映画「モリーズ・ゲーム」は、ジェシカ・チャステイン主演、アーロン・ソーキン監督の2017年の映画です。
この映画「モリーズ・ゲーム」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
元トップアスリートがたどった数奇な運命を描く「モリーズ・ゲーム」をお楽しみください。
「モリーズ・ゲーム」キャスト・スタッフ
■ スタッフ
監督: アーロン・ソーキン
脚本: アーロン・ソーキン
制作: マーク・ゴードン他
製作総指揮: レオポルド・ゴウト他
音楽: ダニエル・ペンバートン
撮影: シャルロッテ・ブルース・クリステンセン■ 主要キャスト
モリー・ブルーム: ジェシカ・チャステイン
10代の頃のモリー: サマンサ・イズラー
7歳の頃のモリー: パイパー・ハウエル
チャーリー・ジャフィー: イドリス・エルバ
ラリー・ブルーム: ケビン・コスナー
プレイヤーX: マイケル・セラ
ブラッド: ブライアン・ダーシー・ジェームズ
ダグラス・ダウニー: クリス・オダウド
ハリソン・ウェルストーン: J・C・マッケンジー
ハーラン・シャープ: ビル・キャンプ
フォックスマン判事: グラハム・グリーン
ディーン・キース: ジェレミー・ストロング
「モリーズ・ゲーム」あらすじ
子供の頃からスキーの英才教育を受けてきたモリー(ジェシカ・チャステイン)
しかし冬季オリンピック出場を目前に、競技中の転倒が原因でアスリート人生を終えてしまいます。
そんな彼女はポーカーゲームのアシスタントを頼まれたことから、富裕層の有名人ばかりが集まる魅惑の世界に引き込まれていきます。
そして自分のポーカークラブを設立するするまでになったモリーは、どんどん深みにハマっていくのです・・・
「モリーズ・ゲーム」ネタバレ
2002年、冬季オリンピック予選の最終戦。女子モーグル北米3位のモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、五輪出場を目前にしていました。
心理学教授で厳格な父親(ケヴィン・コスナー)の下、弱音を吐くことも許されず、幼い頃からひたすら練習を重ねてきました。
12歳の時に、背骨が湾曲する病気になって救急車で運ばれ、大手術を受けながらも復活し、世界最高のコーチに師事して努力を続けこの場に立っていました。
ライバル達の点数も高くはなく、モリーにとってはチャンスでした。
既にコロラド大学を首席で卒業したモリーは、今後はオリンピックで金メダルを獲得し、ハーバードを卒業して会社を設立するという人生設計を立てていました。
ところが、視界が悪い時に目印としてゲレンデにまかれる松の枝の一本にスキー板のビンディングが当たって外れ、転倒して観客席に突っ込んでしまいます。
予選はリタイア。
モリーのアスリート人生はここで終わってしまいました。
そして2014年、朝方、眠っていたモリーの所に電話がかかってきます。
相手はFBIの捜査官でした。
「モリー・ブルーム?これから貴方の部屋に踏み込みます」
驚き、両手を挙げて部屋を出たモリーはSWATに囲まれ、違法賭博の運営の容疑で突然FBIに逮捕されます。
「誤解です。カジノ運営は2年もやっていない」と答えますがが、「合衆国対モリー・ブルーム」と書かれた令状を前に成す術もありませんでした。
時は戻って2003年。
予選でのリタイアの後、ケガから回復し、LAの友人の家に泊めてもらって1年間の休暇を取っていましたが、バイト先のクラブで知り合ったディーン・キース(ジェレミー・ストロング)にヘッドハンティングされて彼の投資会社のアシスタントになります。
傍若無人なディーンの要求にこたえながら仕事を続けていたモリーでしたが、ある日、ポーカー・ゲームのアシスタントをするように言われます。
客はハリウッドスターのプレイヤーX(マイケル・セラ)をはじめとして、映画監督、ラッパー、ボクサー……
大金持ちの有名人ばかりが集まる高額ポーカー・ゲームの世界に彼女は足を踏み入れる事となったのでした。
ゲームの参加費は1万ドル(100万円相当)。
一夜で100万ドル(1億円)のお金が動くスリリングな世界に魅了され、モリーはアシスタントをしながらゲームのルールや彼らの会話に出てくる様々な事を勉強して知識を蓄えてゆきました。
最高レベルの人々との交流に生き甲斐を見つけ、法外な額のチップを蓄え続けていました。
2014年、保釈されたモリーは元検察官の経験がある凄腕弁護士、チャーリー・ジャフィー(イドリス・エルバ)を訪ね、弁護を依頼します。
最初、チャーリーはモリーの顧客にロシアン・マフィアの名前を見つけ弁護を拒否しますが、諦めずに食い下がったおかげで罪状認否にだけ付き添う事を認めさせます。
睡眠不足でフラフラになりながら法廷に向かったモリーに対し、チャーリーは初めの内は世間話をしていましたが、2年前に逮捕され財産を没収された時にポーカーのツケを取り立てる権利を売らなかった理由を聞き「取り立てが荒っぽいから」と答えると「その答えは聞きたくなかった」と言って彼女の弁護をすることを判事に宣言します。
話は暫くモリーの少女時代に戻ります。
モリーには二人の弟がいました。
一人は世界ランキング1位のスキー選手、もう一人は12歳で高校2年の化学クラスに進める程の天才。
モーグルの北米3位、高校の特進クラスに行ける程に成績優秀なモリーでしたが、家の中では肩身の狭い思いをしていました。
心理学者の父親と衝突する事も多く、行き場のない怒りを溜め込み続けていました。
2003年、モリーは順調に仕事を続けてお金を貯めていましたが、会社の経営が苦しくなったディーンは「お前にアシスタントの給料は払わない。ゲームのチップで十分にやっていける筈だ。嫌なら出ていけ」と突然クビを言い渡します。
モリーは、後任のアシスタントに客のメールアドレスを教えるふりをして出鱈目を教え、貯めていた資金を使って超一流ホテルの一室に“モリーズ・ルーム”をオープンします。
プレイヤーXをはじめとしてディーンの客だったセレブ達を奪い取り、彼らがポーカーに没頭できる空間を細部まで気を使って作り上げ“モリーズ・ルーム”は大盛況となりました。
しかし、その頃から少し変わった客も増えてきます。
石油ファンド会社を経営するバット・ブラッドはヘタクソで他のプレイヤーからカモにされていましたが、本人は気にする様子もなく大金をつぎ込み続けていまいた。
3流ビデオの制作者であるハーラン・ユースティスは、堅実なプレイヤーでした。
しかし、ブラットに負けた事で頭に血が上って自分のペースを忘れてしまい、負け続けてしまいました。
最後にはディーラーに「イカサマしただろう!」と因縁をつける程に取り乱し、120万ドルの借金を抱えてしまいました。
ハーランは頭を抱えて家に帰りましたが、次の日には「金は何とかなった」と連絡が来ます。
不審に思ったモリーが問いただすと、プレイヤーXが金を貸していた事を知ります。
更にプレイヤーXはハーランが破滅するように画策し、借金でがんじがらめにしていました。
モリーがプレイヤーXに止めるように忠告すると「僕がいるからこのカジノは繁盛している。
やり方にケチをつけるなら僕は手を引く」と逆に脅されます。
それでも要求を突っぱねると、プレイヤーXは何も言わずに部屋を出て行きました。
そして次の週、モリーがカジノを開ける直前にプレイヤーXが「今日からまたディーンの店でやる」とメールを送ってきました。
モリーが驚いていると電話がかかってきます。
「君は終わりだ」
プレイヤーXは楽しそうに笑っていました。
客はプレイヤーXに追従し、カジノは閉鎖に追い込まれました。
暫く落ち込んでいたモリーでしたが、再起を誓ってNYで再びカジノを開きます。
今度はプレイメイトを雇い、セレブの集まる場所に送り込んでカジノのメンバーに勧誘するだけでなく、経理やディーラーも任せました。
やがてカジノに上客が集まり出し、前以上の金が動くようになります。
しかし、賭け金が多くなると支払いが滞る者も出てきます。
支払われない金が増え、客に勝ち分を払えなくなる恐れが出てきました。
そうなればカジノは終わりです。
モリーは悩んだ挙句、法律違反とは知りながら、客の賭け金から手数料を抜き取るようなります。
そんな頃、カジノにダグラス・ダウニー(クリス・オダウド)が出入りするようになります。
酔って、探偵小説のタイトルのような言い回しを突然しゃべりだしてモリーに絡みだす事も多かったですが、彼の紹介でロシア系の病院経営者や画廊経営者などのセレブがやって来るようにもなります。
彼らの中にはロシア人マフィアの大物もいましたが、その頃のモリーは気づきませんでした。
そんな時、LA時代の顧客の一人でポーカーが下手だったバット・ブラットが逮捕されます。
彼はファンドを運営していると言って金を集めていましたが、実際はそんなものは存在せず、自分で自家用飛行機や別荘や高級車などにつぎ込んでいました。
彼は自分の罪を軽くする為、モリーのカジノの事を洗いざらい白状し、大金を使い込んだと言った上に、色仕掛けでポーカーに誘われ、カジノでギャンブル中毒にされたと嘘も盛り込んでいました。
その為、役人がモリーを呼び出し、被害者の為に金の一部を返すように迫りました。
仕方なく、モリーは50万ドルを返還しました。
この頃から、夜中起き続けている為に薬物に手を出すようにもなっていました。
そんなある日、信頼していた運転手のパットの紹介でヘッジファンド関係者と会います。
しかし、会ってみると彼らは見るからにマフィアでした。
彼らから「お前のカジノの取り立てを手伝ってやる」と言われますが、丁重に断りました。
ところが、それから数日して「荷物が届いた」と言われてドアを開けてみると、男が立っており、いきなり部屋に押し込まれて金品を奪われた上に、口に銃を突っ込まれて「あれは親切な提案じゃない。分かったか?」と詰め寄られ、言う事を聞かなければ母親の命も危ないと暗にちらつかされ、殴られて血だらけにされました。
「モリーズ・ゲーム」ラスト最後の結末
2週間、モリーは病院にも行けず家に引きこもって傷を癒しました。
カジノを運営する事に嫌気がさし、大きく儲けて勝ち金を清算したら手を引こうと考えていると、突然ダグラスから電話がかかってきます。
「モリー、悪気はなかった」と謝罪を繰り返していました。
実はダグラスはFBIのスパイで、カジノが違法賭博の容疑で一斉捜査されていたのです。
連絡を受けたモリーはすぐにマンションを去り、母親の所に逃げました。
財産は没収され、無一文になった彼女は借金返済の為に自分の体験をつづった自叙伝を出版しました。
しかし2年後、ロシアマフィアを摘発したいFBIや検察によって資金洗浄をした容疑で逮捕されたのです。
2014年、モリーはチャーリーと共に検事補と面会し、ロシアマフィアとの関係を説明していました。
モリーは彼らがマフィアだと知らなかったと主張しますが、検事補は耳を貸さず、モリーが持っている顧客の情報を提供するように迫ります。
モリーはそれを拒み、チャーリーも必死で弁護し、何とか妥協案を協議するところまで持ち込みます。
チャーリーと検事補が協議する間、外で時間を潰していたモリーの前に父親・ラリーが現れます。
居心地が悪そうなモリーをなだめ、ラリーは強引にセラピーを始めます。
そして「私は何故大金を稼ぎたかった?」
「父さんはいい夫だった?」
「弟たちと同じくらい私を愛していた?」
というモリーの質問に「強い男達を支配したいと言う願望があったからだ」
「二人の息子はオリンピック選手と心臓外科医になり、娘は己の才覚のみでビックビジネスを立ち上げる程の人物になった。私はいい夫でもいい父でもなかったが、いい仕事した」
「等しく愛していた。冷たく見えたのは、私の浮気にお前が感づいていたから、負い目を感じていたんだ」と答え、改めてモリーの事を大切に思っていると伝えました。
モリーが戻ると、チャーリーが妥協案を持って待っていました。
それは彼女が持っているハードドライブとギャンブルのデジタル記録を提出すれば、没収した財産を返還して無罪にすると言う内容でした。
チャーリーはその条件をのむよう勧めますが、顧客の秘密を守りたいモリーはそれを拒否して有罪を認めると決めます。
いよいよ法廷に立ったモリー予定通り有罪を主張します。
刑務所に収監される、と覚悟を決めていましたが、判決は社会奉仕、保護観察、そして20万ドルの罰金、そして何故かカナダへの渡航禁止という軽いものでした。
傍聴席で見守っていたラリーと二人の弟、それにチャーリーとモリーはステーキとビールで乾杯し、思いがけないクリスマスを祝ったのでした。
THE END
「モリーズ・ゲーム」見どころ
かつてポーカー・クイーンと呼ばれたモリー・ブルームの実話を映画化したものです。
最初は、オリンピックをめざしなら挫折したスポーツ選手が、思いがけず踏み込んだギャンブルの世界に飲み込まれて堕ちてゆく話かと思って観ていました。
しかし、現在と過去を行き来して描かれるモリーの姿は常に一本筋が通っていて、どんな時でも相手を思いやる気持ちを忘れません。
知的なのにセクシーで、カジノに渦巻くドロドロした心の醜さや降りかかる困難にも屈しない心の強さを持ったモリーは最高に美しく、ジェシカ・チャステインの演技力に感服するばかりです。
ジェシカ・チャステインは「スノーホワイト/氷の王国」では女戦士を演じています。
スキャンダルにまみれた彼女の真の姿を見抜き、困難を承知で弁護を引き受けたチャーリーにも好感が持てました。
知的で理性的だったチャーリーが、追い込まれるモリーを守る為に検察に抗議するシーン、そして自分の利益を捨ててまで顧客の情報を守ろうとするモリーを説得するシーンで、思わず熱くなって胸の内をぶちまける姿はとても爽快です。
そして、モリーと久しぶりに再会してセラピーを行った後、マフィアに脅されていたことに怒りを隠せず「誰かを雇ってお前を脅した奴を探し出し、必ず殺してやる」と口走り、その後も泣きながらモリーを抱きしめて愛情を示したラリーも、昔の冷たく厳しい姿とのギャップもあって感動的でした。
勿論、物凄いスピードで巨額のお金が動き回るカジノのゴージャスでスリリングな雰囲気や、独特の雰囲気にのまれて人生が壊れてゆく様子、信じられないような大金をポンと出すかと思えば狡猾に策を巡らせて人を陥れる腹黒いギャンブラー達などもキッチリ描かれていて見応え充分です。
ラストの、予選で転倒した2002年のモリーが立ち会って再び歩き出すシーンは、2014年のモリーの中に湧き出し始めている力やガッツを暗示しているようでワクワクしてきます。
欲望丸出しでアクの強い人々が次々と登場する中で、モリーやチャーリーが口にする知的な言葉が思いがけず胸に刺さり、何度も見返したくなる奥の深い作品です。