「葛城事件」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ!

映画「葛城事件」ネタバレ あらすじ
ミステリー/サスペンス

映画「葛城事件」は、三浦友和主演、赤堀雅秋監督の2016年の日本映画です。

この映画「葛城事件」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。

殺人犯とその家族の闇を描き出す衝撃作「葛城事件」をお楽しみください。

フィクションでありながら実在した事件をうまく元にして集めたような作品になっています。

 

「葛城事件」スタッフ・キャスト

■ スタッフ
監督: 赤堀雅秋
脚本: 赤堀雅秋
製作総指揮:小西啓介
製作:藤村恵子
撮影: 月永雄太
音楽: 窪田ミナ

■ 主要キャスト
葛城清:三浦友和
葛城伸子:南果歩
葛城保:新井浩文
葛城稔:若葉竜也
星野順子:田中麗奈

 

「葛城事件」あらすじ

三名の死者を出した無差別殺人事件。

この事件を起こした葛城稔(若葉竜也)は普通の一般家庭で育ってきた青年です。

金物店を営む父親の清(三浦友和)、専業主婦の母・伸子(南果歩)、サラリーマンの兄・保(新井浩文)の四人家族で、一軒家で育った稔(若葉竜也)。

一体彼はどうして犯罪を起こしたのか?

それも、恨みなどの個人的感情を抱いての犯罪ではなく、通りすがりの人をメッタ刺しにするような犯罪を・・・。

一体、葛城稔という人間はどうやって形成されたのでしょうか―――?

 

「葛城事件」ネタバレ

葛城稔(若葉竜也)への判決が下りました。

稀に見る凶悪な事件だという判決文を添えて下されたのは死刑。

それを聞いた稔(若葉竜也)は傍聴席を振り返って笑います。

清(三浦友和)の顔を見つめながら・・・。

稔(若葉竜也)が逮捕されてから、葛城家に住んでいるのは清(三浦友和)だけです。

彼は痛む足を支える杖に寄りかかりながら、壁の落書きを消しています。

「人殺し」と大きく書かれた落書き・・・。家の壁という壁は落書きで覆われ多様な状態です。

 
そんな彼を訪ねて、ひとりの女性がやってきました。

星野順子(田中麗奈)と名乗る彼女は、なんと稔(若葉竜也)と獄中結婚した女性です。

事件を起こす前からの知り合いでもないのに犯罪者と結婚した女。

正気じゃない、と言い放つ清(三浦友和)。

両親との縁も切った順子(田中麗奈)は、どうしてそうまでして稔(若葉竜也)と結婚したかったのでしょうか?

彼女には、死刑は廃止すべきだという信念がありました。

人間に絶望したくなかったという彼女にとって、死刑というのは人間の可能性を根源的に否定するものなのです。

そこで彼女は稔(若葉竜也)と結婚し、彼の本当の家族になる事で他人の痛みを感じる心を芽生えさせたいと考えたのでした。

拘置所に会いに来た順子(田中麗奈)に対し名前を聞く稔(若葉竜也)。

結婚したとはいえ彼女になんの興味もない彼は名前を覚えていないばかりか、手前勝手な意見ばかりを押し付け、せっかくの差し入れにも横柄に文句を垂れます。

家族になるんだったら俺の好みを覚えとけ!と怒鳴りつける稔(若葉竜也)ですが、しかしそれでも怯まない順子(田中麗奈)が、本当の家族になりたい、と口にすると、頭おかしいだろ、と吐き捨て面会室から出て行ってしまうのでした。

 
事件を起こす前の稔(若葉竜也)は、どんな青年だったのでしょう。

彼は、いわゆるフリーターとして実家で暮らしていました。

親から継いだ金物屋を経営している清(三浦友和)の事を馬鹿にし、出来の良い兄・保(新井浩文)には勝手な敵愾心を燃やしていた彼を受け止めてくれるのは母・伸子(南果歩)だけ。

自分は今いろいろ試しているだけなんだ!と口だけは達者な稔(若葉竜也)に伸子(南果歩)は強く言う事も出来ないまま、曖昧に微笑むしかないのでした。

清(三浦友和)にとって稔(若葉竜也)は幼い頃から集中力も根性もない出来の悪い息子、それに比べ保(新井浩文)は人あたりもよくちゃんと会社勤めをしている、何の心配もいらない長男です。

ところが、その保(新井浩文)が会社からリストラされてしまいました。

恋人が妊娠し、結婚が決まっている状態での失職。

彼はそのことを誰にも言えないまま結婚の話を進めます。

 
その結婚話において、清(三浦友和)の独善的な性格が爆発します。

彼は息子の結婚を祝うために訪れた中華屋で、怒り狂うのです。

20年来の行き付けにしているという清(三浦友和)は、言葉の端々に自分がこの店の常連でオーナーとも顔見知りであることを声高に喋り、ウェイターをしつこく叱責し続けます。

保(新井浩文)が止めようとしても聞き入れはしません。

そうまでして喋り続けるクレームが「麻婆豆腐が辛かった」・・・。

婚約者もその両親も、彼の異常なまでの言動に黙りこくるしかありませんでした。

 
この日のトラブルはまだ終わりません。

重苦しい空気に満ちた食事会が終わり帰宅すると、伸子(南果歩)に預けていた保(新井浩文)の婚約者の連れ子が顔に怪我をしていました。

伸子(南果歩)を怒鳴りつける清(三浦友和)ですが、彼女の説明は要領を得ません。

すると二階から降りてきた稔(若葉竜也)がメモに何かを書き始めます。

俺が殴った。

そう書かれたメモを受け取った保(新井浩文)ですが穏やかな顔で、お前も早く仕事見つけな、と返すのみ。

見下してんじゃねえよ!!と稔(若葉竜也)が叫んだ瞬間、清(三浦友和)は伸子(南果歩)を平手打ちします。

稔(若葉竜也)に甘すぎるからこうなったんだ!と怒鳴りつけた清(三浦友和)は、婚約者に謝ることもなく部屋をあとにしたのでした。

 
ある日の夜、寝室から起きだしふと外を見た清(三浦友和)はそこで、ゴミ捨て場が燃えているのに気付きました。

慌てて外へ向かう清(三浦友和)。

しかし開けようとした玄関は外から開かれました。

稔(若葉竜也)が帰ってきたのです。

コンビニに行っていた、と言うもの手には何も持っていない稔(若葉竜也)に不信感でいっぱいの清(三浦友和)ですが、追求することを恐れるように寝室に戻ります。

そして眠る伸子(南果歩)に覆いかぶさる清(三浦友和)。

それを力いっぱいはねのける伸子(南果歩)は全力で彼を拒絶します。

あなたの事なんか最初から好きじゃなかった!と涙する伸子(南果歩)は、呆然と、なんでここまできちゃったんだろう・・・と呟くのでした。

 
そうして家を出た伸子(南果歩)。

そんな母を見つけたのは保(新井浩文)です。

小さなアパートに帰っていく稔(若葉竜也)を尾けた彼は、居場所を突き止めると清(三浦友和)に連絡を入れました。

そしてその足でアパートに向かい、母を逃がそうとしたのです。

ところが伸子(南果歩)はのんびりしたもの。

稔(若葉竜也)の買ってきたコンビニご飯を食べながら、保(新井浩文)にも食事をすすめる始末。

あまりに切迫感のない母の姿に、保(新井浩文)の緊張も徐々に途切れていきます。

近況を話す伸子(南果歩)の頬には青あざが残っていますが、最後の晩餐なら何を食べたい?と聞く彼女はずっと笑っていて、自然と保(新井浩文)と稔(若葉竜也)も話し始め、いつになく穏やかな時間が流れ始めました。

 
そんな雰囲気の中に登場した清(三浦友和)。

怒鳴り込むこともなく静かに上がり込んできた彼は、新婚当時の思い出を語り始めます。

そうしながらゆっくりと稔(若葉竜也)の肩に足をかけたのが暴力の始まりでした。

稔(若葉竜也)を蹴り倒すとその首を絞め始めたのです。

ついには台所から包丁を取り出した清(三浦友和)に伸子(南果歩)は、家に帰る、と言うしかありませんでした。

 
保(新井浩文)は依然無職の状態が続いています。

婚約者と結婚し、新たな命が生まれても彼の再就職先は決まりませんでした。

面接に向かっても、緊張して自分の名前すら言えないほど挙動不審になってしまう保(新井浩文)。

それでもなお、この状況を誰にも話せず毎日スーツを着て家を出て、日中は小さな公園で時間を潰していた彼ですが、ある日その糸が切れてしまいました。

マンションから飛び降りて命を絶ったのです。

 
保(新井浩文)の葬儀の日。

ここでも清(三浦友和)は息子の死を自殺だとは認めず、噂話をしていた女性を睨みつける始末。

そのくせ勝手に棺のグレード上げたりして嫁を困惑させています。

伸子(南果歩)はといえば、脈絡もなく繋がらない話を可笑しそうに話し続け、弔問客を困惑させていて・・・。

家族の誰もがいつもどおりでいて異常なその状況の中、そっと棺に近付いた稔(若葉竜也)は、俺が一発逆転するから、と誓うように呟くのでした。

 
そうして彼は無差別殺人犯となったのです。

通販で取り寄せたのは刃渡り三十センチほどのナイフ。

それをリュックに入れて家を出た稔(若葉竜也)。

日暮れを待つようにブラブラと街を歩き、ハンバーガーを食べた稔(若葉竜也)は地下への階段を下りるとおもむろにナイフを取り出しました。

そのまま彼は、三人で立ち止まっていた男子高校生にまずぶつかります。

驚きの声を上げた少年でしたが、その腹部からは血が・・・。

これが惨劇の始まりでした。

大声を上げながら手近にいる人に次々と襲い掛かります。

こうして彼は、何の罪もない人々の命を奪った凶悪な殺人犯となったのでした。

 
その後の葛城家は一家離散状態です。

保(新井浩文)亡き後、嫁が孫を連れてくることはなく、伸子(南果歩)は施設へと入院しています。

稔(若葉竜也)に死刑判決が下り、家にいるのは清(三浦友和)だけ・・・。

彼は、家の壁に落書きをされても、近所の人から孤立しても家を手放そうとはしません。

今まで通りの生活をなぞるようにして近所のスナックに向うも、ほかの常連客からは遠巻きに見られ居心地は最悪です。

俺が何をした!と怒鳴る清(三浦友和)。

自分も被害者だと言う彼は、国が稔(若葉竜也)を殺してくれる!と怒鳴り散らし、それはそういう仕組みを容認している国民、つまりはあんたらが俺の息子を殺すんだ!と言い放ちます。

それで勘弁してくれねぇかと言いながら、傲慢な態度で、言葉で常連客を圧倒し芝居がかった土下座までして見せました。

そんな清(三浦友和)を不気味そうに見た常連客は全て帰ってしまい、年老いた店のママが声をかけます。

正直限界でしょう、と優しく話しかけるママ。

家を売り払って知らない土地で静かに余生を過ごしなさい、と話す彼女から、もう誰も戻ってこないんだよ、と言われながら酒を煽る清(三浦友和)。

彼は自宅が落成した頃のことを思い出していました。

幸せだったあの頃・・・。

 
子供たちも小さく素直で、伸子(南果歩)は招いた客と楽しそうに話しています。

清(三浦友和)は客に向かって話すのです。

庭にみかんの木を植えた、と。

子供たちの成長を願って植えたその苗木を、優しい微笑みで見つめる清―――。

その頃には想像もできなかった地獄のような今、酒に溺れたようになってフラフラと帰る清(三浦友和)の側にいるのは順子(田中麗奈)だけ。

ニコリともしない彼女ですが、稔(若葉竜也)の話を聞くため、清(三浦友和)に会いに来るのです。

そんな彼女に、清(三浦友和)はいいだしました。

稔(若葉竜也)を死刑にしないでくれ、と。

それじゃあ稔の望む通りになるだけだという彼は、生きて生きる苦しみを味あわせたほうが一番の罰になるじゃないか?と、訥々と話すのです。

 
しかし稔(若葉竜也)自身は、早期執行の申し立てをしようとしています。

面会に行った順子(田中麗奈)にもそのことを言い募る彼は、訴訟や法務省といった言葉まで使いながらどこまでも強気です。

自分を大きく見せようとするかのようなその物言いは、皮肉なことに彼が嫌悪している清(三浦友和)によく似ていました。

ベラベラとよくしゃべる稔(若葉竜也)の言葉に何も返さない順子(田中麗奈)。

彼女のそんな態度に苛立ちをぶつける稔(若葉竜也)ですが、順子(田中麗奈)は全く関係のないことを口にします。

独居房は暑いですか?と。

そして勝手に自分の思い出話を語り始めたのです。

そんな彼女に、残り時間を考えろ、という稔(若葉竜也)は彼女の話をまともに捉えようとはしていません。

それでも諦めない順子(田中麗奈)。

彼女なりに一日でも長く生きて欲しいと訴えるのです。

 

「葛城事件」最後のラスト結末は?

しかしその言葉も稔(若葉竜也)には届きませんでした。

自分のしたことは事故みたいなものだと言い切るのです。

狂った猪が突っ込んできた事で犠牲になっても、それはしょうがないだろう、という持論をぶつけると、彼はこういった事件でよく出てくる動機をペラペラと語りだします。

その言葉は稔(若葉竜也)を言い表しているようで有りながら、本人が本当にそう思っているのか分からないぐらい、よくある動機・・・。

一方的に語り尽くした稔(若葉竜也)はサヨナラと言って、面会室をあとにします。

涙ながらに見送る順子(田中麗奈)が彼を見たのはこの日が最後でした。

 
判決が出て一年にも満たないある日、彼の刑は執行されたのです。

その事を伝えに来た順子(田中麗奈)ですが、これで彼女との関係も終わると感じた清(三浦友和)は思わぬ行動に出ました。

順子(田中麗奈)を押し倒したのです。

彼は、俺の家族になってくれ、三人殺したら結婚してくれるのか!?と抵抗し逃げる順子(田中麗奈)に訴えかけます。

強く拒否する順子(田中麗奈)。

それでも人間か!!と叫ぶと、彼女は逃げるようにして出ていってしまいました。

 
ひとり取り残された清(三浦友和)は突然家族の名前を呼び始めました。

当然答える声はありません。

そして彼は、ゆっくりとテーブルの脚を掴むと力任せにひっくり返しました。

続けて部屋にあるものを次々に投げて散乱させていく清(三浦友和)。

そうして部屋中を荒らし回ったあと、彼は掃除機のコードを持って庭に出ました。あの日植えたみかんの木。

今では清(三浦友和)の身長よりも大きく育ったその木の枝にコードをかけ、彼は自殺を図ったのです。

ところが、みかんの木に清(三浦友和)の体をぶら下げる力は残っていませんでした。

枝が折れ、落ちてしまった清(三浦友和)。

咳き込みつつしばらく蹲っていた清(三浦友和)ですが、ゆっくり立ち上がると荒れた室内に戻り、麺をすすり始めたのでした。

完。

 

「葛城事件」見どころ

人の闇部分を拾い上げていくような作品で、鑑賞時間が苦痛で仕方なかったです。

登場人物の誰にも感情移入できず、気持ちの持って行き場に困る作品でした。

悲惨な事件や被害者が無差別に襲われるような事件が多い昨今、犯人の背景を生々しく描き出した今作は、正直観る人を選ぶ作品だと思います。

キャストの人数は少ないものの、全員が暗い人生を背負った役をリアルに描き出していて鑑賞後は本当に疲れました。

 
稔役の若葉竜也さん、少し二宮和也さんに似た雰囲気の役者さんで、プライドの高い稔を自然と作り出しておられイライラさせられます。

そして三浦友和さん。

ヤクザから警察官僚、優しい父親と役柄の幅がとても広い役者さんですが、ここまで自分勝手で壊れたクレーマー気質の役をも自分のモノにされているのが凄いと思いました。

岡田准一さんと共演された【陰日向に咲く】でも家庭を崩壊させていましたが、あちらと違い今作は役そのものが嫌悪されるような性格なので救いはありません。

「陰日向に咲く」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ
映画「陰日向に咲く」は、岡田准一主演、平川雄一朗監督の2008年の日本映画です。この映画「陰日向に咲く」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。"どこか日の当たらない"人たちを、ユーモア溢れる優しい視点から綴った感動作「陰日向に咲く」をお楽しみください。原作は劇団ひとりの小説です。

 
子育て世代の身としては、自分の子育てを振り返るきっかけになるような作品でした。

誰にでもおすすめできる一本ではありませんが、自分を多角的に見るきっかけには良いかもしれません。

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