映画「トゥルー・クライム」は、クリント・イーストウッドが制作・監督・主演を務めた1999年の映画です。
この映画「トゥルー・クライム」のネタバレ、あらすじや犯人、最後ラストの結末、見所について紹介します。
「トゥルー・クライム」のスリリングな展開をお楽しみください。
「トゥルー・クライム」あらすじ
カリフォルニア州・サンフランシスコ北部、非法人地域に建つサン・クエンティン刑務所。
フランク・ルイス・ビーチャム(イザイア・ワシントン)という、黒人男性の死刑執行が迫っていました。
新聞記者のミシェル(メアリー・マコーマック)は、年齢も23歳と若く上司からも軽視され、大きな仕事が回ってこないと愚痴をこぼします。
隣に座るのは、先輩で同僚のスティーブ・エベレット(クリント・イーストウッド)。
この男、無類の女好きで同僚の妻そして、今夜はミシェルを口説いています。
しかしこの男がフランクの運命を変えるのです・・・
「トゥルー・クライム」ネタバレ
禁酒は出来ても、女はやめらないスティーブ。
もちろん、妻子が居ると知っている彼女に呆気なく振られてしまいます。
外は雨、一人でバーを出たミシェルは車で帰って行きました。
そんな彼女は、6年前にリッチモンドで起きた “フランク・ビーチャム事件” の取材に懸けていました。
目撃者の証言、状況証拠が覆る事なく死刑囚となったフランク。
ミシェルは、彼への最後の取材、さらに死刑の立ち会いを翌日に控えていました。
ところが、帰り道 “死のカーブ” で事故を起こし亡くなってしまったのです。
地元では有名なカーブで、誰もが彼女の死を悼んでいました。
オークランド・トリビューン紙の記者であるスティーブ。
以前の彼は、ニューヨークの一流記者として活躍していました。
昔気質の、いわゆる “鼻” を使って匂う事件を追いかける彼は、市長のスキャンダルを暴露しようと強行突破!止む無く職を追われたのです。
さらに、酒を飲んだ状態で仕事をした彼は、昨年とんでもない失態を犯し “酒と女で身を滅ぼした厄介者” と成り下がっていました。
同僚のボブ(デニス・リアリー)は、彼の横暴っぷりには飽き飽きし、妻を寝取られた事実を知り我慢の限界を迎えようとしています。
刑務所長のルーサー・プランキット(バーナード・ヒル)が、フランクに死刑執行までの流れを話します。
遺体を引き取るのは妻、面会は19時まで、執行の30分前に迎えに来ると言うルーサー。
そして、深夜0時1分まで司法長官と州知事からの執行停止の連絡を待ち、無ければ・・・
うつむいて聞くフランクに「鎮静剤は?」と、問うルーサーに彼は最期まで意識は保ち、妻と別れたいと断ります。
新聞社にやっと姿をあらわしたスティーブに、昨夜ミシェルが亡くなった事が伝えられました。
そして、彼女の代わりにフランクへの最後の取材を頼まれるスティーブ。
取材は16時から、ボブは余計な事はするなと釘を刺します。
“フランク・ビーチャム事件” とは、コンビニで起きた射殺事件。
当時妊娠していたアルバイト店員・エイミーは、彼から96ドルのお金を借りていて返済を巡るトラブルになり、口論の末に撃ち殺されたと言うもの。
白人の男女二人の目撃者が彼の姿を見ていて、現場から逃げるように立ち去ったフランクに第一級殺人罪、死刑が言い渡されたのです。
フランクは、家庭環境も悪く数々の悪事を働く前科者でした。
しかし、妻のボニー(リサ・ゲイ・ハミルトン)と出会い、敬虔なキリスト教信者となり人生をやり直し始めていたのです。
現在は自動車整備士として、ボニーそして娘・ゲイルと慎ましくも幸せな家庭を築いていました。
決して罪を認めないフランクの主張は「ステーキソースを買いに行っただけ」
早速、仕事に掛かろうとするスティーブが一つ引っ掛かる事、それは “目撃者は銃声を聞いたのか?”
11時45分──スティーブはミシェルが残した取材の音声テープを聞いていましたが、娘のケイトとの約束のため急いで家へ帰ることにします。
働き(浮気)詰めのフランクを、妻のバーバラ(ダイアン・ヴェノーラ)も心配していました。
フランクのもとを、シラーマン牧師(マイケル・マッキーン)が訪れます。
しかし、彼は死刑囚を食い物にする卑劣な牧師でした。
フランクの恐怖心を煽る事ばかり口にするシラーマン。
時刻は昼の12時を回り死刑執行まであと12時間、フランクの手は震えます・・・
車を走らせるスティーブは家に帰る途中、事件が起こった町・リッチモンドへと急ハンドルを切ります。
現場となったコンビニを訪れた彼はレジの横、床に残る台の跡が気になりました。
店員の話では、事件当時ここに配置していたポテトチップ置き場の跡が残っていると言うのです。
やっと家に着き、テレビ番組で事件の目撃者・ポーターハウス(マイケル・ジェッター)が、当時の事を得意気に答えている姿を見るスティーブ。
直接、ポーターハウスから話を聞こうと、スティーブは会う約束を取り付けました。
しかし、ケイトとの約束「動物園のカバ君に会いに行く」を、早々に終わらせようと急ぎ過ぎたスティーブは、ケイトに怪我をさせてしまいバーバラは呆れ果てます。
刑務所には、フランクの妻・ボニーと娘・ゲイルが面会に来ていました。
この時間が家族3人で過ごす最後の時間になると、ボニーは泣き出しています。
ゲイルは、父のために “天国の牧場” の絵を描き上げるのでした。
取材するスティーブにポーターハウスは、コンビニの前で車の故障を直し店内に入った時の話をし始めます。
“レジの向こうに居たフランクが血だらけで、手に銃を持っていた” と言う彼の証言に違和感を感じるスティーブ。
殺人の瞬間を見ていない、銃声を聞いていない、その位置からでは銃は見えないはず・・・
「真実を証言されていますか?」
銃を持った手をフランクは脇に下ろしていたと説明するポーターハウスに、スティーブは「ポテトチップの台は邪魔じゃなかった?」と詰め寄ります。
「フランク・ビーチャムは無罪だと思う…」と、スティーブに告げられ、編集長のアラン(ジェームズ・ウッズ)は慌てた様子。
彼は、昨年スティーブが書いた記事のせいで尻拭いをさせられた一人です。
しかし、長い付き合いでスティーブの事を理解しているアランは彼を送り出しました。
15時45分──
娘・ゲイルとの別れの時間。
フランクは精一杯の愛情を伝え、彼女にキスと手紙を贈ります。
16時04分──
スティーブとフランク、妻のボニーが初めて顔を合わせました。
そして、スティーブは “鼻” が真実を見つけ出すと言って「俺に話してくれ」と、あの日の事を聞き出します。
エイミーの勤めるコンビニへ、ステーキソースを買いに行ったフランク。
彼女から借金の返済が遅れると切り出されたけど、明確な理由と返済日を告げられ快諾。
なにより、フランクとエイミーの間には信頼関係があり、口論なんてしていないのです。
トイレを借りたフランクは、エイミーに向かって大声を上げる男が居る事に気づきました。
そして、銃声が鳴ったのです・・・
店内に戻ったフランクが見たのは、胸を撃たれた瀕死のエイミーでした。
慌てながらも必死に彼女を助けようとしていると、そこへ何も知らない白人のポーターハウスがやって来たのです。
悪さばかりしてきたせいで “逃げ癖” が付いていたと言うフランク。
この状況にパニックになって裏口から外に逃げ出したところを、もう一人の目撃者・白人女性のラーソンに見られたのでした。
この二人の目撃者は、血の付いたフランクの逃げる姿を見ただけなのです。
銃を所持していないとフランクは訴え、事件に使われた銃はどこにも見つかっていません。
スティーブはフランクを無実と確信し「信じている!」と、声を上げると看守に制止され部屋を後にします。
フランクの妻・ボニーは、スティーブに早く来て欲しかったと泣き叫ぶのでした。
スティーブは、検事のセシリア(フランシス・フィッシャー)に会いに行きました。
そして「事件現場に、他に誰か居なかったか?」と、彼女を問い詰めます。
一人の少年が自販機でコーラを買っていたと言われ、少年を犯人と決め付け身元を知りたがるスティーブ。
しかし、検事も警察も情報を隠し、弁護士まで記録に無いと言うのでした。
死刑執行まで、あと6時間しかありません──
ミシェルの家を訪れたスティーブ。
そこで彼女の取材メモを見つけ出し、現場に居たもう一人の少年の正体を突き止めました。
名前はウォーレン・ラッセル、17歳の黒人…スティーブは、急いで彼の家に向かいます。
19時──
フランクと妻・ボニーの別れの時間が来ました。
決して弱音を吐かず、愛だけを伝える彼に泣き叫ぶボニーは部屋を連れ出されます。
スティーブを迎えたのは、ウォーレンの祖母・アンジェラでした。
孫に疑いが掛けられていると知り、アンジェラはこれまで受けて来た理不尽な仕打ちに怒り出します。
白人の被害者、白人の目撃者そして、疑われるのは黒人・・・
しかし、スティーブは人種は関係なく “真実” を見つけ出し、無実のフランクを助けたいと訴えます。
ウォーレンがプレゼントしてくれた “ロケットペンダント” を触るアンジェラ。
そして、彼女が教えてくれたのは、ウォーレンは3年前に亡くなったという事実でした。
帰り道、カーラジオから流れるのは、フランクが罪を認めたと言うニュース。
それを聞いたスティーブは、やり切れずミシェルの大破した車を見に行くのでした。
さらに、彼を追い込む出来事が…
家庭を顧みないスティーブにバーバラもうんざり、浮気の事実の知り彼との別れを決めたのです。
仕事も家庭も失くし、スティーブは禁酒を解きヤケ酒を煽ります。
バーのテレビに映し出されたのは、被害者・エイミーの写真。
そして、ロケットペンダントが奪われたと嘆くエイミーの父の声でした。
スティーブは、アンジェラが付けたペンダントと同じものだと確信。
もう一度フランクを信じて、一目散にアンジェラのもとへ車を走らせます。
その時、アナウンサーは「フランクが罪を認めたと言う発表は誤りでした…」と伝えます
23時30分
そして、フランクも執行室へと移動を始めます・・・
6年前の孫・ウォーレンの行動を思い出していたアンジェラ。
そして、悲しい事実…
ウォーレンが贈ってくれたのは、エイミーが付けていたペンダントだったと気づき嘆きます。
スティーブは、彼女を車に乗せ死刑執行を止めることが出来る州知事・ヘンリー(アンソニー・ザーブ)の家へ急ぎます。
23時40分──
ベッドに縛り付けられ、薬殺刑のための点滴を打たれるフランク。
23時45分──
スティーブの車は、スピード違反でパトカーに追尾されていました。
構わずスピードを上げる彼は “死のカーブ” を命がけで曲がり切ろうとします・・・
「トゥルー・クライム」最後ラストの結末は?
パトカーのサイレンが鳴り響き、外を見る州知事・ヘンリー。
そこには、スティーブとアンジェラが居ました。
執行室を囲む閉ざされたカーテンの向こうに立会人が集まり、妻・ボニーの姿もあります。
0時
カーテンが開くと、フランクはボニーを見つけ “愛してる” と口を動かし、ボニーも“私もよ” と答えました。
刑の執行時刻──
刑務所長のルーサーの手が震えています。
そして、フランクの身体にゆっくりと麻酔が流れて行きました。
虚ろな目をするフランクに、筋肉の動きを弱める筋弛緩剤が流し込まれようとしています。
そこへ、州知事・ヘンリーから電話が入り突然の事で慌てる看守。
「手遅れです」と言う看守の声に、事態を察したルーサーが閉ざされたドアを急いで開け、看守は緊急停止ボタンを押します。
フランクの腕から針が抜かれますが、彼は目を覚ましません。
妻・ボニーは何度もガラス戸を叩き、フランクの名前を呼び続けました・・・
町はクリスマス──
妻と別れ独身を謳歌するスティーブ。
ケイトのプレゼントを選びながら、女性店員を口説く相変わらずな男です。
イルミネーションが輝く町に、スティーブは幸せそうなフランク家族を見つけました。
互いに言葉を交わすことは無く、手で合図を送り合い別れます。
THE END
「トゥルー・クライム」見どころ
“哀愁” と “色気” そして “ユーモア” を兼ね備えた圧倒的な存在それが、今作の監督・主演のクリント・イーストウッドです。
誰もが惚れるオヤジは、1930年生まれの90歳!
今もなお、映画に注ぐ情熱が衰えることなく私たちに素晴らしい作品を届けてくれます。
1999年公開の『トゥルー・クライム』は、冤罪、死刑制度、人種問題と現代に置いても物議を醸すテーマが軸となります。
クリント・イーストウッドならではの社会派サスペンスに仕上げつつ、女性の地位向上なども小気味良く会話に取り込み、信念のままに動く型破りな男にクスッとする場面も。
スティーブの娘役・ケイトを演じた実娘・フランチェスカとの共演シーンのダメ親父ぶりもイーストウッドの “素” なのか!?と思えます。
主人公は、私生活のだらしなさを仕事場でも晒すダメ男・スティーブ。
でも、死刑囚・フランクの無実を確信した事で、もう誰にも止められない!(こんな頑固オヤジも “イーストウッドあるある” )
終始緊迫感が漂う作品ではないのですが、かと言って事態の急変やカーチェイスにハラハラさせられます。
いくらでもバッドエンドを思わせる場面が出て来て、最後の追い込みはグッタリするかも!?
死刑囚の父・フランクに贈る絵を描き上げたいけど、緑色のクレヨンが無いと泣きじゃくる娘・ゲイルの姿は胸を締め付けられます。
クレヨンを探してくれた看守たち…
さりげなく沁みる温かいシーンですが、後に訪れる父と娘の別れのシーンは辛いです。
題材は重いですが構え過ぎず、どうしようもない親父が1人の男、その家族を救うために奔走する姿を観てください!
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