映画「ソウル・キッチン」はアダム・ボウスドウコス主演、ファティ・アキン監督の2009年の映画です。
この映画「ソウル・キッチン」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
若きオーナーシェフと天才シェフが引き起こす騒動を描いた「ソウル・キッチン」をご堪能ください。
「ソウル・キッチン」あらすじ
レストラン“soul kitchen”の電気が灯り、今夜も開店です!
古びた大きな倉庫をレストランに改装したのは、オーナー兼料理人のジノス・カザンザキス(アダム・ボウスドウコス)。
大勢の客が集えば、ガヤガヤ賑やかになりそうな広い店内は、まあまあの客入り。
ソウル・キッチンの常連が好んで食べるのは、電気フライヤーにぶち込んだ冷凍食品。
従業員は、バンドマンの若造・ルッツと、媚びないクールビューティー・ルチア。
白髭を生やした元船乗りの爺さん・ソクラテスは、倉庫の一角で暮らし家賃滞納中。
ドイツ ハンブルク、多民族が共存するこの港町で、ただひたすら懸命に生きるジノス。
でも、恋人・ナディーンは仕事で上海へ!遠距離恋愛に寂しさは募るばかりです。
まるで幸運に見放されたジノス、あの夜に同級生・ノイマン(ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)と再会したのが原因?
それとも、孤高の料理人・シェイン(ビロル・ユーネル)を、ソウル・キッチンに誘ったから?
やっぱり、前科持ちの兄・イリアス(モーリッツ・ブライブトロイ)に関わったから!?
どデカい食洗機を動かしたジノスは、腰を痛め怒りモード。
お金が無くて保険未加入、病院にも行けないジノスを白髭・ソクラテスがからかいます。
スカイプでは恋人に直接触れられない、(腰痛で)ツラくても一途にナディーンを想うジノス。
「代わりの店長を雇って、俺もナディーンのいる上海に行く」と、単純な男。
でも、そう簡単に代わりが見つかるハズも無い。
更には、理学療法士・アンナに「椎間板ヘルニアの疑い」と、言われてしまいます。
ジノスの腰が危機に陥っている頃、不動産業を営む同級生・ノイマンが、ソウル・キッチンを訪れていました。
実は、ノイマンの目的はジノスと思い出話では無く、ソウル・キッチンが建つ土地。
何としても、この土地を手に入れて一儲けしようと企んでいます。
はたして・・・
「ソウル・キッチン」ネタバレ
料理への想いが熱すぎる故に客と対立、店をクビになった料理人のシェイン。
最高の腕前を持つ彼なら、俺の代わりに……そんなジノスの想い破れたり!
ソウル・キッチンを見て感激するシェインですが、自分の店を持つ気は全くありません。
何とかシェインを引き留めたジノス、そこに税務署の女性職員・シュスターが現れテキパキと仕事を始めます。
ソウル・キッチンにある、大事なステレオを差し押さえられた、滞納者・ジノスは「音楽が無いと、魂が飢える!」と、猛反論!
でも「三週間後に…」と、構うこと無くシュスターは、ステレオを没収します。
またしても、白髭・ソクラテスにからかわれるジノス。
その日の夜、いつもと違うソウル・キッチンに、常連客が帰ってしまう事態発生!
彼らが気に入らないのは、従業員・ルッツの奏でるギターでは無く、新シェフのシェインです。
冷凍食品が大好きな常連客にとって、本物の料理を食べて欲しいシェインなんて邪魔者でしかありません。
メニューを一新したソウル・キッチンは誰も来なくなり、三週間後のシュスター再訪はどうなる事やら!?
ジノスに不運をもたらす、もう一人は兄・イリアス。
窃盗の罪で服役中だった彼は、定職に就けば半年間は仮出所の身で自由になれると、ソウル・キッチンに現れます。
「働いているフリで良い」と、どうしよ~も無いイリアスでも、ジノスには大事な兄貴。
母想いの兄弟は、イリアスがムショ暮らしという、事実も伏せていました。
イリアスの悪友・ミリーとヤギも相変わらずギャンブル三昧で、閑散としたソウル・キッチンに来ては騒ぎます。
同級生・ノイマンの正体が、悪徳不動産屋とは知らず、ソウル・キッチンに込めた想いを話すジノス。
一から自分で造った配管もトイレも、お金が無いから粗大ごみを……
ジノスの夢が詰まったソウル・キッチン、売る気は無いと言われたノイマンは、卑劣な行動に出ます。
「ソウル・キッチンで食中毒だ!」
調査に来た衛生局は厨房設備に次々とダメ出し、一か月で改善しないと営業停止の危機!
呆然とタバコをふかすジノス、そこに従業員のルッツが来てソウル・キッチンは、バンドの練習スタジオと化します。
大勢のバンド仲間が集まるようになると、シェインが作る本物の料理は瞬く間に評判に!
仕事はフリだけだった兄・イリアスが、媚びない女・ルチアの魅力に吸い込まれ改心。
ルチアの誘いでジノスはナイトクラブへ!もちろん、イリアスも付いて行きます。
「服役中だって事は、絶対に秘密だ!」イリアスは、本気でルチアに惚れていました。
しかし、その強い想いが“音楽好きな彼女のために、DJ機器を窃盗”する事に繋がってしまう単純なイリアス。
これが原因でジノスとルチアの酒飲み対決が始まり、イリアスの正体がバレてしまいます。
ところが「イリアスは投獄された巌窟王…ロマンチックね…」と、好意を抱いたルチア。
兄貴の恋が成就?片や、遠距離恋愛中のジノスは恋人・ナディーンと喧嘩ばかりです。
ソウル・キッチンを任せられる人を早く見つけて、上海に行きたいジノス。
その想いとは裏腹に、近所にミュージカルスクール開校で、益々賑わうソウル・キッチン。
盗んだDJ機器で音楽が溢れる店内は、客もイリアスもご機嫌に踊ります。
ドSの料理人・シェインも腕を振るい連日大繁盛、ジノスは売上金に驚くばかり。
衛生局のダメ出しを改善、営業停止を免れ、シェインは料理雑誌に載り一躍有名人!
しかし、良い事が続かないのが、ここソウル・キッチン。
ルチアとイリアスに亀裂が生じ、ジノスとナディーンも別れの予感がします。
これまで「早く、上海に来て!」と、言っていたナディーンが「来ないで!」と心変わり。
ジッとしていられないジノスは上海行きを決意、ソウル・キッチンを兄・イリアスに任せる覚悟を決めました。
土地とソウル・キッチンの全権を移譲された兄・イリアスは、オーナー気分で上機嫌。
厨房で酒を飲みながら料理するシェインは、催淫性がある粉をデザートに大量混入。
ソウル・キッチンでは今夜、ジノスのお別れパーティーが盛大に開かれます。
店内は従業員・ルッツのバンド演奏が始まると、腕を突き上げ楽しむ大勢の客。
その中には、この土地を諦めていない悪徳不動産屋・ノイマンの姿もありました。
更に、ジノスの大事なステレオを持って行った、税務署の女性職員・シュスターも登場。
しっかり納税を済ませたジノスは、あのデザートを振る舞います。
程なくして、ソウル・キッチンはヤバい料理人・シェインが混ぜ込んだ、媚薬効果で淫らなパーティーに変貌。
まさかの、悪徳不動産屋・ノイマンと、税務署の職員・シュスターという組み合わせにジノスも唖然。
翌朝、やっぱり仕事が出来る女・シュスターは、昨夜の相手・ノイマンの素性を把握し後に鉄槌を下します。
いよいよ、ドイツから上海へ旅立つジノスに、予期せぬ出来事が待っていました。
祖母が亡くなり帰国したナディーンと空港で再会、泣いている彼女の隣には知らない男が居ます。
慌てるジノスは、ベルトコンベアに乗るスーツケースを、思いっ切り持ち上げた拍子に腰がグキッ!
救急車で病院送り「椎間板ヘルニアです」と、断言されました。
身動きが取れないジノスは、恋人・ナディーンとも連絡が取れず、病院を抜け出すしかありません。
弟が不運なら兄も同じ、諦めの悪い悪徳不動産屋・ノイマンがソウル・キッチンに登場。
カネをチラつかせ賭け事が好きなイリアスを挑発、そして土地の権利書を借金の形に取られてしまいます。
葬儀で失態を犯したジノスは、ナディーンとの別れを感じ傷心。
ソウル・キッチンに向かうと白髭爺さん・ソクラテスが追い出され、土地はノイマンの物になっていました。
怒れるジノスは、所有権の移転登記が完了する前に、兄・イリアスがサインした契約書を奪取、破棄する作戦を決行!
つまり窃盗しますが、イリアスや悪友・ミリーにヤギは、癖で余計な物まで盗み出します。
不運は続き、腰が痛くて走れないジノスは、警察にあっさり逮捕されパトカーで連行。
すると、先に逃げていた兄・イリアスが「俺も仲間だ!」と、舞い戻って来ました。
仮出所中のイリアスは、刑務所暮らしに戻りジノスは釈放、兄弟は別れのハグをします。
鎮痛剤も無くなり、いよいよ腰が最上級にヤバいジノスが、助けを求めたのは理学療法士・アンナ。
彼女は信頼する整体師、その名も“骨折りケマル”の元へ、ジノスを連れて行きました。
施術を待つ患者は皆が怯えた顔、その訳はドアの向こうから聞こえる絶叫!
次はジノスの番です。
アンナの手を握るジノス、骨折りケマルがカウント開始「1つ、2つ…3つ!」「あヴ~っ…」
「ソウル・キッチン」最後ラストの結末は?
すっかり腰が治ったジノスは市場で仕事を始め、恋人・ナディーンとも友達に戻ります。
ソウル・キッチンの元従業員・バンドマンのルッツは、スケートリンク場勤務。
放浪する料理人・シェインは、特技のナイフ投げを武器にサーカス団員。
バーテンダーをしている媚びない女・ルチアは、巌窟王・イリアスと切れていました。
ジノスに「面会してくれ」と、頼まれても素っ気ない態度ですが、本当は恋しいルチア。
素直になって面会に訪れたルチアは、イリアスと情熱的なキスを交わしました。
あの悪徳不動産屋・ノイマンは“税務署の逆襲”に遭い、イリアスと同じムショ暮らしが始まります。
ジノスは、所有者だったノイマンが逮捕され、ソウル・キッチンが競売にかけられている事を知りました。
お金持ちの知り合いなんて元カノ・ナディーンしか居ないジノス。
ソウル・キッチンを取り返すため、お金を借りに行くと彼女は真剣なジノスに20万ユーロ貸してくれました。
勝負はジノスと、悪徳不動産屋・ノイマンが贔屓にしていた、投資家・フリスク男の一騎打ちです。
野次を飛ばす白髭・ソクラテスは、悠然と「20万ユーロ」と言う、フリスク男に暴言を吐き退場!
男たちに、羽交い絞めにされたソクラテス。
その時、シャツのボタンが飛び、投資家・フリスク男のフリスクに紛れ込みました。
気づかない投資家は、ボタンを飲み込み喉に突っかえます。
ポケットに入っている、クシャクシャの15ユーロを握りしめ「20万15ユーロ!」と、上乗せしたジノス。
フリスク男は声を出せず、最高金額で落札したジノスがソウル・キッチンを取り戻します。
12月、ソウル・キッチンには、白髭の爺さん・ソクラテスも戻り、笑顔で家賃滞納を宣言!
得意料理は冷凍食品だったジノスも、凄腕料理人・シェインに習ったお陰で腕前が上達。
手際よく次々と料理を完成させ、あの人を待ちます。
雪が舞うクリスマスの夜、貸し切りのソウル・キッチンにやって来たのは、理学療法士・アンナ。
美味しい料理を食べる二人は、幸せな時間を過ごします。
THE END
「ソウル・キッチン」見どころ
はじめに、お伝えしたいのは『ソウル・キッチン』で、粗探しなんて野暮なコトはしないで下さい!
悲喜こもごもの人間模様が魅力的に描かれた、ドイツ発のコメディ映画。
上映時間99分と言えど主人公・ジノスや、彼を取り巻く人々に満腹にさせられます。
次々起こる可笑しな展開、登場キャラクターの多国籍で雑多な雰囲気。
ゆる~い気楽な本作には、観る者を虜にする笑いと夢が詰まっているんですね~!
でも、万人受けする作風とは言い切れないので、初見の方には“考えるな感じろ”をモットーに面白がってもらえたら◎
窃盗したDJ機器で、ソウル・キッチンが波に乗り始めると、料理とは関係ないドタバタ劇が加速!
飯テロ映画を期待した方、すみません!料理はほんの少しで、基本的に窃盗とエロ!?そしてヘンテコな兄弟愛です。
あなたが「ツイて無いな~」ってヘコんだ時、単純でバカ正直な愛すべき男・ジノスを観たら、心が軽くなって元気になるかも!?
料理を愛し愛されたシェフのシェインは、クセ強めだけどセクシーで俺様っぷりも見事です。
店の入り口に残した包丁とメッセージ、競売にかけられたソウル・キッチンを守ろうとしたのは、やっぱりカッコイイ!(※勝手な妄想です。そうなら素敵だ)
イリアスは、何事にもまっしぐら“愛すべき兄”って感じで、トラブルメーカーだけど憎めません。
口答えばかりでタダの嫌な女だったルチアに、惚れた瞬間のイリアスの優しい顔!
観ているコッチまで、恋の始まりに胸がキュンです。
ルチアの潔さ、酒を飲んで据わった目も魅力的で、好きになるイリアスの気持ちに同感。
そんな彼らに振り回される、ジノスの子犬みたいな目も良いし、腰のため地道に体操する姿も本当に愛おしい。
恋人・ナディーンとのスカイプや、アンナが施す整体のシーンは健康な男だからこその反応に、思わず笑っちゃう可愛さがあります。
厳粛な葬儀に現れた“サタン”・ジノスや、火事を起こす真っ直ぐな気持ちに(おバカ過ぎて)泣けてくるかも。
料理、酒、音楽に恋!やかましい彼らの怒号も心地良く思えたら『ソウル・キッチン』にハマった証。
お洒落なエンドロールも、見逃し厳禁!
♪The Isley Brothersの『It’s Your Thing』に、Jan Delayの『Disko』。
極上ファンクが最後まで本作を彩り、劇中でも魅力的だった役者たちが、よりクールに映し出されると胸アツ度120%!
終盤は出てこない料理人・シェインの、イケメンっぷりをもう一度拝めます。
(まだまだ観たかった俳優、亡くなってしまったのが悔やまれます…。)
「一生懸命がんばる、ダメな奴らを愛しちゃおう!」熱い魂(ソウル)をお楽しみ下さい♪
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