映画「ファミリー・ツリー」はジョージ・クルーニー主演、アレクサンダー・ペイン監督の2011年公開の映画です。
この映画「ファミリー・ツリー」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころについて紹介します。
意識不明の妻の意外な不倫を知った男性と娘たちの家族ドラマ「ファミリー・ツリー」をお楽しみください。
「ファミリー・ツリー」あらすじ
雄大な景色が広がるハワイ。
そこで生きて来たキング一族の命は、現在も受け継がれています──
オアフ島で暮らす、マット・キング(ジョージ・クルーニー)。
ロースクール時代に出会ったエリザベス(パトリシア・ヘイスティ)とは、恋愛結婚。
授かった娘2人は、しっかり者の妻が見てくれるお陰で、マットは仕事に没頭できました。
でも、いつの間にか夫婦の会話はゼロ、放っておいた娘も17歳と10歳に成長しています。
贅沢しない堅実な道を選択するマットは、どちらかと言えば遊び心が乏しい夫(父親)。
おまけに、妻が浮気していたなんて1mmも気づかない鈍感でした。
浮気の事実を知ったのは、海で不慮の事故に遭った妻が生命維持装置に繋がれてからです。
ソレを教えてくれたのは、17歳の長女・アレックス(シェイリーン・ウッドリー)でした。
クリスマスも浮気相手と過ごした母に嫌悪感を抱き、家族のことが見えていない父にウンザリ!
“これから家族に尽くす!”と、改心したばかりのマットにも怒りが湧いて来ました。
でも、妻が目を覚ますことは無いと告知され、生命維持装置を外す日が迫ります。
しっかり者の妻は、兼ねてより事前指示書に署名し“尊厳死”を望んでいました。
喧嘩したまま母が逝ってしまうと知り、困惑する17歳のアレックス。
10歳のスコッティ(アマラ・ミラー)は、起きない母を受け止めきれず情緒不安定に。
やがて訪れる妻(母親)の最期に、空白を埋めるように時間を一緒に過ごす父と娘達。
その中で、マットはハワイに息づく家族の絆を感じる事になります──
妻の両親や友人に、最期が近いことを伝えなければならないマット。
でも、浮気を知った今となっては、相手がどんな奴なのか気になって仕方がありません!
事情を知っていそうな友達の家に押し掛けると、妻は離婚したがっていたと聞かされます。
「彼女のせいじゃない、寂しかったのよ!」と、浮気した妻を庇う友達。
裏切りが許せないマットは「庇う必要はない!もうじき死ぬんだ」と、怒鳴るのでした。
そして・・・
「ファミリー・ツリー」ネタバレ
仕事ばかりだったマットが、妻のことで頭も心もグチャグチャに!
今度は、義父・スコット(ロバート・フォスター)に、夫として不適格だと罵倒されます。
尊厳死を選択していた娘を、しっかりした優しい子だと思いやるスコット。
涙を堪える姿に、マットとアレックスは浮気の事は言いませんでした。
浮気相手の顔を、ハッキリと覚えているアレックス。
名前はブライアン・スピアー(マシュー・リラード)、不動産業を営む奴だと突き止めます。
でも、マットとアレックスは、眠り続ける妻(母親)に悔しさをぶつける事しか出来ません。
10歳のスコッティは生命維持装置に繋がれる母を、友達に見せる不可解な行動を取ります。
それぞれが、心に傷を抱えていました。
妻・エリザベスの友人を集め「生命維持装置を外します」と、真実を伝えたマット。
エリザベスに会って最期のお別れをして欲しい……それは、妻を思うマットの本心です。
そして、友人を見送ったマットに、こんな気持ちが湧いて来ました。
“エリザベスは、ブライアン・スピアーに会いたいかもしれない”。
出張中のブライアンに会いに行くと言い出す、馬鹿な父に呆れるアレックス。
でも、スコッティも入れた家族3人と、アレックスの男友達・シド(ニック・クラウス)も一緒にカウアイ島へ!
7年も娘を放っておいた父親よりも、シドが一緒なら“良い子”でいられるようです。
汚い言葉を使うし、礼儀もなってない。(妻の実家にも同行したシドは、義父に殴られ済み!)
何故、こんな友達を娘は信頼しているのか、理解できないマットは溜息を吐くのでした。
空港でマットを見つけた“いとこ”が「土地の件で来たのか?」と、声を掛けます。
実は、カウアイ島に先祖が遺してくれた、海を望む広大な原野があるキング一族。
でも、土地の永久拘束は法律で禁止、7年以内に手放さなくてはなりません。
土地の価値は数億ドルとも言われ、現在ハワイ州で注目されるニュースでした。
その全権を握るマットのもとに集まり、繰り返された親族会議。
手放したくない者もいますが、殆どは地元出身の信頼できる男・ホリツァーに譲渡を希望。
150年ものあいだ美しい景色を魅せてくれた土地より、現実には大金が有難いのです。
“ブライアン・スピアー捜し”の前に、もうすぐ手放す土地に立ち寄ったマット。
あまりの広さにシドは驚き、アレックスは家族でキャンプをした幼い日を思うのでした。
広大な原野にはゴルフ場、リゾートホテルに商業施設、住宅も建ち並ぶ予定です。
「大昔のおばあちゃんが残してくれた土地だ。すべてに終わりがある」と、感慨深げなマット。
「私もキャンプしたい!」と、思い出のない10歳のスコッティは寂しそうでした。
翌日、マットは妻の浮気相手・ブライアン・スピアーが泊まるコテージを発見します。
でも、そこにはブライアンの妻・ジュリー(ジュディ・グリア)と息子2人もいました。
海で息子と遊ぶジュリーに、声を掛けたマット。
他愛のない会話からマットの妻が事故に遭ったと知るジュリーは、お見舞いの言葉を口にします。
夫の浮気に気づいていない優しいジュリーを思うと、マットの心は沈みました。
更に、コテージ経営をしている“いとこ”のヒュー(ボー・ブリッジス)から、思いも寄らない事実を聞かされます。
土地を譲渡するつもりだったホリツァーは、ブライアンの義兄。
それは、不動産業を営むブライアンに、いずれ莫大な仲介料が入ることを意味していました。
「ブライアンは、運のイイ奴だ!」と、何も知らないヒューは笑います。
その夜、スピアー家族が泊まるコテージを訪ねたマット。
いざとなると尻込みする父に、付いて来た娘・アレックスが「しっかり!」と、後押し。
この親子が接触して来た本当の理由を知らないジュリーだけど、“キング”という名前で土地の話題に。
そして、談笑する3人のもとへ、浮気夫・ブライアンがノコノコとやって来ました。
でも、親子が何者か分かると表情が一変、マットとブライアンは2人きりで話します。
偶然の出会いから、エリザベスに愛されたブライアン。
その返事は「ジュリーを愛してる!」本気だったのは、エリザベスだけでした。
既に生命維持装置を外している、エリザベスの最期は近い……
病院の名前を教えたマットは、やり切れない思いを胸に秘めオアフ島に帰りました。
別の日、部屋に飾られた先祖の写真を眺めるマット。
まもなく土地の譲渡問題が解決するとあって、キング一族も集まっています。
でも、“土地譲渡契約書”を受け取ったマットは、サインすることを拒みました。
「誰にも売らない!土地を所有し続けられる方法を7年の間に考えよう!!」
手付かずの雄大な景色が失われることを、残念に思う住民がいる事も知っているマット。
ハワイアンの血を引く現代の子供たちにも、ルーツを忘れて欲しくありませんでした。
まさかの展開に、困惑する“いとこ”のヒューは「訴訟を起こすぞ」と、抗戦の構え!
それに対して「裁判になれば、絆が深まるさ!」と、マットの気持ちは揺るぎません。
力なく笑ったヒューに背中を叩かれるマットは、土地を残す思いを皆に伝えました──
「ファミリー・ツリー」最後のラストの結末は?
エリザベスが眠る病室で、静かに過ごすマットたち。
そこに全てを知ったジュリーが、夫・ブライアンの代わりにやって来ました。
「ママの友達?」と、何も知らない10歳のスコッティ。
男友達・シドは「カフェに行こう!」と、姉妹を連れ出します。
カウアイ島のコテージで会って以降、家族が壊れたと伝えるジュリー。
夫の裏切りに胸を痛めた彼女は、エリザベスにも言いたい事があります。
「私は、ブライアンの妻よ……」と、涙を流してやるせない気持ちをぶつけました。
エリザベスと2人きりになり、最後の言葉をかけるマット。
母の死を受け入れるスコッティとアレックスにも、別れの時が訪れます──
ボートに乗るマットとアレックス、スコッティ。
エリザベスの遺骨が撒かれた海に、3人はレイ(花輪の首飾り)を浮かべました。
ただ自然とソファーに並んでテレビを見て、アイスを食べている3人。
エリザベスが掛けていた1枚のハワイアンキルトが、父娘を温めます──
THE END
「ファミリー・ツリー」見どころ
死の淵に立つ妻(母親)に、悲しみが込み上げる夫と娘。
その一方で、離婚も決意する不貞行為に及んだ妻(母親)への怒りが、物語を紡いで行きます。
だけど、ズッシリと心に圧し掛かる訳じゃなく、思わずクスっとさせられる不思議な映画なんです。
何となくですが同じくジョージ・クルーニー主演の「マイレージ、マイライフ」を思い出しました。
白い砂浜、青い海、色鮮やかな花、心地良いハワイアンソング、アロハシャツにサンダル。
デコボコ道を走る車のダッシュボードに飾られる、フラガール(首振り人形)もめちゃ揺れ!
映し出されるモノは目や耳を和ませるし、何と言っても登場人物に惹き付けられます。
キラキラした太陽の光が降り注ぐ、ハワイでの暮らし。
マットは「サーフィンは15年していない…」と、どの場所とも変わらない、ありきたりな日常である事を伝えます。
主人公・マット・キングを演じた、ジョージ・クルーニー。
弁護士として多忙なんだろうけど、子育てを放棄した罰として威厳なしのパパ。
平凡な身なり、冷たい印象はないけど“言葉づかい”に厳しい!(でも結局、娘が優勢)
健気にも滑稽にも見える、マットが一心不乱に走る姿は見逃し厳禁ですよ。
家族とは離れハワイ島の学校に通う、17歳の長女・アレックスを演じたのはシェイリーン・ウッドリー。
初登場シーンは大荒れ!「くそオヤジ!ぎゃはは!!」って、酒(クスリ!?)でヘロヘロです。
だけど、家族と時間を過ごすなかで、本来の愛らしい表情を魅せてくれます。
そんなアレックスの隣に何故かいつも居るのが、ボーイフレンドのシド(ニック・クラウス)。
キング一家と一緒に砂浜で寝そべったり、何気なく病室で過ごす事が普通になってる。
最初は“イラつく奴”って印象なのに、最後は“いい男”に変換されちゃう愛されキャラです。
不思議な魅力を持つシドの温かさは、じんわりと心に沁み込んで来ます。
キング一家とシドがカウアイ島の景色を眺めたり、浜辺を歩く場面は本編55分頃~。
個人的には、10歳のスコッティにとってこれまでの人生で、一番家族を近くに感じられたような気がします。
もちろん、その時の目的は、母の浮気相手・ブライアン・スピアーを捜すこと。
だけど、大人の事情など知らないスコッティは、家族との時間にはしゃぎます。
父から母・エリザベスとの思い出を聞いて、夕日が傾くまで並んで歩く4人。
ハワイアンミュージックと波の音、彼らが笑い合う声、何気ない場面ですが心に残ります。
感情を素直に行動や顔に出すスコッティを演じた、アマラ・ミラー。
その心にずっとあり続けた、“母が死ぬ”という現実を受け止めた時に、彼女からこぼれ落ちる涙は胸が締め付けられます。
同様に姉・アレックスも、母の最期が近いと知らされた場面は描かれます。(本編23分頃~)
だけど、母を思いゆっくり気持ちを整理していく妹とは違い、怒りと後悔が残っています。
シェイリーン・ウッドリーが魅せる、言い知れぬ感情に襲われる姿は圧巻です。
エリザベスに“憎しみ”と“最愛”という、対極の感情を持つ2人。
浮気相手の妻・ジュリー(ジュディ・グリア)と、父親・スコット(ロバート・フォスター)。
そして、裏切りに傷つき、消える事のない愛に苛まれる夫・マット。
1人の人間の死でそれぞれが辿り着く別れと赦しを、じっくりと堪能してみて下さい。
父娘関係が希薄だった家族の、ほんの数日間を描いた『ファミリー・ツリー』。
結末は普通の日常を送る3人が映し出され、その普通に胸がホッコリさせられます。
本作を観た方々に、なぜ清々しいとも思える気持ちが生まれるのか?
静かでありながら奥が深い家族の物語を、どうぞ最後までお楽しみ下さい。
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