映画「青天の霹靂」(せいてんのへきれき)は、大泉洋主演、2014年の劇団ひとり監督の日本映画です。
この映画「青天の霹靂」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
タイムスリップした先には40年前の自分の両親が!「青天の霹靂」をお楽しみください。
原作は劇団ひとりの同名の小説で、初監督も務めています。
■ スタッフ
監督: 劇団ひとり
製作総指揮: 山内章弘
製作:澁澤匡哉
脚本: 橋部敦子、劇団ひとり
撮影: 山田康介
音楽: 佐藤直紀■ 主要キャスト
轟晴夫:大泉洋
花村悦子:柴咲コウ
轟正太郎:劇団ひとり
医師:笹野高史
雷門ホール支配人:風間杜夫
「青天の霹靂」あらすじ
場末のマジックバーで働く轟晴夫(大泉洋)。
いつかはテレビでの活躍を目指すも、この17年間鳴かず飛ばずの中年マジシャンです。
学歴も金も恋人もない、35歳の自分に出来るのは古臭いマジックだけ…
そんな晴夫(大泉洋)に一本の電話が掛かってきます。
それは父の死を告げる警察からのものでした…。
父一人子一人の生活で自分を育ててくれた父の元を飛び出して以来一度も帰っていなかった晴夫(大泉洋)。
ホームレスとなって暮らしていた父の遺体確認の後、彼の住んでいた高架下にやってきました。
そこで、自分の人生を悔いるように父の最期の場所を見ていた晴夫(大泉洋)でしたが、急な落雷が彼を襲います。
空は青空、まさに青天の霹靂とはこの事でした。
落雷に撃たれた彼が目覚めたのは過去、昭和40年代の日本です。
そこで自分の父と母に出会った晴夫(大泉洋)はこれからどうなってしまうのでしょうか?
家族の歴史を追いながら、自分の人生を再生させていく男の物語です。
「青天の霹靂」ネタバレ
タイムスリップしてしまった事に気付いた晴夫(大泉洋)は、浅草の激情へ行き、自分を雇ってほしいと劇場主にお願いします。
そんな晴夫(大泉洋)の助手に付いたのが花村悦子(柴崎コウ)。
可愛くて気が利く悦子(柴崎コウ)に軽い恋心抱く晴夫(大泉洋)ですが、彼女には同じ劇場で働く芸人の夫がいること知ります。
そんなある日、体調を崩した悦子(柴崎コウ)に代わって赴いた警察署で、晴夫(大泉洋)は若き日の父、正太郎(劇団ひとり)に出会います。
そのまま向かった二人の家で、悦子(柴崎コウ)と正太郎(劇団ひとり)の間に育まれている命が自分だという事を悟った晴夫(大泉洋)は複雑な心情で彼らの喧嘩を見ています。
自分を生んですぐに男を作って出て行った、と聞かされていた母の印象が全く違う事に戸惑う晴夫(大泉洋)。
悦子(柴崎コウ)は妊娠したことを素直に喜び、お腹の中の赤ちゃんに会える日を愛おしそうに待つ素敵な女性だったからです。
妊娠した悦子(柴崎コウ)に代わり、正太郎(劇団ひとり)とコンビを組まされることになった晴夫(大泉洋)は、情けなくて頼りない父親に反発しながらも仕事をこなしていきます。
しかし彼の心情の複雑さとは別に、タイ人キャラの自分と中国人キャラの正太郎(劇団ひとり)のコンビ芸は徐々に人気を博していくのでした。
浅草で知らぬものはないほどの人気者になった晴夫(大泉洋)は、テレビ出演のをかけてオーディションに挑もうと正太郎(劇団ひとり)と盛り上がります。
順調に勝ち進んでいく二人。
ところがそんな時、悦子(柴崎コウ)が倒れてしまいました。
流行病に冒された悦子(柴崎コウ)ですが、お腹の子供を守るため投薬などの治療を頑として拒みます。
このままでは悦子(柴崎コウ)を失ってしまうかもしれない恐怖心から、正太郎(劇団ひとり)の気持ちは、オーディションどころではなくなっていくのでした。
集中しきれないままに舞台を降りた正太郎(劇団ひとり)から、悦子の病気の話を聞いた晴夫(大泉洋)は、お腹の子供を堕ろせ、と彼に言い放ちます。
生まれたところでどうせろくな人生を歩まないのだから、そう告げる晴夫(大泉洋)の心中は如何ばかりか―――。
その言葉に激怒した正太郎(劇団ひとり)と晴夫(大泉洋)はコンビを解散してしまうのでした。
「青天の霹靂」最後のラスト結末
迎えた最終オーディションの日。
それは晴夫(大泉洋)の誕生日の日でした。
分娩室に向かう悦子(柴崎コウ)は正太郎(劇団ひとり)に、子供の名前は決まったのか、と尋ねます。
正太郎(劇団ひとり)は窓を見上げながら、女だったら晴子、男だったら晴夫だ、今日晴れてるから、と言い、頑張れ!と悦子(柴崎コウ)の叫ぶのでした。
分娩室のライトがともるのと同じ時間、晴夫(大泉洋)は最終オーディションのでの出番を迎え、大観衆の前でスポットライトを浴びています。
次々とマジックを繰り出していく晴夫(大泉洋)。
会場のボルテージも最高潮に達したころ、悦子(柴崎コウ)は自分の命と引き換えに子供を産みました。
大きく産声を上げるその声と、会場の拍手喝さいがリンクしたその瞬間、晴夫(大泉洋)は再び落雷に撃たれ、忽然と舞台から姿を消してしまうのでした。
次に目覚めたのは現代―――。
あのときの高架下です。
そんな晴夫(大泉洋)に、警察から電話が掛かってきます。
曰く、亡くなってたのは正太郎(劇団ひとり)ではなかった、と…。
ホームレスの悪戯が引き起こした誤報であった事が告げられますが、何を隠そう、そのホームレスこそが父、正太郎(劇団ひとり)だったのでした。
離れ離れになった息子にもう一度会いたい、と取った手段がそれであったことを打ち明ける正太郎(劇団ひとり)。
照れくさそうにそんな事を言う父を見ながら、晴夫(大泉洋)は初めて心からの、ありがとう、を伝えるのでした。
完。
「青天の霹靂」見所ポイント!
監督・脚本・出演全てをこなされた劇団ひとりさんの全てが詰まっているような作品です。
前作【陰日向に咲く】は、原作のみの参加でしたが共通するのは、人と人とのつながりを大事にする作風だな、という事。
今作でも一度は途切れてしまった親子の繋がりを、過去にタイムスリップして再び結び直すという、見方を変えればよくあるタイプのお話だったように思います。
【陰日向~】に比べて、過去から現代までの様々な人が絡まり合い、結びつきを実感していくような複雑さが無く、ちょっと物足りないような気もしましたが、そう言った感情を一掃してくれたのが晴夫と正太郎コンビが繰り出す舞台芸でした。
このシーンが本当に面白い!
お二人のテンポが良く、大泉さん演じる晴夫が正太郎を馬鹿にしきっている悪意がアリアリと感じられるのに、あんなに面白いシーンに出来るなんて本当にすごいと思います。
悪意というネガティブな感情を笑いに変える手腕はさすが!
晴夫と正太郎なのか、大泉洋と劇団ひとりなのか、と言うほどナチュラルに笑ってしまうこのシーンが入る事で、ありきたりな物語にプロの根性が見えた気がしてとても面白かったです。
そして『とにかく可愛い女性を演じて欲しい』と言われていた柴崎さん。
劇団ひとりさんの中には理想の女性像があるようで、その可愛い女性像を掴むのに苦労されたようですが、本編中の柴崎さん、本当に可愛かったです。
もともと整ったお顔立ちをされているとはいえ、どちらかと言うと猫目のキツイ美人顔、といった印象の柴崎さんが、作品中はふんわりとした空気を身にまとって柔らかな印象だったのが素敵でした。
劇団ひとりさんをビンタするシーンさえ、キツイというよりは精一杯の抵抗、と言った感じを受けてとても良かったです。
単純なストーリーの中にきっちり笑いと涙と、そしてラストの驚きを組み込みながら、上映時間を約100分と抑えた監督力に脱帽です。
劇団ひとりと言う人は、本当に天才なんじゃないかと、次回はまた違ったテイストの作品も見てみたいな、と今後の監督作に期待したくなるようなお話でした。
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