映画「殺人の告白」は、チョン・ジェヨン主演、2012年の韓国映画です。
この映画「殺人の告白」のネタバレ、あらすじや犯人、最後ラストの結末、見所について紹介します。
監督チョン・ビョンギルは、この映画で韓国の大鐘賞で新人監督賞を受賞しています。
「殺人の告白」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: チョン・ビョンギル
脚本: チョン・ビョンギル
撮影: キム・ギテ
音楽: キム・ウグン■ 主要キャスト
チェ・ヒョング:チョン・ジェヨン
イ・ドゥソク:パク・シフ
ハン・ジス:キム・ヨンエ
ガンスク:チョ・ウンジ
ドヒョク:オ・ヨン
J:チョン・へギュン
TV局長:チャン・グァン
テソク:チェ・ウォニョン
「殺人の告白」あらすじ
かつて、ヨンドク連続殺人事件と世間を騒がせた犯人は今もまだ見つからないまま。
その犯人を最後の最後で取り逃がしたチェ・ヒョング刑事(チョン・ジェヨン)は、その時犯人に切り裂かれた傷跡が今も口角に残っています。
ヨンドク殺人事件は、犯人が見つからないまま時効を迎えてしまいました。
ところが、それを待っていたかのように、犯人を名乗る人物が事件を題材にした本を出版したのです。
イ・ドゥソク(パク・シフ)と名乗るその人物は、一躍人気になり、かつての殺人犯だというのにファンクラブまで出来る始末。
果たして彼は本当に犯人なのか―――?
そして、今更名乗り出てきた理由はなんなのか―――?
今、前代未聞の逮捕劇が始まる。
「殺人の告白」のネタバレ
その日、チェ刑事(チョン・ジェヨン)はかつて自分が事件に巻き込んでしまったせいで声が出せなくなった女将の店で飲んでいました。
迷惑そうな顔の女将を余所に彼が見詰める先では、テレビがヨンドク連続殺人事件の時効を伝えています。ところが、他の客がチャンネルを変えてしまいました。
怒鳴りつけるチェ刑事(チョン・ジェヨン)ですが、女将に追い出されてしまいます。
すると店の外で怪しい人影を見た気がしました。
もしかして犯人なのでは?と追いかけるチェ刑事(チョン・ジェヨン)。
しかし一本の電話が追跡の足を止めます。
それは彼が自分の弟のように面倒を見ているチョン・ヒョンシクからの電話でした。
彼はヨンドク連続殺人事件の被害者遺族の彼の様子が普通ではないと感じたチェ刑事(チョン・ジェヨン)は急いで彼の元に戻ります。
しかしチェ刑事(チョン・ジェヨン)の制止を振り切ってヒョンシクは彼の眼の前で投身自殺を図るのでした。
ちょうど下を通っていたバスのフロントに突っ込んだヒョンシク。
それから2年の時が過ぎ…。
ある朝チェ刑事(チョン・ジェヨン)は電話で叩き起こされます。
言われるがままつけたテレビでは、ヨンドク連続殺人事件の犯人を名乗る人物が記者会見を開いていました。
それは、イ・ドゥソク(パク・シフ)という青年が、事件の詳細を記した手記の出版の為に開いた会見でした。
自分が事件の犯人であることの証明として、17年前チェ刑事(チョン・ジェヨン)に撃たれ今でも球が残っている、として金属探知機を肩にかざすと、そこからは反応音が上がります。
かつて世間を恐怖に陥れたドゥソク(パク・シフ)は、その甘いマスクと均整のとれたスタイルからすぐにアイドル並みの人気者として祭り上げられてしまいました。
その頃、刑務所にある女性が出所してくる男性を迎えに来ています。
男が連れてこられた山奥の小屋には、ドゥソク(パク・シフ)によって家族を殺された遺族が二家族集まっていました。
復讐を誓う遺族をまとめるのは、会長と呼ばれるハン・ジス(キム・ヨンエ)。
彼女の娘は、連続殺人犯に拉致された後、何の手がかりもなく今日まで来てしまいました。
娘の生存を諦めてはいるものの、せめて遺体だけでも探し出してあげたいと願う会長(キム・ヨンエ)。
メンバーは、会長(キム・ヨンエ)のほか彼女の息子テソク(チェ・ウォニョン)、ボーガンを操るチェ・ガンスク(チョ・ウンジ)とその父、それから出所してきたばかりのカン・ドヒョク(オ・ヨン)です。
彼らは、いつも多くの記者を引き連れ世間の目という形で守られているドゥソク(パク・シフ)を拉致する為、彼がプールに入っている時を狙う事に決めました。
清掃員に変装し、隙を見てプールに毒蛇を放ち、噛まれたドゥソク(パク・シフ)を救急隊員に変装したメンバーが連れ去るという、何とも大胆な作戦です。
当日、蛇に噛まれるところまでは上手くいきました。
しかし、本物の救急隊と遭遇してしまった為、計画にトラブルが発生します。
逃げようとするドゥソク(パク・シフ)と、なんとしてでも彼をアジトまで連れて帰りたいドヒョク(オ・ヨン)は、壮絶なカーチェイスを繰り広げた結果、ドゥソク(パク・シフ)は拉致されてしまいます。
偽物の救急車の手配書から会長(キム・ヨンエ)の息子テソク(チェ・ウォニョン)に辿り着いたチェ刑事(チョン・ジェヨン)は、彼らのアジトに忍び込み、秘密裏にドゥソク(パク・シフ)の奪還に成功しました。
そして彼を宿に一人残して立ち去るチェ刑事(チョン・ジェヨン)。
その後ドゥソク(パク・シフ)は、自身の誘拐について、行き過ぎたファンの行動によるもので刑事事件にはしない、との発表を出しました。
訝しむ遺族団…。
ハッキリと顔を見られたにもかかわらず捕縛されない事に疑問を抱いたのです。
その後、ドゥソク(パク・シフ)はチェ刑事(チョン・ジェヨン)を指名して[なぜ彼は事件の詳細を本にして出版したのか?]について討論する生放送に出演します。
しかし、司会者を挟んで行われたこの討論会は思わぬ事態へと発展しました。
チェ刑事(チョン・ジェヨン)は、ドゥソク(パク・シフ)を、犯人ではない、と言いだしたのです。
10人の被害者のほかに一人誘拐された女性がいるが、その女性について本には何も書かれていないというのがチェ刑事(チョン・ジェヨン)の言い分でした。
一気に緊迫感が増した放送中、クールダウンを兼ねて視聴者からの質疑応答のコーナーに突入します。
ところがそこにかかってきた電話が、またもや事態を混乱させるのでした。
Jと名乗る人物からの電話で、彼は、自分こそが真の犯人だ、と言い出したのです。
この放送を見ていた遺族団にも戦慄が走ります。
放送中に出てきた行方不明の女性、というのが会長(キム・ヨンエ)の娘だったからです。
会長(キム・ヨンエ)は放送を見て、自分たちが追っていたイ・ドゥソク(パク・シフ)は真犯人ではないとの直感を感じました。
しかし、ガンスク(チョ・ウンジ)は違います。
復讐に燃える彼女はドゥソク(パク・シフ)の肩をボーガンで射抜いてしまいました。
一方のチェ刑事(チョン・ジェヨン)は、Jからの電話を逆探知し、発信元が自分の実家であることを突き止めます。
実家には老いた母が一人きり。
半狂乱になって駆け込むチェ刑事(チョン・ジェヨン)ですが、母はぐっすりと眠っており、突然の息子の訪問に迷惑そうです。
母の無事を喜ぶチェ刑事(チョン・ジェヨン)ですが、そんな彼の前に一人の男が飛び出してきます。
懐中電灯で[J]と示す男を見て追いかける彼に、男はナイフとビデオテープを置いて逃げて行ってしまいました。
真犯人の残した証拠テープ。
そこに映し出されていたのは一人の女性でした。
まだ遺体の見つかっていないチョン・スヨンは涙ながらに、最期にあの人の声を聞きたい、と懇願しています。
口を塞がれた状態で受話器に耳を傾けるスヨン。
電話の向こうから聞こえてきた声はチェ刑事(チョン・ジェヨン)のものでした。
そう、彼は恋人であるスヨンを殺されていたのです。
チェ刑事(チョン・ジェヨン)は、ナイフから鑑定された血痕が自分のものと一致した、との発表をします。
ではドゥソク(パク・シフ)は真犯人ではないのか、と色めくマスコミに向かってドゥソク(パク・シフ)は、自分の留守中に何者かが忍び込み、金庫に保管しておいたナイフを盗まれたのだ、と病床からインタビューに応じました。
殺人犯というタイトルを奪いたかったんだろうが所詮はアマチュアだ。
そう言って嘲笑うドゥソク(パク・シフ)の映像は、視聴率を稼ぎたいテレビ局によって、Jと連絡を取りたい、として表示された電話番号と共に放送されます。
それを見詰める街中の群集の中に、Jがいました。
翌日ドゥソク(パク・シフ)は、印税で得た約200億ウォンは、全て遺族に寄付する事、自分をボーガンで射抜いたガンスク(チョ・ウンジ)についても訴えない旨をマスコミの前で語ります。
それを見て、ドゥソク(パク・シフ)が真犯人ではない事を確信する遺族。
ところがこの会見中、マスコミが一気に慌ただしくなります。
Jが生中継でインタビューに応じるというのです。
Jはチェ刑事(チョン・ジェヨン)も含めた三人で、誰が真犯人になのかはっきりさせよう、と提案しドゥソク(パク・シフ)は笑みを浮かべながら承諾するのでした。
Jはこの時、自分の連絡先代わりに、とまた一本のビデオテープを残していきます。
そこには林の中で、この木の下に自分の決定的な証拠がある、そう告げたJが一本の木に[J]とスプレーで書く映像が残されていました。
三者討論の生放送3時間前に正確な位置情報をメールする、と言ってテープは終わりました。
三者討論の日までに、なんとかJの痕跡を探そうと、残されたスヨンのビデオテープを繰り返し見るチェ刑事(チョン・ジェヨン)。
そうして彼は大きな事実に気付くのです。
ビデオに残された日付は1992年12月19日。
そして今は2007年12月18日。
つまりまだJの犯罪は時効を迎えていなかったのです。
「殺人の告白」の最後のラスト結末
いよいよ迎えた三者討論の日、会長(キム・ヨンエ)も観覧席に座り、Jが真犯人だと確定したらどうか自分に殺させてほしい、と懇願します。
それこそが娘の死を自分の胸に眠らせられる、これが会長(キム・ヨンエ)の決意だったのです。
チェ刑事(チョン・ジェヨン)、ドゥソク(パク・シフ)、そしてJ。
三人が集まり、討論が始まりました。
それまでずっとお面を付けていたJも司会者の求めに応じて、その面を取ります。
そして彼は、自分こそが真犯人だとすぐに証明される、と言い画面を発掘現場に切り替えさせるのでした。
中継先の現場では[J]と書かれた木の下から服を着たまま白骨化した遺体が見付かります。
Jは、スヨンはあの日白いコートを着ていた、そう言って笑いました。
思わずJに掴みかかるチェ刑事(チョン・ジェヨン)。
その時でした。ドゥソク(パク・シフ)が突然、自分は犯人ではない、と言い出します。
突然の告白に驚きながらも司会者が、でも本で事件の詳細について書いていたではないか、と尋ねると、今度は、あれは自分が書いたものではない、と言い切ったのです。
では誰が?その答えはチェ刑事(チョン・ジェヨン)でした。
彼は、自己顕示欲の強い真犯人をおびき出す為に事件の犯人をでっちあげたというのです。
そう、犯人のふりをして世間を騒がせたドゥソク(パク・シフ)は、Jの事件により身寄りを無くしたチョン・ヒョンシク。
投身自殺を図りバスに激突した彼は、一命を取り留め、その後顔を変え真犯人のあぶりだすための作戦に身を投じていたのです。
まんまと罠にはまったJ。
娘の敵、と襲いかかってくる会長(キム・ヨンエ)を人質にしてテレビ局から逃げ出します。
それを追うチェ刑事(チョン・ジェヨン)とドゥソク(パク・シフ)、そして遺族団。
バイクで逃げるJをカーチェイスの末に追い詰めた会長(キム・ヨンエ)はJを殺そうとしますが、それを止めたのはチェ刑事(チョン・ジェヨン)でした。
彼は会長(キム・ヨンエ)を止めると、自分の手でJを殺したのです。
ラストシーンは、刑期を終えて出所したチェ刑事(チョン・ジェヨン)を遺族団やドゥソク(パク・シフ)が出迎え、笑顔で集合写真を撮って物語は終わります。
「殺人の告白」見所ポイント!
時効が過ぎれば犯した罪は消えるのか?という問題に真正面からぶつかったこの物語は、冒頭の、過去と現在が混同するシーンからグングンこちらの意識を引き込んでいきます。
かつて10人もの命を奪った犯人が、時効が明けたからと言って表舞台に出てきた、しかもその犯人がとても綺麗な顔をしていてファンクラブまで出来る、というある意味世間に認められたような形で進む物語に非常に興味を惹かれました。
主役のチョン・ジェヨンさんと犯人役のパク・シフさん、このお二人がピリリと画面を引き締めてくれるので、この物語はどんな形で終着点へ向かうのか、ある意味楽しみにしながら見ていたんですが、それが突然、遺族団の出現によって進む方向性が違ってきます。
なんというか、急にコメディー色が強くなるとでもいうのか…。
プールでの誘拐作戦が毒蛇って…というところから一瞬脚本の出来を疑ってしまいますが、それがその後のカーアクションに繋がるドタバタ劇の始まりでした。
カーアクション自体は、どうやって撮っているのか?と目を疑うようなシーンの連続で非常に見応えがあります。
しかし、如何せん長い。まだ続くの?と思い始めると、やはりこのシーンについてはもう少し削って頂いた方がテンポよく見られたのではないか、と感じました。
このままコメディー色を推し進めていくのかな?と若干心配になったものの、それをキュッと引き締めたのが会長役のキム・ヨンエさんです。
娘を失った悲しみと復讐に燃える表情は鬼気迫っていて、彼女の演技でストーリーの主軸がどこにあるのかをきちんと示してくれたようでした。
その後に続く真犯人を追い駆けるアクションでは、チョン・ジェヨンさんが活躍するのですが、彼、実はアクションが大の苦手なんだそうです。
そんな風には全く見えないので驚きました。
この物語の結末は、日本の映画【藁の盾】の反対に着地します。
それが視聴者側としてはとてもスッキリしました。
現実にはこんな終わり方、復讐方法はなかなか実践できないでしょうが、しかし犯罪については現実社会でも残忍なものが多く、またそれを本にして出版する、というのも今の日本で身近にある問題ではないかと思います。
毒蛇プール作戦や、その後のカーアクション、そしてドゥソクが実はヒョンシクだった、など、かなり突っ込みどころの多い作品ではありますが、現実の社会では実践できない復讐劇をかなり大胆に描いた作品ですので、見終わった後には少し爽快感さえ感じられます。
日本の映画【藁の盾】と合わせてご覧頂くと色々感想の膨らみがあるので、誰かと語り合ってみるのも楽しみ方の1つではないでしょうか?