「おと・な・り」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ

映画「おとなり」ネタバレ あらすじ
ヒューマン

映画「おと・な・り」は、岡田准一主演、熊澤尚人監督の2009年の日本映画です。

この映画「おと・な・り」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。

顔も合わせたことのない隣どうしの男女が壁越しの音で繋がっていく物語「おと・な・り」をお楽しみください。

 

「おと・な・り」スタッフ・キャスト

■ スタッフ
監督: 熊澤尚人
製作総指揮: 藤島ジュリーK.
製作:原藤一輝、三木裕明、田口聖
脚本: まなべゆきこ
撮影: 藤井昌之
音楽: 安川午朗

■ 主要キャスト
野島聡:岡田准一
登川七緒:麻生久美子
上田茜:谷村美月
氷室肇:岡田義徳
シンゴ:池内博之
平川由加里:市川実日子
雅子:とよた真帆
荒木社長:平田満
喫茶店マスター・堀:森本レオ

「おと・な・り」あらすじ

人気モデル、シンゴ(池内博之)の写真を撮った事により人気カメラマンの仲間入りをした野島聡(岡田准一)は、自分が本当に撮りたいものと求められるものとの差にもがいていました。

このままではいつまで経っても風景写真が取れないと思い悩んだ聡(岡田准一)は、事務所の社長である荒木(平田満)にアラスカ行きを相談します。

しかし荒木(平田満)は良い顔をしません。

シンゴ(池内博之)の主演映画の撮影が決まり、そのスチール撮影は今まで通り聡(岡田准一)じゃないと嫌だと彼が言っていると言うのです。

高校時代からの友人でもあるシンゴ(池内博之)のおかげで手に入れたカメラマンとしての地位と、彼からの厚い信頼を感じている聡(岡田准一)は、結局自分の気持ちをぶつける事も出来ないままにいるのでした。

 
そんな彼にもホッと心安らぐ時間があります。

それは自宅の隣の部屋から聞こえてくる生活音。

隣人の口ずさむフランス語や鼻歌、加湿器の音などに心癒される聡(岡田准一)。

その隣人である荒川七緒(麻生久美子)もまた、おとなりである聡(岡田准一)の立てる音、コーヒーを挽く音、鍵のついたチェーンが揺れて鳴る音に癒されています。

彼女は花屋に勤めながらフラワーデザイナーを目指しながらフランス留学も視野に入れて努力を重ねている毎日。

お互いがお互いの生きている音に心を癒されながらも、顔を合わせた事はない二人…。

これは自分の夢と現実の狭間に揺れながら、人生の岐路に立った30歳の男女が紡ぎだす、温かな恋の物語です。

 

「おと・な・り」ネタバレ

シンゴ(池内博之)に自分の夢の事を話してカメラマンを断りたいという思いを抱えながらも、彼からの信頼を裏切るようでなかなか言い出せない聡(岡田准一)の前に、ある日一人の女性が現れます。

上田茜(谷村美月)と名乗る関西弁の女性は、自分はシンゴ(池内博之)の彼女であること、妊娠を告げた途端いなくなってしまった彼を探してやってきた、と言い勝手に聡(岡田准一)の家に上がり込むと、大声で話しながら家探しを始めたのでした。

 
些細な生活音ですら聞こえてしまうこの静かな環境に、突然現れた茜(谷村美月)の存在はかなり騒々しく、焦る聡(岡田准一)。

シンゴ(池内博之)がいなくなった事すら知らなかった彼は茜(谷村美月)にそう説明しますが、彼女は、それならそれでここでシンゴ(池内博之)からの連絡を待つ、と言い出したのでした。

急に騒がしくなった隣の様子に驚いた七緒(麻生久美子)ですが、翌朝ベランダ越しに茜(谷村美月)から挨拶され顔を合わせます。

にこにこと七緒(麻生久美子)に話しかけた茜(谷村美月)は聡(岡田准一)に、おとなりさん綺麗な人やん、と興奮気味に話すなど、初対面の男の家に居候しているとは思えない程屈託がありません。

しかし、夢と現実の差、しかも今ではその現実のキーマンであるシンゴの行方が分からない等のストレスを抱えてしまった聡(岡田准一)にとって茜(谷村美月)の存在は全く受け入れられない物でした。

 
ある日の晩、溜まりきっていたストレスをぶつけるかのように茜(谷村美月)を怒鳴りつけてしまった聡(岡田准一)。

そのまま茜(谷村美月)は家を飛び出して行ってしまいます。

妊娠中に彼氏が行方不明、という精神的ストレスを抱えている茜(谷村美月)に、自分の感情のまま鋭い言葉を投げつけてしまった事に後悔した聡(岡田准一)は、すぐ我に返り彼女を追い駆け家へと連れ戻すのでした。

 
翌朝、茜(谷村美月)はシンゴ(池内博之)と暮らす家で彼が帰ってくるのを待つ、と言って聡(岡田准一)の家から立ち去ります。

その顔はいつものように明るく輝く笑顔の茜(谷村美月)。

そんな彼女から力を得るように、聡(岡田准一)もまた自分の夢の為の一歩を踏み出すべく動き始めるのでした。

 
一方、夢の為に生活の全てをかけてまい進している七緒(麻生久美子)。

七緒(麻生久美子)の働く花屋では、店長の雅子(とよた真帆)の後押しもあり、彼女はフラワーデザイナーを目指し、家にも花を持ち買って毎日練習しています。

その夢への第一歩であるフラワーデザイナーの試験の帰りに職場に立ち寄った七緒(麻生久美子)のもとに、いつも立ち寄るコンビニの店員氷室(岡田義徳)がやってきます。

彼は七緒(麻生久美子)に頼んで作ってもらった花束をそのまま彼女に手渡し、店に来てくれるたびに胸が高鳴っていた、と告白したのでした。

突然の事に驚く七緒(麻生久美子)にそれだけを伝えると笑顔で立ち去る氷室(岡田義徳)。

しかしそれでも、もうすぐ夢の為にフランス留学するつもりでいる七緒(麻生久美子)は、氷室(岡田義徳)にその旨を伝え、想いに応える事は出来ないと言います。

その時彼女は興味深い話を氷室(岡田義徳)から聞くのでした。

 
それは常に側にあって聞いていると気持ちが落ち着く音、基調音についての話です。

なかなかそんな音には出会えない、と七緒(麻生久美子)の心に刻まれる言葉を残した氷室(岡田義徳)。

しかし彼には裏の顔があったのです。

小説家を目指す彼が七緒(麻生久美子)に告白したのも全て、自作の小説にその反応を活かしたいからと言う最低な理由からのものでした。

その事実に憤る七緒(麻生久美子)は、貴方のやっている事は最低だ、と抗議に行きます。

しかし氷室(岡田義徳)は悪びれる様子もなく、フラワーデザイナーを目指すためにあんたも沢山の花を捨てて来たんだろう、と七緒(麻生久美子)を嘲笑うかのように指摘したのでした。

自分のやっている事も七緒(麻生久美子)のやっている事も、夢の為の努力としては同じだと、そう言われた彼女は絶句したまま家に帰り泣き崩れます。

 
そんな彼女の様子に異変を感じる聡(岡田准一)。

部屋の壁越しに七緒(麻生久美子)が泣いている事に気付いた彼は、彼女がいつも歌っていた鼻歌を歌う事で相手に寄り添おうとします。

そんな彼の気持ちは七緒(麻生久美子)にもちゃんと届いたのでした。

 

「おと・な・り」最後のラスト結末は?

自分の夢に踏み出すため、シンゴ(池内博之)とちゃんと話そうと決心した聡(岡田准一)は、自分たちの地元に帰り彼の実家を訪ねてみようと思い立ちます。

そこで中学校の同窓会がある事を聞いた聡(岡田准一)は、当日のカメラマンを頼まれ、同窓会の事を連絡網で電話する事になりました。

その相手こそ、実家に帰って来ていた七緒(麻生久美子)だったのです。

 
翌日の同窓会の話をして電話を切る2人。

同窓会当日、カメラマンとして会の様子を撮る聡(岡田准一)は、飾られた花を見詰める七緒(麻生久美子)を押さえます。

また七緒(麻生久美子)は聡(岡田准一)の姿ではなく、背後を通り過ぎた彼のキーチェーンの音に振り返るも、2人が会話を交わす事はないのでした。

 
シンゴ(池内博之)に再会した聡(岡田准一)は、彼から芸能界を引退して茜(谷村美月)と結婚し、家業を継ぐため実家に帰っていた、との事情を聞きます。

お互いがお互いの夢に向かってそれぞれの人生を歩む決意を固めた二人。

東京に帰った聡(岡田准一)は、隣の部屋が空き家になっている事に気付きます。

フラワーデザイナーの試験に受かった七緒(麻生久美子)は、フランスへの留学を決め部屋を引き払ったのでした。

 
タッチの差で会えなかった二人。

しかし、近所の喫茶店でコーヒーを飲んでいた七緒(麻生久美子)は、そこに飾られた写真の裏に聡(岡田准一)の名前が書かれているのを見付けました。

それにより隣の部屋に住んでいるのが聡(岡田准一)だという事を確信した七緒(麻生久美子)は、急いで部屋に駆け戻ります。

そしてようやく顔を合わせる聡(岡田准一)と七緒(麻生久美子)…。

 
この後の二人の様子はシーンとしてはハッキリと映し出されるわけではありません。

しかしその後の、顔は見えないけれど聴こえてくる声に、彼らの生活が重なった事をこちらに教えるようにしてこの物語は終わります。

完。

 

「おと・な・り」見所ポイント!

とても優しい雰囲気に満ちた映画です。

30歳の男女が自分の人生の岐路に立ちながら、顔も知らない隣人の音に癒される素敵な物語でした。

とても穏やかな時間が流れる物語ですが、作中には直接的な告白のシーンや想いを募らせるようなシーンはありません。

それでも、主人公二人の淡い想いをきちんと感じられるのですから、とても丁寧に作られた作品なんだなぁと思います。

 
また今作では、撮影に16mmのカメラを使っている事もあり、それがとても味のある雰囲気を醸し出していました。

その雰囲気が、見ているこちらが本当に物語の中に入り込んで第三者的に楽しめた要因の1つではないかなとも思います。

 
聡はいつから七緒の事を同級生だと気付いていたのかな?とか、この二人が中学時代お互いにどんな感情を持っていたのかな?など、色んな事が頭をよぎり、それに想像を巡らせるのも楽しかったです。

観た人それぞれに違う感想があっても、どれもが正解になりえるような幅のある感じも、恋愛映画としては珍しいのではないでしょうか?

恋だけでなく、自分の人生を考えたときに進みたい道がある人もない人も、これを見ると何らかの影響を受けられそうな気がしました。

あまり大きな波の無い、本当に誰かの日常をのぞき見ているような作品ですので、ご覧になるときは時間に余裕のある時、ゆっくり本を読むような気持ちで観るとより一層心に染み渡るのではないかと思います。

『あんなに隣の音が聞こえてくるほど壁の薄い家には住みたくない』なんて野暮な事言わずに、こういう出会いも素敵だなぁ、と人と人とが持つ縁を見守る気持ちでお楽しみいただきたい一作です。

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