事しかしませんでした。

数日後、田島の妻の振りをして出版社にやって来たキヌ子は、他に誰もいなかった為に田島宛の電報を受け取ってしまいます。 

差出人は田島の妻 静江(木村多江)で、「アイソウガツキタ。モウ ワカレル。シオクリハフヨウ」と書かれていました。

そこへ食事に行っていた田島が戻ってきました。

慌てたキヌ子は、咄嗟に電報を隠してしまいました。

 
何も知らない田島は次の愛人を訪ねようと準備を始めます。

そこで、さすがに隠し通すのが心苦しくなったキヌ子がオズオズと電報を差し出しました。

怪訝な顔で受け取った田島は、電報に目を通して魂が抜けたように座り込んでしまいます。

「キヌ子さん、あなたは捨て子でしょう?娘って、長く離れていても父親の顔を覚えているものですか?」

「知らないわよ!親の顔なんて最初から知らないし・・・」

その内、田島は腹痛を訴えて倒れ込んでしまいました。

 
息も絶え絶えの中で、田島が連れて行って欲しいとキヌ子に頼んだのは、白金の病院に勤めている内科医 大櫛加代(水川あさみ)―次に別れ話をしようと思っていた愛人の所でした。

キヌ子に担がれてやってきた田島を診察した佳代は「いつもの胃痙攣ね。よく耐えたわ」と即座に診断を下して鎮静剤を注射しました。

注射されてすぐ、田島は眠りに落ちてしまいました。

キヌ子は慌てて田島の体をゆすりましたが、ナマズの様に寝入ってしまい起きようとしません。

その様子を見ていた佳代が、唐突にキヌ子に話しかけてきました。

「奥様、先日のお手紙の事、もうお決めになられたんですか?本当に宜しいんですか?」

「・・・ええ、宜しいのです。もう決めたんです」

「困りましたねぇ。『末永く田島をよろしく』との事でしたが、私一人では手に余ります。なので、辞退させて頂きたいんです」

「えっ?!手紙・・・あの、私、どんなことを書いたんでしょう?酔ってたので、よく覚えていなくて・・・」

不思議そうな顔をした佳代が持ってきた手紙を読み始めたキヌ子でしたが「曲者」を「まげもの」、「所以」を「ところに」と呼んでしまい、本当の妻でない事がバレてしまいます。

 
頭が切れる佳代は、キヌ子が田島の頼みでニセ妻を演じている事に何となく感づいていました。

そして、田島の計画が妻からの三行半で狂い始めた事、キヌ子が田島の事を好きになり始めている事をニヤニヤしながら指摘してきました。

そして院長に呼ばれ、佳代は診察室から出てゆきました。

その直後、田島が目を覚ましました。

「ごめんなさい、全部バレた!」

キヌ子が謝りながら借りた手紙を差し出すと、田島はすぐにそれに目を走らせ「戦時中、離れて暮らしていた頃から田島は愛人達と・・・」という記述を見つけ、妻に愛人達の事を知られていたと分かって呆然となってしまいました。

 
その頃、小説ロマンの編集部に水原ケイ子がやって来ていました。

「兄が言うには、田島さんには愛人が100人いる。中には、別れようとして(上手く行かず)殺されて埋められた人もいるそうで・・・」

「いや、幾ら何でも愛人100人は・・・」

清川はその場にいない田島に代わって宥めようとしましたが、ケイ子の怒りは収まらず、挿絵も金輪際描かないと言って譲りませんでした。

「とてもとても優しくして頂いて、すっかり騙されましたとお伝えください・・・グットバイ」

そう言い残して、ケイ子は編集部を出てゆきました。

 
妻から突然に離婚を突きつけられ、どうしていいか分からなくなった田島は、知恵を借りようと連行の家に向かいました。

しかし、連行は留守でした。留守番の家政婦に尋ねても「取材でまた青森に行かれて、お帰りがいつになるかは分かりません・・・」と、困った顔をされるばかりでした。

田島が困って連行の家の庭をウロウロしていると、カバンを下げた連行がひょっこり帰ってきました。

喜んだ田島が駆け寄ると、連行は驚いたような、戸惑ったような表情になりました。

その時、庭に誰かが入ってきました。

娘 サチコを連れた田島の妻、静江でした。

「いつ迎えに来るかと思えば、愛人と遊び惚けていたなんて・・・愛想が尽きました。離縁してください」

いつの間にか、連行がサチコを抱き上げていました。

「そして、この人と一緒になります。承知してください」

そう言いながら、静江は連行を見つめて嬉しそうに微笑みました。

 
田島に頼まれて静江の様子を見に行くうちに二人は親密になり、サチコも本当の父親のようになついてしまっていたのです。

愛人の事をバラしたのも連行でした。

「殴ってくれ。その方が楽ってもんだ!」

「お前だって、愛人の一人と幸せになればいいだろう」

「静江よりいい女は幾らでもいるよ」

連行は色々な言葉を並べ立てて謝りましたが、田島が「せめて、娘に時々会わせてください」と頼むと、それは頑として断られました。

「静江が言うんだよ。お前に会わせると、サチコが金で紙飛行機を折るような大人になるって。上手いこと言うよな、ハハハハ・・・」

田島は、まるで昔から家族だったように楽しそうに過ごす連行・静江・サチコの様子を黙ってみているしか出来ませんでした。

 
空しい気持ちで編集部にデスクに座っていた田島の元に、電話が掛かってきました。

桜川署の刑事からでした。

キヌ子が商売相手と揉めて騒動を起こして留置されているので引き取ってほしいとの事でした。

その日の夜、警察署で引き取ったキヌ子を相手に田島は居酒屋で愚痴り続けていました。

「妻は、静江は、サチコにはもう会わせないって言うんだよ。それが辛い・・・」

「もう忘れなさいよ。どうしようもないじゃない」

「サチコは戦争を知らずに育った。そんな子が側にいれば、僕も真人間になれる気がしたんだよ」

「無理よ。誰が側にいても貴方は変わらない。自分なんてありはしなんだものーねぇ、一人でいるのもいいわよ。案外、気楽で」

「一人はイヤだ…もう死にたい。キヌ子さん、一緒に死んでくれませんか?いくら払えば、一緒に死んでくれますか?」

「バカじゃないの?幾ら貰っても、死んだら使えないじゃない」

「金なんか要らないよ。全部くれてやる!」

田島は財布の中身を全部ばら撒いて店を飛び出してゆきました。

 
妻子に捨てられた悲しみと、酔いにまかせてアテもなく歩いていた田島は怪しげな占い師(戸田恵子)に呼び止められます。
 
「あんたには女難の相が出ているよ。大体の女は去ってゆく。でも全員じゃない。あんたを想ってくれる人は近くにいるよ。力持ちで、たーくさん食べる女だね。その女となら、大体うまくいく」

真っ先に田島の頭に浮かんだのはキヌ子の事でした。

「決めた!今すぐに、その女に会いに行きます!」

駆けだそうとした田島を、占い師が止めました。

「そっちはダメだよ。遠回りをしなさい。近道すると大きな災難が待ってる」

「・・・気を付けます」

田島は占い師の忠告に従わず、近道を行きました。

暫く走ったところで田島は後ろから殴られ、道に倒れても殴り続けられ「キヌ子・・」と、頭から血を流しながら口走りました。

 
翌日、清川が警察署に呼ばれました。道端で死に、顔がトラックにひかれてメチャメチャになっていた男が田島の身分証明書を持っていたのです。

「編集長に間違いありません・・・」

清川は涙ながらに答えました。

数日後、新聞に掲載された田島の死亡記事を、キヌ子は虚ろな表情で見つめていました。

 
二年後
とある日本庭園で「田中修二を偲ぶ女達の会」が催されました。

「田島周二の事を偲び、大いに語り合いましょう」

主催者である田島の元妻 静江の宣言で会は始まりました。

参加者は漆山連行・静江・サチコ・保子・健一・ケイ子・加代、そしてキヌ子でした。

連行と静子・サチコは家族として幸せに暮らしていました。

元花屋の保子は健一と結婚し、お腹には子供もいました。

参加した女性全員が「田島さんは優しい人で”帰らないで”と言ったら、いつまでも一緒にいてくれた」

「今にして思うと、そんなに悪い人じゃなかった」

「あの人こそ、日本男児だった」

と田島の良かった思い出を語り合いました。

 
その中で、キヌ子だけが居心地が悪そうな顔をしていました。

「キヌ子さん、みんなに謝りたいんでしょう?」

佳代に促され、キヌ子はおずおずと立ち上がりました。

「いつぞやは素性を偽って皆さんを騙してしまい、大変申し訳ありませんでした・・・」

頭を下げるキヌ子を責める者は誰もいませんでした。

その内、キヌ子が田島の為に青山墓地に全財産をはたいて大きなお墓を建てた事が発覚します。

「貴方、田島さんの事が好きだったの?」

「そうではないんですが、衝動的に…」

「せっかくだから、後からみんなでお参りに行きましょう」

 
その時、真っ白なスーツをきた羽振りのよさそうな男がやって来ました。

皆、最初はその男が誰だか分かりませんでしたが、やがて連行が気付きました。

「君、清川君か?!」

男はすっかり見違えてしまった田島の元部下 清川でした。

「僕はもう、キヌ子さんを編集長の奥さんと思い込んでいたあの頃の僕ではありません!」

そう言うと、おもむろにキヌ子に交際を申し込んだのでした。

 
その頃、ある採石場で事故が起きました。

「べーやん」と呼ばれていた作業者が足を滑らせて落ち、頭を強打して気を失ってしまったのです。

仲間達が心配する中、ベーヤンは意識を取り戻しました。

しかし、自分がどうしてここにいるのか全く分かっていませんでした。

「僕の名前は田島周二。文芸雑誌の編集長だ。どうしてこんなところに・・・」

あの日、強盗に襲われて倒れていた田島を見つけたのはチンピラ風の男達でした。

頭を何度も殴られたせいで意識が朦朧としているのをいいことに、男達は田島を売り飛ばしてしまいました。

死体は、田嶋の財布を盗んだ後に事故で死んでしまった強盗だったのです。

そして何も分からない田島は採石場に労働者として送り込まれ、二年も過ごしていたのでした。

虚ろな記憶をたどって段々と昔の事を思い出した田島は、東京に戻りました。

 

「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」最後ラストの結末は?

あちこち探し回った末、田島は清川を訪ねてゆきました。

田嶋が死んだ直後、宝くじに当たり、その金を元手に金貸しを始めた清川は豪邸に住んでいました。

死んだと思っていた田島が当然訪ねてきて、最初は腰を抜かすほど驚いていた清川でしたが、事情を知って屋敷に迎えてくれました。

そして、キヌ子と婚約中である事も告白しました。

実は、豪華すぎる田島の墓を建ててしまった為にキヌ子は借金で首が回らなくなっていました。

その時、救いの手を差し伸べたのが清川だったのです。

そして借金を肩代わりしてやり、ついでに婚約までこぎつけたものの、手も握らせてくれないと清川は憤慨していました。

「そうか・・・幸せになってください」

そう言い残して田島は部屋を出てゆきました。

 
暫くして、結婚式のドレスを作るためにキヌ子は清川邸にやって来ました。

仮縫いの最中、窓の外に誰かいる気配をかんじたキヌ子がカーテンを開けてみると、そこには窓に張り付いて中を覗き込もうとしている田島がいました。

驚いたキヌ子が何も言えずにいると、田島は「グッドバイ・・・」と言って立ち去りました。

清川邸を出て、土手を歩いていた田島の元に清子が急いで走ってきました。

「今頃何しに来たの?」

「・・・永井さん、金貸してくれないかな?」

そう言った途端、田島は突き飛ばされました。

「あなた死んだんじゃなかったの?どこほっつき歩いてたの?!私が引き止めなかったから、ひどい死に方をしたんじゃないかって思ってた・・・」

「大丈夫、死ぬのは止めたんだ。あの時、君に会いに行こうとしてた。2年もかかってしまったが」

「グズね、遅いのよ」

「どうか清川君とお幸せに」

言った途端に、田島は頭突きを喰らわされました。

「あんた、私を好きなの?嫌いなの?」

「・・・好きだ!」

「私もよ。結婚は止めるわ!」

「君は、あれだ、バカだなぁ~後悔するんじゃないのかい?」

「するもんですか!」

そう言って、二人はしっかりと抱き合ったのでした。

 

「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」見どころ

太宰治の未完の遺作『グッド・バイ』を元にしたコメディ作品です。

優柔不断だが女性にはもてる文芸誌編集者の田島が、心を入れ直して真人間になるために愛人達と手を切ろうと思い立ったは良いのですが、その手段として偽女房を仕立てるというのが奇抜と言うか、笑わせてくれます。

「妻子に会いたいのに、女に会う。何かがおかしい」

「愛人達と別れて真人間になりたいんです。どうしたらいいですか?」と真剣な顔で連行に相談したり、清川に「君の仕事ぶりは素晴らしい。でも、女はもっと素晴らしい」「ボクは、女の良い所しか見えないんだ!」
と真顔で叫んだり、良質なコメディに共通している事ですが、本人は大真面目なのに、傍から見れば滑稽な事この上ありません。

 
田島は本当に自分勝手で腰抜けで、終戦から間がないと言うのにこざっぱりした格好をしていて、インテリ風のものの言い方が鼻につきます。

しかし、愛した女性にちゃんと向かい合っていました。

そのせいか、女性全員から尊敬されて、最後には幸せにしていました。

演じる大泉洋さん本人にも言える事ですが、一見とぼけた顔をしているのに、ふとした時にカッコよく見えるので不思議とモテるのも納得できました。

最後の最後、自分の心をさらけ出して「好きだ!」と言い合う田島とキヌ子の姿がとても爽やかでした。

何回見ても心から笑えて元気になれる作品です。

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コロムビアミュージックエンタテインメント

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