映画「遠い空の向こうに」はジェイク・ギレンホール主演、ジョー・ジョンストン監督の1999年の映画です。
この映画「遠い空の向こうに」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
少年たちの宇宙の夢。元NASAのエンジニアの自伝を映画化した感動のドラマ「遠い空の向こうに」をご堪能ください。
「遠い空の向こうに」あらすじ
「1957年10月4日 ソ連は人類初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功しました…」
ラジオから流れる臨時ニュースに、アメリカこそ科学技術の最先端国と信じていた国民の多くは動揺し、冷戦への不安を募らせます。
しかし、中にはスプートニク計画に好奇心を刺激される者も居ました──
ウェストバージニア州コールウッド
ビッグ・クリーク高校に通うホーマー・ヒッカム(ジェイク・ギレンホール)は、いわゆる並みの少年です。
数学が苦手だし、体力も無いからアメフト選手にも向いてない。
そんなホーマーと違って、兄のジムは大学アメフト部から注目される有望選手。
奨学生に選ばれるのは間違いなしで、ヒッカム家の希望の星です。
兄貴にバカにされるホーマーは、父ジョン(クリス・クーパー)に“愛されていない”と、卑屈になる事も。
田舎町のコールウッドでは、外の世界に行けない男は坑夫になるのが当然の流れでした。
今では、現場監督となって坑夫たちを仕切るジョンも、石炭掘りの仕事に誇りを持っています。
生きるため、家族を守る大事な収入源のために、暗く危険な地中にもぐって働く。
命懸けだからこそ厳しい言葉を発するジョンに、坑夫たちは厚い信頼を寄せて来ました。
しかし、彼らに突き付けられる現実はリストラ、そして炭坑の閉鎖です。
あきらかに石炭生産量は減少していて、本社の人間たちは考えを変える気はありません。
炭坑に人生を懸けて来たジョンは、この難局を乗り切るため必死でした。
そんな時、アメリカの星空を飛んだのがスプートニク1号です。
外の世界、広い宇宙に思いを馳せ“ロケットを作りたい”と言い出した、ホーマーの甘い考えに憤るジョン。
ホーマーには、自分の後を継いで炭坑を学んで欲しいというのが父ジョンの本心です。
もちろん、責任感が強く皆に一目置かれる父をホーマーはカッコイイとも思っていました。
しかし、田舎町から出ようともせず、坑夫として生きるのが一番と考える父に反発。
情熱を注ぐものが違うだけの似た者親子は、互いを認める事が出来ず心がすれ違います。
そして・・・
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「遠い空の向こうに」ネタバレ
ホーマーが初実験で飛ばしたのは、ロケット花火の火薬を詰め込んだモノでした。
結果は、家の垣根を壊すだけの大失敗!
大きな爆発音に母エルシーが飛び出して来ます。
「…炭坑爆発かと思ったわ!ケガはない?気をつけて」
無惨な垣根に気づいた母は怒ったけど、父のようにホーマーの夢を否定はしませんでした。
ロケット実験を面白半分で手伝うのは、悪友のロイ・リー(ウィリアム・リー・スコット)とオデル(チャド・リンドバーグ)。
だけど、この三人では行き詰まるだけ。
そこで、ホーマーが目を付けたのは、同じクラスのクエンティン(クリス・オーウェン)。
頭脳明晰でスプートニク計画にも関心がある彼は、“ロケットオタク”の変わり者でした。
「やめとけ!」と言う悪友に構う事なく、クエンティンと向かい合うホーマーは意気投合!
こうして四人となったロケット仲間は、ホーマーの家の地下室で試行錯誤を繰り返します。
ぶつかり合いながらも(主にロイ・リー&オデルVSクエンティン)、何とかサマになって来た手作りの小型ロケット。
重要な仕上げの溶接に協力してくれたのは、高校生の無謀な挑戦に心を動かされた坑夫バイコフスキー(エリヤ・バスキン)です。
また四人は、もうすぐ郡の科学コンテストが開催される事を知りました。
キッカケは四人の担任、ライリー先生(ローラ・ダーン)です。
坑夫のバイコフスキーが溶接して、出来上がったロケットを学校で見ていた四人。
そこにやって来た堅物な校長は、ロケットを取り上げ「武器かね?」と、言い出します。
四人が困っている所に「科学コンテストに出品…私が」と、ライリー先生が来てくれました。
彼女もまた、スプートニク計画に心が弾んだ一人で、ロケットを作るという夢を持った四人を支えてくれます。
「科学コンテストの優勝者には全国大会出場と、大学から奨学金オファーが来る…」
ライリー先生に励まされ、より一層ヤル気になるホーマー。
しかし、炭坑の問題で頭がいっぱいの父と衝突も激しくなり、苛立ちを募らせます。
ある日「坑夫も悪くない」と、いつものように軽口を叩く、悪友ロイ・リーとオデル。
すると、ホーマーは怒りに任せて、二人の父親のことを口走ってしまいます。
その場でホーマーと喧嘩別れしたロイ・リーとオデルは、やるせない気持ちになりました。
特別でもない自分が、この暮らしを抜け出せるとは思えない、だけど……
二人は、ホーマーの夢に自分の未来を賭けると決めました。
ホーマー、ロイ・リー、オデル、クエンティンは荷物を抱えて13km先の広大な空き地へ。
「あそこに避難小屋を建てて……発射台を、見物席も作ろう!」
思う存分にロケット実験が出来る期待感に、心を弾ませる四人。
そんなバカな挑戦をする四人を、高校の皆は“ロケットボーイズ”と、からかいます。
ホーマーの父も相変わらず冷ややかで、四人の理解者である坑夫バイコフスキーを、機械室での加工作業から石炭採掘へと配置換え。
残念がるホーマーですが新たな助っ人、坑夫のレオン・ボールデンも四人の夢を後押しします。
何度も重ねた実験はいよいよ最終段階となり、四人はライリー先生を連れていつもの実験場所へ。
すると、ロケットボーイズの無様な姿を見せようと、兄のジムが大勢の見物客を呼んでいました。
結果は、兄貴の思惑通りには行かず、空へ真っ直ぐに打ち上がったロケット!
見物客は実験の成功に大歓声を上げ、ホーマーも自信を付けることが出来ました。
誕生日を迎えたホーマーに届いたのは、憧れの科学者フォン・ブラウン博士(ロケット開発の第一人者)からの手紙。
更に、ライリー先生からは『誘導ミサイルの設計概要』という専門書が贈られます。
しかし、父ジョンだけはこんな日でも不機嫌で、炭坑のことばかり考えていました。
そんな中、ジョンの心が一息つける最良の知らせが舞い込みます。
ジムが奨学生に選ばれ大学アメフト部へ、父に愛されて夢を叶えて行く兄貴。
ホーマーは、ロケットの夢も認めて欲しいと強く思うのですが、予期せぬ事態が起きます。
新聞に載るほど注目された、ロケットボーイズが逮捕。
山火事が発生し、現場近くでロケットを見つけた警察は彼らが犯人と断定しました。
その時に打ち上げたロケットを回収していないホーマーは、何も言い返せません。
未成年の四人は後に釈放されますが、父にスッカリ失望されるホーマー。
更に、ロケット実験を諦めた彼に、悪い知らせが届きます。
炭坑で事故が発生、亡くなったのはホーマーの夢を応援してくれ、頼りにしていたバイコフスキーでした。
悲しむホーマーの前には、目を負傷した父も運ばれて来ます。
ヒッカム家を守って来たジョンが入院すると、ホーマーは高校を休学。
自ら坑夫になると言い出し、宇宙への思いを断ち切るように暗い地中へ。
真っ黒になって働くホーマーに寂しさを感じるのは、一緒に夢を追ったロイ・リー、オデル、クエンティン。
一方、対立が増す坑夫たちと本社の間で疲れ果てていたジョンは、再び情熱を取り戻しました。
それは、初めて炭坑と向き合い退学も決意する息子ホーマーに、希望を見たからです。
ある日、ライリー先生がホジキン病(悪性リンパ腫の一種)だと知ったホーマーは心配して家を訪ねました。
先生のために何か…と思うのですが、ホーマーはまたライリー先生に救われます。
「…ホーマー、自分の心の声を聞いて 私はあなたが誇りよ」
教え子が夢を叶えて輝く姿を期待するライリー先生は、自分の信じる道を歩んで欲しいと伝えました。
ライリー先生に背中を押されて、ロケットへの情熱を再燃させるホーマー。
始めたのは、身の潔白を証明するためのロケット飛距離の計算です。
数学が苦手だったのに、何度も何度も計算をやり直し導き出した答え。
“僕たちが実験で使ったロケットは、火災現場まで届かない”。
頭脳担当のクエンティンもホーマーの思いに感嘆し、二人は自分たちのロケットが森に落ちていると信じて探します。
そして、少し風に流されたロケットは、ほぼ答え通りの位置に落ちていてロケットボーイズは潔白を証明。
その後、警察が火災現場で見つけた証拠品は、航空機の照明弾と判明します。
ホーマーは校長に復学を望まれ、科学コンテストに向けてロケットボーイズを再結成。
炭坑に行かなくなったホーマーは再び衝突する父ジョンに、はっきりと思いを伝えました。
「…炭坑には戻らない 僕は宇宙に行く」
数日後、郡の科学コンテストに出場したビッグ・クリーク高校の四人は優勝し、全国大会へ行く事になりました。
同じ頃、ストライキ決行に息巻くのは、不当な扱いに我慢ならない坑夫たち。
彼らと本社の間に立って衝突を押さえて来た、現場監督のジョンにも危険が迫ります。
あきらかにジョンを狙った銃弾が、家に撃ち込まれ衝撃を受けるエルシーやジム。
もちろんホーマーも困惑しますが売り言葉に買い言葉で、町を出ると声を荒げます。
父と分かり合えないまま、ホーマーは科学コンテストの全国大会へと旅立ちました。
日程は二日間、場所はコールウッドからおよそ600km離れた、都会のインディアナポリス。
ただし、四人分の旅費は貰う事が出来ず、ビッグ・クリーク高校からはホーマーだけです。
他の三人や坑夫のボールデン、そしてバイコフスキーと試行錯誤したロケット実験の日々。
展示ブースにはホーマーの見事な解説に続々と人が集まり、充実した一日目を終えます。
ところが、都会を見て歩いたホーマーが会場に戻ると、ビッグ・クリーク高校の展示品が消えていました。
盗難に遭ったのは解説用の小型ロケットや、尊敬する科学者フォン・ブラウン博士の写真。
そして、一番の痛手は坑夫のボールデンが手作りした、ドラバル・ノズルです。
優勝を狙える重要な物を失ったホーマーが、コールウッドに電話するとストの真っ最中。
敷地内にある機械室でノズルを作るためには、坑夫にストを止めてもらうしかありません。
すると、ロケットボーイズに頼まれた、坑夫ボールデンと母エルシーが動きます。
ストライキを起こす坑夫たちに呆れ、一人で事務所に籠るジョンの元へ向かうエルシー。
「……あなたは、ホーマーのロケット打ち上げを見てくれた?息子なのよ!」
エルシーは大事な息子のために、どんな事をしてでもストを止めさせて欲しいと真剣です。
そして、何もしてくれないのなら、家を出て行くと言い切る妻にジョンが折れました。
坑夫たちと本社の間に立って、このストライキを一時的とはいえ抑えたジョン。
「仕事があるのでは?」と、坑夫のボールデンを機械室へ急がせます。
インディアナポリスで心配するホーマーに、電話を掛けた母エルシー。
「ノズルは、明日の朝8時着のバスで届くわ!お父さんに感謝して」
その言葉で安心したホーマーに「頑張れよ!」と、たくさんの応援する声が聞こえて来ました。
初めはバカにされたロケット実験も、今では町の皆がロケットボーイズの夢が叶うことを信じています。
「遠い空の向こうに」最後ラストの結末は?
科学コンテスト二日目。
約束通りドラバル・ノズルが届き、この日もホーマーの見事な解説にビッグ・クリーク高校の展示ブースは賑わいます。
そして、迎えた表彰式では「最優秀賞…ビッグ・クリーク高校 四人のチームです!」
ロイ・リーにオデル、クエンティンの名前も呼ばれると、盛大な拍手に包まれメダルを授与されるホーマー。
早速、名立たる大学から声を掛けられ夢見心地でいる彼は、憧れの科学者フォン・ブラウン博士と握手した事にも気づきませんでした。
コールウッドに帰ったホーマーは、ライリー先生が入院していると知り病院へ。
メダルを持ち帰ったホーマーの笑顔を見た先生は、とっても嬉しそうに伝えます。
「新入生には“ロケットボーイズは私の教え子”と自慢するわ……」
炭坑へ行き父に素直にお礼を言い、ロケットの打ち上げをする事を告げるホーマー。
しかし、息子の前では素直になれない父ジョンは、ここでも素っ気ない態度を取ります。
すると、いろいろな経験をして、いつの間にか大人になっていたホーマーは「父さんと同じで頑固でタフだ」と。
そして「フォン・ブラウン博士は偉大だけど、僕のヒーローじゃない」そう伝えます。
この日、最後のロケットを打ち上げて、活動を終わらせるロケットボーイズ。
集まった町の人々に感謝を伝えていると、そこに父ジョンの姿がありました。
ホーマーは父にロケットの発射スイッチを託すと、カウントダウン。
人々の声でその時を迎えると、ロケットは白煙を上げて大空に向かって飛び立ちます。
──田舎町のコールウッドでロケットを作りたいと夢見た少年は、その後NASAのエンジニアになりました。
THE END
「遠い空の向こうに」見どころ
本作は、元NASA技術者ホーマー・ヒッカムの自伝『ロケットボーイズ』を基に描かれた物語です。
夢を追う若者の姿は何年経っても色褪せない、何度観ても感動をあたえてくれます。
日本公開は2000年。
ホーマーたちと同じ年頃で本作に出会った方なんかは、頑固親父ジョンの気持ちも分かる年齢になったでしょうか?
まだ若く初々しい、ジェイク・ギレンホールの映画初主演作。
主人公・ホーマーのひたむきな情熱と瞳に、多くの方が惹き付けられた事でしょう。
王道を行く本作は登場人物が魅力的で、彼らの想いがスーッと胸に沁み込みます。
名バイプレイヤーのクリス・クーパーが演じるジョンは、とっても怖い!
だけど、大事な仕事仲間を亡くし、人生の苦味も知っている男の根底には愛情がある!!
もどかしい父子の関係を取りなす、ジョンの妻エルシー(ナタリー・キャナディ)も愛に溢れています。
彼女に「(ストを止めないなら)家を出る!」と脅されたジョンの顔は注目!
羨ましいほど、一途に想い合う夫婦です。
そしてもう一人、教師が天職で教え子たちを希望へと導くライリー先生も愛情深い!
演じたのはローラ・ダーン、まさに「こんな先生に会いたかった」と誰もが思うはずです。
掛けてくれる言葉はどれも温かくて、前進する力が湧いてくる。
素敵なライリー先生に出会えた、ロケットボーイズは幸せですね。
そんな少年四人のロケット実験のシーンは、何度観ても飽きないから不思議~♪
点火しては爆発!
あちこち勢い良く飛び回って、四人に向かって来てヤバイ逃げろ!!
“あるあるな失敗”は微笑ましくて胸熱、ロケットが空高く上がって大成功で胸熱。
ぶつかり合いながらも男の友情を深める、キラキラな青春は心を浄化してくれます。
もちろん、お年頃なので淡い恋も少しですが描かれますよ。
本作をまだ観たことが無いという方は、四人のドタバタっぷりを楽しめる“廃線になった線路のレール”も必見です。
最後には実在した彼らのその後が紹介され、そこでも胸がいっぱいになる事でしょう。
個人的には、この先何度だって観ると言い切れちゃうほど輝き続ける名作。
多くの方にご堪能いただきたい、オススメの一本です。
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