映画「ニック・オブ・タイム」は、ジョニー・デップ主演、ジョン・バダム監督の1995年の映画です。
この映画「ニック・オブ・タイム」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
娘を拉致された父親のリアルタイムサスペンス「ニック・オブ・タイム」をお楽しみください。
これで「ニック・オブ・タイム」のすべてがわかります。
「ニック・オブ・タイム」キャスト・スタッフ
■ スタッフ
監督: ジョン・バダム
脚本: パトリック・シーン・ダンカン
制作: ジョン・バダム
製作総指揮: D・J・カルーソー
音楽: アーサー・B・ルビンスタイン
撮影: ロイ・H・ワグナー■ 主要キャスト
ジーン・ワトソン: ジョニー・デップ
Mr.スミス: クリストファー・ウォーケン
ヒューイ: チャールズ・S・ダットン
Ms.ジョーンズ: ローマ・マフィア
エレノア・グラント州知事: マーシャ・メイソン
ブレンダン・グラント: ピーター・ストラウス
クリスタ・ブルックス: グロリア・ルーベン
リン・ワトソン: コートニー・チェイス
謎の男: G・D・スプラドリン
「ニック・オブ・タイム」あらすじ
ロサンゼルス。
妻を亡くして幼い娘と共にこの地を訪れ、駅に降り立った税理士のワトソン(ジョニー・デップ)は、警官を装った2人組に娘を拉致されてしまいます。
犯人たちは、90分以内に州知事の殺害を要求。
犯行を阻止し、娘を取り戻すため、ワトソンはたった1人で犯人たちに挑みます。
劇中の時間と上映時間を一致させたリアルタイムサスペンスです。
「ニック・オブ・タイム」ネタバレ
ロサンゼルス郊外のユニオン駅。多くの人が行き交う中、人込みを眺めながら誰かを探している男女(男:クリストファー・ウォーケン、女:ローマ・マフィア)がいました。
一方、娘のリンと共に駅の降り立った会計士のジーン・ワトソン(ジョニー・デップ)は約束の時間に遅れそうな事に気が付き、取り敢えず待ち合わせの相手に電話を掛けます。
しかし、ジーンが電話に気を取られた隙に、リンガローラーブレードを履いたチンピラにちょっかいを出されてしまいます。
追い払おうとして逆上したチンピラを転ばせて撃退したものの、その騒ぎが例の男女の目に留まってしまいました。
二人は警官を装ってジーンに近づき、チンピラを転ばせた件で話を聞くふりをして黒いバンの中にジーン達を誘導します。
そして、男は突然、ジーンに封筒を押し付けて命令をしだします。
「この中にある女性の写真と、今日一日のスケジュールが入っている。お前はスケジュールを見ながら13時30分までに標的を射殺するんだ。失敗したり、この事を誰かに喋ったりすれば娘の命はない」
外に連れ出されたジーンは思い余って道端にいた警官に近づきますが、その背後にいつの間にか立っていた男にあっけなく阻止され「二度とこんな事をするな」と釘を刺されてしまいます。
標的がいるホテルに向かう為にタクシーに乗りますが気持ちが落ち着かず、運転手との会話も噛みあいません。
妙なそぶりを見せると、並走しているバンが容赦なくぶつかって来ます。
降り際、会計をする時に名刺の裏に「助けて欲しい」と走り書きして金と一緒に渡しますが、運転手は名刺の表に書いてあった「会計士」だけを見て「俺には縁がない」と丸めて捨ててしまいます。
ホテルに入ると、大きな垂れ幕が下りてきました。
それを見たジーンは凍り付いてしまいます。
垂れ幕に印刷されていたのはエレノア・グラント現職知事(マーシャ・メイソン)でジーンの標的だったのです。
事の重大さに気付いて真っ青になりながらも、ジーンは朝食会が行われる会場に向かいます。
しかし、もう朝食会は終わっており、知事は移動した後でした。
次の予定は支援者のみが入れる会場です。
ジーンは無理だと尻込みしますが、男は支援者の名札をジーンの胸に取り付け「これで問題ない」と涼しい顔をしています。
ジーンは戦慄するばかりでした。
次の会場に向かおうとした時、廊下で知事に出くわしてしまいます。
慌てて後を追い、一緒のエレベーターに乗る事が出来ました。
名札を見てジーンを高額支援者だと思った知事は、彼に気さくに話しかけてきました。
助けを求めようかともしましたが、エレベーターに男が入って来て監視しているので無理でした。
しかし、緊張して銃を取り出す事が出来ず、知事はエレベーターを下りて行ってしまいました。
次へ移動する途中、気持ちを落ち着ける為に靴磨きをしてもらいます。
何も知らずに話かけてくる靴磨き職人・ヒューイ(チャールズ・S・ダットン)に助けを求めます。
バーに入り、ヒューイに男の注意を引いてもらっている間に裏口から抜け出し、ホテルの前に止まったバンに近づきます。
ドアを開けて中にいた女に銃を突きつけますが「何もしてないと思う?撃ったら娘もただでは済まない」と言われ、仕方なくホテルに戻ります。
次の会場で「逃げられないぞ。さっさとやれ」と近づいて来た男の無線を奪い取って遠くに頬り投げ、隙をついて側にいたセキュリティに「知事の暗殺計画がある。あの男が銃を持っている」と告げますが、「お前も持っているだろう」と耳打ちされてしまいます。
そのセキュリティもグルだったのです。
男は相変わらず不敵な笑みを浮かべて「お前の娘を殺す事に何の躊躇もしないぞ」と念を押してきました。
大勢の聴衆の中で立ち尽くすジーンに、エレベーターの中で一緒だった知事の秘書・クリスタ(グロリア・ルーベン)が話しかけてきます。
追い詰められたジーンはクリスタに銃を突きつけ「僕は脅されて知事の暗殺を命令された。警備の人間もグルだから誰にも相談できない。だれか信頼できる人物のところに連れて行ってほしい」と頼みます。
最初はジーンの言葉を信じられなかったクリスタでしたが、彼がチェックをすり抜けて銃を持ち込んでいる事で嘘ではないと分かってくれました。
そして、彼を知事の夫で選挙の総責任者であるブレンダン(ピーター・ストラウス)のところに連れて行ってくれました。
クリスタがブレンダンに事情を話すと「暗殺者を連れてきたのか?」と非難されましたが、ジーンが銃を持ち込んでいる事から、身内に敵がいるのはうそではないと説明してくれました。
すると、そばにいた政界の支援者らしき男が「では、この銃が本物かどうか彼に聞いてみよう」と誰かを呼び寄せました。
現れたのは、ジーンを脅迫していた男でした。
凍り付くジーンの前で、男はクリスタの腹に銃を突き付け、そのまま射殺してしまいました。
その場にいた者達で、クリスタ以外は全員グルだったのです。
男は、更にジーンの首を締めあげてきました。
薄れゆく意識の中、ジーンは男の懐から銃を奪い、そのまま引き金を引きました。
そして部屋を飛び出しましたが、男は死んでおらず、先回りして廊下の先から現れ、ジーンを捕まえて吹き抜けのところまで引っ張ってくると、そのまま下の階に放り投げました。
上がってゆくエレベーターの中が見え、女に連れられたリンが「パパー!」と叫んでいました・・・
実は、男を射殺したのは気を失いかけたジーンがみた幻でした。
床に倒れたジーンをよそに3人はもめていました。
ブレンダンは、ライフルで狙撃すれば簡単だったのに関係ない男を巻き込んで、クリスタも殺す羽目になり、事態はどんどんこじれていると男をなじりました。
男は暗殺計画は必ず成功さえると言い切り、ジーンを目覚めさせると部屋から連れ出しました。
そしてクリスタの死体を見せ「彼女はお前のせいで死んだんだ。お前の娘を殺すことにも何の躊躇もないぞ」と脅し、次に知事が演説を行う会場へ向かわせました。
どうしたら良いか分からずパニック状態のジーンは、フラフラと靴磨きの椅子に座りました。
そこは、先ほど協力してくれたヒューイの前でした。
ジーンに気が付いたヒューイは、一日に二度もやって来た奇妙な奴だと不審に思い、巻き添えは御免だと立ち去ろうとします。
その時、男がジーンをせかしにやって来ました。
ジーンはとっさに機転を利かせ「この靴磨きは耳が悪いからここで話しても平気だ」と言い、男を隣の椅子に座らせました。
ヒューイの隣の置かれていた「傷痍軍人」と言う看板をみて安心した男は、銃を返し、知事を暗殺するなら次ぎが最後のチャンスである事などを話し始めました。
話し終わった男が去った後、事態の深刻さに気が付いたヒューイはジーンは何とか出来ないか相談します。
ヒューイは取り敢えずジーンをバーに向かわせて時間を稼ぎ、その間に策を練る事にしました。
言われたとおりにバーで酒を注文すると、ジーンの所にグラスと一緒に持ってきたコースターに「トイレへ」とメモ書きがしてありました。
バーテンに「お会計は?」と聞かれたジーンは「あの人にツケておいて」と男を指さし、支払いで注意がそれた隙に目を盗んで姿をくらませる事に成功しました。
トイレで待っていたヒューイの手引きでジーンはボーイと服を取り変え、清掃係の協力で知事の部屋に入り込みました。
ジーンに気付いて叫び声を上げようとした知事に、取り敢えず銃を突き付けて黙らせ、娘を人質に取られて知事を暗殺するように命令された事。
クリスタが殺された事を伝えました。
しかし、自分の夫や政治スタッフ達がグルになって暗殺を計画している話など俄かに信じられる筈もなく、隙をついてボディーガードを呼ばれてしまい、ジーンは一目散に逃げるしかありませんでした。
ジーンを追い払った知事でしたが、疑惑は心に残ったままでした。
そこで、心配してやってきたブレンダンに「頭が痛いから今日のスピーチは中止にしたい」と申し出ましたが、ブレンダンは今日だけは何としてもスピーチを行って欲しいと食い下がって来ました。
またクリスタに用事を頼もうとしても「彼女は使いに出してしまった」と答え、知事の疑惑は増すばかりでした。
やがてタイムリミットの13時30分が近づき、トイレに戻ったジーンは再びボーイと服を交換し、知事のスピーチが行われる会場へ向かいました。
また、リンと女も黒いバンでホテルの前にやって来ました。
その頃、ジーンはスタッフの無線の会話から、部屋の壁が厚すぎて無線が
予定通り、知事は皆の前に姿を現しました。
ジーンは緊張した面持ちで会場を歩き回っていました。
会場の別の方向からは、ジーンと同じ銃で男が知事に狙いを定めていました。
やがて、ジーンは知事に銃口を向けました。
しかし、引き金を引く直前に彼は狙いを変え、弾は知事を狙っていた男が身を潜めていた部屋のガラス窓を破壊しました。
慌てて男も知事に向けて発砲しました。
知事は倒れ、ブレンダンが慌てたふりをして駆け寄ると彼女は生きていました。
最初の銃声で動き出していたボディーガードに守られ、知事には当たっていなかったのです。
しかし、これで暗殺にブレンダンも関わっているとハッキリわかった知事はただ絶句するばかりでした。
「ニック・オブ・タイム」ラスト最後の結末
ジーンはそのまま銃を振り回して、捕まえようと走って来るボディーガード達を退けて部屋の外に逃げだしました。
そして逃げようとする男を見つけ、階段の上から飛び降りてそのまま男に飛びつき、無線を取り上げ、更に殴り倒そうとしました。
しかし、逆に男に組み伏せられ、そのまま池に突き落とされてしまいました。
一方、時間を過ぎたにも拘らず連絡がない事に苛立った女は、計画通りリンを殺そうと銃を取り出しました。
その時、突然現れたヒューイが車の窓を磨き始め、一ドルを要求しだしました。
女が支払いを拒否すると「じゃぁ、これを代わりに頂いておく」と無線を奪い取り、取り返そうとする間にリンを逃がそうとしました。
しかし、リンを逃がそうとしている事に気が付いた女に義足を撃たれてしまいます。
異変に気が付いたリンは車から逃げ出そうとします。
しかし、そこに男が現れ、リンを撃とうとします。
車のシートの下に隠れますが、男は構わず狙いをつけ、引き金を引こうとします。
しかし、銃声がしたとき、倒れたのは男の方でした。
銃声は追い付いたジーンが背後から男を撃った音だったのです。
「やっぱり俺の目に狂いはなかった・・・お前はいざとなったら人を殺せる男だ・・・」男はそう言って倒れました。
ヒューイともみ合いになっていた女は、男が撃たれた事に気が付き、ジーンを撃とうとします。
しかし、寸での所でヒューイが義足で女を殴り倒しジーンとリンは無事でした。
こうして暗殺計画は阻止され、親子の命も助かったのです。
やがてホテルに警官が集まり始め、TVでも知事暗殺未遂のニュースが流れたころ。
ブレンダンにアドバイスをしていた男はそっとホテルを出て、車に乗り込んで何処かへと走り去ったのでした。
THE END
「ニック・オブ・タイム」見どころ
事件は何も知らないジーン親子を巻き込んで当然始まります。
いきなり見ず知らずの人物を暗殺しろと言われ、助けを求めようとしても阻止されたり、話を聞いてくれたと思っても実は敵だったりと少しも油断できない緊張の連続です。
突然、訳も分からずに絶望的な状況に放り込まれるにジーン・ワトソンを演じるのは今やハリウッドスターの中でもトップクラスの俳優・ジョニー・デップ。
今でこそ数々のヒーローを演じ、こんな状況など吹き飛ばせそうなイメージですが、この作品中では謎の男に翻弄される、少し線が細い感じの、冷や汗をかきながら何とか娘を助けようと懸命に頑張る善良な父親を見事に演じています。
この作品には謎も多く、最後まで全貌は明かされません。
ジーンを脅していた男女はいったい何者だったのか?
知事の夫・ブレンダンに意見をしていた老人は誰だったのか?
知事が生きている事でどんな不利益を被る事になったのか?
何故、スタッフまでもが暗殺に協力する程に知事は恨まれることになったのか?
そんな訳の分からない、常に謎の男の方が優位に立ち続ける絶望的な状況の中、靴磨き職人・ヒューイの協力を得て男を出し抜くことに成功しだすあたりから「よしよし、いいぞ!」と気分が盛り上がってきます。
よく見ていると、知事暗殺に加担する人達は社会的地位の高そうな白人ばかりでした。
対してジーンやヒューイに協力してくれたのはホテルのボーイや清掃係で、アフリカ系やヒスパニック系の、どちらかと言えば低所得者層に人達に思えました。
これらの事から「もしかして知事が恨まれる原因は、高収入な白人優位の政策から、低所得者を優位にする政策に方向転換したせいではないか?」と推測できました。
その他にも、ホテルで男達が知事の政策について議論している内容から事件の背景が朧気ながら分かってくるなど、謎を残しつつ楽しめるストーリー展開も見事でした。
見終わっても「?」が頭の中から消えないほど訳の分からない状況の中で、一歩間違えれば自分や娘の命さえ危ない目に合うジーンに何度もヒヤヒヤしたり、男を出し抜いて「リンを上手く助けられるのか?」とドキドキしたり、とにかく最初から最後まで手に汗握りっぱなしの傑作サスペンスアクションです。