映画「湯を沸かすほどの熱い愛」は、宮沢りえ主演、中野量太監督の2016年の映画です。
この映画「湯を沸かすほどの熱い愛」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
余命僅かの母が家族の絆を取り戻していく「湯を沸かすほどの熱い愛」をお楽しみください。
「湯を沸かすほどの熱い愛」あらすじ
銭湯を営む幸野家は、1年前に父(オダギリジョー)が出奔して休業状態。
母・双葉(宮沢りえ)は持ち前の明るさと強さでパートをしながら娘を育てていたが、突如余命2カ月と宣告されてしまいます。
死ぬまでにするべきことを決めた彼女は、1つずつ実行しながら、家族の絆を結びつけていくのですが・・・
第40回日本アカデミー賞で、優秀作品賞、優秀主演女優賞ほか全5部門を受賞したヒューマンストーリーです。
「湯を沸かすほどの熱い愛」ネタバレ
パチンコへ行くと言って夫が蒸発してからパートで働き娘の安澄(杉咲花)を育てている幸野双葉(宮沢りえ)。
幸の湯という銭湯を営んでいましたが、夫の一浩(オダギリジョー)がいなくなってからは休業している状態です。
学校でいじめに遭っている安澄は、ある日制服に大量の絵の具を塗られてしまいます。
双葉はその事で学校に呼び出されますが、自分でやったと言い張る安澄。
安澄の気持ちを察した双葉は、何でもなかったように振る舞い「その中でどの色が好き?お母ちゃんは赤が好き」と安澄に話しかけます。
安澄は目に涙を溜めながら「情熱の赤。お母ちゃんらしい。」と言ってほほ笑むのです。
双葉は「明日も学校に行こうね。」と言い、制服を綺麗に洗濯して安澄が学校へ行けるよう背中をそっと押すのでした。
仕事中に倒れてしまった双葉。
その際に受けた精密検査で、すい臓ガンが見つかってしまいます。
しかも、ガンは全身に転移していて手の施しようが無い状態だったのです。
残された時間は2ヶ月か3ヶ月と宣告された双葉は、幸の湯の浴槽で隠れるように泣き崩れます。
その時、安澄からの電話で「どこにいるの?お腹がすきすぎて死にそうなんですけど。」という声を聞いて、力強く立ち上がる双葉。
泣いていないで今できる事をしようと考えたのです。
幸野家には毎年4月25日に、沼津の酒巻君江という女性からカニが送られてきます。
双葉は毎回安澄にお礼の手紙を書かせていました。
今回も安澄に書くように話します。
残された時間で出来るだけの事をしようと考える双葉。
まずは、娘の安澄に新しい下着をプレゼントします。
こんな下着まだ必要ないという安澄でしたが、双葉は「大事な時にちゃんとした下着を持っていないと恥ずかしい思いをするから。」と言って無理やり渡すのです。
そして、夫の一浩の行方を探すため探偵の滝本(駿河太郎)に捜査を依頼します。
すると、すぐに一浩の行方が分かった事に驚く双葉。
双葉は滝本にもう一つある依頼をします。
双葉はさっそく一浩の元へと向かいます。
一浩は昔浮気した女性との間に子供がいて、その子と暮らしていました。
浮気した女性は子供を置いて家から出て行ってしまったため、一浩が子供の面倒を見ていたのです。
双葉は自分の病気のことを一浩に話し、浮気相手の子供・鮎子(伊東蒼)と一緒に一浩を家に連れ戻します。
安澄は突然父親が帰ってきた事、そして知らない間に妹がいたことを受け入れることが出来ず一浩に反発します。
そんな雰囲気の中、双葉は“幸の湯”を再開すると三人に話し、「営業は必ずこの四人でする事、働かざる者食うべからず。」と宣言するのです。
そして営業再開の日、双葉は営業前の番台に安澄を座らせその姿を目に焼き付けます。
再開した“幸の湯”は常連で賑わいますが、安澄は一浩に「店が再開できて良かった。だけどこの一年お母ちゃんがどんなに辛い思いでいたか。何もなかったような顔でいられるのはすごくムカつく。」と素直な気持ちをぶつけるのです。
そんな中、双葉の病状は悪化していきます。
一浩は東京の病院でみてもらったら何か治療法があるかもと双葉に話しますが、双葉は少しの延命のために生きる意味を見失うのが嫌だとそれを拒否するのです。
学校でのいじめが続く安澄は、制服を隠されてしまい運動着で授業を受けクラスメイトに笑われてしまいます。
一浩は新しい制服を買ってやろうと双葉に話しますが、双葉はそれは絶対にダメだと反対するのです。
落ち込んだ安澄は、翌日学校へ行きたくないと双葉に話します。
しかし無理やり安澄を起こし学校へ行かせようとする双葉。
自分がいなくなった後も、安澄には逃げる人生を送って欲しくない双葉は「逃げちゃダメ!立ち向かわないと!今自分の力で何とかしないと!」と安澄を説得しようとしますが、安澄は「お母ちゃんは何にも分かってない!立ち向かう勇気なんてないの。私は最下層の人間だから…。お母ちゃんとは全然違うから…。」と泣きながら話すのです。
双葉は「何にも変わらない。お母ちゃんと安澄は。」と声をかけ部屋を後にします。
安澄が心配で仕事が手に付かない双葉でしたが、そこへ一浩がやって来て、安澄が学校へ登校したことを聞かされ安堵します。
運動着のまま登校した安澄は、いじめているクラスメイトから「次の授業体育じゃないから。」とからかわれますが、思いもよらぬ行動に出ます。
授業中、皆が見ている中、運動着を全て脱ぎ捨て下着姿で「私の制服返して!今は体育の授業じゃないから制服を返して下さい!」と訴えるのです。
双葉は安澄が心配で、家の外でずっと帰りを待っていましたが、制服を身に付けた安澄を見て「頑張ったね。」と言って強く抱きしめるのでした。
ある日、一浩の連れ子である鮎子が、銭湯の金を盗んで家からいなくなってしまいます。
鮎子の荷物を調べた双葉は、母親から鮎子に当てた手紙を見つけ、今日が鮎子の誕生日で、母親に会いに行ったのだと気付くのです。
鮎子が前に住んでいたアパートに行くと、部屋の前でうずくまる鮎子を見つけます。
双葉は鮎子に「一緒に帰ろう。」と声を掛け、鮎子を抱っこして家に連れ帰るのでした。
翌朝、幸野家恒例のしゃぶしゃぶが朝から振る舞われます。
鮎子の誕生日だからです。
「これからはもっと一生懸命働きます。この家に居たいです。でもママの事を好きでもいいですか?」と涙を流しながら話す鮎子に双葉は「当たり前でしょ!」と声を掛け、一家団欒を楽しむのでした。
一浩にねだって娘たちとの旅行を計画した双葉。
双葉はその旅行の最中にあることを安澄に話そうと決心していたのです。
双葉が運転する車で旅行に出かけた三人はその旅の途中で向井拓海(松坂桃李)という青年と出会います。
向井は北海道からリュック一つで旅を続けていると話しますが、双葉は彼の嘘に気付きます。
本当は資産家の息子で、父親への反発心から家を飛び出していたのです。
目標がないという向井に「あなたはたった今から日本の最北端の北海道を目指すの。それがあなたの目標。」と言って彼を抱きしめます。
向井は「目標達成できたら報告に行ってもいいですか?」と言って双葉と再会を約束し三人と別れるのです。
三人は現地の特産物であるカニを食べるため、ある食事処へ立ち寄ります。
そこで接客をしてくれたのが耳の不自由な女性でした。
お会計の時、双葉はその女性をいきなりビンタします。
頭を下げ店を出た双葉は、安澄にさっきの女性が酒巻君江さんだと話します。
言ってくれたら挨拶したのにという安澄に、今まで隠してきた事を話す双葉。
安澄の産みの母親は酒巻君江という女性だったのです。
15年前の4月25日に安澄を置いて家を出てしまった君江。
18歳で一浩と出会い19歳という若さで母親になった君江ですが、耳の不自由な君江には子育てがとても辛く苦しいものだったのです。
双葉は君江に挨拶させようと安澄を説得しますが、安澄は泣いてそれを嫌がります。
そんな安澄を見た双葉は無理やり車から安澄を降ろし「逃げちゃダメ!安澄なら出来る。だって安澄はお母ちゃんの子でしょ!」と言い安澄を置いて一旦その場を離れます。
店から出てきた君江は、駐車場に佇む安澄を見て「もしかして安澄ちゃん?」とメモに書いて問いかけます。
安澄は頷いたあと、手話で君江に話しかけます。
安澄が手話で会話できることに驚く君江でしたが、双葉がいつか役に立つからと安澄に覚えさせていたのです。
夕方、安澄を迎えに来た双葉は旅の疲れや心労も重なり倒れて病院へ運ばれてしまいます。
双葉はホスピスへの入院が決まるのです。
それから毎日こどもの頃の夢を見るようになった双葉。
双葉は幼い頃、母親に捨てられてしまったのです。
その夢は自分を捨てた母親が迎えに来る夢だったため、もう母親は亡くなっているんだと思い、自分が死ぬ時に迎えに来てくれるから死んでも一人じゃないと子供たちに話します。
双葉の前では笑顔でいた子供たちでしたが、病院からの帰り、耐えきれず泣いてしまいます。
しかし、安澄は鮎子と涙はこれで最後、お母ちゃんの前では悲しい顔は見せないと約束するのです。
以前仕事を依頼した探偵の滝本が双葉を訪ねてきます。
双葉は自分を置いていなくなった母を捜してもらっていたのです。
母親は亡くなっていると感じていた双葉でしたが、母親は生きていました。
自分を置いて行ったあと結婚し、今は孫もいると聞いた双葉。
滝本に頼んで母親に会いに行くことに。
まずは滝本が母親に事情を説明に行きますが、私にはそんな娘はいないと言われてしまうのです。
ショックを受ける双葉でしたが、ひと目だけ母親を見たいと言い滝本に家の前まで連れて行ってもらいます。
双葉が見つめる先には、娘と孫と幸せそうに微笑む母親の姿があり、どうしようもなく悲しくなった双葉は門に置かれた置物を投げつけ窓を割ってしまうのでした。
「湯を沸かすほどの熱い愛」ラスト最後の結末
毎日欠かさず双葉のお見舞いに行く安澄でしたが、痛みに苦しむ双葉の姿を見ることが出来ず、顔を出さずに帰ってきてしまうのです。
そんなある日、バックパッカーの向井が旅の報告をするため双葉を訪ねてきます。
同じ日に君江も幸野家にやってくるのです。
双葉のことを聞いた向井は「そっか…凄い人だな。」と驚くのでした。
その夜、皆で食事を囲む中、一浩は頭を下げてみんなにある願いを話します。
病院のベッドで眠る双葉に安澄から「今はこれがお父ちゃんの精一杯だって(笑)ゆっくりでいいから窓の外を見て!」というメールが届きます。
双葉が外に出ると、一浩たちが作った人間ピラミッドが建っていました。
それぞれが双葉に思いを告げ、最後に一浩が「双葉!俺がこうやって支えるから全部任せろ!」と号泣しながら叫ぶのです。
みんなの思いを受け取った双葉は泣き崩れ「死にたくないよ…。生きたい!」と呟きます。
それから二か月。
安澄は毎日双葉を見舞い幸野家の日常を双葉に話しますが、双葉はもう会話が出来るような状態ではりませんでした。
しかし、双葉はどうにか話そうと安澄に視線を向けます。
そんな双葉を見た安澄は涙を流し、「お母ちゃん、絶対独りぼっちなんてしない。だから安心して。ありがとう。もう大丈夫だよ。」と話しかけるのです。
その言葉を受けた双葉はそれから息を引き取りました。
双葉の願いで幸の湯に祭壇が作られ、親族や仲間、そして店の常連などが双葉との別れを惜しみます。
双葉を乗せた霊柩車が幸の湯を出発しますが、河原でしばらく時間を潰した後再び幸の湯に戻るのです。
双葉は火葬場ではなく幸の湯の窯で火葬され、一浩らはその火で沸かした温かいお湯に浸かり双葉への思いを馳せるのでした。
幸の湯の煙突からは双葉が好きな赤い煙がのぼり双葉は天国へと昇って行くのです。
完。
「湯を沸かすほどの熱い愛」見どころ
出演キャストのナチュラルな演技力が光る作品でした!
特に主演の宮沢りえさんの演技力には驚かされました!
誰にでも愛される肝っ玉母ちゃんを見事に演じきっています。
個人的に、宮沢りえさんて、こういう役のイメージが無かったのですが、ザお母さん!という理想的なお母さんを本当に自然に演じていて、どんどんストーリーに惹きこまれてしまいました。
そして娘役を演じた杉咲花さんの演技も素晴らしいです!
宮沢りえさんと同じく、とても自然で、演技をしているというよりか、安澄になっているように感じさせるって凄いです!
ストーリーも衝撃のエピソードがいくつもあって、見ていて飽きを感じさせません。
ラストまで衝撃でした!
ストーリー後半は涙のシーンが多いのでハンカチ必須ですよ!
心温まる作品なので家族で見るのもおすすめです。