映画「想いのこし」は、岡田将生主演、平川雄一朗監督の2014年の日本映画です。
この映画「想いのこし」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
この世に想いを残して去る者と残されて生きていく者のまじわりを描く「想いのこし」をお楽しみください。
原作は岡本貴也の小説「彼女との上手な別れ方」です。
■ スタッフ
監督: 平川雄一朗
製作: 木村元子
脚本: 岡本貴也、HARU
撮影: 葛西幸祐
音楽: 松谷卓■ 主要キャスト
本多ガジロウ:岡田将生
笠原ユウコ:広末涼子
円山ルカ:木南晴夏
犬塚ケイ:松井愛莉
笠原幸太郎:巨勢竜也
明珍ジョニー:鹿賀丈史
「想いのこし」あらすじ
交通事故から始まる物語―――。
明日の事なんて考えもせず、ただ毎日を楽しく遊び暮らしているだけの男ガジロウ(岡田将生)と、そんな彼との事故で命を失ってしまった3人のポールダンサーとマネージャー。
この世に想いを残したまま亡くなってしまった4人の姿が見えるのは、よりによって責任感も罪悪感もないガジロウ(岡田将生)だけです。
大金と引き換えに4人のやり残しを叶える事を引き受けた彼は、彼女たちの想いに触れる事で、だんだん自分の心も大きく変化させていくガジロウ(岡田将生)。
果たして彼女たちは無事この世への未練を断ち切ることが出来るのか…?
そして少しずつ自身を変化させていくガジロウ(岡田将生)が最後に取った想定外の行動とは…?
コメディ要素を含みながらも、人と人との繋がりや交流の大切さを感じられる人生の物語です。
「想いのこし」ネタバレ
ルカ(小南晴夏)のラスト講演を終えたユウコ(広末涼子)・ケイ(松井愛莉)の三人は、マネージャーのジョニー(鹿賀丈史)の運転する車で家まで送ってもらっています。
と、そこへまき散らしてしまったお札を拾いにガジロウ(岡田将生)が道路へと出て来てしまいました。
彼を避けようとして横転する車。
結局かすり傷で済んだのはガジロウ(岡田将生)だけで、車に乗っていた四人は死んでしまったのでした。
その事実を受け入れられない四人。
死んでしまった自分たちを見送るも、認識としてはぼんやり…。
火葬される彼女たちの前から動けないでいるのはユウコ(広末涼子の)一人息子幸太郎(巨勢竜也)、ルカ(小南晴夏)の婚約者、ケイ(松井愛莉)の片思いの高校生…。
それにしても、どうして彼女たちは誰にも見えるわけでもないのにこの世に留まっているのでしょう。
もしかしてこの世に未練が残っているからではないのか…?と言う可能性に気付く四人。
早くに父親もなくしていた幸太郎(巨勢竜也)は、ユウコ(広末涼子)も亡くしてしまった事で施設行きの話が持ち上がります。
しかしそれを毅然とした態度で、後見人がいる事を理由に断る幸太郎(巨勢竜也)。
そんな彼を心配して家まで付いてきたユウコ(広末涼子)の前にガジロウ(岡田将生)が現れます。
慰謝料目当てにユウコ(広末涼子)宅を訪れたガジロウ(岡田将生)ですが、彼にだけはユウコ(広末涼子)の姿が見えるようです。
普通に話をするガジロウ(岡田将生)を、貴方が前に飛び出してきたせいで死んでしまった、と責めるユウコ(広末涼子)。
気味悪げに立ち去ろうとするガジロウ(岡田将生)でしたが、そこへルカ(小南晴夏)たちも合流し、四人はガジロウ(岡田将生)の家にまで付いていくことにしました。
死人に取りつかれた、と嘆くガジロウ(岡田将生)にユウコ(広末涼子)は言い放ちます。
あなたには私達に出来ない事をする義務がある、と。
結婚式目前で死んでしまったルカ(小南晴夏)はどうしても結婚式を挙げたい、その代わりをガジロウ(岡田将生)に務めて欲しい、と言い出します。
勿論断るガジロウ(岡田将生)でしたが、ルカ(小南晴夏)から溜め込んでいた700万をあげるとの条件を提示され簡単に引き受けてしまうのでした。
四人を引き連れルカ(小南晴夏)の婚約者に会いに行ったガジロウ(岡田将生)は、ルカ(小南晴夏)の願いにより花嫁に扮して結婚式を挙げる事に…。
神父の前で指輪の交換をするガジロウ(岡田将生)に手を添わせながら婚約者に指輪をはめ、ガジロウ(岡田将生)の小指にはめられ自分の指輪を愛しそうにさするルカ(小南晴夏)。
彼女の願いを全て叶えてあげたい婚約者によって、誓いのキスで無理やり唇を奪われたガジロウ(岡田将生)でしたが、キスを終えた婚約者にはルカ(小南晴夏)の姿が見えています。
涙ながらに婚約者と最期の会話を交わしたルカ(小南晴夏)は、そのまま天に召されていったのでした。
未練を断ち切ったら成仏できる。
その事を目の当たりにしたユウコ(広末涼子)たちは、空を見上げながらルカ(小南晴夏)の花嫁姿に想いを馳せます。
しかしそんな彼女たちの心情など全く理解できないガジロウ(岡田将生)は、早速ルカ(小南晴夏)の700万を受け取り、今度はジョニー(鹿賀丈史)達に未練はないのか、と金目当てに願いを聞き出そうとするのでした。
ジョニー(鹿賀丈史)の願いを聞き遂げる為町を車でめぐり消火栓などを記した地図を仕上げたガジロウ(岡田将生)は、それを持って消防署を訪ね、これから三か月間毎日地図を届ける事を消防職員に伝えます。
一方ユウコ(広末涼子)は…。
息子を心配して家に帰るも、裸で踊っていた母親が死んだのだから早く施設へ行け!と、目の前でいじめられている幸太郎(巨勢竜也)を助ける事も慰める事も出来ません。
自分の無力さを痛感したユウコ(広末涼子)は、唯一頼れるガジロウ(岡田将生)に不本意ながらも息子を助けて欲しい、と言うのでした。
再び地図を届けに来たガジロウ(岡田将生)は、消防職員から、今までこの地図が役立ったことはない、と言われてしまいます。
アンタのやってきたことは無駄だった、と、ジョニー(鹿賀丈史)に対し地図集めを辞めようと提案したガジロウ(岡田将生)でしたが、家に帰ってからもイマイチ気分が晴れません。
そこへ現れたケイ(松井愛莉)は、自分の願いをガジロウ(岡田将生)に伝えます。
片想いの相手である野球部のキャプテンに手紙を書いて欲しいというのがケイ(松井愛莉)の願いでした。
翌日、書き上げた手紙を持って高校のグラウンドを訪ねるガジロウ(岡田将生)。
途中で立ち寄ったユウコ(広末涼子)の家から幸太郎(巨勢竜也)を誘い出し、ケイ(松井愛莉)と一緒に4人で引退試合の応援にやってきたガジロウ(岡田将生)は、試合が始まる前にキャプテンにケイ(松井愛莉)からの手紙を渡します。
しかし、野球部を支えてくれたマネージャーでもあったケイ(松井愛莉)の事を、全く知らない男から急に言われた彼は、悪い冗談はやめてくれ、と本気にしてくれません。
しかし、どうやっても彼には届かないと知りながら、それでも必死に応援するケイ(松井愛莉)の声をガジロウ(岡田将生)は大声で代弁するのでした。
そんな彼に、分かってるから黙ってそこで見てろ、と言い放ったキャプテンは、追い込まれながらもホームランを打ち試合は勝利で終わります。
試合終了後。
ケイ(松井愛莉)の前に整列する野球部員たち。
キャプテンの感謝の言葉と共に帽子を取って礼をする部員たち。
姿が見えるわけではないのに大声で語りかけるキャプテンの言葉を聞いて、泣きながら笑顔を見せるケイ(松井愛莉)は、そのまま天に召されていったのでした。
その夜。
後2人成仏してくれたら俺の生活も普通に戻れる、そういうガジロウ(岡田将生)にユウコ(広末涼子)は息子を見詰めながら、自分は絶対消えたりしない、と言います。
また言い争いが起こるか、そう思われた瞬間現れたジョニー(鹿賀丈史)が川崎がおかしい、と走ってきます。
信号機の誤作動により渋滞の発生している街で火災発生。
しかも消防車も渋滞に巻き込まれ全く身動きできない状況です。
それを悟ったジョニー(鹿賀丈史)は、ガジロウ(岡田将生)に消防職員へ電話をさせ、う回路を教えるのでした。
火災現場に先着し、放水ポンプを開けるジョニー(鹿賀丈史)。
それはガジロウ(岡田将生)の身体を借りての事でしたが、降着した職員は一生懸命放水するための準備に取り掛かっているジョニー(鹿賀丈史)の姿を確かに見るのです。
鎮火後、身体が透けていくジョニー(鹿賀丈史)。
最期に良い仕事がしたい、それが彼の未練だったのです。
消防職員たちに見守られながら天に召されるジョニー(鹿賀丈史)。
満足げな笑顔で消えていくジョニー(鹿賀丈史)の姿に何かを感じ取ったガジロウ(岡田将生)は、その足でユウコ(広末涼子)の家を訪れます。
ところが幸太郎(巨勢竜也)がいなくなったというのです。
必死で探し回った挙句、河原で勉強道具を燃やしている幸太郎(巨勢竜也)を見付けたガジロウ(岡田将生)。幸太郎(巨勢竜也)が勉強に励んでいたのは全て、東大に入り母親に仕事を辞めさせたかったからなのでした。
母親の仕事をきちんと理解できていない事に気付いたガジロウ(岡田将生)は、ユウコ(広末涼子)たちが働いていた店を訪れ、ポールダンサーになるためのレッスンを受け始めます。
家でもポールを組んで練習に励み、夜は店のウェイターとして働きながらダンサーたちの動きを勉強する日々…。
「想いのこし」最後のラスト結末
そんな時、幸太郎(巨勢竜也)が施設に行く事が決まった、と伝えに来たユウコ(広末涼子)。
これでもう会う事はない、と言われたガジロウ(岡田将生)でしたが、幸太郎(巨勢竜也)が施設に行くその日、彼の元を訪れます。
ポールダンスがどんなものか見たいんだろ、と幸太郎(巨勢竜也)を無理矢理連れ去ったガジロウ(岡田将生)は、ユウコ(広末涼子)の働いて店へと車を走らせ…。
世の中にはいろんな仕事があるんだということを幸太郎(巨勢竜也)に見せてやる、そう息巻くガジロウ(岡田将生)はユウコ(広末涼子)の制止も聞かずに舞台へと上がるのでした。
浮かない表情で舞台を見詰める幸太郎(巨勢竜也)。
そこへ着飾って現れたガジロウ(岡田将生)でしたが、失敗して客席からは笑い声まで響く始末。
観ていられなくなって席を立った幸太郎(巨勢竜也)。
しかしそんな彼の前に現れたのは母親であるユウコ(広末涼子)でした。
ガジロウ(岡田将生)と同じく着飾った姿で舞台に現れた彼女は、ガジロウ(岡田将生)やルカ(小南晴夏)、ケイ(松井愛莉)と共に妖艶に踊ります。
その姿を目に焼き付けた幸太郎(巨勢竜也)は、終演後、ガジロウ(岡田将生)の隣いるユウコ(広末涼子)を見詰めながら、格好良かった、母ちゃんのポールダンス、と語りかけ、これからも頑張って生きるから、との決意を伝えるのでした。
これからもずっと見てて、そう言う幸太郎(巨勢竜也)をしっかりと抱き締めたユウコ(広末涼子)の姿は徐々に薄れていきます。
そんな二人をまとめて抱き締めるガジロウ(岡田将生)。
消えるな!そう言うガジロウ(岡田将生)に、消えてたまるか、そう微笑みながら返したユウコ(広末涼子)は天に召されていったのでした。
ラストシーンは幸太郎(巨勢竜也)を施設に送って行ったガジロウ(岡田将生)。
仲良さげに言い合いをしながらも楽しそうな2人のこれからが、この先も繋がっていくことを予見させる最後でした。
完。
「想いのこし」見所ポイント!
蘇り系の物語は沢山ありますが、これもまたその中の一本ですね。
個人的には、不慮の事故により幼い子供を一人残していくしかなかった母親ユウコの成仏に興味がありました。
子供がいるという想いのこしはそう簡単に断ち切れるものではないだろう、と思ったからです。
結果、子供が前を向いて生きていく決心を固めたところで成仏しましたが、これが究極なのかもしれませんね。
何をどうしても自分が生き返る事は出来ないのだから、子供の進む道が幸せであるように、と祈るしかない分、子供自身が生きていく力を信じられればそれが幸せなのかもしれないな、と思ったのです。
それにしても、思いもよらぬ事故で命を奪われた4人があまりにも冷静だったのが印象的です。
相手の不注意によって死んでしまった、しかも相手は慰謝料をせびりに来るようなこすからい人間。
もっと怒り狂っても良いようなものですが、亡くなった4人とも達観しているというのか、誰も罵ったり罵倒したりしないんです。
唯一ユウコの態度が冷たい、くらいのもんでしょうか?
ここが、この物語がホラーではなくヒューマン作品だからな、とジャンル分けされる部分でしょうか。
そのおかげで、以後続くストーリーにも笑いもあったりして、基本的にほっこりなれる作品でした。
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