映画「鉄道員(ぽっぽや)」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ!

映画「鉄道員(ぽっぽや)」ネタバレ あらすじ
ヒューマン

映画「鉄道員(ぽっぽや)」は高倉健主演、降旗康男監督の1999年の映画です。

この映画「鉄道員(ぽっぽや)」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。

愚直に鉄道員人生を歩んできた無骨な男に起こる最後の奇跡「鉄道員(ぽっぽや)」をご堪能ください。

 

「鉄道員(ぽっぽや)」あらすじ

雪に包まれた白一色の小さな田舎町、そこにローカル線[幌舞線]の終着駅・幌舞(ほろまい)がありました。

かつては、地元の坑夫や出稼ぎの男たちで賑わう、幌舞炭鉱で栄えた町。

時の流れと共に廃れ、今は年寄りだけが暮らします。

人気のないホームに立つ駅長・佐藤乙松(おとまつ=高倉健)は、父の背中を追って鉄道員(ぽっぽや)になりました。

風に舞う雪で黒いコートや車掌帽子が白くなる日も、軍手に赤旗を持ち笛を吹く乙松。

どんなに気温が低くとも、汽車の到着をホームで待ちます。

 
そんな乙松も間もなく定年を迎え、幌舞線も廃線が決定。

乙松が毎日、迎え見送った“同志”キハ(国鉄型気動車)もオレンジの車両が煤け、お役御免です。

町の者、機関士時代からの気心知れた友が、彼の“これから”を心配していました。

乙松が「鉄道員の他は何も出来ない、これ以外は考えられない」愚直な男だからです。

 
駅舎にある狭い部屋に暮らす乙松は、正月もいつも通り人気のないホームに立ち業務。

キハを見送り一人で雪かきをする乙松に、温かくて優しい奇跡が舞い降りました。

鉄道一筋──何があろうと、駅に立ち続けた男と彼を見つめる人々の物語です。

 

「鉄道員(ぽっぽや)」ネタバレ

赤いマフラーを巻いた少女は、何とも古びた人形を抱きながら「今度、一年生になるの」と、屈託のない笑顔。

笛を吹いてキハを送り出す乙松をマネて「ピーッ」と言う、少女の元気な声に、乙松の顔もほころびます。

「気いつけて帰れよ」ほんの数分の出来事でしたが、乙松は何だか不思議な気持ちでした。

 
「幌舞~、幌舞~」下車客は地元の女性と、乙松の機関士時代からの友・杉浦仙次(せんじ=小林稔侍)の二人です。

「乙さん」「仙ちゃん」と飛び合い、家族ぐるみの付き合い。

正月を独りで過ごす寂しい乙松に、仙次の妻・明子(田中好子)が作ったおせちのお裾分け。

でも、訪ねて来た一番の理由は“これから、乙松がどうするのか”でした。

 
──乙松と、妻・静枝(大竹しのぶ) 。

病院のベッドに居る静枝は、こんな日でも業務を休まない乙松を想い呟きます。

「どこまでも…鉄道員(ぽっぽや)」

か弱い体でも笑顔で乙松を支えた静枝は、今から二年前に亡くなりました。

深い悲しみを経験し、鉄道員の乙松を憎んだ事もあります。

昭和52年10月、幌舞駅長に任命された乙松に、めでたい事が続きました。

深々と雪の降る日、病院に響き渡った娘の産声、心底喜ぶ乙松は“雪子”と名付けます。

それは、結婚17年目にして、やっと夫婦に訪れた幸せでした。

 
しかし、昭和53年1月、雪子が亡くなり静枝は絶望感に打ちひしがれます。

高熱を出した雪子を大きな病院へ連れて行く時、そして雪子が冷たい体で幌舞に帰った時。

乙松はホームで鉄道員として静枝と雪子を送り、迎えるだけでした。

人手が足りない小さな駅、乙松は雪子への想いを胸に仕舞い、何があっても駅に立ち続けます。

いつも、朱色のちゃんちゃんこを着ていた静枝。

鉄道員しか出来ない乙松の面倒を、最後まで見るつもりでしたが、先に逝ってしまいます──

 
駅にある公衆電話の横には人形、赤いマフラーの少女が持っていたものでした。

赤い襟巻と着物、ちゃんちゃんこを着せた人形を見て「まぁ、古くせぇ~」と言う、仙次。

乙松は、拾得物として駅で預かる事にします。

 
仙次と乙松は共に退職の年齢ですが、その境遇は違っていました。

幌舞線のターミナル駅・美寄(びよろ)の駅長・仙次は、妻そして息子夫婦に孫まで誕生。

再就職は、リゾート地への天下りが用意されていました。

片や、乙松は家族を亡くし独り身、幌舞駅が無くなれば仕事に住居まで失います。

もちろん、仙次だって鉄道員では居られない事を歯がゆく思い、乙松の気持ちは分かっていました。

それでも、現実にはどうしようもなく、いい年齢で傍に誰も居ない乙松の体も心配です。

 
幌舞駅の向かいには、加藤ムネ(奈良岡朋子)が切り盛りする[だるま食堂]がありました。

昔は、腹を空かした坑夫たちで賑わう食堂も、今は一日三人も入れば良いほうです。

ムネを「ばっちゃん」と呼び、一緒に食堂を守って来た敏行(安藤政信)。

年老いたムネを大事にする敏行ですが、二人には血の繋がりはありません。

 
──福岡県の筑豊から、当時まだ小学生だった息子・敏行と二人きりで、北の地に仕事を求めてやって来た吉岡肇(志村けん)。

酒癖が悪く地元の坑夫と喧嘩が始まれば、威勢の良いムネが男どもに水をぶっ掛けました。

泥酔した吉岡をおぶって、敏行と手を繋ぎ家へ連れて帰ったのが仙次と乙松です。

ある日、幌舞炭鉱で事故が発生し多くの者が犠牲に、そして吉岡もこの世を去りました。

独りぼっちになった敏行を、これまで以上に可愛がったのは子供の居ない乙松と静枝。

敏行を引き取りたいと心底思う静枝でしたが、体がいう事を聞いてくれません。

そこで[だるま食堂]のムネが、面倒を見る事になったのです──

 
寒さの厳しい幌舞で、心の温かい人々に育てられた敏行は立派な青年になりました。

料理人の道を志しイタリアへ留学、そして間もなく自分の店を美寄(びよろ)でオープンさせます。

ムネは、まだ若い敏行をこの田舎町に留めて置くことはしません。

それでも、近づく別れに寂しさを感じ、それは敏行も同じでした。

 
深夜、酒がまわり眠ってしまった仙次は、大きなイビキをかいています。

そこに、赤いマフラーを巻いた少女がやって来ました。

「昼間の子の姉さんかい?」と、乙松が聞くと頷いてみせる少女は、あの人形を取りに来たようです。

今度、中学生になると言う天真爛漫な少女も、妹と同じように乙松を見つめ微笑んでいました。

 
──生まれたばかりの我が子への贈り物を、美寄(びよろ)まで探しに行った乙松。

少し照れ臭く、どんな人形が良いのかも分からずにいると、女性店員があの人形を選んでくれました。

「こんなこと初めてだもん、嬉しかったよ」と、雪子への想いを表現した乙松に幸せを感じ、人形用のちゃんちゃんこを縫う静枝。

「目ん中さ入れても、痛くねえってさ…ユッコちゃんの父さんは、ほれほれ~」

[だるま食堂]のムネも、この家族の幸せが続く事を願っています──

 
乙松は少女の人形を見て、娘・雪子に似たような人形を贈った日を想い出していました。

昼間、小さな少女に出会った時のように、まるで夢のような不思議な時間を過ごした乙松。

赤いマフラーの二人の姉妹は、雪女だったのか!?目を覚ました仙次が大笑いします。

車掌帽子の横には、少女が忘れていった人形がありました。

 
静枝と雪子の墓参りに行くと、墓石は雪が積もってスッカリ隠れています。

改めて乙松に“これから”を尋ねる仙次は、すでに乙松が墓石に名を彫っている事に気づき何も言えません。

レストランの開店準備に追われる敏行が、美寄に向かうため幌舞駅にやって来ました。

世話になった仙次とも再会し乙松と三人、話題は敏行の店の名前に。

オープンするまで内緒にしておこうとムネと約束した敏行ですが、父代わりの二人に打ち明けます。

「“ロコモティーヴァ”って決めたんだ」ポカンとする乙松と仙次に、敏行は続けました。

「イタリア語で“機関車”っていう意味なんだけど、ばっちゃんも気に入ってくれて」

感慨深げな表情の乙松は、仙次と共にキハに乗り美寄へ向かう敏行を送り出します。

 
JR北海道 札幌本社から乙松に電話を掛けて来たのは、仙次の息子・秀男(吉岡秀隆)。

彼もまた、乙松の“これから”を心配する一人ですが、スグにでも知らせたい事がありました。

「幌舞線の廃止が、予定より早まったんだよ。3月で終わりだよ…」

正式な通知が届く前に、世話になった乙松に伝えたかった……酷な話しか出来ない秀男の声は辛そうです。

受話器を握り耐え忍ぶ乙松は、秀男に鉄道員(ぽっぽや)として、精一杯がんばるよう発破をかけるのでした。

 

「鉄道員(ぽっぽや)」最後ラストの結末は?

強風で雪が吹き付けられ、古い幌舞駅の窓ガラスはガタガタと音を立て揺れています。

ホームに出た乙松は、静枝が「赤ちゃん…」と、妊娠した喜びとこれまでの苦悩で大泣きした日を想い出していました。

駅に戻ると「こんにちは、駅長さん」と、赤いマフラーを巻いた少女(広末涼子)が微笑みます。

三人目の少女の顔に、ピンと来た乙松が出した答えは「円妙寺の良枝ちゃんの子かね?」はにかむ少女に胸のつかえが下りた乙松は、手作りの汁粉を振る舞いお喋りをします。

 
乙松の後悔は、父として生後間もない雪子を守ることを、一番にしてやらなかった事。

家族を亡くし幌舞線が廃止されれば、乙松には何も残らない。

それでも、鉄道員の仕事を続けたことを「後悔はしていない」と、唇を噛む乙松。

すると、静枝や雪子の写真を見ていた少女は「楽しかった思い出が残る」と、乙松の心に寄り添います。

辺りは暗くなり益々冷え込む時間、乙松は静枝が着ていた朱色のちゃんちゃんこを少女に着せてやりました。

 
まるで静枝のように料理を作り、ビールを注ぐ少女に乙松は「魔法にかけられてるみて~だ」と、顔がほころびます。

鉄道一筋、好き勝手に生きて来た乙松。

これまでの人生を振り返る彼は、人に恵まれ本当に幸せ者だと心底思っていました。

そこに電話が鳴り、相手は円妙寺の和尚。

少女の事を和尚に話す乙松は、ただただ驚く事しか出来ません。

「こったらコトって、あっか?」

 
人形を見つめる乙松に車掌帽子を被った少女は敬礼、乙松に優しく微笑みました。

小学生になる雪子、中学生になる雪子、そして17歳の雪子が父・乙松に会いに来てくれたのです。

「親孝行もせずに死んでしまった」そんな事を言う雪子に、自分は父らしい事が出来なかったと涙を流す乙松。

「ユッコが死んだ時も、日報に“本日、異常なし”って書いたんだぞ」

それでも雪子は、父・乙松は立派な鉄道員(ぽっぽや)だと理解し背中をさすります。

「ごめんな」
「ありがとう、お父さん」

ずっと心にあった言葉を伝える事が出来た乙松は、雪子を抱きしめます。

 
翌朝、いつも通りホームに立っていたであろう乙松が、降り続く雪に包まれ発見されました。

「運転席に、乗せてやるべ」と、乙松の車掌帽子を手に取る仙次。

鉄道員仲間や地元の人々に見送られ、幌舞駅から乙松の亡骸を乗せたキハが動き出します。

「出発進行」雪煙を上げて走るキハの警笛が、幌舞の大地に響きました。

完。

 

「鉄道員(ぽっぽや)」見どころ

俳優・高倉健の圧倒的存在感に、多くの方が胸を打たれた事は想像に難くないでしょう。

吹き荒ぶ雪、響き渡る警笛、そして幌舞駅のホームに立つ乙松。

ありがちな風景…そうとも言えるけど、グッと引き込まれ乙松から目が離せなくなるのは、演じる高倉健の魅力なんだと思います。

 
本作は、乙松が経験した出会いと別れを、回想シーンとして交えながら描かれます。

「げんこの代わりに旗を振り、涙の代わりに笛吹き鳴らし、わめく代わりに裏声絞る……鉄道員(ぽっぽや)か」

仏壇に置かれた静枝(大竹しのぶ)と雪子の写真に、仙次(小林稔侍)が語りかける言葉です。

雪子が亡くなった当時も鉄道員仲間が、そのあまりにも早い死を悼んで歌いました。

夫として父として、静枝と雪子の最期を看取る事が出来なかった乙松。

どんなに責められても「俺は“ぽっぽや”だから」と、深く息を吐き歯を食いしばる。

独り空を見上げて、力一杯に吹いた笛は悲しく切ない音……泣けます。

 
脇を固める俳優陣も素晴らしく、北の地に生きる彼らの素朴さや抱える寂しさが胸に沁みて来ます。

イタズラっぽい笑顔、そして悲しみに暮れる表情が胸を打つ、乙松の妻・静枝を演じた大竹しのぶ。

色んな感情の涙でグチョグチョになるのは、雪子を授かった事を乙松に報告する場面。

積もった雪の向こう側、ひょっこり顔を出す鹿がホッとさせてくれるので、大いに静枝の気持ちに寄り添ってみて下さい。

敏行(安藤政信)の父・吉岡肇を演じる、志村けんも魅せてくれます。

酔っ払って暴れる親父は、まさにドリフのコント!

悲哀を感じながらもチョット笑っちゃう、今となっては感慨深く貴重なシーンです。

 
[だるま食堂]の加藤ムネを演じた奈良岡朋子の優しく寂しそうな声は、母親やおばあちゃんを思い出させ、これまた心に沁みます。

まだ十代で、あどけなさが残る広末涼子は“ぽっぽや”の父を見守り続けた、良い子になって登場!

赤いマフラーを巻いた少女たちは、ファンタジーの世界へと物語を運びます。

高倉健とファンタジー、それもまた乙なモノになって色々と物言いもありますが、概ね問題はないでしょう。

他にも、鉄道員の仲間、坑夫、幌舞の人々には「アッ!」ってなる顔ぶれが揃っているので注目ですよ。

 
そして、忘れてはならないのが乙松の親友・仙次を演じた小林稔侍!

最後にいい所を全部持って行っちゃうくらい、イイ奴なんです。

これぞ昭和の男!仕事を頑張り抜いた二人の友情は、きっとあなたの胸を熱くさせますよ。

彼らの姿は年齢を重ねるごとに身に沁みて、見返すたび自分の人生や家族を思う。

だからこそ、現在も多くの方に愛される作品なのでしょう。

不器用で愚直な男・乙松に“高倉健”を感じられる映画、どうぞ最後までご堪能下さい。

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