「閉鎖病棟 それぞれの朝」ネタバレ!あらすじやラスト最後の結末と見どころ!

映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」ネタバレ あらすじ
ミステリー/サスペンス

映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」は、笑福亭鶴瓶主演、平山秀幸監督の2019年の映画です。

この映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。

精神科病院の中で日常を一変させる殺人事件が起こる「閉鎖病棟 それぞれの朝」をお楽しみください。

これで「閉鎖病棟 それぞれの朝」のすべてがわかります。

 

「閉鎖病棟 それぞれの朝」キャスト・スタッフ

■ スタッフ
監督: 平山秀幸
脚本: 平山秀幸
制作: 菅谷英智
音楽: 安川午朗
撮影: 柴崎幸三

■ 主要キャスト
梶木秀丸:笑福亭鶴瓶
塚本中弥 / チュウさん:綾野剛
島崎由紀:小松菜奈
丸井昭八:坂東龍汰
キモ姉:平岩紙
ムラカミ:綾田俊樹
ダビンチ:森下能幸
ハカセ:水澤紳吾
テッポー:駒木根隆介
フーさん:大窪人衛
オフデちゃん:北村早樹子
おジギ婆さん:大方斐紗子
ドウさん:村木仁

 

「閉鎖病棟 それぞれの朝」あらすじ

長野県の小諸にある精神科病院には、さまざまな過去を持つ患者たちが入院していました。

死刑囚だった梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)、幻聴が原因で暴れるようになり周囲から煙たがられている元サラリーマンのチュウさん(綾野剛)、不登校のため通院する高校生の由紀(小松菜奈)

みんなそれぞれの過去を背負いながらも明るく生きようとしていました。

ある日、そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こります。

加害者は秀丸。

何故彼は犯行を犯してしまったのでしょうか?

 

「閉鎖病棟 それぞれの朝」ネタバレ

ある日、拘置所の中で一人の死刑囚・梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)の刑が執行されました。

しかし、秀丸は執行後に息を吹き返してしまいます。

慌てた警察や拘置所の責任者達は、相談した末に秀丸を外部の施設に押し込めてしまう事に決めます。

 
それから何年もの時が過ぎました。

死刑執行の際に脊髄を損傷してしまった秀丸は、車いすに乗りながら長野県にある六王子病院で陶器を作って生活をしていました。

六王子病院には精神に疾患のある様々な人が入院していました。

皆、朝6時に起床して、順番に歯を磨き、薬を飲んで口の中をチェックされる毎日を繰り返していました。

そんな中で、元サラリーマンで幻覚に悩まされて入院したチュウさんこと塚本中弥(綾野剛)は比較的症状も軽く、時には外出許可をもらって街に出かけ、洋服や雑貨、お菓子など買い込んで帰り、院内の患者たちに売りつけて小金を稼いでいました。

彼は秀丸とも仲が良く、暇があると世間話をする間柄でした。

また、知的障害があって会話は上手く出来ないものの、いつもカメラを持ち歩いているショウちゃんこと昭八(坂東龍汰)を可愛がって世話を焼き、いつも一緒にいました。

 
そんなある日、女子高生の島崎由紀(小松菜奈)が病院にやって来ます。

登校拒否になり部屋に閉じこもっている事に困り果てた母親(片岡礼子)に連れられてきたのですが、検査の結果、妊娠している事を知らされると、ショックを受けて衝動的に屋上に上がり、たまたま居合わせた秀丸の制止も聞かずにそこから飛び降りてしまいます。

運良く、庭の植え込みの上に落ちて命を取り留めますが、お腹の子供は落下のショックで流産してしまいます。

持て余した母親の希望で、由紀はそのまま入院する事になりました。

 
入院患者たちに好機の目で見られながら、由紀は抜け殻のような表情で時を過ごしていました。

そしてその頃、中弥のところにも妹夫婦が面会にやって来ました。

母親の認知症が進行してきたので施設にいれ、誰もいない家は取り壊してビルを建てたいと相談にやって来たのです。

納得できない中弥は手紙で母親に確認を取りたいので今日は帰ってほしいと言いますが、妹夫婦は聞き入れようとしません。

ストレスのせいで中弥は再び幻聴が聞こえ始め、錯乱状態になってしまいます。

結局そこで面会は中止となり、中弥は鎮静剤を討たれて一人部屋に収容されてしまいます。

翌朝、戻ってきた中弥を秀丸が出迎え、そっと水のペットボトルを差し出すのでした。

 
その日は由紀も陶芸小屋を訪れていました。

秀丸は、「ここにいると患者という生き物になってしまう。戻れるなら戻った方がいい」と由紀に言いますが、義父(山中崇)に性的虐待を受けていた由紀は、家には戻りたくありませんでした。

他の入院患者や職員との交流の中で、次第にここにしか自分の居場所はない、と由紀は思うようになっていました。

義父によって一度は強引に退院させられます。

由紀は母親に義父と別れて欲しいと懇願しますが、母親が実は虐待の事実を知っていて、逆に二人の関係に嫉妬と怒りを抱いていた事を知ってショックを受けます。

由紀は義父の会社の事務所から金を盗んで家出をしようとしますが、戻って来た義父に見つかってもみ合いになり階段から突き落として、病院に逃げ戻ってきてしまいました。

 
暫く経ち、院内カラオケ大会の日がやってきました。

思い思いの趣向を凝らし盛り上がる患者達のおかげで、いつになく明るく楽しい雰囲気になりました。

しかし、そこへ薬物中毒で入院している重宗(渋川清彦)がやってくると雰囲気が一変しました。

いつも乱暴な態度で問題を起こしており、皆に煙たがられていたのです。

その鬱憤を晴らすかのように暴れて他人のカラオケを妨害する重宗。

それを秀丸が一喝すると、逆に「死にぞこない!人殺し!」と大騒ぎする始末でした。

職員によって重宗が連れ出された後も、会場には重苦しい空気が漂っており、秀丸は逃れるように部屋を出てゆきました。

 
一人になった秀丸は、自分が起こした事件の事を回想します。

事件を起こす前、秀丸は妻、そして認知症の母と暮らしていました。

ある日、仕事が早く終わって帰ってみると妻が役場の職員と抱き合っている最中でした。

逆上した秀丸は妻と浮気相手を包丁で刺して殺害してしまいます。

冷静になって、自分がやってしまった事の重大さに気付いた秀丸はフラフラと母親のベッドの脇にやって来ました。

既に秀丸の事が分からなくなっていた母親は「息子が初任給でマフラーを買ってくれたんですよ。優しい息子なんですよ」と話しかけてきました。

自分が逮捕されれば、誰も面倒を見てくれる者がいないくなる母の事を不憫に思い、秀丸は母の首にマフラーを巻き付けて絞め殺したのでした。

 
入院患者の石田サナエ(木野花)は今日もおめかしして外泊します。

「今日は末の娘と・・・」「今日は次男と・・・」いつも自慢げに話していました。

しかしある日、中弥が由紀に「サナエさんに家族はいない、カプセルホテルに泊まって帰ってくるだけだ」と教えてくれました。

しかし、由紀が秀丸の過去のことを聞こうとすると「事情を抱えてない人間なんていない」と中弥は口を閉ざしてしまいました。

 
またある日、由紀は秀丸にアームカバーをプレゼントしました。

秀丸はとても喜びました。

その様子を見ているうちに中弥は、みんなで外出しようと提案します。

中弥と由紀、秀丸に昭八の四人で買い物を楽しみ、秀丸はアームカバーのお礼にと由紀にシュシュを買ってあげました。

公園で弁当を食べながら、中弥は秀丸のためにこっそり準備した缶ビールを取り出します。

何年かぶりのビールを感慨深い表情で味わう秀丸。

そして昭八がカメラで皆を取り出し、最後に四人は仲良く写真におさまりました。

 
四人が病院に戻ってくると、婦長の井波(小林聡美)が小さな遺骨を持って帰ってきました。

それは、海のそばの公園で死んでいたサナエでした。

院内では急きょお別れ会が催されましたが、誰かが「あの人みたいになりたくない!」と叫んだのをきっかけに全員が情緒不安定になり、職員たちは事態を収拾するのに大わらわする事態になってしまいました。

そして、秀丸は由紀にサナエへの花を生ける花瓶を取ってきてほしいと頼みます。

秀丸のアトリエに向かう由紀の後を付けている者がいました。

重宗でした。

アトリエで重宗は由紀に襲い掛かり、何度も殴りつけ、抵抗しなくなったところで強姦しました。

昭八は窓からその様子を見ていましたが、恐ろしくて声を出す事が出来ずにいました。

 
次の日、由紀は姿を消していました。

不審がる中弥の所に昭八がやってきて、しきりにカメラを見るように催促します。

訳が分からずに画面を見た中弥の表情はすぐに凍り付きました。

声を出せなかった昭八でしたが、代わりにカメラのシャッターを切り続けていたのです。

そこには重宗が由紀に行った暴行が全て映されていました。

慌てて秀丸にカメラを見せると、秀丸も険しい表情になり、データを消させたうえで「俺が何とかする。この事は他言無用や」と中弥に口止めをしました。

 
そして、秀丸は重宗の所へ向かいました。

裏庭に一人でいた重宗を見つけ、何も言わずに睨みつけながら近寄っていきました。

秀丸に気が付いた重宗は、その態度に激高し、向かってきました。

すると、秀丸は隠し持っていたナイフを重宗の腹に突きたてて、遂には殺害しました。

 
死刑執行された人間が再び殺人を犯すという前代未聞の事態をメディアはセンセーショナルに取り上げ、秀丸は移送される事となりました。

重宗の事を嫌っていた患者たちは、刑事に連れられてゆく秀丸の背中に「みんなのためにありがとう」「お元気で」と次々に声を掛けていました。

一方、中弥の妹夫婦が再び面会にやって来ました。

母の認知症がいよいよ進行し、家をビルに建て替える計画を実行に移すつもりである事を伝えに来たのでした。

そんな彼らに、中弥は退院して母親の面倒を見ながら生活すると宣言します。

妹夫婦は反対しましたが、井波婦長が「塚本さんは任意入院なので、退院を止める権利はありません。また、症状は快方に向かっているので再発の可能性は低いと思われます」と口添えしてくれました。

そして、妹夫婦が帰った後「ダメだったら、いつでも帰っておいで」と励ましてくれました。

そして、秀丸の弁護士の連絡先もこっそり教えてくれたのです。

そうして中弥は退院し、家で母親(根岸季衣)と久しぶりの再会を果たしました。

 
退院してから暫く経った頃、中弥は秀丸の弁護士(ベンガル)に面会します。

そこで、秀丸が自殺を図るなど、すっかり生きる気力を失くしている事を知ります。

弁護士から、事件について何か知っている事はないかと聞かれますが、由紀の事を話すことは出来ず、ただ首を横に振るしかありませんでした。

 

「閉鎖病棟 それぞれの朝」ラスト最後の結末

それから数ヶ月が経ち、園芸の仕事に就いた中弥は、その丁寧な仕事ぶりが評価されるなど、順調に社会復帰を果たしつつありました。

そんな時、偶然に目に入った新聞記事で秀丸の裁判が近々行われることを知ります。

傍聴するため裁判所に入ると、そこには婦長の井波と入院患者の何人かも来ていました。

そして、裁判が始まるまで廊下で待っていると、そこに少し大人びた由紀が現れました。

由紀は驚きながらも中弥と再会を喜び合い、近況を話しはじめました。

由紀は重宗に暴行された後、病院から逃げ出して着の身着のまま町を彷徨っていました。

絶望し泣き叫びながらも、夜明けに目にした街の風景に生きる希望を蘇らせたのでした。

そして彼女もまた新聞で秀丸の裁判のことを知り、弁護側の証人として出廷することを決意したのです。

 
裁判が始まり、傍聴席にいる由紀に気付いた秀丸は動揺します。

やがて弁護側の証人尋問となり、証言台に立った由紀はゆっくりと少しずつ話し始めます。

重宗にレイプされたこと、その翌日に秀丸が重宗を殺したこと。

六王子病院に入院していた時はいつも秀丸に助けられ、身も心もボロボロだった日々を封印して立ち上がる力をもらった事。

そんな日々を台無しにした憎い重宗を秀丸が殺してくれた、本当なら自分が被告席にいるはずだった、と由紀は語りました。

そして、秀丸の刑が確定したら刑務所に毎日会いに行く、出所が叶うならそれまで待つと言い、その言葉に秀丸は涙しながら首を横に振るのでした。

 
閉廷後、中弥は係員に止められながらも「俺、退院したよ!」と何度も叫びながら、連れていかれる秀丸に近づこうとしました。

しかし、秀丸は一言もしゃべろうとせず結局、会話もできませんでした。

それでも最後、中弥は秀丸に「待ってるから」と小さく呟きました。

 
時は流れて、いつかの朝。

刑務所の中庭に車いすの秀丸の姿がありました。

他の受刑者の姿を眺めていた秀丸は、徐に、ゆっくりと両足を地面に下ろし、自分の足で歩こうとし始めました。

最初は立てませんでした。

しかし、秀丸は諦めずに再び立とうとします。

そして、秀丸の様子に気が付いた周りの受刑者や刑務官が無言で見守る中、遂に秀丸は車いすから立ち上がったのです。

完。

 

「閉鎖病棟 それぞれの朝」見どころ

六王子病院の入院患者達は、勿論病気に苦しんでいますが、それ以上に重いモノや辛い体験をもった人達ばかりです。

「カ・エ・リ・タ・イ」と見えない誰かに手旗信号を送り続けたり、母親の遺言を頑なに守って水を大量に飲み続けたり、彼らはよく「普通」とは違う行動をしてしまいます。

彼らも生身の人間で、駆け引きをしたり、誰かに嫉妬したりして、ピュアな心の持ち主とは限りません。

むしろ、攻撃的な場合もあります。

病気のせいとは言え、周りの人間からすれば扱い難かったり、迷惑をかけられたりする事もあったかもしれません。

病院に入れて遠ざけてしまいたい気持ちも理解できます。

 
秀丸、中弥、由紀も、理由はそれぞれですが、家族や社会から排斥されて病院にやってきました。

そして、お互いが一緒なら「まとも」でいられる事に気付きます。

しかし、重宗が彼らの平和・安心を踏みにじってしまいます。

由紀が何をされたか知った秀丸の行動は、彼が過去に起こした事件の原因となった心の傷を呼び越した為にも思えました。

日ごろは穏やかそうなのに、何かきっかけがあると豹変して殺人まで起こしてしまうーそれは奇しくも周りが危険視する「精神異常者」の行動そのものです。

「異常」は決して消え去ってしまう訳ではなく、心のどこかに潜み続けているものなのかもしれません。

中弥の退院後、妹夫婦が彼に対する態度を変えたのか、由紀の義父や母親がどうなったのかはわかりません。

彼らを傷つけてきた周りの人々が変わってくれるとも限らないのです。

それでも、生きてゆかなくてはならないのが人生です。

秀丸は家族や重宗を殺害した過去、中弥は幻聴による錯乱で迷惑をかけた妹夫婦、由紀は自分を傷つけ続けた義父や母親の事を封印して、前に進もうとします。

「人は一人では生きていけない」―でも、全ての人に受け入れられ、周りの全員と上手くやる必要はない。時には切り捨てる道もあると気付かせてくれました。

精神障害を持っていなくても、生き難さを感じている人達の心に響く、人生に立ち向かう勇気や明日への希望を感じさせてくれる作品です。


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