映画「半分の月がのぼる空」は、池松壮亮主演、深川栄洋監督の2010年の映画です。
この映画「半分の月がのぼる空」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見所について紹介します。
原作ラノベとは異なるストーリーが展開する映画「半分の月がのぼる空」をご堪能ください。
「半分の月がのぼる空」あらすじ
肺炎で入院中の裕一(池松壮亮)。
遊び盛りの裕一は夜に病院を抜け出し友人と遊ぶ始末。
こっそりと病院へ戻ると看護師の亜希子(濱田マリ)に見つかり大目玉を食らってしまいます。
テレビを没収するという亜希子にそれだけはやめて欲しいと訴える裕一。
亜希子は、テレビを没収しない代わりに最近入院した子の友達になるよう裕一に条件を出すのです。
裕一は亜希子に言われた通り、毎日屋上で本を読むその患者に会いに行きますが、そこにいたのは里香(忽那汐里)という裕一と同年代の女の子でした。
しかし、里香は裕一が話しかけても無視して行ってしまうようなツンとした子で、「あんたと友達にならないとテレビを没収される。」と訴える裕一の弱みを握りあれこれと命令しだすのです。
里香の命令通り、彼女の望む本を探し回る裕一でしたがそんなことをしている自分が馬鹿らしくなり命令を無視して病室へ戻ってしまいます。
ふと病室の窓から屋上を見ると、そこで裕一を待つ里香が見えて慌てて屋上へと向かいます。
今度は持っていた双眼鏡を人質に取られ、結局里香のわがままを聞き続けることに。
また病院を抜け出して友人の家に遊びに行った裕一は、友人から恋人が出来たと聞いて焦り始めます。
そんな中、亜希子から里香が心臓病を患っていて幼いころから入院を繰り返しているという話を聞き少しずつ里香の事が気になり始めるのです。
この出会いがこの物語の始まりです・・・
「半分の月がのぼる空」ネタバレ
内科の医師を務める夏目(大泉洋)。
妻を亡くし幼い娘と二人で暮らしています。
かつては心臓外科の名医だった夏目。
そんな夏目を頼って手術を依頼してくる患者もいましたが、頑なに断っていました。
ある日、里香は裕一に病室の窓から見える砲台山に連れて行って欲しいと話します。
しかしさすがにそれは無理だと断ると里香は「もういい、出てって。」と言って裕一を冷たくあしらうのです。
また病院を抜け出した裕一は、友達から「女のために今を生きる。」という名言を聞き、一度は断ったもののどうしても里香のことが気になり、その夜里香の病室を訪れ砲台山に行こうと誘うのです。
こっそり抜け出そうとしますが亜希子に見つかってしまいます。
諦めかけたとき、里香が裕一の手を取り駆け出したのです。
どうにか亜希子と警備員を振り切り外に出た裕一と里香。
裕一の友達である司(川村亮介)と保(加藤康起)の協力でバイクを使って砲台山を目指すことに。
里香を乗せてバイクを運転していた裕一でしたが、途中で転倒して里香に怪我を負わせてしまいます。
それでも砲台山へ行きたいという里香をバイクに乗せて頂上を目指す裕一。
しかし、里香はここではないと言い出すのです。
里香は「私のお父さん、ずっと入院してたんだけど、次はいつ行けるか分からないからって手術の前に私をおぶって連れて行ってくれたの。そこがお父さんと最後に遊びに行ったところ。」そう涙ながらに訴えます。
裕一は「そこには変な塔みたいなのがあった?」と里香に尋ね、そうだという里香をおぶって頂上を目指すのです。
やっとの思いで頂上についた裕一と里香。
里香は懐かしい塔を前に「ずっとここに来たかったの。ここに来られたら死ぬ覚悟ができるかもしれないから。私、お父さんと同じ心臓病で、手術するしか治る道はないの。お父さんは手術中に心臓が止まってしまった。私もそうなるかもしれない。でももう疲れちゃった。早く死んだ方がみんなのためだから…。」と静かに告白します。
それを聞いた裕一は「生きるために手術するんだろ。もっと一緒にいたい。」そう言って気を失ってしまうのです。
無理をした二人は病状が悪化してしまいます。
里香の病室を訪れることが出来なくなってしまった裕一は、里香から渡して欲しいと頼まれたと言って宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を受け取るのです。
里香に転院の話が持ち上がります。
それを知った亜希子はこっそり裕一と里香を会わせることに。
屋上から文化祭の準備をする、裕一の通う高校の生徒たちをを見て、里香は「いいな…。」と静かに言葉を吐き出します。
里香の転院を知った裕一は友達と里香の病室を訪れ学園祭へ誘うのです。
裕一は里香の母親に協力を頼み、友達であるみゆき(緑友利恵)の制服に着替えた里香を学園祭に連れてきてもらいます。
保が主役を務めるためねぎらいにきた裕一たちでしたが、ヒロインを務めるはずの保の彼女が学校に来ていないと騒ぎになっていたのです。
保と喧嘩したことが原因でした。
それを聞いていた里香がヒロイン役をやりたいと言い出し、舞台にあがることに。
事前に台本を見ていた里香は見事ヒロイン役を演じるのです。
王子役は保が演じるはずでしたが、最後に王子役として出てきたのは裕一。
最後に予定していたキスシーンは里香のアドリブによってなくなってしまいました。
無事に舞台が終わり、みんなが盛り上がる中、里香は舞台袖で倒れてしまいます。
病院へ向かうタクシーの中で目を覚ました里香は心配そうにする母親に「全然良くならなくてごめん…。」と言って涙を流しながら謝るのでした。
病院で処置を終えた里香は大事には至りませんでしたが担当医からは早めに転院して手術を受けた方がいいと言われてしまいます。
裕一は里香の母親に今回の事を謝りますが、母親は「あんなに楽しそうな里香は久しぶりだった。今日は本当にありがとう。」と礼を言うのでした。
裕一は涙を流しながら「里香を転院させて生きさせてください。お願いします。」と里香の母親に頭を下げます。
病室で裕一の言葉を聞いていた里香は静かに涙を流すのです。
それから里香を避ける様になった裕一。
しかし里香はめげずに裕一の病室を訪ねます。
そんなある日の晩、裕一の病室に忍び込んだ里香は「もうすぐ退院するんでしょ?私手術することに決めたの。だけど一人は嫌。裕一も一緒に戦って欲しい。」そう裕一に話すのです。
里香は裕一に「これあげる。私がいなくなって寂しくなったら読んでね。元気になるおまじないかけといたから。」と言って『銀河鉄道の夜』を渡します。
そして裕一が退院する日、里香は病院のロビーで一人裕一を見送るのでした。
「半分の月がのぼる空」最後ラストの結末は?
医師の夏目は自分のせいで妻を亡くしたことをずっと悔やんで生きてきました。
そのせいで今も手術室に立つことが出来ないのです。
上司にいくら言われても外科に戻る事は出来ないでいました。
自分を頼って転院してきた患者に、手術ができないことを謝る夏目。
その子は「こういう事には慣れてます。」と言って去っていきますが、その後その子の彼氏が夏目の元を訪れます。
「君は覚悟ができているのか?僕の妻もあの子と同じ病気だった。愛する人がいなくなっても生き続けないといけない。この辛さに耐えられるか?早く別れた方がいい。」そうアドバイスする夏目に、その子の彼氏は「先生は今苦しいですか?苦しくて辛いからあの子を見殺しにして忘れろって?俺はあいつの側にいられないことが一番苦しいです。」そう言って部屋を後にするのでした。
家に帰った夏目が見つめる仏壇には里香の写真が。
夏目は成長した裕一で医師になり里香と結婚していたのです。
里香と一緒に撮った写真を見ながら昔を思い出す裕一。
里香を助けたい一心で外科医になった裕一は里香と結婚し娘も生まれています。
しかし、裕一が執刀した手術で里香は命を落としてしまうのです。
裕一はずっとそのことを引きずり後悔していました。
その夜、砲台山へ上った裕一。
里香と一緒に上った頂上の塔を前に今は亡き里香へ苦しい胸の内を吐き出します。
「良くやっているだろ?なんで里香が一緒にいてくれないんだ。」そう言って里香がくれた『銀河鉄道の夜』のカバーをめくり、里香からのメッセージを読んで泣き崩れる裕一。
そこには“裕一へ 私はいつもそばにいるよ ガンバレ! これは命令 里香”と書かれていました。
裕一は心臓外科医に戻る決心をします。
そして手術を断ったあの子の執刀医になる為名古屋の病院へと移るのです。
里香が最後に裕一の病室に忍び込んだ夜、上弦の月がでていました。
二人は半分の月がのぼる空を見上げキスをするのでした。
完
「半分の月がのぼる空」見どころ
裕一と里香のピュアで互いを思う強い気持ちに心打たれる作品でした。
一件我儘放題な里香ですが、裕一と少しずつ心通わせ本来の明るさを見せるシーンはとても素敵です。
また、少し抜けている裕一も愛嬌と可愛らしさがあって里香や友達との掛け合いがとてもコミカルで面白かったです。
池松壮亮さんや忽那汐里など、今や演技派の俳優陣の初々しい姿が見れるのも見どころのひとつ。
そして、裕一が成長した夏目を演じる大泉洋さんの静かな演技も見入ってしまいます。
里香が亡くなり、後半は悲しく辛いシーンも多く涙を誘いますが、里香が残したメッセージと、最後に二人のキレイなキスシーンで幕を閉じているのがとても感動的でした。
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