映画「ウォルター少年と、夏の休日」は、ハーレイ・ジョエル・オスメント主演、ティム・マッキャンリーズ監督の2003年の映画です。
この映画「ウォルター少年と、夏の休日」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
「ウォルター少年と、夏の休日」の心温まるストーリーをご堪能ください。
「ウォルター少年と、夏の休日」あらすじ
1960年代初頭。
14歳の少年ウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は夏休みの間、母の都合で大伯父ハブ(ロバート・デュバール)とガース(マイケル・ケイン)の老兄弟が住むテキサスの田舎に預けられます。
兄弟は莫大なお金を隠し持っているらしく、それを目当てにやってくる人達をショットガンで脅して追い払うことを楽しみにしているような変わり者でした。
頑固で型破りな兄弟に唖然とするウォルターはある晩、屋根裏部屋で古い女性の写真を発見します。
その写真には兄弟の過去が秘められていたのです・・・
少年が2人のおじいさんと出会い成長する、ひと夏の清々しいハートフルストーリーです。
「ウォルター少年と、夏の休日」ネタバレ
或る日、コミック作家のウォルター・コールマン(ジョシュ・ルーカス)の元に、大伯父のハブとガースが亡くなったという知らせが届きます。
その知らせを聞いた途端、ウォルターの心は二人と暮らした夏の日に飛んで行ったのでしたーー
それは1962年の夏でした。
14歳の少年ウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、母親のメイ(キーラ・セジウィック)が運転する車で何処かに向かっていました。
メイは浮かれ気味でウォルターに話しかけてきました。
「あなたはこの夏、伯父さんの家で過ごすのよ」
そして自分はフォートワースの速記学校にいって勉強すると言い出します。
その間、大伯父(メイの母親・パールの兄)二人にウォルターを預かってもらう積りらしいのです。
「それに、伯父さん達は大金を隠し持っているらしいの。気に入られたら遺産をもらえるかもしれないわ。一緒にいる間にお金の在処を探り当ててちょうだい」
自分の事と、あるかどうかも分からない大金の事で頭がいっぱいのメイに呆れて窓の外を見ていたウォルターは「この土地に入るな」「放射線 危険地帯」などの看板が次々と目に飛び込んできてすっかり恐ろしくなってしまいます。
そんなウォルターの不安をよそに伯父達の家に着いたメイは、裏の池で銃を片手に魚を捕ろう(撃ち殺そう)としていたハブ(ロバート・デュバール)とガース(マイケル・ケイン)の所にいき、ウォルターを預かってくれるよう頼みます。
二人はぶつくさ文句を言いながらも承諾し、メイは車に乗って走り去ってゆきました。
一人残されたウォルターはポーチに座りながら「ママから電話が掛かってきたらここで聞こえる?」「中でTV見てもいい?」と二人に問いかけてみますが、どちらもないと言われて驚愕します。
そして、そんな二人の元に色々な商品を持ったセールスマンが訪ねてきますが、銃をぶっ放されて全員追い返されていました。
夜、ウォルターは二階の櫓(天井裏)で寝るように言われます。
暫くベッドの上に転がっていたものの、寝付けなかったウォルターは部屋の隅にあった箱をあけてみました。
そして、中にあった奇麗な女の人の写真を見つけます。
その時、外の方で物音がしました。
窓からのぞいてみると、寝間着姿のハブが何処かへ行くのが見えました。
不審に思ったウォルターがコッソリ後をついていってみると、近くの池に辿り着きました。
ハブは何かに取りつかれたように、見えない相手と剣を交え必死に戦っているようでした。
ウォルターは、心配してついて来たらしい犬や豚達と共にその様子をただ見ているしかありませんでした。
次の日の朝、ウォルターは二人に訪ねてみました。
「伯父さん達、40年間も失踪して何処にいたの?」
「北アフリカだよ」
ガースが答えてくれようとしましたが、ハブが「下らん。全ては過去だ」と強引に話を終わらせてしまいました。
何日か経った頃、また夜中にさまよい出てしまったハブを追いかけたウォルターは、今度は「ハブおじさん!」と呼びかけて近づいてみようとしました。
しかし、すぐに「危ない、首を折られてしまうぞ!」と抱き留められました。
ガースも後をついて来ていたのです。
池の向こうをうつろな目で見つめるハブを眺めながら、ウォルターはガースに聞いてみました。
「おじさんは何を探しているの?」
「肉体は衰えても、ハブの心は冒険の日々を追い求めているのさ。それと、ある一人の女性―ジャスミンを、だ」
そして、ガースは自分とハブが若かった頃の話を始めます。
1914年の夏、テキサスの田舎暮らしに退屈した血気盛んな若者・ハブ(クリスチャン・ケイン)はガース(ケビン・ハバラー)を連れてヨーロッパ旅行に出かけました。
そのころ、ちょうど第一次世界大戦がはじまり、彼らが降り立ったフランスにはドイツ軍が攻め込んできていました。
二人はドイツ軍の先を行きながら旅行を続けました。
そして旅の最終日、マルセイユの港で兵士たちと酒盛りをした二人は、奢ってもらった不思議な酒を飲んだ途端に意識を失い、気が付くと北アフリカ行きの船に乗せられていました。
彼らは拉致され、外人部隊に放り込まれてしまったのです。
戦場での戦いにおびえるガースにハブは言いました。
「お前の事は俺が守る。心配するな」
その言葉通り、不利な戦況の中や絶体絶命のピンチの時でもハブは勇敢に戦い、ガースを助け出して生還し続けたのです。
やがて戦争が終わりましたが、二人は北アフリカに残ります。
ガースは映画関係者や作家相手のサファリの案内人になりましたが、ハブは北アフリカの新政府に腕を買われ、拉致された人々を奴隷商人や原住民達から取り戻す仕事を始めたのでした・・・
「そこで何をしている、こんな夜更けに」
ハブが二人に気づき、話はそこで一旦中断となりました。
またしばらくして、親戚を名乗るヘレン(ディードル・オコンネル)が弁護士の夫・ラルフや子供たちを連れてやってきました。
「週末を一緒に過ごそうと思ってやってきた」
と言っていましたが、ウォルターを見るなり警戒しだします。
「あんた誰?メイの息子・・・あぁ、パールの娘で、あの身持ちの悪い女・・・・お母さんはいない?あんたはいつまでここにいるの?お母さんが迎えに来るって、本気で信じてるの?それは見物だわ」それを聞いてウォルターは動揺します。
ハブ達と共に家に入っていったヘレン達の跡をつけ、彼らの話に耳を澄まします。
「メイはあの子をここへ置き去りにしたのよ。あんな子はすぐに施設の送るべきだわ」
「しかし、夏が終わったら迎えに来ると言ってたぞ」
「そんなの嘘に決まってるわ」
母親がもう戻ってこないかもしれないと気づきショックを受けたウォルターをラルフが見つけ「こいつ、スパイしてたぞ!」と部屋の真ん中に引きずり出しました。
ウォルターはラルフの足を蹴飛ばして逃れ、そのまま家も飛び出し、道を走ってゆきました。
やがて公衆電話を見つけ、母親が通っている筈の速記専門学校に電話をします。
「メイ・コールマンを出してください。急用なんです。」
しかし、学校側の答えは「そんな生徒は在籍していない」でした。
ウォルターは声も出ないほどの絶望感に打ちひしがれます。
夜になり、ウォルターを探しに来たハブ、ガース、ラルフは無人のガソリンスタンドで座り込むウォルターを見つけます。
ウォルターの手には(北アメリカを州ごとに区分しただけの、簡素な)地図が握られていました。
「これからモンタナへ行く。一人で」とウォルターがつぶやく様子をみて、ハブは「じゃぁ、新しい土地で頑張れ」と言いますが、何かを察したガースは「お前がいるとヘレン達がイラつく。こっちには都合がいい。助けると思って、暫く居てくれないか」と頼みます。
ウォルターは「困っているなら…」とその提案を受け入れ、4人は家に戻りました。
また数日が経ち、椅子に座って外を眺めていたハブ達に、ラルフが「いい週末でした。ところで遺言書の件ですが・・・」と話しかけ始めた時、またセールスマンがやってきました。
ハブ達はいつものように銃で脅して帰らせようとしますが、ウォルターが止めます。
「商品を見てみようよ。お金があっても、使わなければ意味ないよ」
「・・・なるほど、一理ある」
「よし、商品を見てから撃とう」
セールスマンが持ってきたのはクレー射撃の発射機でした。
ヘレンは「こんなものとんでもない!危ないわ、子供がいるのに」と大反対しますが、ハブは「気に入った。これ、買うぞ。嫌なら帰れ!」とヘレンを一喝し、その場で支払いをして発射機を買いました。
これを皮切りに、物を買う事の楽しみを覚えたハブとガースは家庭菜園用の種や、果ては中古の飛行機まで買い込んでしまいます。
そんなある日、家にキリンを乗せたトラックがやってきました。
業者が荷台からおろした木箱をハブとガースはニヤニヤしながら覗き込みます。
「これは兄貴の買い物の中でもピカ1だ」
「そうだろう。こいつを暖炉の上に飾ったら、きっと立派だ」
そして二人は銃を構え、ウォルターに合図をしたら木箱の留め金を外すように言います。
「今だ」-
留め金が外された木箱の中にいたのは、ライオンでした。
動物園をお払い箱になり、売られてきたのです。
二人は狩りをして皮をはぐつもりでしたが、ライオンは年老いていて動こうとしません。
そこで、ウォルターが目を輝かせながら言います。
「僕が飼ってもいい?」
狩りが出来る程に元気にしてやる条件で、ライオンはウォルターのペットになりました。
しかし次の日、雌ライオンだったので「ジャスミン」と名付けたと伝えると、ハブは途端に機嫌が悪くなって、何も言わずに立ち去ってしまいました。
ウォルターは、思った以上にハブの気持ちに踏み込んでしまった事に気付きましたが、名前は変えず、毎日ライオンの世話を続けました。
ある日、ウォルター達3人は注文してあった「ライオンフード」を受け取りに行きます。
一袋25Kgはあるライオンフードを、ウォルターとガースは協力してトラックの荷台に積み込みましたが、ハブは一人で担いでいました。
積み込みが終わり「さぁ、お嬢さん達、出発だ」と運転しようとしたハブでしたが、突然倒れてしまいます。
ハブは病院に運ばれ、ウォルターとガースは診察が終わるのを待っていました。
待っている間、ウォルターはガースに先日の話の続きを話してほしいと頼みました。
奴隷商人狩りを任されたハブはその腕っぷしを生かして奴隷商人たちを倒し、捕らわれた人々を開放していました。
ある時、助けた者達の中に姫に使える侍女が一人いました。
宮殿に戻った侍女は姫や周りの侍女にハブが奴隷商人たちを次々に倒してゆく様子を伝えました。
「会ってみたいわ・・・」
話を聞いた姫は、侍女を助けてくれた屈強なアメリカ人に興味を持ちました。
そして何日かした後、浜辺を馬で駆けていたハブの横に、黒装束に全身を包んだ人物が並びました。
これを挑戦だと受け取ったハブは全力で馬を走らせますが、相手もピッタリと付いてきて勝負がつきません。
とうとうお互いの馬がぶつかり、二人は投げ出されてしまいました。
すると、相手の黒装束が解け、顔が露になりました。
それは美しい姫―ジャスミンでした。
二人はその瞬間、お互いに一目で恋に落ちたのでした。
しかし、二人の間には障害がありました。
ジャスミンには許嫁がいたのです。
許嫁は隣の国の族長で、二人の仲を知るや否や宮殿に乗り込み、ジャスミンを無理やり攫って行ってしまったのです。
「あんな男と結婚するぐらいなら死を選びます」
ハーレムに押し込められたジャスミンは、族長がやってきたらナイフで自らの喉を切って自殺する積りでした。
しかし、やって来たのは族長ではなくハブでした。
見張りの者たちを次々なぎ倒したハブは、ハーレムからジャスミンを連れ出し、そのまま逃げ去ってしまったのでした。
そして、二人は幸せに暮らしました・・・
「ちょっと待って。幸せに暮らしたなら、なぜ今ここにジャスミンはいないの?」
ウォルターの質問にガースは答えませんでした。
その時、怒鳴り声が聞こえてきました。
「ワシのズボンを持ってこい!こんなところに居られるか!」
そして、すぐに怒った顔で、ズボンを片手に持ったハブが部屋から出てきました。
車を運転しても、ハブはまだ怒っていました。
3人は気分直しにダイナーで食事をする事にしました。
「なぁ、何をそんなに恐れているんだ。老いか?それとも死か?」
食事をしながら、ガースがハブに問いかけました。
「・・・空しいんだよ。若い頃は人生に意味や張りがあった。なのに、今は毎日畑いじりだ」
その時、店の前に車が止まり、チンピラのフランキー達4人が入ってきました。
「なぁ、それ、美味いか?」
フランキーがハブの肉に手を伸ばしてきました。
ハブは徐にフランキーの喉元を締め上げて「ワシはボブ・マッケイン。3大陸で2度の大戦を経験した!」と言いながら突き飛ばしました。
頭に血の登った4人はナイフを出しますが、状況を見ていたガースが車から銃を持ってきて4人に向け、フランキー以外の3人にナイフを捨てさせました。
フランキーはナイフを手にハブに挑みましたが、すぐに腕を締め上げられて悲鳴を上げる事になりました。
「さぁ、3人で助けてやれ」
残りの3人がハブに殴りかかって行きましたが、手も足も出ずに殴り飛ばされるだけでした。
「分け合わないの?」
「いや、40年の経験で分かったんだ。ハブは悪者を独り占めする。それに、これだけやれば少しは気が晴れるだろう。今のハブにはいい薬だ」
ウォルターが聞いてもガースは涼しい顔で眺めているだけでした。
ヘレン達も病院へお見舞いに行ったものの、もう退院したと知って家の方にやって来ました。
「こんな家、年寄り達がクタばったら焼き払ってしまいましょう」
そんな事を言っている間に、ヘレンの息子達がジャスミンのいる木箱を見つけます。
中にいるジャスミンを見て、最初ははく製かと思って近づきますが、生きていると知って扉も閉めずに一目散に逃げだしました。
そこへ、ウォルター達のトラックと、殴られて傷だらけのフランキーたちが乗った車が到着しました。
「そうだ、今日はまだジャスミンに餌をあげてない」
ウォルターは生肉をやりに木箱に向かいました。その時、ヘレンの息子達が騒ぎ出しました。
「人食いライオンがいるよ!」
「扉を開けたら、噛まれかけたんだ!」
それを聞いてガースは血相を変えます。
「大変だ、銃を!」
大人達は(何故かフランキー達までも)各自が銃を持ってジャスミンを探しに畑の方に向かいました。
その頃、ウォルターはコーン畑の中でジャスミンを見つけます。
甘えてじゃれついてくるジャスミンを「よしよし、いい子だ」とあやしていると、大人たちが一斉にジャスミンに銃を向けました。
ウォルターが襲われていると思ったのです。
しかし、ただ遊んでいただけだと分かり、気が抜けた様子で銃を下ろしました。
「あの野獣を処分するまで二度と来ませんから!」
ヘレンはそう怒鳴って帰って行きました。
「ねぇ、おじさんの話の続きを聞かせてよ」
ウォルターは再びガースに頼みました。
ハーレムからジャスミンを救い出したハブは、幸せな数年を過ごしました。
しかし、族長はまだあきらめていませんでした。
ハブの首に金貨1万枚の賞金を懸けたのです。
賞金目当てに殺し屋が次々と襲ってきて、二人は一瞬たりとも気を抜く暇がありませんでした。
そしてある日、鎖で縛られたハブを連れた男が族長の宮殿にやって来ました。
男はハブと引き換えに賞金を受け取り、ハブは拷問道具が1387も用意された拷問室に連れていかれました。
「・・・ひどい。誰がハブ伯父さんを捕まえたの?」
「ワシだよ」
ハブ達は幸運がいつまでも続かない、いつかは運が尽きて殺されると分かっていました。
そこで一計を案じたのです。
拷問室に連れていかれたハブとガースは見張りを倒し、ガースは金貨を持って逃走しました。
ハブは一目散に族長の寝室へと向かいました。
眠っていた族長が誰かの気配で目を覚ますと、ハブが喉元に剣を突き付けていました。
そして、一旦剣を引いて族長を起こすと、剣を持たせて勝負を挑みました。
直接対決が始まり、ハブは族長の剣を跳ね飛ばして再び喉元に刃を突きつけました。
族長は命乞いも出来ずに震え上がりましたが、ハブは剣を引き「お前を殺す機会は2度あったが、2度とも見逃してやった。しかし、3度目は必ずとどめを刺す」と言い残して、ハブは族長の前から去りました。
それ以来、ハブの暗殺はピタリとやみました。
ある人は族長が再びハブと戦う事を恐れた為だと言い、またある人はハブの心意気に族長が感銘を受けたからだと言いました。
「しかし、真相は違うだろう。恐らくはどうでもよくなったんだ。なぜなら、その直後に領土から石油が出て、族長は世界で5番目の大金持ちになったからな」
「えぇ?!悪党が大金持ちに?ひどい結末だね・・・それに、ジャスミンはどうなったの?」
「・・・自分でハブに聞け」
ガースは、そこだけは頑なに教えてくれませんでした。
ある日の夜中、ウォルターは池のほとりにいたハブに近づき、目を覚まさせて質問しました。
「ジャスミンはどうなったの?」
「・・・お産で死んだ。赤ん坊と一緒にな。ワシは外人部隊に戻って、以来40年間戦い続けた」
「・・・アフリカの話って本当?」
「よし、若い連中に説教する時に話すスピーチの一部を教えてやろう」
そう言ってハブは語り出しました
「本当かどうかは関係ない。信じたいと思えば信じればいい。世の中には、嘘くさくても信じるべきことがある。例えば人間は善なるものである事、誇り高く、勇敢である事の素晴らしさ。それに比べれば、金や権力は何の意味もない事。正義は悪に勝ち、真実の愛は永遠である事。大事なのは本当かどうかではなく、そう信じて生きてゆく事だ。忘れるな」
ウォルターは心から感動しました。
「続きはいつ聞かせてくれるの?大きくなった時に直接、おじさん口から聞きたい。だから、空しいなんて言わないで長生きしてよ。ガース伯父さんだって、飼っている犬や豚達だってきっとそれを望んでいるよ」
「・・・分かった。これからは長生きじいさんになるとしよう」
それ以来、ハブもガースも肉を減らし、代わりに畑のコーンや魚を食べるようになりました。
そんなある日の夜中、ガースが納屋の奥に隠された地下室から札束を持って出て来る姿を目撃したウォルターは、こっそり下りてみました。
そこには莫大な札束の山を見付けたのでした。
「これって盗んだお金かな・・・」
答えは出ないまま、その日は部屋に戻るしかありませんでした。
また数日が過ぎた頃、夜中に家の前に車が止まりました。
中から出てきたのはウォルターの母・メイと、知らない男でした。
ウォルターだけを外に呼び出したメイは、連れてきた男性をラスベガスの私立探偵・スタン(ニッキー・カット)だと紹介しました。(速記学校は「彼に、結婚したら家にいればいいと言われて、行かなかった」と説明しました)。
スタンは、ハブとガースが20から30年代に活躍した銀行強盗で今も大金を隠し持っていると説明してくれました。
ジャスミンも共犯者の名前で、最後には怪我をして見捨てられて死んだというのです。
そして二人が何処に金を隠しているかを執拗に聞いてきました。
「おじさん達を今更刑務所に入れるのは忍びないし、誰のお金でもないなら我々が頂いて有意義に使おうじゃないか。実は、結婚して新居を買おうと思っているんだが頭金が足りなくてね・・・」
しかし、ウォルターが
「おじさん達は北アフリカに40年間いたんだ。銀行を襲える筈がない」
と反論すると、スタンは焦り出し「二人っきりで話そう」とウォルターをメイから引き離して物陰に連れ込むと「俺は今、負けが込んでやばい連中に追われてる。お前みたいな小僧に馬鹿にされるわけにはいかないんだ。サッサと金のありかを話せ」と正体を現して詰め寄ってきました。
しかし、ウォルターは屈することなく、隙を見て逃げ出しました。
ウォルターは畑に逃げ込みましたが、スタンに追いつかれて捕まってしまいます。
殴られようとしたその時、ジャスミンがスタンに襲い掛かりました。
悲鳴を聞いたハブとガースが家から飛び出してきてみると、ジャスミンはスタンを組み敷いていました。
「こりゃいかん、死んでる」
「えぇ!?そんな・・・」
「いや、ジャスミンの方がな。最後は坊主を守って死んだ。『アフリカのライオン』だったな」
「ウォルター少年と、夏の休日」ラスト最後の結末
やがて、スタンが退院する日がやって来ました。
その日はメイがウォルターを引き取る日でもありました。
「また、スピーチを聞きに来るよ」
そう言って去って行ったウォルターを、二人は名残惜しそうに見送っていました。
一方、車に乗っていたウォルターは、メイがスタン(全身を包帯でまかれて助手席に座っている)と別れる気がないとしると、意を決して、走行中にもかかわらず車のドアを開けて飛び降ります。
そして、びっくりして車をUターンさせてきたメイに「ママはいつも自分の事ばかり。でも、今回だけ僕の事を考えて。僕に一番いいと思う決断をして」と頼みました。
いつものように外を眺めていたハブとガースは、道を歩いてくるウォルターを見つけます。
駆け寄った二人にウォルターは言いました。
「僕が成長するまで保護者となること」
「これからは肉を減らし、野菜中心の生活をすること」
「危険なまねはしない。喧嘩や飛行機は、僕が大学を出るまでは禁止」
ハブ達は「俺達にどう死ねっていうんだ。老衰か?」と愚痴りながらも「おかえり」と笑顔で家に迎え入れてくれたのでした。
そして現在。
おじさん達が亡くなったと知らされ、ウォルターは久しぶりにおじさん達の家にやって来ました。
納屋には、突っ込んだ飛行機の尾翼がまだ残されていました。
「第一次大戦中の飛行機だった。いつ落ちてもおかしくない。ましてや無免許で90過ぎのじいさん達が宙がえりをしたらな」
保安官が説明してくれていると、そこにヘリコプターが下りてきました。
ヘリから降りてきた男は、知らせを聞いて祖父の昔話に出てきた兄弟の家を見に来たと言いました。
「アラブの族長だった祖父はいつも言っていました。『ハブとガースこそ最も勇敢な男達だった』『いつも一枚上手だった。敵ながらあっぱれ』と」
その時、側にいた男の息子が聞きました。
「ひいお爺ちゃんの話に出てきた人達、本当にいたの?」
「あぁ、いたよ。最高の男達だ」
ウォルターは胸を張って答えたのでした。
THE END
「ウォルター少年と、夏の休日」見どころ
多感な少年が、男にだらしない母と別れて不安な日々な過ごす中、豪快な過去を持つ大伯父達と出会い、人生の指針を見つけてゆく話です。
ウォルターは母をはじめとした不誠実な大人に囲まれて人生に希望が持てずにいました。
しかし、ハブやガースの話に魅せられ、人生には信じるべき美しく尊いものがある事を知ります。
ハブやガースもまた、老いを感じ、これから先は失ってゆくばかり人生に辟易していました。
しかし、ウォルターと出会った事で、自分達が得てきたものを引き継いでくれる喜びを知ったのです。
老いても腕っぷしが強く行動派のハブと、周りを冷静に観察してうまく調整するガースの兄弟は最高のコンビで、カッコよく、「自分もこうありたい」と憧れました。
また「信じたいものを信じればいい…」とハブが語った言葉はシンプルですが力強く、心に突き刺さって胸を熱くしてくれました。
最後、やはりハブ達の武勇伝は本当でウォルターが信じた事は嘘ではなかったと分かるシーンは「信じて良かった!」と、とても爽快な気分になりました。
何度見ても気分がスッキリする、気持ちのいい作品です。
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