映画「インファナル・アフェア」は、トニー・レオン主演、アンドリュー・ラウとアラン・マック監督の2002年の香港映画です。
この映画「インファナル・アフェア」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
警察に潜り込むマフィアと潜入捜査官を描いた傑作「インファナル・アフェア」をお楽しみください。
その後「インファナル・アフェア」は3部作のシリーズとなりました。
この映画は第1作目となります。
■ スタッフ
監督: アンドリュー・ラウ、アラン・マック
製作: アンドリュー・ラウ
脚本: アラン・マック、フェリックス・チョン
撮影: ライ・イウファイ、アンドリュー・ラウ
音楽: コンフォート・チャン■ 主要キャスト
ヤン:トニー・レオン
ラウ:アンディ・ラウ
ウォン警視:アンソニー・ウォン
サム:エリック・ツァン
ドクター・リー:ケリー・チャン
マリー<ラウの妻>:サミー・チェン
若き日のヤン:ショーン・ユー
若き日のラウ:エディソン・チャン
キョン:チャップマン・トウ
ビー/ラム:ラム・カートン
メイ:エルヴァ・シャオ
チョン:ン・ティンイップ
リョン警視:ワン・チーキョン
ディ・トロ:ディオン・ラム
イップ:ヒュイ・カム・ファン
「インファナル・アフェア」あらすじ
裏社会に潜り込み潜入調査を続けているヤン(トニー・レオン)、彼とは反対に警察内部で昇進を重ねていく裏社会の人間ラウ(アンディー・ラウ)、2人は共に同じ警察学校を卒業した同期です。
お互いに所属する組織の為にスパイ活動に精を出していく二人ですが、常に命の危険と隣り合わせのヤン(トニー・レオン)はやがて精神のバランスを崩し眠れない毎日を過ごすようになります。
そんな彼が出会ったのは精神科医の美人女医リー(ケリー・チャン)。
彼女と過ごす時間だけが、心に安らぎを感じられる穏やかな時間だったヤン(トニー・レオン)ですが、果たして彼は、与えられた仕事こなし、香港マフィアのドンを捕えることが出来るのか―――
ここに、上質の緊迫に満ちたサスペンスが誕生しました。
「インファナル・アフェア」ネタバレ
ヤン(トニー・レオン)を香港マフィアに送り込んだのは警視であるウォン(アントニー・ウォン)。
表向き、警察学校の校則違反により退学させられた形で潜入しているヤン(トニー・レオン)が警察官であることを知っているのもウォン警視(アントニー・ウォン)ただ一人です。
いつか警察官に戻れる日を夢見て、マフィアの麻薬の密売などの犯罪計画を、ウォン(アントニー・ウォン)にモールス信号を使って知らせるヤン(トニー・レオン)。
ボスからの信頼も厚い立場にあるからこそ、数々の犯罪計画を知る事が出来るとはいえ、取引の最中にスパイ行為を果たすのは常に命の危険を伴います。
しかしヤン(トニー・レオン)がギリギリの状態で送った情報も、警察内部に潜入しているラウ(アンディー・ラウ)によって無駄にされてしまいます。
ラウ(アンディー・ラウ)は、マフィアのボスであるサム(エリック・ツァン)からもたらされる情報も後押しとなり順調に出世を重ね、そのおかげで対マフィア対策の情報をサム(エリック・ツァン)に洩らせる立場にあるのでした。
ヤン(トニー・レオン)と直接やり取りできるのはウォン(アントニー・ウォン)だけでしたが、その彼から下される指示をボスに流す事で、警察の動きを組織に伝えているのです。
大きな麻薬取引をすんでのところで潰されたマフィア側と、あと少しと言うところで証拠を掴めなかった警察内部では、お互いの組織にスパイがいる事に気付きます。
ウォン(アントニー・ウォン)はヤン(トニー・レオン)に、サム(エリック・ツァン)はラウ(アンディー・ラウ)に、それぞれ潜り込んでいるスパイを探し出すように指示を出すのでした。
ラウ(アンディー・ラウ)はスパイ探しの手がかりに、と組織の構成員全員分の名前と写真などの資料をサム(エリック・ツァン)に用意して貰います。
スパイ探しが始まっている事に焦りを感じながらも身分証明用紙を記入していくヤン(トニー・レオン)。
この時、ヤン(トニー・レオン)は弟分に聞かれた漢字をその資料を入れる封筒に書いて示すのでした。
サム(エリック・ツァン)を張っていればいずれスパイに会うと踏んだヤン(トニー・レオン)ですが、あと少しと言うところでサム(エリック・ツァン)と会っていた相手を見失ってしまいました。
暗がりだったので顔も見ていません。
一方ラウ(アンディー・ラウ)は、スパイ容疑が掛かっているとしてウォン(アントニー・ウォン)を見張るよう部下に命じます。
その部下からの連絡で、とあるビルへと入って行ったウォン(アントニー・ウォン)の情報を得ると、スパイに会う可能性が高いとしてサム(エリック・ツァン)に連絡するのでした。
サム(エリック・ツァン)は構成員をそのビルに向かわせスパイの抹殺を図ります。
ところが直前でその情報を得たウォン(アントニー・ウォン)とヤン(トニー・レオン)。
二人は慌てて逃げ出します。
ヤン(トニー・レオン)は危機一髪、組織の人間に会うことなくビルから抜け出し、たった今駆けつけたような顔でビルの玄関口へと到着しました。
そんな彼の眼の前に落ちてきたのがウォン(アントニー・ウォン)です。彼は構成員に見つかり、リンチの上屋上から投げ出されて殺されてしまったのでした。
目の前でウォン(アントニー・ウォン)の死を見たヤン(トニー・レオン)。
その顔には絶望が浮かびます。
これで自分が警察官であることを知っている人がいなくなった…
それは彼のこれからが組織の人間として生きて行けと示しているのと同じことでした。
スパイを見付ける事は出来なかったものの、ラウ(アンディー・ラウ)は、ウォン(アントニー・ウォン)の携帯電話を使ってスパイと直接話す事に成功します。
それはヤン(トニー・レオン)にとっても救いの電話でありました。
早速連絡を取り合ってマフィアの壊滅を計画する二人。
今度はウォン(アントニー・ウォン)の代わりをラウ(アンディー・ラウ)が果たす形で、遂に組織の犯罪現場を抑えた警察。
その大取り物の現場に現れたラウ(アンディー・ラウ)は、現場の混乱に乗じてサム(エリック・ツァン)を追い詰めて殺してしまいます。
彼はサム(エリック・ツァン)を殺す事でマフィア組織からの脱却を図り、自由の身となって自分の人生を生きる決意を固めたのでした。
組織の壊滅を成功させたヤン(トニー・レオン)はラウ(アンディー・ラウ)によって警察官としての身分を取り戻してもらう為警察署を訪れます。
しかし彼が席を外したすきにヤン(トニー・レオン)は気付いてしまうのです。
ラウ(アンディー・ラウ)の机の上に置かれた封筒にとある漢字がある事に…。
それは、かつて弟分に教える為に身分証明の封筒に書いた彼の自筆の文字だったのです。
ラウ(アンディー・ラウ)がマフィアのスパイだ。
そう気づいたヤン(トニー・レオン)は彼が戻ってくる前に姿を消すのでした。
また、ヤン(トニー・レオン)が急に姿を消したことで、自分がマフィアのスパイであることを悟ったラウ(アンディー・ラウ)。
彼はヤン(トニー・レオン)が警察官であり証拠を消し、彼が身分を取り戻すための道を閉ざしてしまいます。
そのままリー(ケリー・チャン)の所に行くヤン(トニー・レオン)。
患者と医師として出会った二人でしたが、いつしかお互いに惹かれ合うような関係になっていた二人…。
ヤン(トニー・レオン)にとって、もはや安らげる場所は彼女の所しかないのでした。
「インファナル・アフェア」最後のラスト結末
このままエリート警察官としての人生を歩んでいけるかに思えたラウ(アンディー・ラウ)でしたが、彼にもまた絶望はやってきました。
彼の婚約者にラウ(アンディー・ラウ)の本性が何であるかを告げるCDが届いたのです。
送ったのはヤン(トニー・レオン)でした。
ラウ(アンディー・ラウ)の元を去っていく婚約者。
そんなラウ(アンディー・ラウ)をヤン(トニー・レオン)は呼び出します。
ビルの屋上で、ラウ(アンディー・ラウ)に銃口を向けるヤン(トニー・レオン)は、自分の身分の復活を求めます。
ところがそこに、ラウ(アンディー・ラウ)の部下が銃を構え飛び込んできました。
咄嗟にラウ(アンディー・ラウ)を人質にして、対峙するヤン(トニー・レオン)。
そのままの状態でラウ(アンディー・ラウ)を連れてエレベーターに逃げ込むヤン(トニー・レオン)でしたが、降りた階のドアが開いた瞬間撃ち殺されてしまいます。
撃ったのはサム(エリック・ツァン)によって送り込まれていたもう一人のスパイだったのです。
自分以外にもスパイがいたという事実に驚くラウ(アンディー・ラウ)。
エリート警察官として歩む人生に、自分の正体を知っている人間がいるのは好ましくないラウ(アンディー・ラウ)は、その場でその警察官を撃ち殺してしまうのでした。
ラストシーン。
リー(ケリー・チャン)によって、警察官であることが証明されたヤン(トニー・レオン)と、共に亡くなったラウ(アンディー・ラウ)の部下の葬儀が行われます。
その墓前に向かい敬礼するラウ(アンディー・ラウ)の心中はいかなるものか―――。
二部・三部へと続く物語ではありますが、この結末だけでもご覧になった人の数だけ解釈の持てる最後が印象的なラストでありました。
「インファナル・アフェア」見所ポイント!
脚本、演出、役者、全てがきっちり揃った滅多にない完璧ともいえる作品だと思います。
普段香港映画を見ないような方、香港と言えばジャッキー!な方にもぜひ見て頂きたい作品。
ピン、と張りつめたような緊張感がずっと続き、ドキドキハラハラなどといった軽い感情ではない重たい緊迫感を体感できます。
ハリウッド、そして日本でもリメイクされましたが、やはり本作を超える事は難しかったかな…といった印象です。
ハリウッド版は、やはりアジア特有の粘着質な空気感が無かったこと、日本版は邦画のわりには重たい重厚感を醸し出し腹の底が冷えるような怖さもありましたが、欲を言えば主演二人の世代は揃えて頂きたかった…!
上手い役者さんで見応えはあったんですけど、同世代の若者が一度は人生をリンクさせながらも真逆の方向へ人生を走らせ、最後に対立する、と言うのもこの作品にとっては重要な部分だと思うからです。
その点で言っても、この作品は完璧でした。
特にトニー・レオンが素晴らしかったですね。
警察官であるという矜持と、しかしその存在を知る唯一の人を亡くした焦燥と悲しみ、そしていつ殺されるか、という緊張感が全て彼の表情から感じ取れました。
それはもう怖いくらいの臨場感を持って…。
ただ、この完璧な作品に難があるとすれば一度見ただけでは、物語の全てを理解するのが難しい、という事。
過去と現在が交錯するような演出方法と、その若き日のラウとヤンを演じた役者さんが、トニー・レオン、アンディー・ラウにそれぞれあまり似てなかった、と言う点も混乱させる要因の1つかな?と思います。
どちらかと言えば反対の役を演じた方が似てるような…。
また、ダラダラと時間をかけずコンパクトに作られているので、少々説明不足…で、理解に苦しむ事もあります。
この作品はこの後、二部・三部と続いていくお話なので、本編一作で意味を理解するのはハリウッド版のディパーテッドのほうが分かり易いかもしれませんね。
それでも、本家本元の持つじっとりと汗ばむような緊迫感を味わっていただきたいので、是非ご覧になる際はリメイク版ではなく、このインファナル・アフェアから始めて欲しいなと言うのが本音です。
贅肉をそぎ落としたアスリートのような作品であることを理解して、じっくり本作に向かい合ってみるのも映画ファンとしては堪らない楽しみ方ではないかと思いますよ。
コレの3部作は持っとくべき!