「あぜ道のダンディ」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ

映画「あぜ道のダンディ」ネタバレ あらすじ
ヒューマン

映画「あぜ道のダンディ」は光石研主演、石井裕也監督の2010年公開の映画です。

この映画「あぜ道のダンディ」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。

子供との絆を取り戻そうと奮闘する不器用な父親を描く「あぜ道のダンディ」をお楽しみください。

 

「あぜ道のダンディ」あらすじ

北関東在住、宮田淳一(光石研)50歳。

仕事は配送業で、チャリ通勤してトラックで荷物を運ぶ日々。

同僚に無愛想な宮田は、大学浪人中の息子と高校三年の娘とも上手く話せません。

妻(西田尚美)がいた頃は、家族四人+猫で笑い合った毎日だったのに。

もう受験の結果が出てそうなのに、俊也(森岡龍)も桃子(阿部純子)も何も言ってこない。

ゲームに夢中の俊也が手で示した方を見た宮田は、東京の私立大から届いた合格通知を目にします。

桃子が居ない隙に“お父さんチェック”すれば、机の引き出しから合格通知を発見。

ぐーたら寝ている俊也に「桃子、受かってる」と報告すると、既に知っていました。

 
俊也も桃子も、春から東京で一人暮らしして私立大に通う生活。(桃子にとっては第一志望)

思い詰める父親に「ああ、カネの問題?」と、突っかかってしまう俊也。

子供に弱みを見せない宮田は、カネは問題ないと強がり“ガン”の事も言い出せないまま・・・

最近、体がしんどい宮田は“胃ガン”だと確信しています。

胃ガンで亡くなった妻も、同じ症状だったから間違いないと。

恐る恐る病院で診てもらうとポリープが見つかり切除、検査の結果が出るのは一週間後。

だけど「もって、あと三か月ぐらいだろうな」と、宮田には分かります。

 
宮田が唯一弱音を吐けるのは、同い年の真田(田口トモロヲ)。

急いで子供たちと思い出を作りたい宮田の熱い思いに、真田は共鳴するのでした。

桃子とプリクラって言う機械で、一緒に写真を撮りたい!

俊也とは、ゲーム対戦して遊びたい!

果たして、宮田の“死ぬまでにやりたい事”は、達成できるのでしょうか!?

 

「あぜ道のダンディ」ネタバレ

学なしカネなし、足も臭いしスグに怒鳴り散らす宮田(光石研)。

優しい性格だけど、無意識のうちに相手をカチンとさせちゃう真田(田口トモロヲ)。

中学からの付き合いで一緒にカツアゲされた事もある二人は、喧嘩になっても「ごめん」と言って仲直り。

「カッコいい男になりたい」と夢見たけど、ソレとは無縁の人生を送って50歳のおじさんに。

ずっと宮田の背中を追って、今も毎晩のように居酒屋で顔を合わせる真田はこの7年、父親の介護に明け暮れました。

子供には恵まれず、7年の間に妻とも別れ、現在は気ままな一人暮らし。

頑張った自分へのご褒美に、ハットを買ったけど「変テコな帽子、被りやがって!」と、宮田には不評です。

 
ある日の下校時刻、桃子(阿部純子)が通う高校で待ち伏せをする宮田と真田。

友達の優子(山本ひかる)と桃子が向かったのはゲーセンで、おじさん二人も追い掛けます!

ゲーセンで楽しんでいると優子に援助交際をすすめられ、桃子は笑って誤魔化しました。

すると「いいの?縁切れても」と、春から同じ大学に通う優子が真顔で言い返します。

 
宮田と真田がドコに行ったと探し回る中、ターゲットになる男に近づく桃子。

ひょんな事に、優子と出くわし援交を迫られる真田は、宮田に助けを求めました。

「コラ!早く家に帰れ……」と、怒鳴り散らす宮田にそこを去る優子。

慌てて家に帰った宮田は、既にベッドで寝ていた桃子の姿を見て安心します。

だけど、激しい胃の痛みにも襲われるのでした。

 
以前やった“お父さんチェック”で、桃子の机の引き出しから、カセットテープも持ち出していた宮田。

再生すると聞こえて来たのは、生前の妻(西田尚美)が子供たちに残したメッセージ。

「…懐かしいな」と、宮田はあの頃を思うのでした。

 
友達の家で夕飯を食べる俊也(森岡龍)は、その母親(西田尚美=二役)の笑顔に言葉が出ません。

だけど、帰り際「おかあさん、ごちそうさまでした…」と、精一杯の思いを伝えます。

 
“死ぬまでにやりたい事”のもう一つ、俊也と遊ぶためのゲーム機を探しに行く宮田。

真田を誘って意気込んで家電量販店に来たけど、ゲームをした事がないおじさん二人。

案の定、どれを選べば良いのか分かりません。

「一応、聞いてみるか」と言う、真田の提案も無視して意地でも店員に聞かない宮田。

結局、思い込みで選んだゲーム機を一台ずつ購入します。(真田は宮田と対戦したい!)

 
その夜、帰宅した俊也に「対戦しようぜ!」と、ゲーム機を見せたけど「ああ、俺ソレ持ってないわ」

一瞬にして夢破れた宮田は「東京の家、そろそろ引っ越しのこと考えないとな」と、話題を変えます。

お金の心配はするなと何度も口にする父親に、俊也は何も言わず部屋に入りました。

 
中学の頃から二人でお喋りしていた場所、神社の境内でゲーム対戦をする宮田と真田。

「例えばだよ、俺が死んだら…」

子供のこと家のこと、生命保険のことを語り出す宮田に、真田は「大丈夫」と、答えます。

これから、病院に検査結果を聞きに行く宮田は、不安な顔をしていました。

「検査の結果ですが…。結論から言いますと…。特に異常は無かったです」

軽い胃炎だった50歳の宮田、原因はストレスだと言われ薬を貰って帰りました。

 
いつもの居酒屋で“男らしくない自分が情けない”と、肩をすぼめて泣き出す宮田。

子供の学費が出せないと正直に打ち明けると、真田が任せろと男らしく受け止めます。

ところが、カッコいい真田にカチンと来たのか「ソレって親父さんの遺産だよな?」と、悪い癖が!

不貞腐れながら「悪かった!」と謝る宮田を、いつものように許す真田。

酔いが回る宮田は、子供に無視される父親の寂しさを口にします。

一人きりの家に帰った真田は、もう使っていない介護用ベッドに腰かけて、思いを馳せるのでした。

 
ある日、真田に誘われて遊園地にやって来た俊也。

真田は「大きくなったな~」と、小さい頃は良く遊んだ俊也の成長に目を細めます。

いつも宮田と酒を飲む居酒屋に、彼の息子・俊也を連れて来た真田は大学合格をお祝い。

「俺はさ、子供いないから。…俺は宮田とは中学からの親友でさ……」

父親に似て取り留めのない話ばかりする真田に、俊也は困惑するばかり。

だけど、“父親の死”を語り“ダンディな宮田”を、切々と語る真田。

「俊也君は、お父さんの心意気を理解する義務があるんだ!」と、伝えます。

すると、あまりにも分かり切った言葉に、目一杯テーブルを叩いて反論する俊也。

「僕も桃子も親父には感謝してるんですよ!特にお母さんが死んでからは」

 
家族だから“ありがとう”が言えなくて、いつの間にか父親との会話が減った俊也と桃子。

伝えなきゃいけないと思っているけど、実際に絡みづらい父親に今更どうして良いか分からないのでした。

思いがけない俊也の大声にビビった真田は「そうだよね…俺もそうだったから」と、目を伏せます。

 
ある休日、宮田の家に遊びに来た真田。

競馬を見てるけど賭けてる訳でもなく、あまりの暇さにゴルフのスイングを始めたおじさん二人。

そして「俊也君と桃子ちゃん、東京行って家探ししてんだろ?」と、宮田が知らない情報をポロリする真田。

おまけに、俊也と遊園地、桃子とはプリクラを撮っていた事をサラッと白状します。

 
安月給の父親に迷惑を掛けないように、家電量販店でバイトを始めていた俊也。

東京に物件探しに行くと、桃子が第一志望の私立大は“友達が行くから行くだけ”と、打ち明けます。

「お父さん安月給なのに、お小遣い使ってプリクラ撮ってさ…」と、泣き出す桃子。

 
俊也と桃子が、帰宅しました。

すっかり酔っ払った宮田は「俺だって、子供たちと遊び行きてぇからよ~!」と、桃子の部屋へ。

真田が愛用する帽子を被って意気込んで行くと、桃子は泣いていました。

二人でするぎこちない会話、だけど父親の気持ちを聞けた桃子は心が穏やかになります。

そして、宮田も家族みんなが笑っている、とても幸せな夢を見るのでした・・・

 

「あぜ道のダンディ」最後のラストの結末は?

いよいよ、俊也と桃子が東京へ引っ越す日。

真田も手伝ってくれて、トラックに二人分の荷物が積まれました。

俊也は「…親父も寂しくなっちゃうと思うんで、よろしくお願いします」と、こっそり真田に伝えます。

 
桃子は、ちょっと高いけどセキュリティ管理がバッチリの、宮田も安心できる安全な家。

風呂なしの古びた家を選び、バイトをすると言う俊也。

いつものように強がる宮田だけど、近くの銭湯に行き息子の背中を流すと胸が一杯になるのでした。

 
子供たちが旅立ち、居酒屋でしんみりと飲む宮田。

向かいに座る真田は「寂しくなるかもしれないけど、俺は居るからさ。…俊也君が言ってたんだよ」と。

宮田は、父親を大事に思ってくれる俊也の気持ちを知って泣きじゃくります。

“男は泣くもんじゃない!”って、中学の頃からず~っと思って頑張って来たけど、涙が止まりませんでした。

 
いつものように、あぜ道をチャリで走り抜ける宮田。

「…足をためてます!さあ、最後の直線勝負か!……宮田淳一、依然として後方!!」

完。

 

「あぜ道のダンディ」見どころ

「宮田淳一は馬郡の中団で待機……鞭が入りました!後方から追い込んで…ごぼう抜き!!」

自分が競走馬になったように、チャリを漕いで尻を叩いて一着でゴールイン!(出社!)

宮田は、すぐムキになるし説教くさい、人に同情も指図もされたくない!(特に真田には!!)

「こんな時代にオジサンやってんだぞ!後ろにも下がれなきゃ前にも進めない50歳だよ!」

名バイプレイヤー・光石研からダダ漏れる哀愁が、あなたの心を熱くさせるでしょう。

 
娘の桃子(阿部純子)が、自分よりも機械(プリクラ)にハマってる事に嫉妬爆発!?の宮田。
※現在は本名の阿部純子で活躍中ですが、公開当時の芸名は吉永淳です。

言うことが滅茶苦茶で、息子の俊也(森岡龍)が「絡みヅラい」って思うのも納得できちゃう。

だけど、妻(西田尚美)に線香をあげて写真を見て、溜息ついてる宮田。

いつもいつも子供の心配ばっかりして、すっごくイイ親父。(そりゃ、胃炎にもなるわ!)

そんな不器用な夫に優しく微笑む妻は「大丈夫だよ」って、きっと言ってる。

そう思えるのは、宮田家には家族が心ひとつになれる、最高の歌とダンスがあるからです!

四人にとって、思い出の一曲は♪『うさぎのダンス』。

しっかりと感傷的に、そして素敵な家族の愛に浸らせといて急激な方向転換!

来た!来た~!とニンマリ♪ほんわかしちゃう石井裕也ワールドは本作でも健在ですよ。

 
様子がおかしいから同僚は心配しているのに、無愛想な宮田。

そんなオジサンに、ほとほと参ってる職場の同僚役に藤原竜也。

遺影を準備するために宮田が行く写真店の、そこはかとなく冷たい店員は綾野剛。

完全に悪い予感を漂わせる声のトーンで、宮田に検査結果を伝える医師を岩松了。

宮田の息子・俊也の友達・耕太は、染谷将太が演じています。

 
そして、宮田のことをずっと見て来た、真田を演じた田口トモロヲ。

もはや、光石研と田口トモロヲの掛け合いは言わずもがな、安定感のカタマリです。

序盤、19歳と18歳の子供を思い苦悩する宮田に、真田が繰り返す「大変だな」の口調と顔が絶妙過ぎる!

カチンと来ちゃう宮田に「オイ!」って凄まれて、ビビる顔も最高です。

この名バイプレイヤー田口トモロヲの名演技?が見れる「少年メリケンサック」もおすすめです。

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意地も見栄も張ってばかりの宮田が、真田にだけは本音を言えて涙を見せられる。

二人のシーンはどれも好きですが、本編24分頃~の宮田の気持ちはグッと来ます。

強く結ばれた友情で昭和、平成を生き抜いたおじさん二人が、とっても愛おしい!

きっと令和の今も、ワーワー文句を言う宮田を真田がなだめているでしょうね。

勢いで真田の悪口も言い出して、真田が怒ったら「ごめん!」って、キレ気味に謝る宮田が想像できます。

 
母が他界して、父との距離感が分からなくなってしまった俊也と桃子。

子供が抱える複雑な胸の内を、森岡龍と阿部純子が魅せてくれます。

俊也が友達(染谷将太)の家から帰る時に、言葉にして気持ちを伝えようとするの好きです。

“母は居て当たり前”そんな態度で「ばばあ」呼びする染谷くん、ダメだよ~!

俊也の寂しさと優しさを感じられ、痛みと共に温かさで胸がいっぱいになります。

 
桃子は、これから自分がどうしたいのか分からない女の子。

大学選びも不純だったけど、父を悲しませちゃいけないって事は分かってる。

「父さんだからだろ…」と、酔いにまかせて桃子の横に座って、恋の話をする宮田。

もしかしたらこの時が初めてかもしれない、“父の願い”を聞いた桃子。

父の素朴で優しい気持ちを知った桃子が、俊也と笑い合う姿はきっと幸せな気分になるでしょう。

 
クスッと笑っちゃうのに、心が温まってホロリと泣けても来ちゃう『あぜ道のダンディ』。

本当の意味で“カッコいい男”ってヤツを、不器用にしか生きられないオジサンが教えてくれます。

どうぞ、最後まで楽しんで下さいね!

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