映画「セキュリティ」はアントニオ・バンデラス主演、アラン・デロシェール監督の2017年公開の作品です。
この映画「セキュリティ」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末と見どころについて紹介します。
元海軍の夜間警備員が犯罪組織に狙われた少女を守る「セキュリティ」をお楽しみください。
「セキュリティ」あらすじ
エディ・ディーコン(アントニオ・バンデラス)は、心に傷を負った退役軍人です。
妻バレリア、小学生の一人娘シルビアを傷つけるかもしれない。
そんな不安を抱えて自分自身を恐れるエディは、別居して一人で戦っていました。
しかし、信じて待っている二人のためにも、自分を立ち直らせたいと思っています。
この日、仕事を求めて斡旋所に来たエディの表情は、暗く冴えないけどその目は真剣。
元大尉の階級など関係ない!
どんな事でもやるエディの気持ちを察した職員は、今夜から出来る仕事を一つ紹介します。
低賃金、深夜勤務、遠方にあるショッピングモールの警備員。
早速、車を走らせ、途中にあるモーテルで勤務時間まで体を休めるエディ。
夜を迎えると、まるで悪いことが起きる前触れのように激しい雷雨になりました──
時を同じくして、物々しい雰囲気のなか走り出した、連邦保安官が乗る三台の車。
辺りが暗くなると激しい雷雨、携帯電話も圏外、無線の応答なしで不吉な予感。
長距離を移動する三台の車、一般車両は走行禁止で完全封鎖のはずでした。
しかし、行く手を阻む正体不明の追跡車両が現われると、すぐさま銃撃戦に。
連邦保安官は「安全な場所まで逃げろ!」と、“一人の少女”を車外へ。
銃声が止むと連邦保安官の死体と車両を黒ずくめの男らが片付け、大雨が痕跡を消します。
捕まるまいと、雨の中を必死に走り続けた少女(キャサリン・メアリー・デ・ラ・ローシャ)。
ショッピングモールを見つけると、入り口のガラスを力一杯叩き助けを求めました。
その音に気づいたのは、巡回中の新人警備員エディです。
「追われてるの!奴らが来る!」と声を荒げ、エディの腕の中で気絶する少女。
自分の娘と変らない11~12歳ほどの少女が、こんな雨の夜にどうして?
激しい雷雨のせいか、停電で真っ暗になったショッピングモール。
予備電源で監視カメラを作動させていますが、電話は不通、携帯電話も圏外です──
そして・・・
「セキュリティ」ネタバレ
エディが少女を警備員室に運んだ直後、監視カメラはショッピングモールに近づく者を捉えました。
只ならぬ状況に、緊張が走る先輩警備員たち。
“自称”夜警リーダーで、お調子者のヴァンス(リアム・マッキンタイア)。
夜警はあくまで“腰掛け”のメイソン(チャド・リンドバーグ)。
巡回と言う名のサボりが得意!?な、アジア人青年ジョニー(ジロー・ワン)。
ヴァンスが好意を寄せる!?ルビー(ガブリエラ・ライト)は、二日酔いで爆睡中です。
入り口のガラスを叩く男(ベン・キングズレー)。
夜警リーダーらしく「何かご用ですか?」と、愛想笑いで先陣を切るヴァンス。
「娘を捜してます。ケンカをした……娘のジェイミーだ」
あの少女の父親だと言う男は、どんな質問にも淀みなく返答します。
新人警備員エディがどんなに怪しんでも、先輩たちは問題解決で一安心。
ところが、意識が戻った少女は、男の顔を見た途端に悲鳴を上げて逃げ出しました。
すると、本性をあらわした男は、大金を見せると取引を持ち掛けます。
警備員皆殺しか?監視カメラの映像も消去して少女を引き渡すか?
男によって、外部との繋がりを完全に遮断されたショッピングモール。
ガラスを隔てて男と向かい合う夜警リーダーは、その重圧に負け少女を引き渡す決断を。
しかし、エディが遮り、交渉は決裂します。
およそ一年前、少女ジェイミーの父親は、ある悪事を立件するため奔走。
そして、ジェイミーの目の前で、両親はあの男が束ねるギャングに殺されました。
明日おこなわれる裁判で、証言台に立つ事になっている目撃者ジェイミー。
男にとって目障りな存在で、今夜中に両親と同じように殺すつもりです。
年齢よりも大人びているジェイミーは、子ども扱いを嫌がりました。
それでも「一人にしないで……」と、エディと指切りします。
夜警リーダーのヴァンスの提案で、倉庫に身を隠す少女ジェイミー。
警備員室で、監視カメラの映像を見つめるエディ。
武装集団がショッピングモールを囲み始め、その人数は増えるばかり。
海兵連隊の元大尉とは言え、今のエディが使える武器はスタンガンくらいです。
駐車場に停めてある車に、“護身用の銃”を隠していたヴァンス。
勤務中は規則違反だから銃を持たない、実は生真面目な夜警リーダーに誰もがガッカリ。
「腰掛け君」と、いつもヴァンスにイジられる、メイソンはオロオロしっぱなし。
今すぐショッピングモールを離れたい彼に、エディは「その恐怖心が命を落とす」と喝!
モール内の事は熟知している警備員VS何でもアリな武装集団。
少女ジェイミーを守ると決めたエディの、本気の戦いが始まります。
まだ若い先輩警備員たちを、まとめる夜警リーダーに昇格したエディ。
恐怖心を勇気に変えたヴァンスらは、武装集団を撃退するための罠を仕掛けます。
そして、とうとう武装集団の車が入り口に突っ込み、ガラスを割りました。
戦う意思表示を見せつけるエディは、車を爆破!
火だるまになった仲間を、ためらう事なく撃ち殺す武装集団。
そんな事をしちゃうなんて、警備員たちは信じられません!
モール内に入り込んだ敵と揉み合う、元夜警リーダーのヴァンス。
追い詰められるヴァンスを助けたのは、目を覚ました女警備員のルビーです。
「二日酔いにはキツイわ!」と言うルビーも加わり、戦う警備員たちは次なる作戦へ!
すると、隠れていたはずの少女ジェイミーが倉庫から出てきました。
「警備員の誰かが怖くなって、私の隠れ場所をバラすかもしれない」
自分の身は自分で守ると決心したジェイミーは、ラジコンカーを操縦して参戦します。
「皆殺しにしろ!」と、武装集団に命令する、男(ベン・キングズレー)の名前はチャーリー。
モール内に次々と突入した武装集団は、バリケードフェンスに仕掛けられた電流の罠に!
しかし、想定通り突破され、見ていたルビーが「入って来た」と、オモチャ無線機で連絡。
戦う警備員は散らばって身を隠していて、ルビーは香水売り場。
元夜警リーダーのヴァンスは台所用品売り場、怖がりのメイソンは家具売り場。
どんなに脅迫されても、銃弾を撃ち込まれても、彼らは決して屈しません。
アジア人青年ジョニーは、フードコートから外を見ていました。
それは、集団のボス・チャーリーの心理を読む、元大尉のエディの指示です。
武装集団の動きから巡回のパトカーが来ると判断し、ジョニーがSOSのサインを出す係に。
その判断は的中し、屋上に配置されたスナイパーがパトカーの接近に気づきました。
連絡を受けたチャーリーは「外に居る者は、銃を下ろせ」と、命令します。
フードコート横に停まったパトカーに、懐中電灯を使って合図を送るジョニー。
エディと目配せしたジョニーが、懐中電灯のスイッチを入れるとまさかの電池切れ!?
目の前に居る警官に知らせたいジョニーは、エディの制止も聞かずガラス戸へ近づきます。
しかし、パトカーは走り出し、スナイパーがジョニーを撃ち抜きました。
仲間のジョニーが殺されたと知った、ヴァンス、メイソン、ルビー。
若い青年の死に顔を歪ませるエディは、立て直しを図るため彼らに声を掛けます。
すると、怖がりのメイソンは「体が動かないんだ」と、声を震わせるのでした。
敵は動きがあった、フードコートに来ると踏んだエディ。
カメラを付けたラジコンカーで、ジェイミーが様子を探ると敵は五人。
勝算はあると丸腰で飛び出すエディは、一人また一人と倒し、怖がるメイソンのもとへ。
銃声が止むと、元夜警リーダーのヴァンスと、二日酔いも醒めたルビーが出てきました。
ところが、目の前に現れた敵が発砲し、ヴァンスを守ったルビーが命を落とします。
想いを寄せるルビーを抱きかかえ、必死に走るヴァンス。
エディとメイソン、そして少女ジェイミーも集合。
シャッターで守られた高級ブランド品エリアに身を隠す彼らは、悲しみと恐怖に駆られるのでした。
膝を抱える少女ジェイミーは、エディに打ち明けます。
「…夏休みに行ってたウィル叔父さんの家……楽しかった、普通だったの」
いつからか“普通じゃなくなった父親”は、家にも帰らずジェイミーを遠ざけました。
同じ娘を持つ父親のエディは、ジェイミーの父の気持ちが分かる気がします。
「怖かったのかもな、君を危険に晒すことが ……自分自身が怖かったのかも」
エディは、スタンガンとテディベアのリュックをジェイミーに渡しました。
戦う警備員たちと少女ジェイミーを殺すため、武装集団はシャッターを破壊し強行突破!
この場を死守する元夜警リーダーのヴァンスは、銃を撃ちまくります。
監視カメラの映像から、パトカー数台がやって来たと知ったエディは警官たちのもとへ。
すると、警官は出血しているエディに銃を向け、ひざまずかせます。
「警備員だ!」と、身の潔白を訴えるエディは、オモチャ無線機でジェイミーに連絡。
怖がりのメイソンと一緒に居るジェイミーは、その場を動くことが出来ません。
同じくオモチャ無線機で話し掛けるのは、元夜警リーダーのヴァンス。
「ここを出て、奴らを破滅させてやれ!」と、ジェイミーに勇気をあたえます。
そして、気力を振り絞るヴァンスは、再び銃撃戦へ!
メイソンとジェイミーは、エディと警官のもとへ走り出しました。
二人を助けたヴァンスに敵が近づくと、撃たれた彼はそのまま倒れ込みます。
殺人事件の証言者ジェイミー。
その到着を待つ警官の様子に違和感を覚えるエディは、コイツらも敵だと気づきました。
ジェイミーの足を止めるため、オモチャ無線機で“テディベア”の話をするエディ。
ソレを置いてきたジェイミーは立ち止まりますが、警官の前にやって来たメイソンは射殺。
反撃に出たエディは敵を仕留めると、オモチャ無線機で呼び掛けます。
しかし、返事をしたのは少女ジェイミーだけでした。
武装集団にたった二人で挑む無謀な戦いですが、エディは諦めていません。
ショッピングモールの外に停まる、敵の通信車を監視カメラで確認済みのエディ。
外部への無線連絡を妨害するソレを、破壊するのが彼の任務です。
ジェイミーの任務は、オモチャではなく本物の業務用無線機を取って来る。
そして、無線機の緊急ボタンを押して、本物の警察を呼ぶこと。
助かると信じて、エディとジェイミーは指切りします。
モール内に展示してある、トライク(三輪バイク)のエンジンを掛け走り出すエディ。
数時間前、新人警備員の彼に夜警リーダーのヴァンスが「週1回運転できる!」と、得意気に教えてくれました。
しかし、武装集団の凄腕がエディ目掛けて飛び掛かるとサシの勝負に。
そして、激闘を続けたエディは再びトライクで走り出し、敵の通信車を破壊します。
オモチャ無線機からは「ジェイミー!」と、必死に呼び掛けるエディの声。
その時、少女ジェイミーには、ボス・チャーリーが迫っていました。
勇気を出して走るジェイミーは、本物の無線機を握りしめ助けを求めます。
それでも、諦めないチャーリー。
オモチャ無線機と本物の無線機がもう手元にないジェイミーに、エディの声は届きません。
「…人間は、逃げ出すのさ」
隠れるジェイミーにそう話し掛け、“エディはもう居ない”と思わせるチャーリー。
そして、銃を握る彼は、ジェイミーを見つけると引きずり出します。
「エディ!助けて」と、必死に叫ぶジェイミーの前に現れたエディ。
銃弾を浴びボロボロになった体でも、指切りをしたジェイミーを助けに来ました。
「セキュリティ」最後のラストの結末は?
エディがジェイミーに渡したのは、テディベアのリュックともう一つ。
「分かってるだろ?」と、エディに言われたジェイミーは勇気を出します。
後ろに立つチャーリーにスタンガンを押し当てると、ジェイミーに向けられた銃が離れました。
次の瞬間、引き金を引いたエディが、チャーリーを撃ち抜きます。
ショッピングモールを取り囲む、本物の警官たち。
しかし、満身創痍のエディを犯人と警戒する彼らは、銃を構えたまま。
両手を上げ、ジェイミーから離れるエディ。
すると、ジェイミーはエディに抱き着き、事件は解決します──
後日、入院するエディに、会いに来たジェイミー。
あの普通ではなかった夜に、互いの心の傷を少し知った親子のような二人。
娘シルビアを想いながらも、傷つけるのを恐れて近づけないエディ。
ジェイミーは「あなたが父親で羨ましい」と、伝えました。
新しい里親の家に行くジェイミーが不安そうな顔をしていると、今度はエディが伝えます。
「大丈夫さ、彼なら安心だ」
振り返ったジェイミーは、笑顔のウィル叔父さんに抱き着きました。
大きなテディベアを抱えて、バスを降りたエディ。
迎えに来ていた、妻バレリアと娘シルビアが微笑んでいます。
家族を抱きしめるエディは、幸せな笑顔になるのでした。
THE END
「セキュリティ」見どころ
1990年代、色気が溢れまくっているアントニオ・バンデラスの、虜になった方も多いのではないでしょうか?
私は当時10代だったので、まだ映画にのめり込んではいませんでした。
だけど「このスペインの俳優カッコ良すぎ!」って、ドキドキしたのは覚えています。
『デスペラード』(1995年)や『マスク・オブ・ゾロ』(1998年)、それぞれの続編も然り!
2000年以降も、ラブコメから狂気な男まで、大いに楽しませてもらっています。
近年も、主演作『ペイン・アンド・グローリー』(監督ペドロ・アルモドバル 日本公開2020年)で、第72回カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞。
こちらも、多くの方に“じっくり”観て頂きたい作品ですね。
さて!ここでは“流し見”にピッタリな『セキュリティ』をご紹介します!
「とりあえず映画でも」って時にオススメの一本で、時間もキャストも展開も、いい塩梅なのです。
※当然「クソつまらん!」って方も居るでしょうが、意外と人気作なのも嘘じゃない!?私は好きです。(笑)
まさに“考えるな、感じろ”で、主人公エディの人物像を全く深掘りしないで進みます。
激戦地での任務を終え、この一年は引きこもりで無職だったエディ。
冒頭、職安での会話や、警備員に決まったと妻に報告する姿で「とにかく仕事を頑張りたい」っていう、エディの心意気は分かるでしょう。
本作のキーパーソンとなる、少女ジェイミーを乗せた警察の車が走る。
延々続く道のり、雷ゴロピカー!開始から10分かからずに武装集団に襲われ、少女が走る。
その後、ショッピングモールに到着したエディを、夜警リーダーのヴァンスが迎える展開に。
このヴァンス、お喋り好きで髪型も某スネ夫君を思わせる、自我が強いタイプ。
リアクションも大きくてチャラそうだけど、広いモール内をエディと歩いてアレコレ教える良いリーダーです。
一通り歩いて、エディが元大尉だと知ったヴァンスは「任務を開始しよう」と“敬礼”!
この時は、お調子者ヴァンスにエディはイラつきます。
だけど、後になって効いてくる場面なので、覚えておいて下さいね。
口は達者だけど、怖がりの“腰掛け”メイソン。
紅一点のルビーは警備員室に来て早々「触ったら、マジで吐く!」で、ぐっすりオヤスミ。
アジア人青年ジョニーを演じた台湾生まれのジロー・ワンは、キャラ自体は普通ですがイケメンです。(笑)
彼らは、物語の途中で離脱するのが惜しいほど、勇気ある警備員の姿を魅せてくれますよ。
正直、警備員の中で顔と名前が明確に一致するのは、エディ役のアントニオ・バンデラス。
それと、メイソン役のチャド・リンドバーグだけです。
そんな中、敵のボスとしてドドーンと登場するのが、名優ベン・キングズレー!
わざわざ自分が手を下すことはなく、冷淡な顔をして部下たちを動かす。
だけど『セキュリティ』がB級って印象付けちゃう、激闘とは言えないショボイ戦い。(笑)
ショッピングモールに攻め込む敵で、存在感があるのは筋肉マン1人とスナイパー1人。
残念ながら画面に映るのは殆ど少人数で、殺しのプロのはずが気づけば部下の残数は3人!?
爆破もある、本編65分頃からの元夜警リーダー・ヴァンス無双!が、相当効いてます。
部下が爆破でブッ飛んでるその横で、静かに佇むベン・キングズレー。
個人的には、ただただオモロイです!
仲間を亡くして孤軍奮闘になった新人警備員エディですが、指切りした約束はシッカリ守ります。
個人的に本編57分頃からの、エディがフードコートで戦うシーンもオススメです。
先にもあげた『デスペラード』の迫力には敵いませんが、二丁拳銃で仕留めるシーンはカッコイイですよ。
本編92分、まさに“あっさり映画”のお手本だと思える『セキュリティ』。
突っ込みながら気楽に観ていれば、思いがけない感動にめぐり会えるかもしれませんよ!
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