「星ガ丘ワンダーランド」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ

映画「星ガ丘ワンダーランド」ネタバレ あらすじ
ヒューマン

映画「星ガ丘ワンダーランド」は、 2016年の中村倫也主演、柳沢翔監督の日本映画です。

この映画「星ガ丘ワンダーランド」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。

20年前に姿を消した母親の死を巡るヒューマンミステリー「星ガ丘ワンダーランド」をお楽しみください。

 

「星ガ丘ワンダーランド」スタッフ・キャスト

■ スタッフ
監督: 柳沢翔
製作:森山敦
脚本: 前田こうこ、柳沢翔
撮影: 今村圭佑
音楽: 渡邊崇

■ 主要キャスト
瀬生温人:中村倫也
瀬生哲人:新井浩文
清川七海:佐々木希
清川雄哉:菅田将暉
大林津奈子:杏
楠仁吾:市原隼人
清川爽子:木村佳乃
瀬生藤二:松重豊
瀬生温人(幼少期):高橋曽良
瀬生哲人(幼少期):佐藤優太郎

 

「星ガ丘ワンダーランド」あらすじ

父と母と兄と、幸せに暮らしていた瀬生温人(中村倫也)。

しかしそんな日常は、突然母が去ってしまった事で崩れ去ってしまいます。

大きな牡丹雪が降る一面の雪景色で、母が残してくれたのは赤い手袋と、必ず取りに来るから待ってて、という言葉のみ・・・。

ところが、成人した温人(中村倫也)に届いたのは母の死の知らせで―――。

自殺だと片付けられた母の死ですが、しかしその死をきっかけに色々なことが温人(中村倫也)の周りで動き始めます。

果たして母の死の真相は・・・?

そして温人(中村倫也)は幼き日の約束から前に進むことが出来るのでしょうか―――?

 

「星ガ丘ワンダーランド」ネタバレ

温人(中村倫也)の職場は、育った町の小さな駅。

ここで気の良い同僚と共に駅員として働いているのです。

彼が一番心を砕いている仕事が、落し物の預かりでした。

小さな女の子から片足だけのタップシューズを受け取り、その持ち主を想像して似顔絵を描く・・・こうしたかれの想像は当たらずとも遠からず、な特技ともなっており、とある日に手袋を探しに来た少年など、似顔絵にそっくりな場合も少なからずあるのでした。

彼がここまで落し物に思い入れを持つのは幼少期の体験から来ています。

ある冬の日、厳しく叱責する父の声に堪り兼ねるようにして車を降りた母・・・。

母は、一面の雪景色をおってきた温人に自分の赤い手袋を持たせ、必ず取りに来るから持っていて、と言って去ってしまったのでした。

彼にとって母の思い出はこの冬の日と、街唯一の遊園地[ワンダーランド]に家族で行った記憶・・・。

その[ワンダーランド]ですが、老朽化と経営難から閉園が決まったとニュースが流れています。

彼はそのニュースをそっと遠ざけるのでした。

 
その翌日、温人(中村倫也)は駅で泥だらけのキーホルダーを拾います。

洗ってみるとそれはワンダーランドの観覧車に雪が舞うスノードーム。

キラキラ反射するそのスノードームにも、想像の持ち主をイラスト化しようとした温人(中村倫也)ですが、しかしなかなか思うように描けません。

彼にとって[ワンダーランド]の観覧車といえば母との思い出なのです。

何度鉛筆を取っても、やはり彼にはその先を描き進める事は出来ないのでした。

 
ある日、忘れ物を取りに来た女性がいました。

女性が探しに来たのは内側に絵が描かれたビニール傘です。

それは、温人(中村倫也)の記憶にもある一本でしたが、残念ながら保管期間を過ぎており、既に処分されています。

そのことに憤慨した様子の女性に同僚が説明してくれたことで、彼女は諦めて帰りましたが、温人(中村倫也)の心にそれは残りました。

彼は仕事を終えると楠(市川隼人)の職場に向かいます。

そこで女性の傘を探そうと思い立ったのです。

急な温人(中村倫也)の訪問に残業となってしまった楠(市川隼人)ですが、初めて親しく言葉を交わすことで彼に協力を申し出ました。

落し物には個性がある、そう話す温人(中村倫也)に思わず笑いをこぼしながら、拾ったクラシック音楽をかけながら探し始めたのです。

こうして二人で探し続けた結果、なんと傘が見つかります。

朝日を浴びながら、嬉しそうに笑いながら歩く温人(中村倫也)。

しかし、一生懸命さがしたこの傘ですが、女性に連絡しても相手はそこまで喜んでくれません。

なかなか取りにも来ない女性でしたが、たまたま駅で彼女を見かけた温人(中村倫也)は駆け寄り、傘を手渡します。

しかし、新しい傘をさしている女性の顔には感謝の色は見えず、社交辞令のような感謝の言葉述べて立ち去ってしまいました。

 
ちょうどその日の事でした。

警察から温人(中村倫也)に連絡が入ったのです。

母親である爽子(木村佳乃)が亡くなった、と―――。

呆然とした面持ちで母が運ばれた病院に向かった温人(中村倫也)ですが、彼はそこで思わぬ光景を目にします。

自分を置いて去った母が築いた新しい家族がそこにいたのです。

母の亡骸に縋りつき咽び泣く青年や立ち尽くす女性、夫だろう男性も堪えきれない声を漏らしながら泣いています。

その姿に、病室へ入る事が出来なかった温人(中村倫也)は外で待つ兄・哲也(新井浩文)の車に乗り込みました。

泣けもせず呆然と後部座席に座った温人(中村倫也)は小さな小さな声で、取りに来るって言ったじゃないか・・・と呟くのでした。

 
ワンダーランドで亡くなっていた母(木村佳乃)は、状況的に自殺だろう、という見立てです。

本当に自殺なのか?と担当の大林刑事(杏)に訴える温人(中村倫也)ですが、しかし家族として認めて貰えない彼に詳しい操作状況など知らされる訳もなく・・・。

トボトボと帰社した温人(中村倫也)。

温人(中村倫也)はその足で楠(市原隼人)のもとに向かいます。

二人は徹夜して傘を探したあの日から意気投合し、仕事終わりに楠(市原隼人)の職場で廃棄物を使って遊んでいたのでした。

しかしこの日の温人(中村倫也)は、今日というたった一日に間に起こった全ての事を受け止めきれておらず、優しく声をかけてくれる楠(市原隼人)の手を跳ね除けてしまいます。

ここは落としもんの山だ、と少し誇らしげ話す楠(市原隼人)に、ここにあるのはゴミだ、と言い放ったのです。

せっかく探し出したあの傘は、簡単に捨てられていた・・・

そんな淋しい光景を思い返している温人(中村倫也)には、悲しそうな顔で聞いている楠(市原隼人)の気持ちを思いやる余裕などありません。

二人は喧嘩別れしてしまったのでした。

 
それでも日常生活は続きます。

風邪をひいたのか、咳き込みながら出社した温人(中村倫也)の元にあのキーホルダーを探しに来た女性がいました。

彼女の名前は七海。

母(木村佳乃)の病室で立ち尽くしていた人でした。

彼女がなくしたのはあのキーホルダーは、母からのプレゼントだと話す七海(佐々木希)に温人(中村倫也)は、一度はあのキーホルダーを手に取りながら、ここには届いてない、と嘘をついたのでした。

しかし、どうしても探し出したい彼女は自分の連絡先を残して去るのです。

結局、温人(中村倫也)はキーホルダーを七海(佐々木希)に返しました。

手続きのサインをしている彼女に、聞きたいことがある、と声をかけた温人(中村倫也)。

すると七海(佐々木希)はしっかり彼を見つめて、母のことですか?と答えたのです。

彼女は温人(中村倫也)の事を知っていたのでした。

 
二人きりの駅舎で、咳が止まらない温人(中村倫也)の為に、母(木村佳乃)が作ってくれたというりんごスープを作り始めた七海(佐々木希)。

手を動かしながら、これまでの事を静かに語り始めます。

軽い欝を患っていた母(木村佳乃)の事、亡くなっていた場所であるあの観覧車が母(木村佳乃)にとって辛い場所だった事・・・。

何も覚えていない温人(中村倫也)に彼女が語る話は20年も前に遡ります。

温人(中村倫也)が観覧車に乗ったあの日、七海(佐々木希)もまたワンダーランドに来ていたのです。

リニューアルイベントのその日、ほかの子と同じように蝶の羽を背負った七海にとって、爽子(木村佳乃)は父の想い人でした。

この日初めて佐和子(木村佳乃)に会った彼女は、スノードームをプレゼントされつい願ってしまったというのです。

あの人が私のお母さんだったらな、と―――。

 
呆然と思い出す温人(中村倫也)。

彼が見下ろした噴水側の母(木村佳乃)は一人じゃなかったこと、一緒に観覧車からその様子を見ていた父(松重豊)の顔が険しかったこと・・・。

幼い温人は感じたのです。
母(木村佳乃)が取られてしまうと。

だから僕は一目散に駆けて行って母にしがみついたんだ。

そう話す温人(中村倫也)でしたが、その記憶は七海(佐々木希)により修正されます。

違う、あなた落ちたんです。

そうだ、階段を駆け降りようとして転げ落ちてしまったんだ・・・。

意識を失う直前に見たのは、こちらに気付きもせず七海達と談笑する母(木村佳乃)の姿でした。

 
話し終え帰ろうとした七海(佐々木希)は温人(中村倫也)から、あなたさえいなければあの人が死ぬことはなかった、と言われてしまいます。

一瞬足を止めながらも帰宅した七海(佐々木希)。

暗い自宅の玄関を開けた彼女はつとめて明るい声と表情でふるまいます。

食事の支度に取り掛かろうとしますが、弟・雄哉(菅田将暉)はそんな姉に母が隠れて作った借金について質問します。

そんな話題から弟を遠ざけたい七海(佐々木希)は取り合おうとしませんが、自分だけが蚊帳の外へ置かれたような雄哉(菅田将暉)は激怒してしまうのでした。

 
雄哉(菅田将暉)は翌日、怒りをうちに溜め込んだまま温人(中村倫也)に会いに来ます。

彼らのせいで母(木村佳乃)は死んでしまったと思っている温人(中村倫也)と、母(木村佳乃)の借金は温人(中村倫也)のせいだと思い込んでいる雄哉(菅田将暉)。

殴り合いのケンカになってしまいます。

ずっと金せびってたんだろ!!と馬乗りになって殴りつける雄哉(菅田将暉)ですが、温人(中村倫也)には何の事だか分かりません。

しかし暴力の途中、急に我に返った雄哉(菅田将暉)は弾かれたように温人(中村倫也)から飛び退くと、一瞬彼を気にかける様子を見せながらも駆けつける同僚の声で逃げてしまいました。

 
その日の夜。
大きな痣やかさぶたを作った顔で温人(中村倫也)は、七海(佐々木希)が作ってくれたりんごスープを飲んでいました。

すると目の端に彼女の姿が。

慌てて追いかけ呼び止めると、謝る彼女に、少し歩きませんか?と言うのでした。

二人は夜道を並んで歩いています。

暗がりで横並び・・・お互いの顔がよく見えない状況がそうさせたのか、七海(佐々木希)はポツリポツリと母(木村佳乃)との思い出を語り始めました。

 
連れ子再婚の子である七海(佐々木希)には、どうやっても自分はこの人の本当の娘じゃない、という思いがあって、それは雄哉(菅田将暉)が生まれた事でより一層深く根を張ってしまった、と話します。

仲は良かったけれど、どこか、家族にはなれない、との思いが消せなかった七海(佐々木希)・・・。

そんな彼女に温人(中村倫也)は、七海(佐々木希)が作ってくれたりんごスープは子供の頃飲んだのと同じ味がした、と伝えます。

あなたの中にあの人を見た、素直に認める温人(中村倫也)は、自分が彼女たち家族に嫉妬していた事も吐き出しました。

その言葉に涙する七海(佐々木希)。

並んで歩くその背中は、20年前のあの日の姿の二人なのでした。

 
お互いの胸の内を開いた温人(中村倫也)は、ひとつ気になっていたことを聞きます。

雄哉(菅田将暉)が言っていた、金をせびっていたのか?という問題です。

全く身に覚えがなく意味が分からない様子の温人(中村倫也)に七瀬(佐々木希)は、衝撃的な事実を告げます。

あの日母はあなたのお兄さんにお金を渡すためにワンダーランドに行った、と・・・。

 
翌日、温人(中村倫也)は兄を訪ねます。

怒りに任せて向かった実家ですが、兄はいないようです。

彼は合鍵を取り出すとそっと室内に入りました。

そこは雑然とした事務所。

人の気配の消えた室内を通り、二階へ上がった温人(中村倫也)が見つけたのは、観覧車の設計図です。

それは彼らの父親(松重豊)が書いた図面でした。

窓から見えるのはその観覧車・・・それを見た温人(中村倫也)は慌てて外へ飛び出していくのでした。

 
必死で自転車をこいで向かったのはワンダーランド。

その頃にはもうとっぷりと日は暮れていました。

しかし閉じられているべき門は、手をかけるとあっさり開きます。

人気のない遊園地を進む温人(中村倫也)は、倉庫で作業する哲人(新井浩文)を見つけました。

何をやっているのか、あの人をここに呼び出したの、と問うても無言の哲人(新井浩文)。

その姿に苛立ったように、金をせびってたってどういうことだよ!と温人(中村倫也)が声を荒げてやっと哲人(新井浩文)が振り向きました。

溜息をつきながら温人(中村倫也)を見る彼は、お前母さんそっくりだな、と突き放すように口にします。

哲人(新井浩文)は母(木村佳乃)にお金の無心などしたことがなかったのです。

彼女の借金は爽子(木村佳乃)自身の考えでされたものでした。

父親(松重豊)が死んでしばらく経った頃、店の借金の建て替えを申し出てきたのです。

葬式にも顔を出さなかったくせに自分のことばかり、と母(木村佳乃)を嫌っていた哲人(新井浩文)はその申し出を断った、と事実を口にしながら作業を再開した彼が作業を終えたとき、外から大きな機械音が聞こえてきました。

 

「星ガ丘ワンダーランド」最後のラスト結末

一緒に外に出た温人(中村倫也)がそこで見たのは、まばゆく光る観覧車のイルミネーションでした。

赤く光る観覧車―――それは父(松重豊)が母(木村佳乃)に見せたくて選んだ、彼女が好きな色・・・。

たった一夜灯った観覧車の姿は、街のあちこちで人々の心に優しい光を灯したのでした。

翌日、ワンダーランドを訪れていた大林(杏)は、観覧車近くでお供えのように置かれたコアラのマーチや草に気がつきました。

不思議な顔をした彼女でしたが、その耳に聞こえてきたのは何かの物音・・・観覧車のすぐ側で蹲っている小学生を二人見付けたのでした。

 
この小学生こそが、爽子(木村佳乃)の死の真相を知っていたのです。

彼女は、遊んでいて階段から落ちそうになった少年を救おうとして自分が落ちてしまったのでした。

その事を、警察に呼び出されて聞かされた温人(中村倫也)。

少年は温人(中村倫也)に近付くと、おばちゃんね、ぼくのこと温人って・・・と、爽子(木村佳乃)の最期の言葉を告げます。

あの日、階段から落ちてしまった自分・・・母は気付きもせずに楽しそうだったと思っていたけど、意識を失った彼が最初に見たのは爽子(木村佳乃)の心配そうに駆け寄る姿だったのです。

温人!温人!と必死で名を呼ぶ母に彼は、そっと微笑んだのでした。

そんな彼を抱きしめて、まるで呪文のように言葉を繰り返す母(木村佳乃)―――大丈夫、大丈夫、大丈夫―――。

 
すべてを思い出し、一気に顔を歪ませ泣き崩れる温人(中村倫也)。

彼は母が死んで初めて泣くことが出来たのでした。

こうして母の死を受け止めた温人(中村倫也)は、あの日と同じように真っ白に染まった雪道を歩いていきます。

すると道の先を誰かが歩いています。

あの日、自分が見送ったのと同じ赤いコート・・・母がこちらを振り向きました。

さよなら、母さん。
こうして温人(中村倫也)はやっと自分の人生を歩いていく決意を固めたのでした。

完。

 

「星ガ丘ワンダーランド」見所ポイント!

静かな、とても静かな再生の物語でした。

といっても、現状が荒れているとか困窮しているとかいう話ではなく、大事にしてきた思い出が突然絶たれた青年の再生物語なので、静かに流れる時間に入り込むようにして観ることが出来ました。

車の中や室内に雪が降ってきたり、過去と現在がスパンで切り替わったり、どことなく舞台を見ているような感覚も持ったんですが、これが監督の柳沢翔さんの色なのでしょう。

世界各国の広告賞に輝いてきた凄腕CMクリエイターさんならではの演出ですね。

特に配色がとても印象的で、真っ白な雪に赤いコートや、明るい緑に黄色の長靴、そしてラストの観覧車の光はあのシーンだけで世界観が伝わってくるほど圧巻でした。

15秒や30秒のCMに自分の色を乗せられる方なので、今度はもっともっと深くオリジナリティーを散りばめた二時間を楽しませて欲しいな、と次作を期待してしまいます。

 
主演の中村倫也さんは優しいお顔立ちから抑えた演技が素敵で、そんな彼と喧嘩をする菅田将暉さんのウロウロとした所在無さと怒りからの我の返り方、などキャストの皆さんもとても豪華な使い方をされているな、感じました。

本当に主役級の方ばかりを集めて、ほんのちょっとのシーンに使う、けれどそれぞれのキャラ一人一人の話し方や表情にバックボーンを感じて、全員がちゃんと存在感を出しているのはすごいなと思います。

 
エンディングで流れてきた音楽がとても優しくて、この作品の世界観にぴったりな歌声だな、と思っていたらなんと木村佳乃さんが歌われているんだそうで。

淋しい話だけれど、柔らかな声に包まれるようにして終わる、温かな物語でした。

みんなの感想

テキストのコピーはできません。