映画「町田くんの世界」は、細田佳央太主演、石井裕也監督の2018年の日本映画です。
この映画「町田くんの世界」のネタバレ、あらすじやラスト最後の結末と見どころを紹介します。
「町田くんの世界」では演技経験ほぼゼロの新人・細田佳央太と関水渚が話題になりました。
「町田くんの世界」あらすじ
運動も勉強も苦手で見た目も地味な、取り柄のなさそうな眼鏡の高校生・町田一(細田佳央太)。
けれど「人を愛する才能」だけはズバ抜けていました。
ある日、猪原奈々(関水渚)という「人嫌い」な女の子と出会います。
そして彼は初めて生じた「わからない感情」と向きあうことになるのです。
人が大好きな男子高校生と、人が大嫌いな女子高生の出会いのストーリーです。
「町田くんの世界」ネタバレ
高校生の町田一(細田佳央太)。
生物学者の父親(北村有起哉)は単身赴任でアマゾンに行っているため、身重の母(松嶋菜々子)と4人の姉弟で暮らしています。
町田はひとつの事を考えるとそのことで頭がいっぱいになってしまう不器用だけど、バスで立っているお年寄りがいればすぐに席を変わり、困っているクラスメイトがいれば手を貸し、周りからキリストとあだ名がつけられくらい優しい性格の男子高校生です。
ある日の美術の授業中、クラスではいつも授業をさぼって保健室で休んでいるクラスメイト猪原奈々(関水渚)の事が噂になります。
夕飯のリクエストだったハンバーグの事で頭がいっぱいだった町田は、彫刻の作品にハンバーグと掘ってしまい、慌てて修正しようとして指に怪我をしてしまうのです。
傷の手当で保健室に向かうと、保険医は不在で傷をそのままで待っていた町田でしたが、ベッドでサボっていた猪原が見かねて手当をしてくれます。
町田は素直に感謝の気持ちを伝えますが、冷たく当たる猪原。
猪原は町田に「私は人が嫌いなの。」と告げますが、そのことを理解できない町田は「僕は好きだよ。人が大好きだ。」と話すのです。
あまりにも素直に気持ちを話す町田に調子を狂わされる猪原。
町田もまた、人が嫌いと言う猪原を理解できず、クラスメイトの栄りら(前田敦子)にそのことを相談します。
猪原と幼いころから学校が一緒だった栄は、「あいつは小学校の頃からあんな感じで、家庭環境が影響してるかもね。」と町田に話すのです。
ある日の夜、街でナンパされている猪原を目撃した町田は、相手の男子たちに「彼女は大切な人だから。」と言ってその場から連れ去ります。
その男子の中には同じ高校でモデルをしている氷室雄(岩田剛典)もいました。
勝手に連れ去られた猪原は町田に冷たく当たります。
しかし、町田の事が気になって仕方ないのです。
翌日、クラスメイトの栄に町田がどんな人なのか尋ねると「猪原が人に興味を持つとはね。町田は人のことばかり考える、良い意味でいかれた奴かな。」と答えます。
町田と接することで猪原は少しずつ変わっていくのです。
学校の靴箱にラブレターを発見した町田。
しかし、それは西野両端(太賀)が猪原の靴箱と間違って町田の靴箱に入れていたのです。
西野はそのことを町田に話しますが、ラブレターの中身を読んでいた町田は「間違いでもこの手紙は嬉しかった。」とラブレターのことを褒めます。
町田に背中を押された西野は猪原をデートに誘うことに。
猪原はその場に町田がいることに疑問を抱きますが、西野の告白を断ろうとします。
しかし、本気の西野の思いを踏みにじることが出来ず、町田を含めて三人ならデートに行ってもいいと言い三人でのデートが決まるのです。
三人でのデートは思いのほか楽しく過ごしますが、真剣に考えて西野をふる猪原。
西野は「ありがとう。俺みたいな奴に真剣に向き合ってくれて。」と感謝の言葉をかけるのでした。
町田にどんどん惹かれていく猪原でしたが、町田はその気持ちには気づきません。
氷室と高嶋さくら(高畑充希)の別れの現場を目撃した町田は、その場にうなだれるさくらの頭を優しくなで、ジュースを置いてその場を立ち去ります。
それを目撃してしまった猪原はひどく落ち込んでしまうのです。
猪原は「なんでそんなに誰に対しても優しいの?」とイライラを町田にぶつけます。
町田は「小さいころに井戸に落ちて死んだんだ。死んだけど生き返った。多分それが原因で俺は何をしてもダメな人間になっちゃたんだ。でもあの時人の温かさを感じた。」と昔話をして、元気のない猪原の頭をさくらと同じようにやさしく撫でるのです。
ドキドキとしてしまった猪原は町田の手を払い「そういうことしないで!そういうことは好きなひとにしかしちゃいけないの!」と叫びます。
そんな事を言われた町田は、好きとはなにかで頭がいっぱいになってしまうのです。
町田にやさしくしてもらったさくらは、町田にお弁当を作って、自分の事をアピールし始めます。
しかし、その後ろでは氷室とその取り巻きの女子が騒いでいて、それをわざと気にしないように町田に話しかけるさくら。
しかし、町田はさくらに恋愛的な興味がない町田は困っているクラスメイトを見つけ飛び出して行ってしまうのです。
その場を目撃してしまった猪原はさくらから「私、町田先輩に告白します。」と宣戦布告をされてしまいます。
さくらから告白された町田は、さくらがまだ氷室に気持ちがあることに気付いていました。
そのことをさくらに話すと、「ごめんなさい。辛すぎて町田さんに意味わかんない事言っちゃいましたね。好きって何でしょうね。」と言うさくら。
町田はさくらを励ますように「さくらさんは大切な人だよ。」と言葉を掛けます。
二人の話をたまたま聞いてしまった猪原は複雑な気持ちに。
一方の町田も猪原に対しての気持ちの変化に少しずつ気付いていきます。
しかし、氷室から猪原にプレゼントをあげたいから何が欲しいか聞いてくれと言われ、その頼みを聞いてしまう町田。
後日、一緒に帰ろうと猪原を誘った町田は、猪原に何か欲しい物はないかと尋ねます。
町田が自分に好意を寄せてくれているのではと勘違いした猪原は、町田の言葉にときめきますが、町田は「氷室君が猪原さんの欲しい物が知りたいんだって。」と話し、猪原を傷つけてしまうのです。
猪原は「さすがにそれは無理…。無理だよ…。」と言ってバスを降りてしまいます。
猪原がバスを降りてから、猪原の事で頭がいっぱいになってしまった町田は、いつもならすぐに気づくはずなのに妊婦が立っていることに気付かなかったことにショックを受けるのです。
いつも通勤で使うバスが町田と一緒で記者の吉高洋平(池松壮亮)。
忙しく働いているせいで、妻の葵(戸田恵梨香)とはすれ違いの生活を送っています。
記者として、スクープを追い続ける生活に疲れていた吉高は、いつもバスで見る町田の優しさに衝撃を受けていました。
ある日のバスで町田と一緒になった吉高は、思わず町田に話しかけます。
「いつも君に聞きたいことがあったんだ。どうして君はそんなに優しいの?嫌な奴とか最低な奴しかいないこんな世の中なのに…」と言うと、「それって僕の事ですよね。」と答える町田。
吉高はすぐに町田の言葉を訂正しますが、町田は「好きな人に悲しそうな顔をさせてしまいました。」と呟くのです。
吉高はそんな町田に「好きな人を幸せにするために、誰かを傷つけなきゃいけないって時、君ならどうする?君の意見を聞かせて欲しいんだ。」と尋ねます。
“好きな人”という言葉にパニックになった町田は「猪原さんの事で頭がいっぱいで妊婦さんに気付かなかった…。」と落ち込み、いてもたってもいられず駆け出すのです。
そんな時、妹から母親の陣痛を知らされますが、猪原の元に向かい自分の今の気持ちを告白しようとします。
振られることが怖くて逃げる猪原でしたが、「新しい町田が生まれるんだ!だからここで待ってて!」と言われ町田の帰りを待つことに。
町田は、小さな命の誕生に感動します。
「これは奇跡だね。」と言う町田に、母親は恋をしているのだと確信します。
母親から「恋をすると世界がくるって変わるから、今が一番大変な時ね。」と言われ、町田は猪原への思いを再確認するのです。
猪原を待たせていることを忘れていた町田は、急いで猪原の元へ走りますがもうその場に猪原はいませんでした。
翌日、町田は猪原が学校を休んだことにひどく落ち込みます。
その夜、久しぶりに帰宅した町田の父親。
町田は父親に今の気持ちを相談します。
「分からないことから目をそらさずにしっかり向き合いなさい。」と言われ、猪原への思いが溢れた町田は猪原の家に走るのです。
猪原の住むマンションの前まできた町田でしたが、中々部屋の前まで行けずにいたところ、たまたま猪原が外に出てきます。
町田は猪原に「この前はごめん。猪原さんのことを分かりたいんだ。」と気持ちをぶつけますが、猪原は「氷室くんのためでしょ?さくらさんの事はどうするの?誰かに優しくするってことは、誰かを傷つけるってことなんだよ。みんなを平等にするのはとってもいい事なんだけど、私は私だけを…。ごめん…私って最低だ。もう関わらないで欲しいの。さよなら。」と町田に別れを切り出すのです。
町田と関わったことで世界が変わっていく人たち。
町田も猪原に恋したことで世界が変わりつつありました。
しかし、猪原はロンドンに留学を決めてしまうのです。
猪原が旅立つ日、たまたまそのことを知ったさくらは氷室に猪原の居場所を知らせます。
知らせを受けた氷室は、町田がそのことを知っているのか妙に気になってしまうのです。
偶然教室に居合わせた西野と町田を探すために走る氷室。
西野は栄に町田が居そうな場所が保健室だと聞いて急ぐことに。
西野はやっと見つけた町田に「猪原さん会いに行かなくていいの?今日会わなかったらもう二度と会えないかもしれない。」と言葉を掛けますが、町田は猪原から言われた「もう関わらないで。」という言葉が忘れられないでいました。
猪原が好きで冷たくしてしまった事を後悔していましたが、氷室に「好きなら追いかけろ!」と言われ空港へ急ぎます。
ハプニングに見舞われた町田でしたが、町田が助けてきた学校中の生徒が町田の事を助けてくれるのです。
「町田くんの世界」最後ラストの結末
空港へ向かう途中、猪原との今までを思い返し、全て好きで溢れていたことに気付く町田。
しかし、またハプニングが。
子供が持っていた風船が木に引っかかっているのを発見してしまいます。
木に登ってその風船を手にした町田は、子供にごめんと断ってその風船に飛ばされながら猪原の元へ。
一方、電車で空港へ向かっていた猪原は、記者の吉高に声を掛けられていました。
吉高はいつの日か、町田と一緒に猪原がバスに乗っていたことを覚えていたのです。
吉高は自分の書いた“町田くんの世界”という原稿を猪原に渡します。
その原稿には「世界は悪意で満ち溢れている。でも本当にそうなのだろうか。きっと町田くんの見ている世界は美しいに違いない」と書かれていました。
吉高は、この原稿を上司(佐藤浩市)に見せたけど良い返事はもらえなかったと言い「読者は人間の善意よりも悪意の方が好きなんだって言われたよ…。」と残念そうに話すのです。
そんな吉高に猪原は「素敵な原稿でした。町田くんに会いたくなっちゃいました。」と原稿を読んだ感想を伝えます。
その時、電車の窓の外に風船にぶら下がって飛ばされる町田の姿が。
その姿が見えているのは猪原と吉高だけ。
他の乗客は我関せずといった感じでスマホに夢中になっています。
懸命に風船に飛ばされる町田を追った猪原と吉高。
猪原はやっと町田の手を取り二人一緒に空を飛びます。
いつか、学校のプールにいたカップルの鳥に風船をつつかれ学校のプールに落ちた町田と猪原は、「好きだ!」と互いの気持ちを告白するのです。
完。
「町田くんの世界」見どころ
最後は何だかファンタジーな終わり方になってしまいましたが、心がほっこりとするような優しいストーリーです。
町田くんのような人が側にいたら、きっとピースフルな人生が送れるだろうなと思えるくらいとってもいい人な町田くん。
この映画で主人公に大抜擢された細田佳央太の素朴で素直な演技が、町田くんの良さを際立たせていたように感じます。
同じくヒロイン役の関水渚も、細田同様演技経験がほとんどなくヒロインに大抜擢されていますが、とてもピュアな演技を披露しています。
この二人の演技が、ふんわりとした雰囲気を作り出していました。
そして、脇を固める俳優さんが豪華です!
高校生役なのが面白かったのが、前田敦子、高畑充希、岩田剛典。
このあべこべな世界観がこの作品の良さではないかと思います。
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