映画「L.A. ギャングストーリー」は、ジョシュ・ブローリン主演、ルーベン・フライシャー監督の2012年の映画です。
この映画「L.A. ギャングストーリー」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、無料動画や見どころについて紹介します。
ロス市警精鋭チームとギャングの激闘を描いた「L.A. ギャングストーリー」をご堪能ください。
「L.A. ギャングストーリー」あらすじ
1949年、ロサンゼルスはユダヤ系のギャング ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)によって牛耳られていました。
その夜も、ミッキーは丘の上でシカゴのギャング ルッソを始末しました。
そのやり方は、両手と両足をそれぞれ車に鎖で縛り付け、逆方向に引っ張って胴体から真っ二つにすると言う凄惨なものでした。
そして、わざと生かしておいたルッソの部下に一部始終を見せた後に耳打ちしました。
「シカゴに帰ってシンジケートのやつらに伝えろ。LAはコーエンのシマだってな」
コーエンはヘロインと売春で荒稼ぎをし、警官や政治家、判事も金と女で買収して誰も手が出せない状態でした。
そんな中、ロス市警の殺人課刑事 ジョン・オマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)は街にやって来たばかりの若い女性が騙されて売春宿に連れ込まれるのを見かけます。
相棒は連れて行かれた先がコーエンの手下がやっている売春宿だと知ると「面倒は御免だ」としり込みしたので、ジョンは一人で乗り込んでゆき、手下達を殴り倒して逮捕、レイプされかかっていた女性を助けました。
ジョンは逮捕した男達を警察署に連れてゆきますが、程なくして判事からの人権保護令状により釈放させられてしまいます。
そしてジョンは上司に呼び出され、令状もなしで余計な事に首を突っ込むなと注意されます。
その速い対応に「警察内部に内通者がいるんじゃないですか?ボス、新車の購入資金は何処から?」と皮肉を言うことしかジョンには出来ませんでした。
コーエンの腹心 カール・ロックウッド(ホルト・マッキャラニー)に付き添われて帰って行く男達を陰から見送っていたジョンに同じ署の刑事 ジェリー・ウーターズ巡査部長(ライアン・ゴズリング)が話しかけてきました。
「ガキの頃に教わらなかったか?”獣”に餌をやったり、からかったりするなって。俺はもう慣れたよ。面倒は避けないとな」
不正に目をつぶる事が出来ないジョンと違い、ジェリーは立ち向かう気概を失くしていました。
家に帰ったジョンは、妻のコニーに顔の傷を見とがめられ、コーエンの売春宿へ手入れに入った事を告白しました。
出産間近で、向こう見ずなジョンの命が何よりも大事なコニーは、再三の注意にも拘らず危険に飛び込んでゆく夫の行動に呆れるばかりでした。
数日後
コーエンは売春宿で部下から報告を聞いていました。
その少し前、売春宿に警察の捜査(実質、ジョンの単身殴り込み)が入り、女達が全員解放されてしまったのです。
「コーエンさん、あの警官はイカれてます!」
必至に謝る部下をエレベーターに放り込み、エレベーターシャフトの中でドラム缶入りのガソリンを爆発させコーエンは部下ごと売春宿を焼き払ってしまいました。
その頃、コーエンが経営するダンスホール「スラプシー・マキシーズ」にジェリーの姿がありました。
テーブルを挟んで、向かいにはコーエンの部下 ジャック・ウェイレン(サリバン・ステイプルトン)が座っていました。
二人は昔なじみで、立場は違うものの長年の友人同士でした。
少し離れた所にはコーエンが座り、ローストピーコックに舌鼓を打っていました。
その傍らには判事や顧問弁護士、郡保安官、LA近郊の田舎町 バーバンクスの警察署長、そしてエチケットの教師(裏ではコーエンの愛人)グレイス・ファラデー(エマ・ストーン)が座っていました。
美しいグレイスに魅せられたジェリーは、彼女がタバコを吸いに席を離れたすきを狙って話しかけ、巧みな話術と警官とは思えない甘いマスクでグレイスの心を掴む事に成功しました。
次の日の朝、二人はベッドの中で目を覚ましました。
暫くじゃれ合った後、グレイスは急に冷めた表情になりました。
「バレたら、二人とも殺されるわ・・・」
「・・・何でコーエンなんかと付き合ってるんだ?あんなのが好みなのか?」
「彼の好みが私なの。それが何よりも重要よ」
ジェリーは何も言えませんでした。
誰もが関わらないようにしていたコーエンに真っ向から立ち向かったジョンの活躍に注目した者がいました。
ロス市警本部長 ビル・パーカー(ニック・ノルティ)です。
パーカーはさっそくジョンを呼び「君のような男を待っていたんだ」と特別な任務を与えました。
それはミッキー・コーエンの組織を潰す事でした。
パーカーは、単にコーエンを逮捕しても、彼の組織が残っていれば誰かが後釜に座って同じことが起こると考えていました。
「逮捕はしなくていい。奴の組織をズタズタにして立ち直れなくしろ。チームの人選は一任する」
その任務は極秘で、昇進も勲章もありません。
しかも、正体がバレれば命も危なくなります。
それでも、街を良くしたいと思うジョンは任務を引き受けました。
ここから壮絶な死闘が繰り広げられていくのです・・・
「L.A. ギャングストーリー」ネタバレ
その日の夜、ジョンは人事ファイルを家に持って帰り、チームに入れる人材を選んでいました。
いつの間にかコニーが後ろにいて、何をしているか聞いてきました。
「新しいチームの人選を任された。小さな、5・6人のね」
「何をするチーム?」
「・・・ミッキー・コーエンを潰す為の、だ」
途端にコニーは真っ青な顔になり、無言で台所に行ってしまいました。
暫くして台所から皿の割れる音がして、ジョンが駆けつけると、泣き出しそうな顔をしたコニーが立っていました。
「戦争は終わったの。街なんかどうなってもいいわ。戦いを止めて、私の所に帰って来て・・・」
「努力はしてる・・・協力してくれよ」
数日後、コニーはテーブルの上に広げた人事ファイルを見つめて思案していました。
「君は大した女性だ」
ジョンが横に座ると、コニーは数人のファイルを差し出しました。
「この人達はみんな優秀で、数年のうちに出世して警部補になるような人ばかり。私がコーエンなら真っ先に買収する。つまり、優等生は選んじゃダメ」
「落第生を選ぶのか?」
「真面目な人は避けるべきよ」
ジョンは感心しながら話を聞いていました。
夜、ナイトクラブで踊り子を眺めていたジェリーの所にジョンがやって来ました。
「話があるんだが・・・」
「今は”監視任務”で忙しいが・・・何だ?」
「チームを組織してミッキー・コーエンを叩きたい。この界隈の犯罪組織に精通した者が必要だ」
その途端、ジェリーは吹き出しました。
「まぁ、せいぜい頑張れ」
「・・・なぁジェリー、どうしちまったんだ?」
「今はいわば、街中が大洪水で水浸しの状態だ。バケツで水を掻き出すより、水着に着替えて泳ぐ方が賢いってもんだ」
ジェリーはジョンの誘いを断り、立ち去ってしまいました。
まずコニーが選んだのは、暴力行為と命令違反を繰り返してきた「セントラル通りの保安官」コールマン・ハリス巡査(アンソニー・マッキー)でした。
コールマンは姪の命を奪ったヘロインを憎み、セントラル通りで唯一ヘロインの売人を取り締まっている警官でした。
そのやり方は荒っぽく、売人を見つけると得意の投げナイフで掌を串刺しにする事もありました。
「売人よりも、もっと上流の水源を叩いてみないか?」
そうジョンに言われ、コールマンはチームの一員となる決意をしました。
次にコニーが選んできたのは、雑誌でも取り上げられた「この100年で最も悪党を撃った刑事」 マックス・ケナード巡査(ロバート・パットリック)でした。
「銃撃戦になった時、頼れるガンマンがあなたの側にいて欲しい」
マックスは引退間際の老刑事で、メキシコ系で誰も組みたがらないナビダ・ラミレス巡査(マイケル・ペーニャ)を相棒にしてバーで飲んだくれていました。
しかし、ジョンが「この作戦にはガンマンが必要だ」とコーエンを潰す話を持ち出すと目が輝きだし「運よく、俺はガンマンだ」と話に乗ってきました。
「腕っぷしだけじゃダメ。頭も必要よ」
コニーが次に選んだのは、元陸軍情報部所属で、機械に詳しく、令状なしで盗聴器を使って降格させられたコンウェル・キーラー巡査(ジョヴァンニ・リビシ)でした。
ジョンが声を掛けた中でコーンウェルは唯一の家庭持ちでした。
良き父親であるコーンウェルの姿を見たジョンは作戦への参加をためらいます。
折しも、ジョンがコーンウェルの家を訪ねたのはロケットの打ち上げ実験が行われる日でした。
夜空を突っ切って飛ぶロケットを眺める息子を眺めながら「俺達は明るい未来の為に戦争で戦った。将来、息子に”コーエンに未来を乗っ取られるのを指を加えて眺めていた”なんて言いたくない」と作戦への参加を承諾してくれました。
その頃、怖いものなしで飛ぶ鳥を落とす勢いのコーエンは毎日のように記者に囲まれ、新聞に記事が載っていました。
ある日、コーエンは古株の大物ギャング ジャック・ドラグナ(ジョン・ポリト)に呼び出されます。
ドラグナはシカゴから話し合いに来ただけだったルッソを躊躇なく殺してしまった事を諫め、シンジケートの報復に注意するように言いますが、コーエンは聞く耳を持ちませんでした。
それどころか、ドラグナに悪態を突き、決裂を宣言して席を立ってしまいます。
同じ頃、ジョンは裏路地で集めたメンバー達にチームの心得を話していました。
「俺達の事は秘密だ。昇進も表彰もない。逮捕もしない。だから、バッジは家に置いて来い。コーエンに戦争を仕掛けるんだ。」
「そいつは面白そうだな。俺も仲間にしてくれ」
暗がりから現れたのは、マックスの相棒 ナビダでした。
メンバー達は「秘密を知られてしまった」と慌てますが、マックスの取り成しでナビダも仲間に加わりました。
「それで、いつから作戦開始だ?」
「今からだ。バーバンクスにあるコーエンのカジノを襲うぞ」
チームは早速、バーバンクスに向かいました。
バーバンクスにある牧場の片隅に作られたカジノは盛況で、沢山の金が飛び交っていました。
カジノの前に降り立ったメンバー達に、ジョンから襲撃の計画を話しました。
「時間は10分だ。カジノを破壊して、金は燃やせ。襲撃が終わったら川の向こうに引き上げよう」
しかし、カジノに飛び込んで脅しの一発を撃った途端に警官が現れて発砲してきました。
「しまった。あの警官はコーエンに買収されてる奴らだ。全く、悪徳警官共め!」
カジノから逃げ出したジョン達は車に乗り込んで逃げようとしますが、エンジンが掛かりません。
仕方なくジョンとコールマンが車の外に出て後ろから押し、車に乗っていたマックス、ナビダ、コーンウェルは逃げる事が出来ましたが、残った二人は警官達に逮捕されてしまいました。
バーバンク警察の署長は、コーエンの部下が来るまで二人を留置場に入れておくことにしました。
同じ頃、ジェリーは顔見知りの靴磨き少年 ピートに頼まれて靴を磨かせてやっていました。
その時、道の向こうに車が止まり、コーエンの部下達が降りてくるのが見えました。
不穏な雰囲気を感じたジェリーはすぐにピートに逃げるように言いますが、男達は次々とコートの下から銃を取り出し、あたりかまわず撃ち始めました。
標的はドラグナと部下達でしたが、ピートは逃げ遅れ、流れ弾が当たってしまいます。
ジェリーは駆けつけて介抱しましたが、程なくピートは腕の中で息絶えてしまいました。
怒りにかられたジェリーは、未だに道の向こうにいたコーエンの部下の一人を撃ちました。
コーエンの部下は弾を受けて倒れましたが、まだ息はありました。
ジェリーはその男が持っていたショットガンを奪い、突きつけました。
「アンタは撃てねぇ。デカだからな」
「・・・もう違う」
ジェリーは引き金を引きました。
未だ怒りの収まらないジェリーは、その足でコーエンのいるダンスホールに向かいました。
一直線にコーエンの元に向かい、銃を出してコーエンを撃とうとしますが、彼の異様な様子に気付いたジャックが寸での所で飛び込んで止め、そのままトイレに連れ込みました。
「お前、何やってるんだ?血が付いてるぞ。何かあったのか?」
「・・・靴磨きのガキが撃ち合いに巻き込まれ死んだ」
「・・・そうか、それは気の毒だな。そういえば、バーバンクでカジノが襲われたらしい。犯人が二人捕まって、これから引き取りに行くらしいが、それもお前の仲間か?」
「・・・ジョンか。何やってんだバカが!」
バーバンク警察の留置にいたジョンとコールマンの耳に外から声が聞こえてきました。
「留置場の飯はどうだ?助けに来たぞ」
窓の鉄格子越しに覗くと、マックスが「鉄格子に巻き付けろ」と鎖を投げてきました。
鎖のもう一方を車のバンパーに括り付け、鉄格子を壊して脱獄する作戦です。
同じ頃、バーバンク警察に男がやって来ました。
「コーエンさんに言われて犯人を引き取りに来た」
「アンタ一人か?」
「一人で十分だよ。早くしてくれ」
コーエンの部下を装ったジェリーがジョン達を助けに来たのでした。
しかし、警官の一人がジェリーと共に留置場に向かった少し後、本物のコーエンの部下がやって来てしまいます。
それに気が付いた警官が慌てて留置場に駆け込んできました。
「おい、そいつらはニセモノだ!」
その時、警察所中の電気が消えてしまいました。
外にいたコーンウェルが電線を切ったのです。
それを合図にナビダが車を発進させましたが、鉄格子は予想より頑丈でバンパーの方が外れてしまいます。
嘘がバレたと知ったジェリーは横にいた警官を殴り倒し、中にいた二人を連れて逃げ出しました。
こうして、ジョン達はピンチを脱し、ジェリーが仲間に加わりました。
一方、コーエンは出資者を集めて電信会社「エル・ドラド電信」をお披露目していました。
売春やヘロインで成功したコーエンは、今度は私設馬券(ノミ行為)で儲けようと考えていたのです。
ルッソを問答無用で殺したのも、彼の電信事業を奪う為でした。
シカゴから西の賭けを一手に引き受け、今までとは比べ物にならいない程の大儲けを目論んでいたのです。
ある日の深夜、ドラグナの家に武装集団が押し入りました。
軍隊さながらにドラグナの寝込みを襲い、ドラグナの妻やメイドまで容赦なく撃ち殺してゆきました。
武装集団を率いていたのは、コーエンの右腕、カールでした。
次の日、荒野で銃の練習をしていたジョン、ジェリー、マックス、ナビダ、コールマンの元に、新聞を手にしたコーンウェルがやって来ました。
「ドラグナがやられたらしい。カジノを襲ったのは彼だと思われたんだ。罪のないメイドも殺されたらしい」
コーンウェルは真っ青になって言いましたが、ジョンは「戦争に犠牲はつきものだ。文句はコーエンに言うんだな」と平然としていました。
「アンタがそんな事を言う奴だとはな・・・」
コーンウェルは呆れながらも、新たな作戦の説明を始めます。
コーンウェルはコーエンの家に盗聴器を仕掛け、情報を筒抜けにしようと考えていました。
コーエンが留守の夜を狙い、ジェリーとコーンウェルは彼の家に忍び込みました。
しかし、盗聴器を仕掛けている最中にコーエンが帰って来てしまいます。
急いで逃げる際中、ジェリーはコーエンと共に帰って来ていたグレイスと鉢合わせします。
ジェリーは咄嗟にキスをして、グレイスが呆気に取られている間に逃げ去りました。
数日間、隠れ家で盗聴していたコーンウェルは、コーエンが数えきれない程の賭け屋を作っている事や近いうちにヘロインが運び込まれる事を突き止めます。
しかし、話の途中でコーエンは部屋を出てしまい、いつ何処にヘロインが運び込まれるかは分かりませんでした。
そこでコールマンが地元の売人を締め上げ、ヘロインが運び込まれるのは金曜の夜 バーバンクの飛行場だと突き止めました。
このヘロインが奪われれば、コーエンにとっては大打撃です。
金曜の夜、コーエンの売人が飛行場でセスナからヘロインを車2台に積み下ろすのを見届け、ジョン達は車で後を追いかけました。
尾行されていると気が付いた売人達は無線で「邪魔者を追っ払うぞ」と連絡し合い、ジョン達の車に機関銃を浴びせてきました。
ジェリーは車をバックさせながら銃を撃って応戦しましたが、売人達は手榴弾を投げつけてきました。
ジョン達はボンネットの上にのった手榴弾をフロントガラスを壊して掴んで投げ返すなどして耐え忍んでいました。
そのうち、ナビダの車が売人の車に体当たりし、その衝撃で売人は手榴弾を落とし、箱の中にあった残りの手榴弾も誘爆して車ごと吹き飛んでしまいました。
残りの1台もマックスがタイヤを銃で撃って横転させました。
ジョン達は横転した車から売人を引っ張り出し、身元を確認した上で足を撃ち抜いて解放しました。
全てが終わって帰る間際、ジェリーはジョンに話しかけました。
「今夜は運が良かった。こんな危なっかしいやり方じゃ、いつか俺達は全滅してしまう」
「・・・でも、上手く行ったじゃないか」
その後、売人は捕まり、コーエンの前に引っ張り出されました。
「あのコーエンさん、実は積み荷を奪われてしまいまして・・・申し訳ありません」
「誰にやられた?」
「NYから来た連中か、(先日殺した)ルッソの手下か・・・ハッキリとは分かりません」
「・・・まぁ、そんな事もあるか・・・」
コーエンは立ち去り、助かったと思った売人は一瞬だけ安堵しましたが、すぐにカールがドリルを手にし、残りの部下達が売人を押さえ付けました。
「おい、カール、やめてくれ!」
売人は絶叫しましたが、カールは容赦なくドリルで刺し殺してしまいました。
日曜になり、ジョンはチームのメンバーを家に呼んでバーベキューパーティを催しました。
その日、ジョンの妻 コニーに会ったジェリーは、そこで初めて彼女が妊娠している事を知ります。
「妻が妊娠中なのに、こんな危ない任務を引き受けるなんて、どんな夫だって思うでしょう?あの人は勇敢だけど、物事に優先順位をつけるのが苦手なの。任務も家族も同じくらい大事。だから、あの人が任務か
命か迷ったら、背中を押してやってほしいの」
ジョリーは笑顔でコニーの頼みを承諾しました。
そこへ、パーカー本部長が「大っぴらには褒めてやれんのでな」とチームを激励にやって来ました。
その後で、本部長はジョンと二人きりで話を始めます。
「コーエンが本気で犯人探しを始めた。内通者は警察内部にもいる。君達の事がバレるのは時間の問題だ。作戦のピッチを早めてゆけ。容赦は一切無用だ」
「容赦なんて、持ち合わせていません」
その日から、チームは盗聴でつかんだ情報を元にコーエンが経営する売春宿やカジノ、ヘロインの取引をつぶしてゆきました。
姿の見えない敵に追い込まれたコーエンは、頭に血を上らせながら部下に激を飛ばします。
「こいつらの正体を掴んで殺せ!女房も子供も、一家根絶やしにしろ!そして、エル・ドラド電信だけは死んでも守れ!」
その言葉を盗聴でつかんだジョン達は、エル・ドラド電信こそコーエンの心臓部だと考えます。
膨大な金を生み出すエル・ドラド電信が本格的に稼働し始めればコーエンの財力はあっという間に膨れ上がり、もはや潰す事は不可能になります。
逆に、まだ規模の小さい今のうちに潰せばコーエンにとって大打撃となります。
ジョン達は早急にその所在を探り出そうとしますが、コーエンも慎重になり、なかなか秘密を洩らしません。
ジョンはジェリーに、グレイスから情報を引き出すように言いました。しかし、ジェリーは彼女を危険にさらす訳にはいかないと拒否しました。
しかし、ジェリーの心の中にはいら立ちが募って来ていました。
ある日、朝までグレイスと過ごしたジェリーは、帰ろうとしている彼女が化粧をしている姿を見る内に我慢が出来なくなりました。
「奴の為に化粧する姿を俺に見せる事は無いだろう。無神経すぎないか?」
それが元でグレイスと口論が始まってしまいました。
「なぁ、俺と君はこれからどうなるんだ?」
「・・・私だって、コーエンとは別れたいわ」
「じゃぁ、そうしろよ。もう行くな」
「そう思うなら、私を止めてよ」
ジェリーはそれ以上何も言いませんでした。
グレイスは寂しそうに部屋を後にしました。
同じ頃、コーンウェルはある機械を作り出しました。
それは電線に電気パルスを流し、反響して帰って来るまでの時間で電線の端(電信会社であるエルド・ラド電信)までの距離を算出するものでした。
その機械を使って割り出したエル・ドラド電信の所在地は、コーエンがオーナーのダンスホール「スラプシー・マキシーズ」でした。
コーエンはダンスホールを隠れ蓑にして、地下に賭け屋の指令所を開設してたのです。
楽団の振りをして中に入り込んだジョンのチームは、見張りを殴り倒し、何台もの電話が鳴響く「エル・ドラド電信」に殴り込んでゆきました。
コーエンの手下や何も知らない女性を外に出し、そこにあった大量の札束をテーブルの上に集め火をつけて燃やしました。
数時間後、現場に駆け付けたコーエンは現場検証にあたっていた郡保安官を「仕事をしろ!犯人を俺の前に連れてこい!」と腹立ちまぎれに殴り倒していました。
ジョン達が成功を祝って酒を酌み交わしていた頃、被害状況を調べていたカールは、襲撃犯が金を一切奪っていかなかった事を突き止めます。
その事を報告すると、コーエンは「そいつらは・・・サツだな」と遂にジョン達の正体に気付きました。
「こいつらはサツの中でも特別だ。買収できない警官は狂犬病の犬と同じで手に負えない。処分するしかねぇ」
そして、エル・ドラド電信に存在を知られた事から、内通者か盗聴器による情報漏洩を疑い始めます。
コーエンは頭に血を上らせながら洗い出しを開始しました。
コーエンの剣幕に危機感を覚えたグレイスは、ジェリーとの事がバレて裏切り者にされる事を恐れ、いち早く屋敷を抜け出しました。
暫くして、コーンウェルはコーエンが損失を取り返そうと焦り、チャイナタウンで取引をしようとしている事を探り出します。
ジョン達は「この取引を潰せば、コーエンはいよいよ立ち直れなくなるぞ!」と奮い立ちます。
そんな中、コーンウェルだけは暗い顔をしていました。
「俺は息子に『諦めることなくコーエンに立ち向かった』と胸を張りたくて仲間になった。しかし、俺がやった事はどれも息子に話せない事ばかりだ。ジョン、教えてくれ。俺達とコーエンの違いって何だ?」
「コーエンを裁判にかける事なんて出来たと思うか?奴を潰すにはこうするしかなかったんだ。ヤツは崖っぷちだ。もうすぐケリが付く。そしたら、全て終わりに出来る」
ジョンはコーンウェルを励まし、コーエンが計画を変更した時に備えて盗聴し続けるように命じました。
そして、ジョン達は取引が行われるチャイナタウンに向かいました。
グレイスに呼び出され、レストランで落ち合ったジェリーは、コーエンが裏切り者探しを始めたと聞かされます。
そしてグレイスは、ジェリーに一緒に逃げようと持ち掛けてきました。
その時、コーエンの手下らしき男二人がグレイスに近づいてきました。
男達はジェリーを無視してグレイスに話をしようとしていましたが、その態度に腹を立てたジェリーは二人を殴り倒し、持っていた瓶を奪って中身(おそらく硫酸)を倒れた男の一人にかけました。
男は悲鳴を上げ、一目散に逃げてゆきました。
ジェリーは、ジョン達の正体がバレていると察し、彼らの身が心配になり始めていました。
コーエンの部下だが唯一信頼できる男 ジャックの家に行き、グレイスを匿い、今夜中に街から逃がしてくれるように頼んでから、ジョン達のいるチャイナタウンに急いで向かいました。
一方、ジョン達は取引予定の時間が近づいてくる中、怪しい動きをしていたコーエンの部下らしき男達を監視していました。
やがて、取引に使われる予定のトラックに近づいてゆく男を見つけたジョンは、その男を尾行し始めます。
その時、ジェリーが駆けつけてきました。
「ジョン、これは罠だ!逃げろ!」
そう叫んだ瞬間、すぐ後ろに止まっていたトラックが大爆発を起こし、ジョンは吹き飛ばされてしまいました。
それを合図に、待ち構えていたコーエンの部下が一斉に機関銃を乱射し始めました。
ジョンも何とか応戦し、マックスが銃、コールマンが投げナイフで活躍してくれたお陰で寸での所で切り抜けます。
コーエンの部下達は退散しましたが、コーンウェルを一人で残してきた事を思い出します。
一方、ジャックは頼まれたとおりにグレイスを街から逃がそうとしていました。
二人が家を出た時、コーエンが部下を引き連れてやって来たのが見えました。
ジャックは物陰にグレイスを隠し、何も知らないふりをしてコーエンに向かい合いました。
「お前の所に赤毛(グレイス)がいる筈だ」
コーエンは全てお見通しのようで、ジャックに詰め寄ってきました。
それでもジャックはシラを切り通し、強引に家探しをしようとしたコーエンの部下を殴り倒します。
「ずっとお前を殴ってやりたいと思ってたぜ!」
ジャックはコーエンにも殴りかかろうとしますが、コーエンは躊躇なく銃でジャックの腹を撃ち抜きます。
倒れたジャックを傍のプールに蹴落とし、更に弾を撃ち込む様子をグレイスは声を上げることも出来ずに見続けているしかありませんでした。
隠れ家で盗聴を続けていたコーンウェルは、背後から近づいて来た侵入者に突然首を絞められます。
侵入者は盗聴器を見つけ、隠れ家を探し出したコーエンの部下カールでした。
「恨んじゃないない。お互い、仕事だからな」
盗聴器越しに語り掛けるコーエンの声を聞きながら、コーンウェルは息絶えました。
ジョン達が駆けつけた時には、既にカールは立ち去り、コーンウェルの死体だけが残されていました。
怒り心頭に達したジョンは一目散にコーエンの屋敷に向かいました。
制止するジェリーを殴り倒し、中に踏み込みますが、コーエン達の姿はありませんでした。
散々屋敷内を探し回り、誰もいないと分かって怒りを何処へも持って行きようのないジョンに「俺は下ろさせてもらうよ」と告げ、ジェリーはその場から立ち去りました。
同じ頃、ジョンの家の間に不審な車が止まったかと思うと、中の男達が機関銃を取り出して一斉に撃ち始めました。
ベッドで寝ていたコニーはいち早く異変を察知して飛び起き、窓や壁を撃ち抜いてくる銃弾を掻い潜り、床を這って逃げ出しました。
ジョンが戻って来た時、家は封鎖され、周りには野次馬が詰めかけていました。
血相を変えて家に駆け込んだジョンは、床に続いていた血だまりの跡を辿ってゆきました。
血だまりは浴槽まで続き、その先には産まれたばかりの男の子を抱えたコニーが座り込んでいました。
銃撃のショックで出産が早まってしまったものの、元気そうな赤ちゃんをみてジョンは心から安堵しました。
翌日、新聞はこぞって事件を報じ、パーカー本部長の辞任を要求していました。
「私は恐らく解任され、コーエンに都合のいい奴が後釜に座るだろう。ジョン、君のチームも解体される」
パーカーはすっかり意気消沈していました。
その後、ジョンはコーンウェルの家族に彼の死を報告し、身を隠すコニーと息子を駅で見送りました。
夜、ジョンはジェリーと並んで酒を飲んでいました。
「俺の人生には戦う事しかない。コーエンと同じだ」
「貴方は驚くほど善人じゃないか。コーエンとは違う。」
その時、家の前にタクシーが止まり、降りてきたのはグレイスでした。
「私、コーエンがジャックを殺すところを見たわ。私は目撃者よ。法廷で証言する」
その表情は死すら恐れない決意に満ちていました。
数時間後、ジャックとジェリーは判事の元に押しかけました。
「コーエンの家を盗聴してた。だから、あんたがコーエンに娼婦を世話してもらい、見返りに奴の部下を釈放させていた事は知ってる。違法に得た情報は証拠にはならないが、新聞は飛びつくだろうな」
「・・・私にどうしろと?」
「辞任しろ。一つだけ良い事をしてからな。これに署名しろ」
ジョンが差し出したのはコーエンの逮捕令状でした。
「どんな事になっても知らんぞ」と言いながらも判事は令状に署名しました。
その令状を持ち、ジョンと仲間達はパークサイドホテルの前に集まりました。
ホテルはコーエンが丸ごと貸し切り、周囲に部下を配置して要塞の様になっていました。
それでもジョンはひるむことなく、最上階にいるコーエンに拡声器で呼びかけました。
「ミッキー・コーエン!お前に殺人容疑で逮捕状が出ている。大人しく出てこい!」
しかし、コーエンが出てくる様子はなく、コーエンの部下達も薄ら笑いを浮かべて眺めていました。
ジョン達も最初から命懸けの積りで、マックスは愛用の銃、それ以外のメンバーは機関銃を手にしていました。
「突入する。撃て!」
ジョン達が一斉に撃ち始めたのを合図に、コーエンの部下達との銃撃戦が始まりました。
「L.A. ギャングストーリー」最後ラストの結末
ジョンとジェリーは飛び交う弾丸を掻い潜って正面ロビーまで入り込みますが、ジェリーの銃が弾切れになってしまいます。
ジョンが予備の弾倉を投げますが、届かずに途中で落ちてしまいました。
それでもジェリーは相手のスキを突いて走り、滑り込みながら弾倉を取って交換し、コーエンの部下達を倒しました。
コーエンは飛行機で逃げる計画で、撃ち合いの隙に外に出ようとします。
しかし、エレベーターで下りてきたところにジョンが待ち構えていました。
コーエンも機関銃を手にし、二人で真っ向から撃ち合いながら出口に向かいました。
外でコーエンの部下達と撃ち合っていたマックスは、中からコーエンが出てきた事に気が付いて銃口を向けますが、先にカールに撃たれて倒れてしまいます。
カールはそのまま車に乗り込み、ホテルの入り口でコーエンを乗せると全速力で走り出しました。
ジョンはその車に飛び乗り、窓から手を突っ込んでコーエンの胸ぐらをつかみました。
振りほどこうとして、カールはハンドル操作を誤り、路肩に乗り上げてしまいます。
その衝撃でジョンも道に放り出されました。
車から降りたカールはジョンに銃口を向けますが、撃つ前に倒れてしまいます。
ナビダの助けを借りて起き上がったマックスが、最後の力を振り絞って打った弾が命中したのでした。
カールが倒れたのを見届け、満足そうな顔でマックスは事切れました。
起き上がったジョンは、車から出てきたコーエンに銃を向けて近寄りました。
「コーエン、ジャック・ウェイレン殺害容疑で逮捕する!」
コーエンは大人しく両手を差し出しましたが、ジョンは銃を捨て、二人は拳を握って殴り合いを始めます。
最初は元ボクサーのコーエンが優勢でしたが、ジョンはパンチを浴びてもひるまず、やがてジョンに反撃されて倒れ、ボロボロに殴られて手錠を掛けられました。
血だらけで連行されるコーエンの姿は集まった新聞記者達によって写真にとられ、LA中の新聞に一面で掲載されました。
その後、グレイスの証言により有罪となったコーエンは刑務所に送られ、中で待っていたジャックやドラグナの友人達から制裁を受け続けました。
パーカー本部長は死ぬまで在任し、ジェリーはグレイスとずっと一緒に暮らし続けました。
ジョンの仲間達は警官を続けましたが、その働きは極秘扱いで長い間知られる事はありませんでした。
それでも、コーエンの組織を崩壊させた事を誇りに働き続け、LAに再びギャングがはびこる事はありませんでした。
そして、ジョンだけは警官を辞め、その後は家族との穏やかな日々を過ごしたのでした。
THE END
「L.A. ギャングストーリー」見どころ
1940後半~50年代にかけてLAで起こっていたギャングと警察の攻防を元に描かれた作品です。
戦争が終わり、街が発展を遂げてゆく中、行き場をなくした男達がいました。
ある者はギャングとなって裏社会に身を沈め、ある者は警官となって街の治安を守る側になりました。
しかし、根底にあるものは同じだったようです。
ジェリーとジャックのように情を重んじ、立場の違いを超えた友情でつながっている場合もあれば、コーエンに買収された者たちのように華やかで楽しい世界に目を奪われ、倫理や正義を捨てて道を踏み外してしまう者も多かったのも時代のせいと言えるかもしれません。
コーエンは元ボクサーで暴力的な性格と、金を生み出す優れた頭脳を持ち合わせた力と金の象徴のような存在です。
そんな、向かうところ敵なしのコーエンに立ち向かうジョンは「悪が栄えるのは善人が見て見ぬふりをするからだ」が身上の堅物でした。
無口だけど、街と家族を愛する熱いハートを持ったジョンは古き良き男・夫・父親を体現しているようなカッコよさがにじみ出していました。
そんなジョンが集めたメンバーは、はみ出し者や曲者揃いでした。
彼らがギャングの上を行く過激さでカジノやヘロインの取引をつぶしてゆく様は爽快でした。
しかし、チームの両親ともいえるコーンウェルが呟いたように、目的のためには犠牲も付きものだと過激な作戦を続けるうちに、ギャングと警察の境があいまいになってゆきます。
実際、彼らの銃撃や爆弾のせいで一般市民が巻き込まれる場面もありました。
コーエンに裏をかかれ、コーンウェルを失って、ジョンは初めて暴力の魅力に取り込まれてしまっていた自分に気が付いたように見えました。
パーカー本部長さえも敗北宣言をし、失意のどん底にあったジョン達に勇気をくれ、初心を思い出させてくれたのは、命をかけて友との約束を果たしたジャックと、見て見ぬふりをやめてコーエンの犯罪を証言すると申し出たグレイスだったと思います。
そしてジョン達は、派手な銃撃戦の末とはいえ、法の手続きにのっとって令状を執行し、コーエンを殺さず裁判にかけて刑務所送りにする事で殺された者たちの復讐を果たしたのです。
これはまさにギャングから警官に戻ったが故の行動でした。
派手な爆発、飛び交う機関銃の弾、今から見ればクラッシクな車を失踪させてのカーチェイスは見応え充分でした。
しかし、何と言っても一番の見どころはニヒルで無骨でカッコイイ男達の、使命に燃えた生き様が堪能できるところだと思いました。
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