映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」はルーク・トレッダウェイ主演、ロジャー・スポティスウッド監督の2016年の映画です。
この映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
ホームレスの青年と野良猫のボブの実話を元にした感動作「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」をお楽しみください。
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」あらすじ
イギリス・ロンドン──
通りを歩く人々に聞こえるギターの音と、ジェームズ・ボーエン(ルーク・トレッダウェイ)の歌声。
30年も生きていない人生をやり直したいと願うこの青年は、ホームレスで薬物依存症です。
ある日、必死に踏ん張ってもどん底に逆戻り、意識を失い病院に搬送されました。
もがき苦しむジェームズを辛抱強く見守って来た、ヴァル(ジョアンヌ・フロガット)。
ソーシャルワーカーのヴァルは、ジェームズに更生の足がかりとなるメタドン服用を指示。
※メタドンは麻薬性鎮痛薬、イギリスでは薬物使用を抑制する代替薬として用いられます。
だけど、その治療中にヘロインを摂取してしまったジェームズ、まさに自殺行為でした。
自分の愚かさを嘆くジェームズを、厳しく叱るヴァル。
彼女は、生活困窮者のための居住サポートを受けさせて欲しいと、担当員に訴えました。
ジェームズの命を救えるチャンスは、最後かもしれないと予感したからです。
教えられた住所にやって来たジェームズは、お湯が出る家具付きのアパートに感激。
自分を信じてくれるヴァルに「約束する」と、更生を誓いました。
部屋という空間が久しぶりで、少し戸惑うジェームズ。
すると、気づかないうちに開いていた窓から、誰かが入り込んだようです。
ジェームズが風呂に浸かっている隙に、そいつはシリアルをつまみ食い。
物音に気づいたジェームズが、恐る恐るキッチンへ向かうと「ニャー」という鳴き声。
泥棒が1匹の茶トラ猫でホッとするジェームズは、1晩泊めてやります。
この出会いが・・・
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」ネタバレ
翌日、飼い主探しをするも見つからず、きっと飼い主と再会できると信じて“彼”を地面に離すジェームズ。
彼はスタスタと振り返りもせず去って行き、ジェームズも薬局へ行ってメタドンを服用。
日銭を稼ぐため、路上に立ってギター片手に歌う、いつもの1日が始まります──
両親が離婚したジェームズは平凡な幼少期を送っておらず、薬物に手を出したのは自然の成り行きでした。
父・ジャック(アンソニー・ヘッド)は再婚して、今は新しい家族と4人暮らし。
だけど、再婚相手のヒラリーにジャンキー扱いされるジェームズは、その一員にはなれません。
季節は、もうすぐクリスマス。
一緒に過ごしたいと願っても聞き入れられず、がっかりするジェームズにお金を渡す父・ジャック。
実は、ジャックは息子を救ってやることが出来ず、密かに葛藤を抱えていました。
歌っていたら文句を言われたり、家族が居ない寂しさを痛感したり何だか散々な日。
沈んだ気持ちで帰ったジェームズを、別れたハズの茶トラが「ニャー」と、呼びます。
どうやら傷を負っているよう、ケンカでもしたのか?
ジャケットで彼をくるみ、抱きかかえたジェームズ。
そこに、同じアパートに住むベティ(ルタ・ゲドミンタス)も、帰って来ます。
ジェームズが声を掛けるとベティは茶トラを手当てします。
実は獣医を志した動物好きでした。
病院で診てもらった方が良いと言われるけど、そんなお金はジェームズにはありません。
「僕の猫じゃないんだ。たぶん、野良だよ」
すると、茶トラを見つめるベティは「あなたの隣が居場所だそうよ!…理由があって来た」と、言い出しました。
猫語が分かる?と驚くジェームズにベティは冗談っぽく笑い、茶トラは「“ボブ”と呼ばれたがってる」とも。
ベティの一言がきっかけで、茶トラの名前はボブに決定!
ジェームズはベティが貸してくれた診察券を持って、動物福祉病院に向かいました。
実は、子供の頃に猫を飼ったことがあるジェームズ。
自由気ままなボブは可愛い、それでも“こいつは野良”と言い聞かせます。
きっとスグに外の世界へ帰ってしまう、情をかけたら別れがつらいだけ。
そもそも薬物依存症の更生プログラムを受けている自分に、世話が出来るハズない──
診療は無料だけど、薬代は別と請求されてしまうジェームズ。
路上で稼いだ投げ銭だけでは、到底足りません。
ボブを抱くジェームズは、自分の食費になるハズの父から貰ったお金を差し出します。
まるで、ジェームズとベティを巡り合わせるように、舞い戻った茶トラ猫のボブ。
沢山の絵があるベティの部屋で、2人は互いの事を話しボブもそれを聞いているよう。
動物が大好きだけど、アレルギー反応が出る体質だから薬を常備しているベティ。
そして「ドラッグは大嫌い!依存症患者には近寄らない」と、言い切ります。
ドキッとするジェームズは売れないミュージシャンだった事だけ明かし、暗い話はしませんでした。
去勢手術を受けたボブを、同じ男としていたわるジェームズ。
この数日、ボブと過ごしたジェームズに、離れたくない気持ちが芽生えています。
笑顔もあるけど、つらく悲し気な目をしている孤独なジェームズを見ていたボブ。
ジェームズの心に引っ掛かっていた、別れの素振りは一切ありませんでした。
むしろ、仕事に行くジェームズの足にまとわり付くと、一緒にバスに乗車。
怒られるどころか人々の心を癒すボブは、窓からの景色を悠然と眺めています。
リード代わりに靴ひもをクビに巻かれてもお構いなし、自由気ままに街を散歩するボブ。
なかなか仕事場に辿り着けず「日が暮れちゃうよ」と、ジェームズは身をかがめます。
その肩にヒョイっと乗ったボブの愛らしさに、街を歩く誰もが惹かれていました。
賑わう通りで、一番注目されているのは歌っているジェームズ……ではなくボブ!
だけど、こんなに温かい目を向けられた事はないジェームズは、幸せでした。
ボブと同じ茶トラ猫を飼っていたと言う女性が、声を掛けます。
「茶トラは意志が強い……人間以上の親友になってくれるわ!」
これまで友情にも恵まれなかったジェームズは「そうなってくれる?」と、ボブを見つめました。
街の人気者になったボブのお陰で顔見知りが増え、心身が満たされて行くジェームズ。
もう二度と転落はしないと強い意思を持って、見慣れた売人の前を素通りしてみせます。
そんなジェームズに「……幸運を分けてくれ」と近づくのは、薬物依存から抜け出せないバズでした。
同じ苦しみを味わったジェームズは、必死に助けを求めるバスを見捨てられません。
「必ず、食事代に使ってくれよ……自分の体を考えろ!」と、お金を渡しました。
仕事を終えボブと帰って来たジェームズは、片思い中のベティと出くわし夕食の約束を交わします。
ベティの部屋でベティの手料理「これってデート?」と、肩に乗るボブに聞いてみるジェームズの心はドキドキ!
2人で過ごす時間は楽しいけど、やっぱりジェームズは薬物の事は言えませんでした。
深入りはせず笑ってジェームズの話を聞くベティ、そんな彼女が薬物を嫌うのにも大きな理由があるようです──
この日の仕事も好調、ボブの好きな缶詰とベティに“夕飯のお礼”も買って、アパートへ帰るジェームズ。
だけど、その途中で遭遇したのは薬物を打って倒れているバズでした。
騒ぎに気づいたベティがバズに救命処置をしますが手遅れ、まだ若いバズは亡くなります。
ベティは薬物の過剰摂取で亡くなった兄の事を、ジェームに打ち明けました。
今、ベティが暮らすのは兄が住んでいた部屋で、彼女は救えなかった後悔を抱えています。
ベティのためにも、体から完全に薬物を抜いた“まともな人間”になりたいと望むジェームズ。
ボブに見守られるジェームズとベティはクリスマスを一緒に過ごし、少しずつ距離を縮めて行きます。
前向きな自分を見てもらおうと、ジェームズはボブを連れて父・ジャックの家をサプライズ訪問。
だけど、それは最悪な大晦日となりました──
あの日以来、心から不安が拭えないジェームズに、次々とトラブルが発生します。
いつものように歌っていると、犬を連れた男が乱入。
客を巻き込む大騒動となりジェームズは一晩拘留、警察から下されたのは路上演奏の禁止。
迎えに来たソーシャルワーカーのヴァルは「…逆戻りしたいの!」と、メタドン服用が抜けた事を激怒します。
※麻薬性鎮痛剤メタドンの効果は約24時間、それが切れると酷い禁断症状に襲われヘロインの過剰摂取を誘発。
急いで薬局に向かったジェームズは、居合わせたベティに薬物依存症だとバレてしまいます。
ショックを受けるベティは、ジェームズから距離を置きました。
ひどく落ち込むも、心の支えとなるボブだけは失わずに済んだジェームズ。
少なくともボブの食費は稼がなくちゃ!
雑誌『ビッグイシュー』の路上販売員を始めます。
※ビッグイシューはイギリス発祥、雑誌販売によって生活困窮者が収入を得る事を目的とした合法的な自立支援。
肩に猫を乗せたジェームズはやっぱり注目の的で、ボブとのハイタッチや写真撮影のお返しに人々は雑誌購入。
仕事を始めたばかりですが、割り当てられた販売エリアは賑わいました。
一方で、それを恨めしそうに見ているのは、雑誌が売れない同じ路上販売員の男。
ある日、ジェームズを1か月販売禁止に追い込む、出来事が起きてしまいます。
男の前を通って、自分の販売エリアへ向かっていただけのジェームズ。
そこに、ボブ目当ての客が話し掛け、半ば強引に雑誌を購入。
ジェームズが「あっちの男性から買って下さい」と言っても、無理でした。
些細な事ですが『ビッグイシュー』の販売エリアは、絶対に守らなくてはいけないのです。
収入が無くても、ボブのツナ缶だけは買ってやりたいと思っているジェームズ。
自分の食事は炊き出しがあればそこへ行き、どうにもならない日は以前のようにゴミ箱を漁ります。
無気力なジェームズを見つめるボブは、腹を空かせて鳴き続けた時は怒鳴られもしました。
だけど「ごめん、悪かった…」と、謝るジェームズのそばを離れません。
ようやく1か月経ち、雑誌『ビッグイシュー』の路上販売を再開したジェームズとボブ。
頑張ろう!そう思った彼らに、またしても予期せぬ事態が降りかかります。
ジェームズの肩に乗るボブに、ずっと会いたがっていた親子が話し掛けて来ました。
男の子がとても嬉しそうにしていると、母親がこんな事を言い出します。
「幸せにしたいわね。良かったら私が買い取るわ……」
それは『ビッグイシュー』販売員のジェームズとの暮らしより、私たちの快適な家でと言う口ぶり。
言い争うジェームズと母親のまわりに人が集まり、犬はボブに向かって吠え続けました。
すると、突然ジェームズの肩から飛び降りたボブは、雑踏の中に消えてしまいます。
数日経ってもボブを見つけられないジェームズは、自分を責めました──
1人きりの部屋で、ボブを思い続けるジェームズ。
ふと外に目をやると売人から薬物を買う男が見えて、衝動的に部屋を出ました。
「天国を探してるのかい?」売人の囁きに、ジェームズは言葉を詰まらせます。
そして、葛藤の末に言えたのは「茶トラの猫を見なかったか?」
転落しないよう必死に踏ん張ったジェームズは、気抜けする売人に背を向けアパートに帰りました。
すると、まるでジェームズへのご褒美のように舞い戻っているボブ!
「ニャー」と呼ぶ、穏やかなボブの顔を見たジェームズは、笑顔を取り戻しました。
これからの人生を、しっかりと見据えるジェームズ。
ソーシャルワーカーのヴァルに「断薬する」と、固い決心を伝えます。
それは48時間、一切の薬を断ち襲って来る禁断症状に、ただただ苦しみ耐えなければならない壮絶な戦い。
そもそもジェームズは、12時間ごとにヘロインを打っていた中毒者。
代替薬メタドンへの移行に成功したものの、毎日の薬局通いが付きまとい薬物中毒死のリスクも消えません。
ボブを守るため、薬物を完全に体から抜いて“まともな人間”になりたいと願うジェームズ。
薬物依存症の人間をたくさん見て来て厳しさを知るヴァルは、最後までやり抜いて欲しいと支えます。
きっと、1人だったら耐えられないだろう……だけど、ボブとなら乗り越えられる。
ジェームズの決心を知ったベティも食料の買い出しを約束し、久しぶりに微笑み合う2人。
「…ただ、すぐにドアを閉めるよ。悲惨な姿を見せたくない」と、ジェームズは伝えます。
無気力に座っていたり、ギターを弾いて気持ちを紛らわすジェームズ。
次第に、身体的にも精神的にも言い知れぬ苦しみに襲われ、食事も出来ず幻覚が見えて来ます。
明ける事のない苦しい夜、身をよじってむせび泣くジェームズを、ボブはジッと見ていました──
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」最後ラストの結末は?
毛布にくるまって、その時を必死に待つジェームズ。
そして、苦しみが和らいだ時も、やっぱりボブがそばに居ました。
「おめでとう!」と、新たなスタートを切ったジェームズに嬉しそうな、ソーシャルワーカーのヴァル。
未来を見ているジェームズの姿に、ベティは兄ではなく“自分の人生を生きる”とアパートを出ます。
だけど「お別れじゃない」と、連絡先を渡して笑顔で別れました。
街はいつもと変っていないけど、人生をやり直したジェームズに思わぬチャンスが舞い込みます。
路上で歌うジェームズと、その肩に乗るボブのファンだったメアリー(キャロライン・グッドール)。
出版社に勤める彼女は、ジェームズとボブの出会いから現在までを本にしたいと言うのです。
父・ジャックを訪ねたジェームズは「完全に薬物をやめた」と、伝えました。
これまでの思いを口にして“謝りたい”と言う息子に、父は大事にしていた物を見せます。
それは、子供の頃のジェームズの写真。
やっと本心を伝えて謝ることが出来た父は、ジェームズに優しく微笑みました。
悪戦苦闘しながらもボブや編集者の協力を得て、ジェームズはとうとう本を完成させます。
そして、2012年3月に出版されると、瞬く間にベストセラーになりました。
──その後、自分の家を購入したジェームズは、今でもホームレスや動物のためのチャリティー活動に従事しています。
THE END
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」見どころ
世界中の人々に読まれて、愛され続けるノンフィクション小説『ボブという名のストリート・キャット』
本に綴られた実際のエピソードを基に制作されたのが、この『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』という映画です。
著者で主人公のジェームズ・ボーエンとボブが出会ったのは、2007年3月。
そこから、彼らがセカンド・チャンスを掴むまでは、本でも十分に感動出来ます。
しかし!名演を魅せる茶トラ猫が、ほとんど“本物のボブ”なんて言われたら、映画を観るしかないでしょう!!
※違いは分からないけど“ボブ役の猫たち”も当然可愛いですよ♪
「あっ、見逃してた」と言うあなた!今からでも是非ボブの魅力を堪能して欲しいです。
実は、2020年6月にボブは亡くなってしまったんですが、その輝きは永遠です。
今作で印象的なのは、ジェームズを見るボブの顔。
ジェームズが傷付いてると分かってて、彼のもとにやって来たような気がしてなりません。
ま~るい目をキョロキョロ、観る者が体感できるボブの視点も注目してみて下さいね。
キッチンの窓から侵入したボブは、ジェームズにバレてもムシャムシャと食事。
あっと言う間に心を掴んじゃって、牛乳まで用意してもらえる最強の人たらしです。
お気に入りの場所“ジェームズの肩”に乗るのは、メチャメチャ可愛い!
ボブとの暮らしはジェームズの歌声も晴れやかにして、ハイタッチするシーンは胸キュン。
“街の人気者になったボブ、ご褒美に缶詰をたくさん買ってもらえる!”
そのシーンは、ジェームズとボブの仲睦まじい姿に、ニヤけちゃって下さい。
他にも、演奏中のギターの上にちょこん♪自転車移動の時はカゴに入って風を感じるボブ。
男前のボブは、ファンから贈られたカラフルなマフラーが良く似合うんです!
ジェームズが言うように、皆がボブにメロメロになるでしょう。
だけど今作はボブの名演に癒されるだけの映画じゃない、という事を忘れちゃいけません。
本編開始からしばらくは“幸せ”と言う温かさは全く感じられない、ジェームズの暮らしが描かれます。
地べたにしゃがみ込むホームレス、ジェームズと同じように薬物に溺れるバズ。
ギター演奏するジェームズに颯爽と歩く人が、コインや残ったサンドイッチを置いて行く。
薬物での死者が増加していると言うイギリスの、暗い部分もしっかりと映し出します。
悲しい出来事は中盤でも起こり、個人的には犬絡みのトラブルは思わず肩に力が入ってしまいます。
たとえ犬好きでも、今作に登場する犬は嫌いになっちゃうかも!?
早く幸せになって欲しいけど、ジェームズとボブの前にはまだ困難が立ちはだかります。
打ちのめされそうなジェームズの顔は観ていて辛いですが、ボブと共に生まれ変わる彼を見守って下さいね。
ラスト8分、家族や友達に祝福されて出版イベントに臨むジェームズとボブ。
サイン会に訪れたファンの中に、実は本物のジェームズ・ボーエンが居るんです。
彼だと分かる言葉を、お聞き逃しなく!
そして、ジェームズに向けたであろうボブの表情は尊い~、可愛さ半端ないです♪
なんと!待望の続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』の日本公開が決定!!(2022年2月25日)
かけがえのない友達となったジェームズとボブが、またまた困難にぶち当たってるみたい!?
これはもう『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』見直し鑑賞からの、映画館で続編って流れが出来てしまった…(笑)
心が温かくなる真実の友情を、どうぞご堪能下さい!
猫好きのあなたには「猫なんかよんでもこない」もおすすめです。
みんなの感想