映画「日本のいちばん長い日」は、役所広司主演、原田眞人監督の2015年日本映画です。
この映画「日本のいちばん長い日」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
1945年8月15日の真実を追ったノンフィクション「日本のいちばん長い日」をお楽しみください。
岡本喜八監督作品で、1967年にも映画化されています。
原作はとなった同名小説です。
■ スタッフ
監督: 原田眞人
製作総指揮: 迫本淳一
脚本: 原田眞人
撮影: 柴主高秀
音楽: 富貴晴美■ 主要キャスト
阿南惟幾(陸軍大臣):役所広司
昭和天皇:本木雅弘
鈴木貫太郎(内閣総理大臣):山崎努
迫水久常(内閣書記官長):堤真一
畑中健二(陸軍少佐、軍務課員):松坂桃李
「日本のいちばん長い日」あらすじ
戦争映画は多々ありますが、今作は空襲から逃げ惑う国民でも、戦地で命を落としていく兵士たちの物語ではなく、内閣や軍部交換など政府内での動きを映した映画です。
昭和天皇のご決断により、その意に応えようとする内閣と、敗戦を認められない一部の陸軍によるクーデター勃発に焦点を当てた歴史物語の始まりです。
「日本のいちばん長い日」ネタバレ
1945年4月に組閣された総理大臣には、海軍出身の鈴木貫太郎(山崎努)が任命されます。
陸軍大臣には陛下の覚えもめでたい阿南惟畿(役所広司)を据えた新しい内閣ですが、世界ではヒトラーが没し、日本国内でも空襲は激しさを増すばかり…。
そんな最中、陛下が内閣の重役六人を集めてこう述べられます。
速やかに戦争終結についての話し合いを希望する、と…。
そのお言葉に感謝の意を述べる鈴木(山崎努)。
我々の口からは言い出せなかった、と早速終戦に向けて動き出すのでした。
しかし会議では戦争終結に向けた話し合いが行われるもなかなか意見がまとまりません。
そうこうしているうちに広島に原爆が投下されてしまいました。
しかもその上、和平交渉を持ちかけていたソ連まで参戦してくる始末…。
前にも後ろに薦めなくなった内閣には、責任を取って総辞職を、との声も上がりますが、それでも首相(山崎努)は、この戦争はこの内閣で終わらせる、と決意を固めており解散はしないのでした。
陸軍では戦争を続けるための方法を考えよう、と大真面目に言い出す者が少なくなく、会議に向かう阿南を見送りに来た大勢の部下たちも本土決戦を望んでいます。
しかしあくまでも会議では陛下(本木雅弘)のご意思に従う方向で、戦争終結の為の話し合いが重ねられます。
誰よりも首相(山崎努)本人が、原爆やソ連の参戦などこれ以上戦争を続けることは無理だとの見解を崩さないのです。
喧々囂々の会議の最中、今度は長崎に原爆が落とされたとの知らせが舞い込むのでした。
このままでは終戦時期がどんどん遅れると危惧した首相(山崎努)は、陛下(本木雅弘)にご聖断を求め、それを結論とする、との判断を下します。
陛下(本木雅弘)のご聖断はやはり戦争の終結。
一人でも多くの日本人に生き残って貰って、その人たちの将来再び立ち上がってもらうほかに道はない、そう静かに語られる陛下(本木雅弘)のお気持ちは御前会議の面々にもしっかりと伝わったようでした。
翌朝の陸軍内部は荒れに荒れて、阿南(役所広司)に切腹を求める声も上がる始末。
しかし彼は胸を張り、会議で主張すべきことは全て主張したこと、ポツダム宣言の受諾は皇室保全の文言が入れられてから初めて実行に移される事などを部下に伝えます。
この条文が無ければ戦争を続ける為、陸軍は和戦両様に応えられるよう一糸乱れぬ規律を保て、と言い放つ阿南(役所広司)の言葉に、誰も反発など出来ないのでした。
それでも陸軍内には終戦に納得できない反発分子がおり、軍は二つに割れています。
ポツダム宣言を和訳し、そこに天皇家を隷属するとの文言を見付けた陸軍では過激派が激高。
そこで阿南(役所広司)は、戦争継続のための作戦を携える部下たちに、ポツダム受諾反対票が多かったと嘘をつく事によって陸軍の勝手な動きを封じ込めたのでした。
この決を持って陛下(本木雅弘)のご聖断が下されます。
私自身はどうなろうとも国民の生命を助けたい、そう終戦の決意を述べられる陛下(本木雅弘)のお言葉に、涙にくれる閣僚たち。
このお言葉を陸軍に持ち帰り部下に伝える阿南(役所広司)ですが、全く耳を貸そうとしない過激派の部下たち。
そんな彼らに阿南(役所広司)は命を懸けて怒号を浴びせるも、畑中(松坂桃李)の額にはものすごく太い血管が…。
彼は全く納得できていないのです。
畑中(松坂桃李)は戦争継続の為、数人の仲間を引き連れあちこちへ駆け回ります。
しかし東部軍司令部ではその考えを一喝され、陸軍省の裏庭では文書が焼かれたりと、日本国は終戦に向けての準備が着々と進んでいきます。
翌日に下される終戦宣言の為、緊張感に包まれる中、ラジオ放送で流される陛下(本木雅弘)のお言葉が録音されるのでした。
しかしそれでも、畑中(松坂桃李)は、自分たちが立ち上がれば全軍が立ち上がると未だ信じ切っており、近衛師団長を銃殺。
ここから坂を転げ落ちるように畑中(松坂桃李)は狂気じみた行動に出ます。
嘘をついてまで決起を連絡させるのです。
「日本のいちばん長い日」最後ラストの結末
決起、との師団命令書を出したことで、東部軍司令部でも大わらわ。
決起命令に従って歩みを止めないクーデター組は遂に宮中にまで歩を進めます。
武器を持たない宮中の人間は太刀打ちできません。
玉音放送の盤を探し回る畑中(松坂桃李)。
陛下(本木雅弘)のお言葉の前に、自分たちの声を伝えたいとラジオ局に乗り込んだ畑中(松坂桃李)ですが、局員の機転によりその言葉は放送されないのでした。
宮中では、東軍司令部が決起の命令書が偽物であるとして反逆組を捕縛。
こうして畑中(松坂桃李)らによるクーデターは失敗に終わったのでした。
こうした騒ぎの時、阿南(役所広司)は心穏やかにその時を待っています。
部下を酒を酌み交わし、そして切腹。
介錯を付けない敗戦の責任に満ちた最期でした。
八月十五日玉音放送。
陛下(本木雅弘)の声に包まれるようにしてアチコチで軍人が自決してゆきます。
畑中(松坂桃李)もまたその一人…。
思いつめたような表情で彼は自分の頭を撃ち抜いたのでした。
THE END
「日本のいちばん長い日」見所ポイント!
戦争終結に向けた政治家、国家の上層部による数日間を描いた作品でしたが、戦争の恐ろしさや悲しさを伝え聞くことが歴史の教科書に載っていた世代としましては、この判断がもう少し早ければ…この会議が長引かなければ、あの原爆は落ちなかったのかもしれない、もっとたくさんの人々の命が助かったのかもしれないと考えてしまい、本当にやるせない気持ちになる作品でした。
政治家と国民感情には大きな隔たりがあると、政治家スキャンダルが起こるたびに思い知らされますが、この当時から変わっていなかったのかな?と言うのが正直な感想です。
にっちもさっちもいかなくなってからの敗戦…
それでも、クーデターを起こそうと宮中にまで兵を進めた陸軍人や、一億総決起・特攻すれば神風が吹くと信じてやまない軍人など、軍事教育に染められた若者ではなく、ある程度老獪な、時勢を見ることが出来、陛下の御心に背かないと言う決断を下せる人が総理の座にあった事は、国民にとっては有難かったのだな、と思いました。
もしかしたら女性と男性で感想の異なる作品かもしれません。
たくさんある戦争映画の中でも、血や目を背けたくなる痛々しさは格段に少ない作品ですし、原作が発表されて以来何度か映像化されている作品なので、お子様を交えてご家族でご覧になり、見比べたり感想を述べ合うのも戦争について学ぶいい機会になるかもしれませんね。
「突入せよ!あさま山荘事件」も実話の邦画でおすすめです。
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