映画「リリーのすべて」は、エディ・レッドメイン主演、トム・フーパー監督の2015年のイギリス・ドイツ・アメリカの合作映画です。
この映画「リリーのすべて」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
女性として生きたい夫と、すべてを受け入れる妻の愛の実話「リリーのすべて」をお楽しみください。
原作は、デヴィッド・エバーショフによる小説『The Danish Girl』です。
この作品でゲルダ役を演じたアリシア・ヴィキャンデルがオスカーを獲ってます。
女性のリリーになり切ったエディ・レッドメインがハンパなく美しく必見です。
「リリーのすべて」スタッフ・キャスト
■ スタッフ
監督: トム・フーパー
製作: ゲイル・マトラックス、アン・ハリソン他
製作総指揮:リンダ・レイズマン、ウルフ・イスラエル他
脚本: ルシンダ・コクソン
撮影: ダニー・コーエン
音楽: アレクサンドル・デスプラ■ 主要キャスト
アイナー・ヴェイナー / リリー・エルベ :エディ・レッドメイン
ゲルダ・ヴェイナー:アリシア・ヴィキャンデル
ハンス・アクスギル:マティアス・スーナールツ
ヘンリク・サンダール:ベン・ウィショー
ウラ:アンバー・ハード
ヴァルネクロス:セバスチャン・コッホ
エルサ:エメラルド・フェネル
ラスムッセン:エイドリアン・シラー
「リリーのすべて」あらすじ
1900年代初頭のコペンハーゲン。
風景画家として活躍するアイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は愛妻家としても有名です。
彼の愛する妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)もまた売れないながらも画家として自宅で絵を描いていました。
画家としての評価には差がありますが、二人はとても愛し合っています。
ところが、ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)が女性をモチーフにした絵のモデルをアイナー(エディ・レッドメイン)に頼んだことから二人の関係に変化が・・・。
この物語は、初めて性転換手術を受けた男性と、そんな夫を愛し支え続けた妻のお話です。
「リリーのすべて」ネタバレ
ある日、友人のウラ(アンバー・ハード)から舞踏会に誘われたことで、ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)はちょっとしたイタズラを思い付きます。
先日のアイナー(エディ・レッドメイン)の女装をもっと本格的に施し、別人になりすまして出かけようというのです。
靴やカツラをともに選び、ゲーム感覚で楽しく仕上げた女装姿のアイナー(エディ・レッドメイン)はとても美しく、戸惑う彼をゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は舞踏会へと連れ出しました。
しかしやはり居心地の悪そうなアイナー(エディ・レッドメイン)。
すると一人の男性が隣にやってきました。
彼の名はヘンリク・サンダール(ベン・ウィショー)。
名前を尋ねられたアイナー(エディ・レッドメイン)は咄嗟にリリーと名乗りました。
しかしそれ以上の問いにうまく答えられず席を外してしまいます。
追うヘンリク(ベン・ウィショー)。
彼に導かれるまま二人きりになったアイナー(エディ・レッドメイン)は、その空気に戸惑いながらも、ヘンリク(ベン・ウィショー)とキスをしてしまいました。
その姿を見てしまったゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)。
そんな彼女に気づいたアイナー(エディ・レッドメイン)は突然鼻血を吹いてしまいます。
焦る彼に駆け寄ったゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に抱えられるようにしてその場から帰った二人。
翌日。
スーツ姿のアイナー(エディ・レッドメイン)はいつもの柔らかな笑顔で、昨日はリリーも楽しんだ?と聞いてきます。
そんな彼に上手く答えられないゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は、もうリリーは出てこないほうがいいと思うわ、と答えるのが精一杯。
リリーは創造物でありゲームだと訴えかけるゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は、こんなことはもうやめて欲しいと伝えますが、何かが変わってしまったアイナー(エディ・レッドメイン)は、努力する、としか答えられないのでした。
あの日以来、頻繁に頭痛に悩まされるようになったアイナー(エディ・レッドメイン)。
心配するゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)を置いて家を出た彼が向かったのは、踊り子達の衣装部屋でした。
鏡の前で全裸になった彼は、自分の体を確かめる様に指を這わせ、やがて股間のものを股に挟んで隠してしまうと、やっと満足気に微笑んだのでした。
そして彼は再びリリーになるのです。
ドレスを着たリリー(エディ・レッドメイン)が会いに行ったのはヘンリク(ベン・ウィショー)でした。
アイナー(エディ・レッドメイン)が家を出たあと、一心不乱に絵を描いていたゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)。
キャンバスにはリリーの姿が描かれています。
しかしその胸にはあるはずのない膨らみが・・・。
この絵を画商・ラスムッセンに持ち込んだ彼女は、そこで初めて彼から認めてもらえるのです。
これは売れる絵だ、と。
そして彼女の画家としてのキャリアはここから階段を上り始めたのでした。
リリーになったアイナー(エディ・レッドメイン)はまたヘンリク(ベン・ウィショー)に会いに行きます。
今度は彼の自宅に・・・。
再び彼からキスをされ、それ以上に進もうとするヘンリク(ベン・ウィショー)。
牽制するアイナー(エディ・レッドメイン)ですが、ヘンリク(ベン・ウィショー)は大丈夫だ、と言うのです。
大丈夫、アイナー、と。
自分のことがバレていた・・・その驚きに混乱したアイナー(エディ・レッドメイン)はその場を飛び出してしまいました。
帰宅後ヘンリク(ベン・ウィショー)と会っていた事を告白する彼にゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は訪ねます。
彼に惹かれているのか、と―――。
するとアイナー(エディ・レッドメイン)は一点の曇りもなく言うのです。
僕は君だけを愛している。
けれどアイナー(エディ・レッドメイン)にとって、男性とのキスはヘンリク(ベン・ウィショー)が初めてではありません。
幼少時代を過ごしたヴァイレで、幼馴染の少年ハンスとキスをした・・・。
そう告白されてゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)はもうなんと言葉を返して良いのかわかりませんでした。
やがてゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)の描いたリリーの絵が売れ始めます。
個展を開くことも決まり、パリでの活躍の道も開けました。
悩んでいた彼女ですが思い切ってパリに向かうのです。
勿論アイナー(エディ・レッドメイン)も一緒に。
パリでの個展は大盛況。
しかしアイナー(エディ・レッドメイン)はパリに来て以来絵を描いていません。
知り合いもなく頼れる人もいないゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)が会いに行ったのは有名な画商・ハンス・アクスギル(マティアス・スナールツ)です。
彼はアイナー(エディ・レッドメイン)の幼馴染で、子供の頃のキスの相手でした。
彼女は、ふさぎこんでいるアイナー(エディ・レッドメイン)に、子供時代の友人を会わせ、また以前のように絵を描いて欲しかったのです。
そこで彼女はアイナー(エディ・レッドメイン)に、ハンス(マティアス・スーナールツ)との食事を提案しました。
彼の名前を聞いて一瞬動きを止めたアイナー(エディ・レッドメイン)。
しかし彼は食事の場には来ませんでした。
出直そうか、というハンス(マティアス・スーナールツ)でしたが、ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に言われて彼らの自宅を尋ねると、そこにはリリー(エディ・レッドメイン)が座っているのです。
戸惑う二人を意に介さないような仕草で、アイナーの従姉妹だと自己紹介したリリー(エディ・レッドメイン)は昔話を始めました。
よく二人で遊んだこと、アイナー(エディ・レッドメイン)の才能を一番に認めてくれたのがハンス(マティアス・スーナールツ)だったこと・・・。
しかし結婚観について話していた最中、当事者の二人から別人格が生まれる、と語ったリリー(エディ・レッドメイン)は突然、別室へと引きこもり静かに涙してしまいます。
それからのアイナー(エディ・レッドメイン)はリリーでいる時間が格段に長くなりました。
以前のようにゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)の目を盗むようにして楽しむ女装ではなく、一人の女性としてそこに存在するようになったのです。
そんな彼女をモデルに絵を描くゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)。彼女の描くリリー個展は今回も大盛況です。
そこにハンス(マティアス・スーナールツ)も来ていました。
個展のお祝いをしようと言う彼から逃げるように帰宅したゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)でしたが、帰宅してもそこにいるのはリリー(エディ・レッドメイン)だけ。
その姿にゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は押さえ込んでいたものが溢れてしまいます。
夫婦なんだからあなたも来るべきだった、と―――。
どんなに訴えかけてもリリー(エディ・レッドメイン)が応えてくれない事で、ついにゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は家を飛び出してしまいました。
しばらくして帰宅した彼女を迎えたのはアイナー(エディ・レッドメイン)でした。
しかしその両足は揃えられ、細いその体からは男性的なものはあまり感じられません。
その姿になってなお、君が望む姿を僕は与えられない、と、関係の継続に不安を募らせているアイナー(エディ・レッドメイン)ですが、それでも彼はゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)を愛しています。
彼なりに自分の性について調べてみたり、ハンス(マティアス・スーナールツ)の調べてくれた医者にかかったりしてみました。
しかしどの医者も、以前彼に放射線治療というとんちんかんな治療を施した医師とそう変わりません。
同性愛や精神分裂などという診断の元、拘束しようとする医者から逃げ出した彼は、自分の頭が変だと思うかゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に尋ねるのです。
彼女はそれを否定します。
精神病じゃないという彼女は、自分が女性モデルを頼んだばっかりに貴方を病気にしてしまった・・・と言って悔やんでいました。
しかしアイナー(エディ・レッドメイン)は優しく言うのです。
それは違う。リリーはもともと僕の中にいたんだ、と・・・。
けれどこの状態を医者は助けてくれない、と落ち込むアイナー(エディ・レッドメイン)に、ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は、もう一人会う?と聞きます。
彼女はウラ(アンバー・ハード)から聞いていたドレスデンの婦人科医に会いにいくことを決心したのです。
ヴァルネクロス教授(セバスチャン・コッホ)は話を聞くなり、あなたは正しいと言い出しました。
自分を女だと思っている、という告白を初めて正面から受け止めてもらえたアイナー(エディ・レッドメイン)は彼の話に前のめりになって聞いています。
以前にもそういった男性を診察したことがあるという教授(セバスチャン・コッホ)は、手術で男性から女性への転換を試みようとしたと話し始めました。
しかし、当事者である男性が怖気付いてしまい結局出来なかった、と言うそれは未だ世界中で誰も経験したことがない命懸けの大手術。
危険すぎる手術だと言う教授(セバスチャン・コッホ)ですが、アイナー(エディ・レッドメイン)にとっては唯一の希望として彼の顔を輝かせています。
「リリーのすべて」最後のラスト結末
ひとり病院に到着したリリー(エディ・レッドメイン)は、スタッフも患者も女性ばかりの空間でとても幸せそうです。
二回に分けて行われる手術の一回目が終わると、ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)が病院にやってきました。
紙のように白い顔でベッドに横たわるリリー(エディ・レッドメイン)ですが、彼女はこの手術を乗り越えたのです。
男性器の切除に成功した彼女の回復を待って、二人は一緒にデンマークへの帰宅を決めたのでした。
帰国後も薬を飲み続けなくてはならないリリー(エディ・レッドメイン)ですが、自宅で日記を書いたり、ヘンリク(ベン・ウィショー)に会いに行ったりと毎日が充実していました。
同性愛者である彼には手術のことや自分の性についても素直に話せるリリー(エディ・レッドメイン)は、何でも話せる良き友人関係にあったのです。
しかし楽しそうに腕を組んで歩く二人を見たゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は固まってしまいます。
彼女にとって、今ではベッドの間に薄いカーテンを引くようになったリリー(エディ・レッドメイン)でも、かつては自分の夫だったということがどうしてもぬぐい去れないのです。
完全にアイナーを別人格として話すリリー(エディ・レッドメイン)と、二人を同じ人間だとして話すゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)。
アイナーが死んだことを受け入れて欲しいリリー(エディ・レッドメイン)は、まだ早いというゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)の反対を押し切って二回目の手術に挑むことを決めてしまいました。
二回目の手術は膣の形成です。
一回目より難度の上がる手術が遂に終わりました。
しかし経過がよくありません。
出血が激しく高熱にうなされるリリー(エディ・レッドメイン)。そんな彼女にゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)は一晩中付き添い、看病したのでした。
翌朝目を覚ましたリリー(エディ・レッドメイン)。
血の気のない真っ白な顔で、それでも彼女は、やっと本当の自分になれた、と嬉しそうに呟くのです。
そして外へ出たい、と。
その願いを叶えたゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)と一緒に庭に出られたリリー(エディ・レッドメイン)は、幸せそうに目を閉じ、その手からは力が失われたのでした。
リリー(エディ・レッドメイン)の死後、ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)はハンス(マティアス・スーナールツ)と一緒に彼女の故郷・ヴァイレに来ています。
そこで風にさらわれる彼女スカーフ。
追いかけようとするハンス(マティアス・スーナールツ)を引き止め、飛ばせてあげて、と―――。
そう言う彼女は泣き笑いの表情でスカーフを見送るのでした。
THE END
「リリーのすべて」見所ポイント!
【英国王のスピーチ】でオスカーを獲ったトム・フーパー監督の作品ということもあって、とても丁寧に、そしてこの激動に満ちた二人の女性の人生を思いのほか静かに描いた素敵なお話でした。
今作でゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルがオスカーを取りましたが、さもありなんという素晴らしさだったと思います。
愛する夫が女性だった、目の前にいるのにもう以前の夫には会えないというのはどれほど寂しいことでしょう。
それをあの時代に受け入れた彼女がリリーから、これほどの愛に私は値しないわ、と言われるシーンではその切なさに涙がでました。
実際のアイナーさんも線の細い中性的な人物だったようですが、それでもエディ・レッドメイン程の美しさだったんだろうか、と思ってしまうくらい今回もエディは凄かった!
【博士と彼女のセオリー】の時のホーキング博士のなりきりぶりもすごかったですが、今回のリリーの美しさはなんでしょう。
その美しさは、【太陽と月に背いて】のレオナルド・ディカプリオや【セブン・イヤーズ・イン・チベット】のブラッド・ピットのような自然体の、素の美しさではないと思います。
けれど、女性として生きたい、私は女性なんだというリリーの心情が迸っていて、仕草や体のライン、表情など全身で自分の美を磨いているように感じました。
夫が女性になる―――と聞くと複雑な物語のように感じるかもしれませんが、とてもとても綺麗な物語です。
エディとアリシアの絶妙すぎて言葉での表現が追いつかない表情を見逃さないよう、大切に彼らの時間を見守って欲しくなる作品でした。