映画「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」は、ダスティン・ホフマン主演、フランソワ・ジラール監督の2014年のアメリカ画です。
この映画「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
問題児の少年が歌と恩師に出会い、自らの人生を切り開いていく「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」をお楽しみください。
この記事で「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」のすべてがわかります。
「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: フランソワ・ジラール
製作:ジュディ・カイロ、キャロル・バウム他
製作総指揮:マイケル・A・シンプソン
脚本: ベン・リプリー
撮影: デヴィッド・フランコ
音楽: ブライアン・バーン■ 主要キャスト
カーヴェル:ダスティン・ホフマン
ステット:ギャレット・ウェアリング
校長:キャシー・ベイツ
スティール先生:デブラ・ウィンガー
ジェラルド(ステットの父親):ジョシュ・ルーカス
ドレイク:エディ・イザード
ウーリー:ケヴィン・マクヘイル
デビー:エリカ・ピッチニーニ
ラファエル・”ラフィー”・アブラムス:リヴァー・アレクサンダー
フェルナンド:ダンテ・ソリアーノ
デヴォン:ジョー・ウェスト
アンドレ:グラント・ヴェナブル
「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」あらすじ
教師をからかい友達と喧嘩する学校一の問題児・ステット(ギャレット・ウェアリング)。
父親のいない彼はずっと母親と二人暮らしですが、その母もアルコールに溺れ男にだらしない生活を送っています。
そんな彼の才能はその声。
天から賜ったような美しい歌声は、少年期特有の儚さと相まって聴く者の胸を打つのですが、その事に気付いているのは校長先生ミス・スティール(デブラ・ウィンガー)だけ・・・。
彼を気にかけているミス・スティール(デブラ・ウィンガー)はある日とある行動に出ました。
そして彼女のこの働きにより、運命を変える出会いを果たすステット(ギャレット・ウェアリング)。
これは、美しい音楽に包まれた環境で、自らの才能と向き合い自分の人生を切り拓いていく少年の物語です。
「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」ネタバレ
ミス・スティール(デブラ・ウィンガー)の起こした行動とは、国立少年合唱団を学校に呼ぶことでした。
世界でもトップレベルと言われるこの合唱団には、数々の功績を残してきた指揮者アントン・カーヴェル(ダスティン・ホフマン)がいるのです。
まるでひとつの楽器のように美しく揃った歌声を堪能したあと、ステット(ギャレット・ウェアリング)はミス・スティール(デブラ・ウィンガー)に呼ばれてカーヴェル(ダスティン・ホフマン)ら合唱団を率いている教師の前に立たされます。
ここで歌声を披露しなさい、その為に合唱団を呼んだのですよ、とミス・スティール(デブラ・ウィンガー)は言いますが、自分の歌声に露ほどの価値も感じていないステット(ギャレット・ウェアリング)は、不貞腐れたようにして帰ってしまったのでした。
しかし彼が帰るはずの家はもうありません。
母親が事故を起こし死んでしまったのです。
これにより、今まで会った事もなかった父・ジェラルド(ジョシュ・ルーカス)が、ステット(ギャレット・ウェアリング)の後見人となりました。
妻子ある身でありながら、ほんの遊びで母と付き合い子供が出来てしまった父は、養育費こそ送り続けていましたが、今回の件でも引き取りはやんわりと拒否します。
彼の妻はステット(ギャレット・ウェアリング)の存在を知らない為、何とかして穏便にコトを済ませたいのです。
そんなジェラルド(ジョシュ・ルーカス)にミス・スティール(デブラ・ウィンガー)は、東海岸にある寄宿学校を薦めるのでした。
そうしてステット(ギャレット・ウェアリング)は、カーヴェル(ダスティン・ホフマン)率いる国立少年合唱団附属学校へ編入します。
彼の歌声を聴いた面接官の誰もが、技術も礼儀にもかけるステット(ギャレット・ウェアリング)の入学にいい顔をしません。
それをジェラルド(ジョシュ・ルーカス)は途中入学の今入学金を全額払うという、つまりはお金の力でステット(ギャレット・ウェアリング)の入学を認めさせてしまったのでした。
寄宿学校ですから当然決まりごとも多く、全米一を誇る合唱団という特殊な環境に放り込まれた形のステット(ギャレット・ウェアリング)。
最初に出迎えてくれた教師・ウーリー(ケヴィン・マクヘイル)は彼のことを気にかけてくれますが、同室の少年はプライドの高い嫌味な子だし、シャワーを浴びればタオルをぶつけられ笑いものになる生活。
その上、楽譜すら読めない彼には高度すぎる音楽の授業と、ステット(ギャレット・ウェアリング)に安らぎの時はありません。
それでも彼は必死で授業についていこうとしています。
彼の無知さに苛立つ教師・ドレイク(エディ・イザード)からは厳しく叱責されたりもしますが、ステット(ギャレット・ウェアリング)にはここ以外いる場所がないのです。
合唱団附属学校といえども、ツアーに行けるのは選ばれたひと握りの少年たちだけ。
別格に上手いデヴォン(ジョー・ウエスト)を中心に選ばれたメンバーが遠征に出たあと、ステット(ギャレット・ウェアリング)は唯一話しかけてくれた少年に音楽の教えを請います。
楽譜の読み方という基本中の基本を丁寧に教えて貰い、まるでスポンジのようにしっかり吸収していくスコット(ギャレット・ウェアリング)。
そうして授業にも必死で食らいついていた彼の歌声の才能に、ウーリー(ケヴィン・マクヘイル)が気付きます。
彼は興奮を抑えるようにしながら、日本にいるカーヴェル(ダスティン・ホフマン)に電話をしてスコット(ギャレット・ウェアリング)の才能を知らせました。
あの子がいればニューヨークも夢じゃない、そう勢い込んで語るウーリー(ケヴィン・マクヘイル)ですが、カーヴェル(ダスティン・ホフマン)の反応は冷たく、あっさりと電話を切られてしまったのでした。
しかし帰国後のカーヴェル(ダスティン・ホフマン)の前で、スコット(ギャレット・ウェアリング)はその才能をしっかりと発揮します。
カーヴェル(ダスティン・ホフマン)が弾いた二曲の違いを、彼一人だけがきちんと聞き分け言い当てたのです。
クリスマス休暇を迎える頃、ステット(ギャレット・ウェアリング)はツアー団員オーディション用の資料を渡されました。
休暇中に練習しておくように、と言われたその資料は彼にとってのチャンスです。
寄宿舎の誰もが自宅へ帰る長期休暇にもかかわらず、ステット(ギャレット・ウェアリング)は父が迎えに来ると嘘をついて身を隠し、誰もいなくなった寄宿舎で練習漬けの日々を過ごします。
彼に帰る家なんてないのですから・・・。
新年になり学校に活気が戻ってくると、いよいよオーディションの始まりです。
筆記試験の一次を終え、二次で迎えたのは歌唱試験。
美しい歌声で音楽を紡ぎ出したステット(ギャレット・ウェアリング)ですが、相変わらず生活は落ち着きません。
雪を丸めて窓を割ったり、同室の少年が大切にしているステレオを壊してみたり・・・。
そんな彼をカーヴェル(ダスティン・ホフマン)が呼び出しました。
強い光のスポットライトを直接ステット(ギャレット・ウェアリング)に当てながら、顔をしかめる彼に、このライトの中で歌えるか?と問います。
君には真剣さが足りない、悪戯ばかりを繰り返して、と叱責するカーヴェル(ダスティン・ホフマン)。
心から歌いたいと思わないと、というカーヴェル(ダスティン・ホフマン)の言葉に悔し涙を流しながら部屋へ帰ったステット(ギャレット・ウェアリング)ですが、そんな彼のベッドにはツアージャケットが置かれていたのでした。
ステット(ギャレット・ウェアリング)も加わってのツアーが始まりました。
後列で歌う彼の事がデヴォン(ジョー・ウエスト)も気になっているようです。
わざわざ声をかけてきたかと思えば、これみよがしに自分の立場を強調するデヴォン(ジョー・ウエスト)。
しかしステット(ギャレット・ウェアリング)の才能は少しずつチャンスをものにしていくのです。
調子の悪い団員の代わりに前列へと移り、デヴォン(ジョー・ウエスト)と共にソリストとして歌い上げたステット(ギャレット・ウェアリング)。
こうして確実に自分のポジションを得ていくステット(ギャレット・ウェアリング)の姿を、ジェラルド(ジョシュ・ルーカス)が見に行くことになりました。
彼の家に差出人なしの公演チケットが届いたことで、家族が鑑賞に乗り気になってしまったからです。
ステット(ギャレット・ウェアリング)の存在を絶対に気づかれてはならないジェラルド(ジョシュ・ルーカス)は、気乗りしないながらも妻の手前笑顔で鑑賞に出かけます。
するとその日、デヴォン(ジョー・ウエスト)が風邪を引いたことで、ステット(ギャレット・ウェアリング)が代役を務めることになりました。
急な変更に緊張気味のステット(ギャレット・ウェアリング)。
それでも友人たちの励ましを得て、舞台に上がるのです。
ところが。
舞台上で開いたカバーから楽譜が消えていたのです。
突然のハプニングに目を泳がせる彼に、すぐさま異変に気付いたカーヴェル(ダスティン・ホフマン)が視線で励ましの言葉を送りますが、この日のステット(ギャレット・ウェアリング)の歌声は、本来のレベルではない仕上がりになってしまったのでした。
ステット(ギャレット・ウェアリング)の楽譜を抜いたのはデヴォン(ジョー・ウエスト)です。
その行為は先生方にも見咎められ叱責を受けますが、ステット(ギャレット・ウェアリング)はデヴォン(ジョー・ウエスト)に詰め寄るも、彼を殴ることはしません。
暴力は退学だからな、と自分を抑えて立ち去るのでした。
ある晩、自宅にいるカーヴェル(ダスティン・ホフマン)のもとをウーリー(ケヴィン・マクへイル)や学校長(キャシー・ベイツ)らが訪ねてきます。
興奮気味な彼らは、N.Yリバーサイド教会の復活コンサーと出演という吉報を、直接カーヴェル(ダスティン・ホフマン)に届けたかったのです。
そうなるとソリストはデヴォン(ジョー・ウエスト)かステット(ギャレット・ウェアリング)か・・・。
そう呟くカーヴェル(ダスティン・ホフマン)に学校長(キャシー・ベイツ)は、ステット(ギャレット・ウェアリング)の転校を告げるのでした。
ステット(ギャレット・ウェアリング)の転校は、彼の歌声を聴いたジェラルド(ジョシュ・ルーカス)が、息子の存在を隠そうとさらに遠いスイスへ送ろうとした為でした。
しかしそれを止めたのはカーヴェル(ダスティン・ホフマン)でした。
ジェラルド(ジョシュ・ルーカス)にチケットを送ったのも彼だったのです。
普通の親は子供を案じるものだ、と言われたジェラルド(ジョシュ・ルーカス)は、ステット(ギャレット・ウェアリング)の転校を諦めたのでした。
「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」ラスト最後の結末
こうして残った学校でしたが、結局ステット(ギャレット・ウェアリング)は退学の危機に陥ってしまいます。
デヴォン(ジョー・ウエスト)の悪意ある行為により、彼をついに殴ってしまったからです。
暴力は退学。
その決まりがある学校生活において、彼の行為は決して認められるものではありません。
しかしここでも救ってくれたのはカーヴェル(ダスティン・ホフマン)でした。
二人のライバル心を煽りこの事態を引き起こした責任をとって自分も辞めると言いだしたのです。
開校以来最大の公演を前に指揮者、そしてソリスト二人を失う痛手・・・。
学校長(キャシ・ベイツ)は学校の規則を覆し、ステット(ギャレット・ウェアリング)を残す決断を下したのでした。
公演当日のニューヨーク。
それなのに、当日になっても決まっていないソリストのポジション・・・カーヴェル(ダスティン・ホフマン)が選んだのは、ステット(ギャレット・ウェアリング)でした。
メサイアを歌う合唱団の中心でステット(ギャレット・ウェアリング)は、高く澄んだ美しい声で歌い上げます。
拍手喝采に包まれる教会の中に、そっと見に来ていたジェラルド(ジョシュ・ルーカス)の姿もありました。
彼は帰宅後、決意を固めて妻に話を切り出します。
自分の過去、そして息子とちゃんと向き合うために―――。
公演を成功させてしばらくの後。
ステット(ギャレット・ウェアリング)の澄んだ高音は失われてしまいます。
声変わりが始まったのです。
ボーイ・ソプラノという神様に借りる束の間の神秘を失った者は、アルトなどほかパートに転向してこの学校に残るか、もしくは他校への編入を決断せねばなりません。
ステット(ギャレット・ウェアリング)はカーヴェル(ダスティン・ホフマン)からの推薦状を抱えて、海外の学校へ行く事になりました。
未来への不安を抱え、一人旅立とうとしたその時。
ジェラルド(ジョシュ・ルーカス)がやってきました。
彼は妻に全てを告白したのです。
そして今度こそステット(ギャレット・ウェアリング)を迎え入れ、家族として彼の未来を支えていくのでした。
THE END
「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」見所ポイント!
ボーイ・ソプラノは神様から借りた神秘の声。
この言葉がきちんと当てはまった素晴らしい歌声でした。
時間も一時間半ほどとダラダラ長くなく、その中で生活に恵まれていなかった少年が自分の才能と向き合い成長していく姿をきちんと見せてもらった気がします。
そして疎遠だった父との再生も描かれていて、個人的にはそちらが心を揺さぶられました。
主人公と師弟の関係、主人公と父との関係、ふたつの関係がどう変わっていくか?・・・うまく描かれています。
主演のギャレット・ウェアリング少年は、今作が本格的な長編映画初出演との事ですが、そうとは思えないくらい堂々たる姿を見せてくれました。
今作でのダスティン・ホフマンとの出会いが、かつて【ボーイズ・ライフ】でロバート・デ・ニーロと出会い強く刺激を受けたレオナルド・ディカプリオのような糧になって欲しいと願いたくなる、素敵な少年です。
スレた態度と純粋な音楽への取り組み、その両方を魅せてくれた彼の次作に期待したいですね。